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更新日:2022年1月25日
長野県知事 阿部守一
それでは本日の会見を始めます。まず冒頭、共同会見、コラボ会見ということで、リモコン式畦畔(けいはん)草刈機の開発、完成についてお伝えしたいと思います。リモコン式畦畔(けいはん)草刈機については、きょうは牛越製作所の社長さまにもお越しいただいていますけれども、長野県の農業試験場と関係企業、官民一体で開発を進めてきました。このたび、めでたく完成しましたので発表したいと思います。こちらが実物です。本県、今、スマート農業を進めようということで取り組んでいるところですけれども、県の農業、スマート化を進めるに当たって幾つか課題があります。特に県内は中山間地域が多い、平坦地が少ないという地理的な特性もありますので、そういう意味で農業を行う皆さまからは傾斜地における草刈りが非常に大変だと。安全に、かつ楽に草刈りができるようにしていきたいという農家の声が多数あります。そういう中で、農業試験場と機械メーカーの皆さまとでコンソーシアムを組んで、協力して製品化を行ったのが今回の畦畔(けいはん)草刈機です。特徴はまた後で説明してもらいますけれども、軽トラックに載せて運搬できるほど軽量、コンパクト、また本県の急峻(きゅうしゅん)な畦畔(けいはん)においても確実に稼働できる、傾斜度45度でも草刈りができるという、これまでのものにはない優れた特色を持っています。関係の皆さま、ご協力いただいた皆さまに心から感謝を申し上げたいと思います。今回、工業と農業との連携ということで新しい製品が生み出されたことを大変ありがたく思っていますし、また、これを契機に長野県農業のスマート化が一層進むように、県としても取り組んでいきたいと思います。この後、開発経過、性能等について説明したいと思いますので、よろしくお願いします。
農業試験場長 鈴木正幸
私から今回の開発の経過等について説明させていただきます。今回の開発は農業現場の課題を産学官、研究分野の他分野連携によって研究して解決を目指そうということで進めました。「経過」(会見資料1/スライド4ページ)にあります通り、平成27年にコンソーシアムという形で組んで、今回は製品になりますけれども、28年にはその前の試作機ができまして、そちらをインダストリーネットワーク株式会社さま、諏訪圏ものづくり推進機構、そういった皆さまから技術的なアドバイス等を頂きまして、それを県の工業技術総合センターや、私ども農業試験場で作業効率ですとか、草刈り性能、そういったものを調査して、実用性の評価を行いながら改良を進めてきたものです。令和元年には農業法人によるユーザーテストということで、長期間使っていただいてテストを繰り返して、結果、先ほど知事も申しました通り、軽トラックに楽々載るぐらいな軽量、コンパクトでありながら、刈払機、よくビーバーといっていますけれども、そういったものを使うよりも作業時間が7割削減できる、かつ、県内の急峻(きゅうしゅん)な畦畔(けいはん)でもリモコンで楽々操作ができて安全に操作できる、そういった機械ができたということです。今後、県としましては農業者への普及拡大に向けて、県下各地で農業農村支援センターが農協等と連携して実演会を開催していきます。また、同支援センターにはスマート農業の相談窓口等も設置していますので、ご要望等寄せていただければ専任の担当者が対応するという体制を取っています。また、今回は草刈機ということですが、これ以外にもレタスの収穫機とか市田柿の皮むき作業を効率的に行うロボットの開発、そういったものも民間の大学や企業等と進めています。今後も農業に携わる皆さまが夢と希望を持って農業に取り組んでいただけるよう技術開発を進め、県内のスマート農業をますます進めていく、そういったことに貢献できればと考えています。それでは次に牛越社長から草刈機の細部にわたって説明いただきたいと思います。
株式会社牛越製作所 代表取締役 牛越弘彰 氏
開発機の内容ですが、田んぼの傾斜45度のあぜでの安定走行が可能で、大きさは軽トラックの荷台に収まるサイズであり、65キロ(グラム)と小型軽量です。これは開発コンセプトの最重要項目1、「急傾斜の多い長野県の中山間地に適合する」、2、「軽トラックに積載できる」を強く意識したものです。いろいろなメーカーからも市販されていますが、30度以上の急傾斜対応では国内最小、最軽量と認識しています。開発に当たり、初めは車輪にこだわり、45度の傾斜走行ができませんでした。試行錯誤を繰り返し、ゴム製クローラーに変更と、重心配分の調整、弊社の金属加工技術を活かし、軽量化のためにオールアルミ製の機体部品を自社で設計し、製作、組み立てを行ってきました。そして傾斜面でも縦横無尽に動き回れるようになりました。今まで農業とは縁のなかった精密加工業から参入し、当初は開発コンセプトをクリアできるか不安でしたが、皆さまに使っていただける素晴らしいものができたと自負しています。今後につきまして、今月より受注を開始し、現価格は130万円程度ですが、メンテナンスなど体制を確立し、量産は100万円以下を目指しています。ここまで技術面や補助金等の資金面、試験場所の提供など、長野県農政部さま、長野県農業試験場さま、諏訪圏ものづくり推進機構さま、工業技術総合センターさま、また、田原さま、南木曽薬草の会さまや、多くの企業の皆さまにご支援いただいています。本当にありがとうございます。われわれは工業と農業の架け橋として、長野県農業に貢献するだけでなく、全国の農家の皆さまにも使っていただけるよう長野県からスマート農業を発信したい、できると思っています。では、ユーザーさまと販売を取り扱っていただきます会社さまのコメントを上映いたします。よろしくお願いします。
(動画上映)
長野県知事 阿部守一
ここから普通の会見に戻りまして、最初に新型コロナウイルス対策の関係で医療警報の解除についてです。皆さまのところに資料(会見資料2)をお配りしていると思いますけれども、4月8日に医療警報を発出しました。実質病床使用率が25パーセントを上回ってきたということを踏まえて、全県の皆さまに医療の逼迫(ひっぱく)度が上がっているということで医療警報を発出し、対策、対応の呼び掛けをしてきました。おかげさまで、ここしばらくの間、新規陽性者数については減少傾向にあるということで、療養者の数についてもこの基準を下回ってくることができ、22.9パーセントまで下がってくることができました。重症者についても10パーセントを切るというところまで減少してきていますので、専門家懇談会の皆さまのご意見も聴取させていただいた上で、全県に対する医療警報については解除ということにします。4月8日から2カ月にわたっての医療警報という状況でしたけれども、この間、県民の皆さま、事業者の皆さまにはご協力を頂き、特にこの間に全県感染警戒レベルが4、あるいは地域によっては(レベル)5ということで、時短要請も含めて一定程度社会経済活動を抑制するお願いもしました。協力を頂いた多くの皆さまに改めて感謝を申し上げます。皆さまのおかげで医療警報を解除することができる段階まで至ってきました。またこの間、病床使用率もかなり逼迫(ひっぱく)度が上がった時期もありますけれども、コロナ患者の対応を行っていただいた医療関係者の皆さまにも改めてお礼申し上げたいと思います。ただ一方で、まだ全県の感染警戒レベル基準が3相当という状況ですので、全圏域のレベル3、「新型コロナウイルス警報」については継続としたいと思います。