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更新日:2014年6月23日
水産試験場
○アブラハヤ
県内の各河川から渓流釣り解禁のニュースが聞こえてくると思い浮かべられる魚です。このアブラハヤ、コイの仲間にもかかわらず渓流域に棲み、ヤマメやアマゴをねらう釣り人に外道(げどう)として嫌われている魚だからです。流れのゆるやかな淀みや淵にまとまって群れていることが多く、底石上に生える付着藻類から水生昆虫、陸生昆虫など何でも喰う貪欲さが外道たるゆえんとなっています。
アブラハヤという名の由来は、鱗(うろこ)が小さく体の表面がヌルヌルと油っぽいところにあるようです。スマートな体型は渓流向きですが、体側を貫く一本の不鮮明な黒い筋とゴマ状の小斑点が散在するだけの色合いはいかにも地味で、ウグイのような派手な婚姻色も現れません。美味しければ利用価値もあるのでしょうが、特有の苦味と体表のヌメリ感が敬遠される理由のようです。
1年で体長5cm、2年で10cmになり、満2年で成熟します。産卵期は春から初夏で、この頃になると成熟した雌の上顎は、まるで別の魚ではないか、と驚くほど突出してきます。アブラハヤの雌は砂礫の中に頭から潜り込んで産卵を行いますが、へら状に変化した上顎はこのとき役に立つのです。
なお、本種の生息域は最も上流が渓流域ですが、県内では下流域でも普通に見られます。
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