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更新日:2014年6月23日
水産試験場
○フナ
コイの体から口髭(くちひげ)をとり、背鰭(せびれ)をちょっと短くした感じのコイ科の魚がフナです。子供の頃、水田の脇を流れる小川に素足で入り、泥まみれになって一心につかまえた記憶のある方も多いと思いますが、いったい何ブナだったのでしょう。
日本にはキンブナ、ギンブナ、ゲンゴロウブナなど6種類のフナが生息しますが、おそらく誰もが簡単に区別できるのは、背が盛り上がる独特の体形が特徴のゲンゴロウブナだけでしょう。でも、チャレンジしてみてください。まず、調べるフナの体色と体形を見て、体が金色で背が低く、胴が丸ければキンブナ、体が銀色で背がやや高く、胴が平べったければギンブナと想像ができます。その後、一部の魚の鰓(えら)を切り出して鰓耙(さいは。口から入ったエサをこす櫛状の骨組織)や背鰭の軟条(ひれにある、鰭条(きじょう)というすじの中で、柔らかく、先のとがっていないもの)の数を数え、基準値に合致すれば確実です。
ただ厄介なことに、川や湖の中では例えばキンブナとゲンゴロウブナのような組合せで、種類の異なるフナ同士の交雑が稀に起こります。また、赤い色をした金魚やヒブナも、もとをたどれば先祖がフナなので、黒い普通のフナと同居すれば同様の交雑が起こります。どっちつかずで区別に困るフナに出会うのは、こうした複雑な仕組みがあるからです。
ところで、このような交雑はギンブナでは起こらないと考えられています。なぜなら、ギンブナの体は自然界でも珍しい3倍体(1組50本の染色体が3組150本ある。他のフナは2倍体で100本)で、雌性発生という特殊な方法で、卵由来の遺伝子だけを代々子孫に受け継ぐからです。精子は卵が発生するための刺激としてだけ必要で、精子由来の遺伝子はやがて排除される仕組みなので、雄の少ないギンブナでは別の種類の精子で代用できます。ちなみに、本県の新しい養殖魚として水産試験場が開発した"信州サーモン"は、ニジマスとブラウントラウトを交雑させた3倍体の養殖品種です。
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