そういう観点で、医療の負荷は下がってきましたけれども、まだ新型コロナウイルス感染症の陽性者については、先ほど申し上げたように、全県の感染警戒レベルでいくと3相当の状況が続いています。1週間の新規陽性者数は直近で79人という状況ですので、完全に収束しきっているという状況ではありませんので、引き続き新型コロナウイルスに対する警戒、あるいは感染防止対策についてはしっかりと対応いただくようお願いしたいと思います。特に「『正しく』、『適切に』感染予防策」(会見資料1/スライド9ページ)ということで、「やっているつもりは要注意」ということで、これまでも注意喚起していますけれども、適切なマスクの着用、人と会話をされるときはマスク着用をお願いしたいと思いますし、また、マスクをされていても密閉空間で時間を共有されるということがないように十分な換気もお願いしたいと思います。また、手洗い、手指消毒、これもこまめに適切なタイミングで行っていただきたいと思っています。重症化を防ぐという意味でも、それから感染拡大を早期に防ぐという意味でも、陽性者の方を早期に発見するということが大変重要だと思っています。そういう意味では、少し体調が悪いと思われる方は早めにかかりつけ医にご相談をいただきたいと思っています。医療警報、改めて多くの皆さまのご協力のおかげで解除ということになりました。関係の皆さまに感謝を申し上げたいと思います。
次はPCR検査等実施方針についてです。皆さまのところに概要の資料(会見資料3)をお配りしていると思いますが、県としては新型コロナウイルス感染症から県民の皆さまの命と健康を守るためにいろいろな取り組みを行ってきています。県民、事業者の皆さまの行動変容の呼び掛け、病床確保をはじめとする医療・療養体制の強化、そして先ほど申し上げたように、もう一つは、やはり感染拡大を防ぐための陽性者の早期発見ということが重要だと考えています。そういう観点で、PCR検査をはじめとする新型コロナウイルスの検査についても、これまでも国の基準にとらわれない積極的な検査に努めてきたところですが、今回、改めてPCR検査等に関する基本的な考え方を明確化して、検査を積極的、戦略的に活用していく、そのために今回、実施方針を策定することとしました。早期の発見によって重症化リスクを下げていく、そして感染拡大防止を図っていきたいと思っています。今回の方針については、まず症状がある方と症状がない方、検査方法も変わってきますので、明確に分けて対応を行っていきたいと思います。先ほども呼び掛けたように、症状がある方は、今、診療検査医療機関、県内いろいろなところの診療所の皆さまにご協力いただいて、PCR検査、あるいは抗原定性検査を多くの診療所で行っていただけるという体制になっていますので、検査が必要だと、体調が悪いと思われる方は、かかりつけ医にまず電話で相談をいただきたいと思っています。またいろいろな施設でも体調が悪い方については速やかに検査を行っていただくように促していただく、また取り組んでいただくということを行ってもらうようにしていきますし、また、かかりつけ医の皆さまにはこれまでも検査を行っていただいていますけれども、感染拡大防止のための戦略的な検査ということもありますので、ぜひ積極的な検査を行っていただくように呼び掛けていきたいと思っています。それから、症状がない方に対する検査です。幾つか対応の仕方がありますけれども、まず保健所の検査があります。保健所については、先ほど来申し上げているように、これまでも積極的な検査を行ってきているところです。基本的に国のルールに従って、濃厚接触者については、当然ですが全員検査を行っていきます。と同時に、健康観察も陽性者との最終接触日から14日間行っていただき、濃厚接触者の方には自宅待機をお願いしていますし、これからもしていきます。それから変異株がまん延してきているという状況ですので、その他、濃厚接触者に該当されない方についても幅広く検査を行っていきます。感染の可能性がある方については、例えば一定のルールで、従業員の方が陽性になった場合は、飲食店であれば従業員の方全員検査を行っていきます。また、同一職場で同一空間を共有されている方についても換気の状況等が不十分な場合は全員、飲食等を共にした場合も全員検査をしていくということで対応をしていきます。また陽性となった場合に集団感染の発生が懸念される医療機関、高齢者施設、学校、保育所等の従事者等については、接触者の場合には幅広く検査を行っていきます。また高齢者施設等については、例えば職員が陽性になったような場合には、入所者、あるいは職員、全く関係がない方はもちろん除きますけれども、基本的には同じフロアの方全員、あるいは通所サービス等であれば通所サービス利用者全員検査をしていくという形で対応していきます。特に医療機関とか、あるいは高齢者施設等については、これまでもそうですけれども、全員の陰性が完全に確認されるまで複数回にわたって検査を行っていきます。1回検査して陰性だったからよかったということではなくて、本当に全員が陰性か確認されるまで繰り返し検査を行って対応していきたいと考えています。それから濃厚接触者のうちの同居者についてですけれども、濃厚接触者に症状がある場合については原則としてその同居者についても同時に検査を行って、拡大しないように対応していきたいと考えています。また陽性者から感染が拡大しないようにということだけではなくて、さかのぼりの検査についても、当該陽性者については発症前2日前から他者に感染させるリスクがあると言われているわけですけれども、その方の感染経路が確認されていないような場合にあっては発症前2週間、当該陽性者の方と接触があって、感染源となる可能性のある方については、必要に応じてさかのぼっての検査を行っていきたいと考えています。それから「感染拡大防止のための積極的な検査」ということで、感染警戒レベルが高い地域にあっては、対象となる地域、職種を定めて集中的な検査を行っていきます。これまでも飲食店の従業員等、あるいは高齢者施設に対する検査を行ってきましたけれども、今後ともそうしたスタンスで取り組んでいきます。必要な対象地域や業種については、その都度適切な範囲を設定して対応していきたいと考えています。また、感染警戒レベルがさらに上がっているような場合については、広く対象をとって検査を行っていくということも考えています。それから病院、高齢者施設等については、今レベル4地域の場合については補助制度を設けていますので、そうした制度の積極的な活用も呼び掛けていきます。それから、その他に社会経済活動を継続するための検査ということも行っていきます。特に企業、団体の従業員の中に陽性者が発生した場合には、必要な方については行政検査を行っていきますが、ただ企業によってはもっと広く検査したいと、あるいは陽性者が出たので従業員全体を検査対象にしていきたいという要望もありますので、そうした場合には県として検査費用の補助を行って、積極的な検査を促していきたいと考えています。また、学校の部活動で公式大会等に参加する場合にも、必要な検査機器について県として負担して実施をしてもらうということで対応していきます。こうした形で検査を戦略的に活用することによって、新型コロナウイルス感染症の拡大を防いでいきたいと考えています。こうした方針を定めて公表することによって、県民の皆さまにも保健所を中心としての取り組みを理解していただくことによって、県民一体で抑え込んでいく、封じ込んでいくということで対応を考えていただきたいと思っています。
