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更新日:2014年6月20日
水産試験場
○カマツカ
お客さん:「川にキスがいるのを知ってる?」
私:「え、そんな…キスは海の魚ですよ。」
見せてもらった魚がカマツカでした。カマツカはコイ科の純淡水魚です。海に降りることはありません。キス=シロギスは、スズキに近い海水魚ですから両者は全く異なる魚です。ところが比べてみると、確かに似ているところがあります。
まず体形ですが、カマツカはコイの仲間としては肛門が前の方にあって尾の部分が長いため、スラッとした印象を受けます。シロギスも尾の部分が長く、同様の体形をしています。吻(ふん。動物の口、あるいはその周辺から先の部分のこと。)が長く面長な顔も似ています。
生活様式もよく似ています。カマツカは川底で生活する底生魚です。石がゴロゴロしている礫底(れきぞこ)よりも砂底の場所を好みます。口が前方に伸びる構造になっていて、砂といっしょに餌となる底生動物を口に含み、砂は鰓(えら)から外に出し、餌生物だけを食べます。驚くと砂に潜り、目だけ出して身を隠します。
一方シロギスも、海底近くを泳ぎまわり、砂底を突ついて砂の中の小動物を食べて暮らしています。驚くと砂に潜って隠れるのもカマツカと同じです。
分類上は大きく異なる2種の魚がなぜ似ているのか。それは、一方は川、もう一方は海と、すむ水域が違っても、「砂底の場所にすむ」という点で同じ生活の仕方を選んでいるからでしょう。これだけ似ているのですから、通称「カワギス」とよばれても仕方のないところです。
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