次はL452R変異株のスクリーニング検査についてです。これについては、かねて6月に入って実施をしていくということをお伝えしてきましたけれども、6月11日の金曜日から環境保全研究所においてスタートさせていきたいと考えています。これまでN501Yの変異株スクリーニング検査を行ってきましたが、ほぼ100パーセントN501Yに置き換わっていますので、今後はこのL452R変異株のスクリーニング検査を行っていきます。検査の対象ですが、基本的には検査できる方はすべてと考えています。行政検査で新型コロナウイルス陽性になった方でウイルス量の多い方、またそうでない方でも初発の方、あるいは入国者でフォローアップ中に陽性となったような方、L452R変異株が検出された陽性者の接触者の方等、検査が必要だと考えられる方についてはすべて検査を行っていきたいと考えています。早期に発見してL452R変異株の拡大を防いでいきたいと思っています。検査件数については、今、1週間に240件程度検査可能と考えています。また、今後さらに信州大学付属病院、長野市の保健所においても検査準備を進めていただいていますので、こちらについても早ければ今月中旬には開始できるような状況だと伺っています。引き続き変異株に対する備えをしっかり行っていきたいと考えています。以上がコロナ関係です。
長野県知事 阿部守一
続いて本日の部局長会議で決定した予算案等についてお話をしていきたいと思います。まず補正予算案ですけれども、今回、一般会計総額で270億2250万6000円ということで、6月補正予算としてはかなり大規模な補正を組みます。内容は新型コロナウイルス感染症対応とゼロカーボンの推進です。新型コロナウイルス感染症については、命と健康を守るための医療提供体制、先ほど申し上げたような検査の充実に充てるための経費、それから県民の皆さまの暮らしと産業を守るための経費、こうしたものを中心に予算計上したところです。
まず、新型コロナウイルス感染症の対応については約264億円を計上しています。医療提供体制の強化に約57億円、PCR検査等の推進に3億円余り、県内経済の下支えに194億円余り、生活支援に9億円余りという状況です。医療提供体制については、医療関係者の皆さまのご協力の中でコロナ対応病床を490床まで増加させることができましたので、それに対応しての経費を盛り込んでいます。そういう意味で、受け入れ病床の拡充に伴う予算の増加という部分があります。また、振り分け診療の効率化、重症化予防のための酸素療法に用いる設備整備への支援といったようなことも行っていきます。ネーザルハイフローの配備ということで、中等症の段階でしっかり対応することによって重症者を減らしていきたいと考えています。また、入院患者を受け入れていただいている病院の皆さまに対する特殊勤務手当の支給に対する支援についても継続することとします。また、検査については、民間検査機関等に対して変異株のゲノム解析装置、あるいは検査スピードの向上を図る機器等の整備を支援していきます。また先ほど申し上げたように、民間事業所が行う検査の補助、部活動等で公式大会等に参加する場合の検査への支援、こうしたことも予算化します。
それから県内経済の下支えです。まず、新型コロナ中小企業者等特別応援金ということで36億円余を計上しています。これについては国の制度で月次支援金という制度があります。県内企業においてもご利用いただける事業者があるわけですが、しかしながら、知事会等で私も発言してきましたけれども、どうしても国の視点が緊急事態宣言とかまん延防止等重点措置を発出した地域中心になっていますので、そうした地域とは必ずしも同様の制度になっていません。そういう意味で、県として独自の制度で、国の制度から抜け落ちてしまうような方、売り上げが大きく減少している企業の皆さま、事業者の皆さまを応援していこうということで、法人に対しては20万円、個人については10万円を上限として応援金を支給していくものです。
また、飲食店の感染防止対策ということで、今、「(信州の)安心なお店」の登録、認証を進めているところですけれども、CO2センサー、以前アクリル板について無料配布しましたけれども、今回はCO2センサー、あるいは十字形のアクリル板について、これも無償配布して飲食店の感染対策を応援していきたいと考えています。また、中小企業経営構造転換促進事業についてはすでに予算化をしているものがありますが、それに対して、さらに予算的な拡充を行うということと併せて、IT導入の補助金について県独自の上乗せ補助を新たに行おうというものです。また、県産品の販売促進という観点で、EC(電子商取引)サイトの送料無料キャンペーンの応援であったり、県産品の販売支援、あるいはブランドPRの支援、そして、県産食材「食べて応援」地域内消費推進事業、こうしたことにも取り組んでいきます。また、地場産品のクラウドファンディングの活用を県としても応援して取り組んでいきますし、地酒については金賞日本一を何とか奪還することができましたけれども、地酒の販売促進についても県として支援を行っていきます。さまざまな事業者支援を行うことによって、非常に落ち込んでいる地域経済を何とか元気にしていきたい、また大変な苦境に立たされている事業者を少しでも応援をしていきたいと考えています。また、伝統的工芸品についても昨年に引き続き応援をしていきたいと考えています。それから交通関係ですが、交通関係の事業者も非常に大きな打撃を受けている状況です。特に指定地方公共機関である鉄道、バス事業者の皆さまには、新型コロナウイルス感染症がまん延しているような状況であっても運行継続にご協力を頂いている状況ですので、そうした観点も踏まえてしっかりとした支援を行っていきたいと考えています。運行継続、あるいは車両検査等についての支援を行っていきます。また、松本空港の定期便の地上支援業務についても経費を助成していきます。こうしたことによって地域交通の安定的な継続を支援していきます。また観光ですが、観光についてはすでに予算化しているものも十分活用しながら、観光需要の回復、これはコロナの感染状況を見極めながらですけれども、支援を図っていきたいと考えています。今回、県民向けの宿泊日帰りクーポンの発行、あるいはアフターコロナも見据えた宿泊施設の改修、あるいはコンテンツ開発への支援、さらには昨年来、大変な状況にある山小屋の広域的活動、感染対策への支援、こうしたことを行っていきたいと考えています。また生活支援については後でも申し上げますけれども、生活資金特例貸付の期間延長、それから生活困窮者自立支援金、最大30万円の支給というようなことも行っていきます。
今年度の新型コロナウイルス感染症対応予算は、当初予算、それから4月、5月の専決処分と合わせて、合計で約1937億円という形になります。令和2年度の関連予算が2月補正予算までで1661億円でしたので、昨年の予算額をすでに上回る形で、この新型コロナウイルス対策に全力で県として取り組んでいきたいと考えています。なお、事業者支援の一部、それから生活支援の6事業については早めの執行が重要だということで、県議会の皆さまには早期議決をお願いしていきます。
続きまして、新型コロナウイルス感染症対応以外ですけれども、ゼロカーボンに向けた取り組みということで、信州の屋根ソーラー普及事業として5億4800万円計上しています。ゼロカーボン戦略を策定しましたが、これは待ったなしで、2030年までの6割削減を実現していく上ではあらゆる政策を総動員して取り組んでいかなければいけないと考えています。今回、ソーラー発電の設置等を行っていただく事業者の皆さまを認定し、そうした皆さまと一緒に太陽光発電の普及に取り組んでいきたいと考えています。事業者の皆さまにも積極的な普及に協力してもらいたいと思っていますし、また住宅に対する太陽光設置への補助金ということで、太陽光プラス蓄電池、あるいは蓄電池のみの設置について、県として補助金を支給をしていきますので、県民の皆さまにはこの機会に太陽光発電、かねてソーラーポテンシャルマップをつくっていますので、それをご覧いただいて、可能性が高いところ、要は設置して十分効果が上がる屋根をお持ちの方については、この機会に太陽光発電の施設をご自宅に設置いただくようにご検討いただければありがたいと思っています。またこの点については、これから積極的に県も事業者の皆さまと連携して、PR、普及活動を行っていきたいと考えています。
それから予算ですけれども、松本空港の運用時間の延長、ICTを活用した業務プロセスの標準化、寿台養護学校の増改築、こうした経費を計上しているところです。また、県立高校等のICT環境整備ということで、1人1台タブレット端末を活用した学びを推進する観点で、BYOD(Bring your own device/個人所有の情報端末を授業等で活用すること)への対応が困難な生徒に対してのタブレット端末の貸与についての経費も計上しています。教育委員会にはこの予算を積極的に使って、学校の実情に合わせたタブレット端末の活用、教育におけるICTの利活用が進むように取り組んでもらいたいと考えています。
予算については以上ですが、予算に関連して何点かお話ししたいと思います。まず、生活にお困りの方への支援です。先ほども予算の中で少し触れましたが、いろいろな制度がありますので積極的にご活用、ご利用いただきたいと思っています。まず、生活福祉資金特例貸付については令和3年8月末まで延長という形になっています。緊急小口資金と総合支援資金、合わせて最大200万円まで借り入れが可能という形になっています。特に収入が少ない方は最終的には免除される部分もありますので、生活が厳しい方はまずはご相談をいただければありがたいと思っています。また、住居確保給付金については再支給が今年9月末まで延長という形になりますので、これまでご利用いただき、さらに家賃支援が必要だという方については住居確保給付金の活用をいただきたいと思います。また、新たな給付金として新型コロナ生活困窮者自立支援金が創設されています。先ほど申し上げた特例貸付を限度額まで利用されて、もう借り入れを受けられないという世帯に対して、最大月10万円、最長3カ月まで支給ということができますので、こうした制度もご検討いただきたいと思います。いろいろな制度がありますのでよく分からないという方は、まず「まいさぽ」であったり、福祉事務所にご相談をいただきたいと思います。また、生活保護制度についても、この場でもこれまでもお伝えしていますけれども、最後のセーフティーネットとしての制度ですので、ためらわずに必要な方はご相談いただきたいと思います。生活に困窮されている方については、県もきめ細やかな支援をこれからも引き続き行っていきたいと思っていますので、こうした制度や仕組みが多くの皆さまに伝わるように県も取り組んでいきたいと思います。メディアの皆さまにもご協力いただければと思います。
それから緊急就労の関係ですが、今回の予算上は就労関係の支援は特段計上していませんけれども、当初予算等に計上している事業を有効に活用して、引き続き積極的な就労支援を行っていきたいと考えています。昨年6月から緊急就労支援事業を開始しています。これは失業等で「まいさぽ」等に資金の相談に訪れた方に対して、緊急の就労先を調整させていただくというものです。失業された方を2カ月以上雇用された事業主に、賃金の3分の2を助成するという制度になっています。これまで福祉分野、あるいは農業分野を中心に約200件の就労につながっているところです。まだ雇用情勢が厳しい状況が続いていますので、今回この事業を拡充していきたいと考えています。現場のお話を伺うと、2カ月以内に就労から離脱されてしまう方もいらっしゃるという状況ですので、短期の離職を抑制していくための取り組みも必要だと考えています。そういう意味で、本格的な就労を一気に行うということだけではなくて、ステップアップしていこうということで、現行の制度に最大60時間の職場体験研修メニューを新設して、研修を実施した方には体験研修の時間に応じて最大4万8000円を支援するという形にしていきます。ミスマッチによる早期離職を抑制して長期的な安定雇用につなげていきたいと考えています。ぜひ「まいさぽ」、(長野県)福祉人材センターまで相談をいただければと思います。
それから先ほど申し上げた、今回の予算の中には事業者支援として新型コロナ中小企業者等特別応援金の予算を計上しましたが、国の月次支援金を活用できる事業者もいらっしゃるので、そうした方はぜひ国の月次支援金を活用していただきたいと考えています。緊急事態宣言地域の飲食店等と直接、間接の取引がある場合、こうした緊急事態宣言等が実施された地域における不要不急の外出、移動の自粛等の直接的な影響を受けたこと、これは観光関係事業者は幅広く対象になっています。これは国の制度ですが、6月16日から月次支援金の受け付けが開始されることになっていますので、対象になる事業者の皆さまには活用をいただきたいと思います。問い合わせは国の電話相談もありますが、県としても産業・雇用総合サポートセンター、あるいは「よろず支援拠点」で相談に応じていますので、ご活用をいただきたいと思います。
それから「Go To イート」キャンペーンです。「Go To イート」キャンペーンの食事券の利用期間については、当初3月31日までであったところが、6月30日まで、今月いっぱいということになっています。まだ利用されていない方もいらっしゃいますので、9月末まで延長していきたいと考えています。詳細については農林水産省と信州Go To Eatキャンペーン事務局の間で最終調整を行っているという状況ですけれども、感染が広がっている期間中はテークアウト等での利用にしていただき、できるだけ幅広い期間で活用いただけるということが望ましいと考えていますので、期間延長が予定されているということについてお伝えしたいと思います。また、今後の状況を見ながら追加販売も検討が行われている状況ですので、先ほどから申し上げている事業者支援と併せて、こうした「Go To イート」も使っての支援も今後行っていきたいと考えています。
それから、安心・安全な修学旅行サポート事業ということです。これまで修学旅行支援、コロナ対策で行ってきています。昨年度も新型コロナ対応をするという場合に、密を避けるということでバスの台数を増やしたり、あるいは宿泊する部屋を追加したりということが必要になってきますので、そうしたものを支援するというものです。宿泊事業者の皆さまからも、学習旅行、修学旅行、合宿、こうしたものが激減してしまっているというお話を伺っています。もとより感染防止対策を徹底した上での実施ということにはなりますけれども、ぜひこうした制度を使って、県内での安全・安心な修学旅行を行っていただきたいと思っています。また、県内の学校の皆さまには、こうした制度を使って、県内での教育旅行、修学旅行、こうしたことを積極的に検討いただければありがたいと思っています。
続きまして、条例に関連して何点かお話ししたいと思います。まず松本空港の運用時間の延長についてですが、今回、松本空港条例の一部改正ということで、運用時間を、地元の皆さまのご理解を頂いた上で、これまで夕方5時まででしたが7時までということにしたいと考えています。地元の皆さまのご理解、それから松本市においても格別な調整をいただき、また国においても迅速な手続きをいただいていることに感謝申し上げたいと思います。これによって、神戸便の複便化が可能になってきます。就航時間が延長されると、これまで以上にいろいろな利用の仕方が可能になってきますので、松本空港の活性化に向けて、非常に大きなエポックメーキング(画期的)な運用時間の延長だと考えています。引き続き関係の皆さまと力を合わせて、松本空港のさらなる活性化に取り組んでいきたいと考えています。
それから、自然公園施設条例です。この中で特に御嶽山ビジターセンターを条例上位置付けていきたいと考えています。御嶽山の噴火災害以降、地元の木曽町、王滝村と一緒に復旧・復興に取り組んできたわけですけれども、やはり県立公園でもありますので、噴火災害の教訓をしっかりと後世に引き継ぎながらも、多くの皆さまに御嶽山にお越しいただきたいと考えています。そういう観点で、県としては御嶽山の登山口に位置する施設として、公園利用者、登山者等の来訪者に対して御嶽山の魅力を発信すると同時に、最新気象情報、登山情報を提供し、併せて噴火の記録、記憶を伝承する、そうした施設として御嶽山ビジターセンターを設置したいと考えています。同じ観点で、木曽町でも施設をつくっていただく形になっていますので、町の施設と連携して御嶽山の魅力を発信すると同時に、災害の記憶を絶やすことのないように、二度と同じような災害が起きることのないように、そうした施設として活用していきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
長野県ゼロカーボン戦略については、先ほど推進本部会議を開催して決定しました。今後10年間のゼロカーボン実現に向けての実行計画という位置付けです。持続可能な脱炭素社会をつくっていくということで、化石燃料に依存する社会構造からの脱却、そして持続可能なライフスタイルを定着させると同時に、地域経済の発展、それから県民生活の質の向上を目指してまいります。(温室効果ガス正味排出量を)2030年度までに2010年比6割削減という高い目標を掲げています。IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change/気候変動に関する政府間パネル)が求める世界全体の削減目標が45パーセントですので、それを上回る高い目標ですが、本部会議で申し上げたように、自然と共生してきた長野県から率先して脱炭素社会づくりに取り組んでいきたいと考えています。多くの皆さまにご協力を頂きながら、さまざまな取り組みを進めていきたいと思っています。再生可能エネルギー生産量についても2030年までに倍増、それから最終エネルギー消費量についても4割減という高い目標を掲げて取り組みを進めていきたいと考えています。皆さまと協力しながら進めていきたいと思っています。IPCC報告との比較(会見資料1/スライド29ページ)ですが、長野県の目標はいろいろなシミュレーションがある中での低めというか、直線で2050年まで結ぶのではなくて、できるだけ前倒しでCO2排出量を削減しようというものになっています。2030年までにできるだけ下げていこうというのは、温室効果ガスは累積していきますので、できるだけ前倒しで削減していくということが大変重要だと考えています。その一方で、未来の技術を当てにするということではなくて、既存技術でもできることがいろいろありますので、そうしたものを徹底的に活用して、ゼロカーボン社会を目指していきたいと考えています。分野別にはいろいろな取り組みがありますが、時間が長くなっていますので省略したいと思います。
長野県知事 阿部守一
流域治水についてですけれども、「治水ONE NAGANO」の取り組みへの協力のお願いです。梅雨入りも近くなってきています。これから水害に対する備えをしっかり行っていかなければいけないわけですが、先日、市長会、町村会と一緒に、「治水ONE NAGANO」宣言を行いました。このたび、県民の皆さまへのご協力を呼び掛けるCMを作りましたので、ご覧いただければと思います。
(テレビCM上映)
ということで、堤防の強化をはじめとして河川管理者として取り組むべきことは県としてしっかり行っていきますけれども、われわれ行政だけではなくて、多くの皆さまにご協力いただく中で、雨水貯留等を進めていきたいと思っています。県民全体で治水を進めるという考え方に多くの皆さまにご理解いただき、協力いただきたいと思っているところです。私からは以上です。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
今回の補正予算についてお伺いします。医療警報の解除もきょう知事の方で発表なさいましたが、今後、これも含めて県内の方向、これまでは新型コロナはかなり感染が広がっている状態でしたけれども、今収束の方向に向かっていると。そういった中で今回の補正予算の位置付けというのはどうなるのか。少し抽象的な聞き方ですけれども、社会経済活動の両立の方が強く出ていくのかなとも思うのですが、どういった形で進めていきたいと考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
これは予算ですので予算の実施時期はいろいろタイムラグがありますので、予算と今の局面が必ずしも一対一対応になっているというわけではありません。先ほど来申し上げていますように、当初予算でもいろいろな産業支援策を盛り込んでいますので、補正予算だけで生活産業支援を行うということではなくて、当初予算と一体的に活用して行っていきたいと思っています。また、医療検査体制の充実も当初予算と併せて活用していくというものです。今、お話しいただいたように新規陽性者数については多くの皆さまのおかげで減少基調にありますが、まだ全県の感染警戒レベルは3を維持し、もう少ししっかり収まるようにしていきたいと思っています。そういう意味で、今の時点でもまだ緊急事態宣言であったり、まん延防止等重点措置が講じられている地域もありますので、そうした地域との往来等も含めて引き続き注意をお願いしていきたいと思っています。ただ、ピーク時に比べますと陽性者の数もかなり減ってきていますので、徐々に経済活動を、今の段階は医療警報を解除して感染警戒レベル3ですので、県としてのいろいろな支援策は、どちらかというと今ニュートラルなモードに戻して、ここから感染が落ち着く方向になれば社会経済活動を動かす方向で、そうならないように取り組みますけれども、万が一リバウンドしていくようなことがあれば、また抑制をしていくという形になっていきますので、常に状況を見定めながら対応していきたいと考えています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
PCR検査等実施方針ですけれど、知事から先ほども県民との共有というような言葉も出ましたが、こういうふうに明文化して実際に実施方針を示すということでの効果というところでは、どういうところを期待していらっしゃるのでしょうか。こういうふうに質問するのは、これまで県として対応してきた部分であるとか、臨機応変に対応して、今もう減少という方向に向かっていると思いますので、そういう意味でいうと感染対策というのはうまくいっているのかなと思う面もあります。なので、こういうふうに明文化することのメリットというか、どういうふうにその辺は知事として考えていらっしゃるのかというのを改めて深くお伺いできればなと思います。
長野県知事 阿部守一
検査についてはいろいろなご意見がこれまでも出ています。そうした中で、まず一つは、長野県はどういう考え方で検査をしているのか、あるいはいくのかということを明確に県民の皆さまと共有していくことが、これはいろいろな側面でコロナ対策を県民の皆さまと力を合わせて取り組む上では必要であると思っています。それから先ほども、例えば繰り返しの検査等の話もしましたけれども、そうした努力がなかなか県民の皆さまに伝わっていない部分がありますので、保健所を中心にしっかり対応しているということをお伝えしていくことも重要だと考えています。また、こういう考え方、例えば陽性者等が急増するような局面では保健所長の臨機応変な判断が必要になってくる場合もありますけれども、基本的な考え方を県民の皆さまと共有することによって、また、それに対してもいろいろなご意見やフィードバックを頂く可能性も出てきますので、よりよい対応をしていく上では情報の共有というのは非常に重要だと思っています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
最後に補足で1点だけ。今まで「案」が付いていたと思うのですが、きょうこれで正式になったのですが、部局長会議を経て決まったという理解でよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
これは部局長会議は別に経ていないです。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
一応きょう正式に決まったんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
きょう付けです。
市民タイムス 田子元気 氏
県営松本空港の運用時間の延長についてお伺いします。先ほど知事の説明で(神戸便の)複便化が可能だと、大きなエポックメーキングという説明がございました。複便化について、具体的にどのような形での複便化を考えているのかをお伺いしたいです。FDAは神戸線を2便に増やす方向で検討しているということが取材で分かりましたけれども、県としてもこの方向でよろしいのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今、県が想定しているのは、運用時間の延長によって神戸便を複便化していただくというものです。8月27日から複便化が、条例の施行日も8月27日にしていますけれども、議会でお認めいただければこの日から複便化が可能になるということで、私としては非常に期待をしているところです。
市民タイムス 田子元気 氏
8月27日から可能になるということは、複便化就航予定日がこの日ということでよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは議会の審議にもよりますけれども、就航を予定している日が8月27日ということです。
市民タイムス 田子元気 氏
今現在、神戸線は松本空港を午前中に発着する便1便ずつですけれども、今回、運用時間が延長ということですので、延長分を恐らく生かすような形になると思いますけれども、就航の時間は何時ぐらいかということがもし分かっていましたら…
長野県知事 阿部守一
今、私は把握できていないので、また必要があれば後ほどお問い合わせいただければと思います。
中日新聞 今坂直暉 氏
まず、補正予算の関係で伺いたいのですけれども、内訳を見ていきますと、コロナ対策というところにかなり大部分を割いていると思うのですが、その中でもさらに内訳を見ると、医療体制の強化とPCR検査、それから県内経済の下支え、生活支援と大きく三つに大別されると思うのですが。額を見ると、県内経済の下支え、生活支援というところが大部分を占めているように見えるのですが、今、変異株とかも拡大している中で、こういった生活支援だったり県内経済の下支えというところをかなり重視された理由というのはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
この県内経済の下支えのところは、考え方としては大きく二通りのものがあると思っています。一つは経済活動が行えない環境下で厳しい経営環境に置かれている事業者に対する支援、それから逆に感染状況を見極めながら一定程度経済活動を動かしていくための予算、両面あります。そういう意味では、使い分けをしていかなければいけないと思っているところです。県としては医療警報をずっと出し続けているような状況もあり、そして、年明け以降、レベル5の地域も非常に多くの地域で時短要請等行い、経済活動への抑制的な措置を県として取ってきました。そういう意味で、例えば特別応援金をはじめとする事業者支援については、そうした中でご協力いただいた皆さまを応援していこうというための予算と考えています。また、感染状況が落ち着いて、ワクチン接種も進んでくれば、一定程度経済活動も動かしていくということが可能になってきますし、状況を見ながら県としても積極的な支援を行っていく必要がありますので、さまざまな需要喚起を行うための予算、こうしたものも計上しています。そういう意味で、両面から対応していきたいと考えています。
中日新聞 今坂直暉 氏
先ほど知事のご発言の中で、6月の補正予算としてはかなり大規模なものになったとおっしゃっていたかと思うのですが、コロナの状況、当然時間がたてば状況は変わると思うのですが、依然として2020年度の6月補正予算ができたときから見ても、かなりコロナの問題というのは大きなウエートを占めているのかなと思うのですが。そういった中で、額だけを見ると昨年度の6月の補正予算が648億余りで、今回と比べると400億円弱開きがあると思うのですが、昨年度の6月の補正予算との大きな違いというか、これだけ額が開いたところの理由というのはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、補正予算だけで仕事をしているのではなくて、当初予算とセットで対応しています。そういう意味で、例えば観光も当初予算に計上した事業を使いながら「前売割」等を行ってきているわけですけれども、そのような中で、先ほど申し上げたように、令和2年度の関連予算が1661億で、今年度の当初予算とこれまでの専決、それから今回の予算を合わせると1937億円ということで、上回っているという状況です。金額の多寡がどうこうという問題では全くなくて、中身の問題だと思いますけれども。県としては引き続き医療・検査体制をしっかり充実して、命と健康を守ると同時に、これも状況を見ながらということですけれども、経済面での対応というのをしっかり行っていくということで、今回も昨年に引き続いて大規模な補正予算編成をしたところです。
中日新聞 今坂直揮 氏
補正予算、昨年度から比べれば額としては減ったかと思うのですが、やはり大規模なものということで、県の財政状況への負担といいますか、そういった部分では知事はどうお考えでしょうか。今回の6月補正予算は内訳を見ると国庫支出金からのものが多いのかなとは思うのですが、県の財政への負荷という面ではどうお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今回の予算の中では基本的には一般財源はほとんど使わずに、お話がありましたように、例えば新型コロナの地方創生臨時交付金であったり、あるいは包括支援交付金を財源として積極的に活用していく予算になっています。県財政全体は引き続き厳しい状況が続いていますけれども、今回かなり国の財源を使っていますので、このことによって直ちに県財政が悪化してしまうというようなことにはならないと考えています。
中日新聞 今坂直揮 氏
松本空港の関係で伺いたいのですけれども。運用時間が延びるということなのですが、今、コロナの状況でかなり利用も減っているところではあるのかなとは思うのですが、利用が減っていて直ちに利用が回復する見込みというのもないのかなと思うのですが、そういった中でこういった運用時間の延長をされる理由というのはどういったところにあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほどから申し上げているように、県内経済のみならず、日本全体の経済とか人の移動が今、縮小している状況だと思っています。ただ、この状況がこれから将来にわたってずっと続くわけではない、またそうであってはいけないと思いますので、そういう意味で、特に産業、経済の側面ではコロナ後も見据えた取り組みというのをしっかり今の段階から行っていくということが重要だと思っています。観光施策等についてもアフターコロナの取り組みを始めていますし、松本空港も今、利用が落ち込んでいるからということで、今の対応をしているだけではなくて、やはりその後も見据えた対策、対応というのをしっかり行うことが必要だと考えています。
共同通信 田中洋平 氏
6月3日に告示された静岡県知事選に関連してお尋ねします。知事は従来からリニア中央新幹線の静岡工区については、静岡県とJR東海、国土交通省の3者間で、今後とも十分な意思疎通が図られた上で、静岡工区についても一日も早く着工がなされることを希望されていると承知しております。他方で、今回の静岡の選挙戦でお二人届け出をされていますけれども、いずれの方も現時点で静岡工区の着工というのは認めませんという姿勢をお示しになっています。どちらの候補をどうこうという話ではなくて、現状、有権者に対して静岡工区の一日も早い着工というビジョンが明確に示されていないという現状について、いかがお受け止めかお聞かせいただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
他の都道府県の選挙について私がコメントする立場にはないと思います。リニア中央新幹線については、期成同盟会をつくって関係の都道府県、関係の皆さまと連携して整備促進、建設促進を図ってきていますので、どなたが知事になられても、先ほどご質問の中でも触れていただいたように、まず静岡県として問題だと考えられていることについて、国、あるいはJR東海としっかり協議を進めていただき、方向付けを行ってもらいたいと思います。
信濃毎日新聞 木田祐輔 氏
ゼロカーボン戦略についてお伺いします。2030年までに温室効果ガスを6割削減ということで、このIPCCが求める目標だったり、基準年度は違いますが、国の46パーセント削減を大きく上回る目標だと思います。国の目標でも、それが実現できるかどうかは難しいのではないかと言われる中で、国の目標をも大きく上回る目標を掲げる理由と、その問題意識について教えてください。
長野県知事 阿部守一
非常に厳しい目標、達成に向けては簡単ではない目標だと思っています。ただ、本当に残されている時間は非常に少ない中で、われわれの世代、今生きている世代が将来の世代に対して、ある意味ツケを回さない、人類全体が豊かな地球環境の中でこれまで通り生活を送っていくことができるようにするためには相当な努力をしないといけないというのが今の状況だと思っています。そういう意味で、この目標達成に向けては多くの皆さまのご協力が必要ですし、また今回の補正予算でも太陽光推進のための予算を計上しましたが、1年間の予算編成周期にかかわらず、どんどん積極的な政策を打ち出していきたいと思いますけれども。子どもたちや孫たちの世代、将来世代に豊かな地球環境を着実に引き渡していく上では、こうした目標を是が非でも達成することが必要だと思っています。特に長野県は、これは本部会議でも申し上げましたけれども、環境に対して敏感であります。敏感というのは、地球環境の影響を直接的に受ける県だと思っています。そういう意味で、大都市以上に、もちろんCO2の排出量は大都市が多いわけですけれども、われわれ長野県から率先して取り組みを進めることによって、日本全体の脱炭素化を進める先頭に立って取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 木田祐輔 氏
この6割削減の6割の目標の内訳なのですけれども、この施策をやればこれだけ削減できるという削減量の積み上げたものではない数字だと認識しているのですけれども、この6割減を達成する実現の可能性についての知事のご認識と、それを達成するには建物の省エネ化と再エネの急速な普及が必要なのかなと個人的には思うのですけれども、この実現するまでの知事が考える具体的なプロセスだったり、どこに特に注力していくのかというお考えについて教えてください。
長野県知事 阿部守一
今回、ゼロカーボン戦略については幾つか重点方針を掲げていますが、先ほど申し上げたように、ゼロカーボンの達成に向けてはいろいろな技術開発等が行われてきていますけれども、県としては既存技術でなるべく進めると。要は、変動要素が多い技術に過度に期待をしないということが重要だと思っていますので、そういう意味で、既存技術でのゼロカーボンを目指していくということに力点を置いて取り組んでいきたいと思っています。また、「交通」、「建物」、「産業」、「再エネ」、「吸収・適応」、「学び・行動」ということで、分野別の取り組み目標を掲げていますが、こうした目標を加速度的に進めていくことと併せて、定量化されていない部分についても、できるだけ高めの目標を設定してしっかり進めていくということが重要だと思います。先ほど申し上げたように、この目標の達成はそんな簡単なものではないと思っていますが、達成していかなければいけないと思っています。そうした思いを多くの皆さまと共有して取り組んでいきたいと思っています。
中日新聞 我那覇圭 氏
松本空港の関係で1点だけ補足的にお尋ねしたいのですけれども。延長することというのはアフターコロナを見据えた将来に向けた布石だということ、知事のおっしゃっていることはよく理解できました。一方で、あまり下知識はないまま質問をするのは大変申し訳ないのですが、仮に時間延長をするコストが、行政コストとか財源とかいろいろな意味でのコストが仮にかかるとして、いつまで続くか分からないコロナ禍においても、今、このタイミングで延長に踏み切るのが適切と判断した理由について、もう少しお尋ねできますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げた通りです。運用時間の延長というのは県だけでできる取り組みではありません。先ほど、地元の皆さま、それから松本市、国にも感謝の思いをお伝えしましたけれども、関係者がこれでいこうということで合意できなければ、県だけが運用時間を延長したいということでは延長できません。そういう意味では、今回関係者が前向きに運用時間を延長していこうということで合意をすることができましたので、このタイミングにしっかり延長することが将来の松本空港の発展につながると判断しました。
中日新聞 我那覇圭 氏
今の関係で、関係者の皆さんの合意だったと思いますけれど、県としては合意するに当たってどういう考え方で合意に至ったのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
県としては松本空港の活性化の方針を作っていますので、就航路線を増やしていこう、国際チャーターを増やして将来的には国際定期便を就航させようという方向性を打ち出しているので、そうした取り組みを進めていく上でも運用時間を延長していくということが非常に重要だと思っています。
読売新聞 松本将統 氏
東京五輪についてなのですけれども。開幕まで50日を切りましたけれども、阿部知事はこのコロナの状況にあっても、そもそも五輪は開催すべきだと考えていますか。
長野県知事 阿部守一
前もこの場でお答えしたのではないかと思いますけれども、どういう考え方、どういう基準でやるのかやらないのかということは、多くの県民の皆さま、国民の皆さまが注目しているイベントでもあります。特にアスリートの皆さまは今、非常にどういう状況になるのか分からない中でも全力を出し切ろうとして努力されているわけですので、そういう意味で、考え方とか方向性というのはしっかり示していただくということが重要だと思っています。
読売新聞 松本将統 氏
例えばなのですけれども、コロナの状況ですとか、どうなったら中止とか再延期を検討すべきとお考えですか。
長野県知事 阿部守一
県内で開催するのであれば私も寝ずにでも詰めて考える話ですが、県内で開催するわけでもないし、私が責任者でもないので、そこについてはあまりここで申し上げるような検討を行っているわけではありませんのでコメントはできないですけれども、恐らく関係者の皆さまはいろいろ考えていると思います。ただ、いろいろ考えていることがやはり国民になかなか伝わっていない状況ですので、そういう意味では、できるだけ丁寧に考え方を伝えていく、それが今重要なのではないかと思います。
信濃毎日新聞 井口賢太 氏
PCR検査等実施方針についてですが、検査対象についてお聞きします。変異株の感染拡大が念頭にあると思いますが、感染力が強い、それから感染経路不明が増えているから、例えば幅広く検査をする必要があるのかだとか、若者を含め幅広い世代に広がっているため、学校の部活動への対応を考えなければいけないだとか、検査対象への考え方を教えていただけたらと思います。
長野県知事 阿部守一
変異株もこれからどうなっていくかというのは必ずしも分からない状況ですので、単純にその時点だけを捉えてということにはなりませんけれども、私としては単に国から示された基準通りに検査するというようなことではなくて、検査と感染防止対策というのは一体のものですので、そういう意味で、戦略的に検査を活用するという観点で取りまとめたのがこの方針と位置付けています。
信濃毎日新聞 井口賢太 氏
もう1点、細かい部分ですが。その方針の中に不安を抱える妊婦への検査があると思いますが、例えばコロナ禍で今、妊娠届けが減っている、妊娠控えが起きていますけれども、この辺りが念頭にあってのことであるのかが一つ。それと、少子化対策、人口増対策を打ち出している県としては、現状の妊娠控えが起きている現状についてはどのように捉え、何か対策等を必要と考えていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
まず、前段の質問はこの制度は以前から行っている制度ですので、特に最近の状況を踏まえて取り組むというものではありません。今、例えば出生率の低下等も懸念されているわけですけれども、もちろんこれは個人の選択ですけれども、県としては希望される方が結婚できるように、あるいは希望される方が希望する子どもを持てるようにということで、これまでも支援策を講じてきています。さらにそうした政策の強化を図っていきたいと思います。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
今の質問と関連するのですけれども、検査の実施方針についてです。先ほど知事から国から示された基準通りにするのではなくて、戦略的に検査をするという観点で取りまとめたという話がありました。この方針に沿って検査を行えばどのくらいの水準まで検査で拾えるようになるのか、少し難しいかもしれませんけれども、イメージでもいいので、これまでの検査の何倍ぐらいの水準まで拡大するとか、そういった表現があれば、感覚的でもいいので教えていただけたらありがたいです。
長野県知事 阿部守一
正直、定量的に申し上げるのは難しいと思います。例えば感染が拡大しているようなときには相当幅広く検査をやりますけれども、感染が拡大していないような場合では、やはり陽性者の周囲を中心に行っていくという形になりますので、例えば検査件数が何倍になるとかというところは、なかなか数字で申し上げるのは難しいと思います。ただ、方針にも書いていますけれども、今までの民間検査機関の委託件数を大幅に増やして、今、13の民間の検査機関と契約して、必要なときには検査を行ってもらえる体制をつくっていきますので、そういう意味では、可能な場合に行える検査件数は飛躍的に伸びると考えています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
そうすると、例えば県が現時点で感染が疑わしいと思われる人は、すべてこの方針では洗い出しているというような感覚で捉えてもよろしいのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
保健所が聞き取りをしますが、感染の可能性があると思われる方については検査をしていくという形になります。もちろん症状がある方は自分で医療機関に相談いただきたいと思っていますけれども、濃厚接触者に該当しないけれども感染の可能性がある方については、別紙で「検査範囲の目安」ということで具体的に記載している通り、かなり広い検査を行って、これまでも行ってきていますが、これからはこうした考え方の下で検査を行っていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
医療警報の解除についてですけれども、警報が出されていた期間については変異株の置き換わりが急速に進みまして、一時は非常事態宣言のラインにも迫っていました。振り返ってみて、対策がうまくいった点や、今後の再拡大に向けて、より充実させないといけないと思った点について教えていただければありがたいです。
長野県知事 阿部守一
医療警報は解除しますけれども、感染警戒レベルは3で警報は維持しますので、先ほど申し上げたように、より陽性者数を抑えていきたいと思っています。その前提で、一定程度これまでのいわゆる第4波に対応してきた対策については振り返って検証したいと思っています。そこで方向性、検証の考え方がまとまれば、またお伝えしていきたいと思っています。
ありがとうございました。
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