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更新日:2014年6月20日
水産試験場
○ドジョウ
10年程前に東京の浅草で食べた泥鰌鍋(どじょうなべ)、主役の"ドジョウ"が随分太かったなぁと記憶に残っています。4字(し=死)では縁起が悪いと"ドゼウ"と呼ぶあたりに江戸っ子の言葉の妙を感じますが、それだけ庶民的で親しみのある魚であったということでしょう。
ドジョウの仲間にはフクドジョウ(北海道)やアジメドジョウ(木曽川水系)など渓流域にすむ種類もいますが、ドジョウは流水よりも止水を、砂地よりも泥地を得意とするため、昔から水田と密接な関係を持ってきました。体が太くて寸胴、口の上下に10本(5対)のヒゲがあるのがこのドジョウの特徴です。
主に用水路などに仕掛けた筌(うけ)で捕獲されますが、春から夏にかけては"上りドジョウ"といって川から水田へ遡ってきたところを、また、秋には"下りドジョウ"といって田から再び川へ降りるところを盛んに捕ったようです。
雑食性で、泥底上を這いまわって底生動物や付着藻類を食べて成長しますが、水温が上がり、水中の酸素が十分でない水田の中でも平気で暮らせるのは、腸呼吸という独特の習性を身に付けたおかげです。水面に頭を出したときに素早く口で空気を吸い込み、腸で吸収した残りの空気を底にもどる際に肛門からブクッと吐き出す行為は実にユーモラスですが、水の表面をラップで覆ったりして腸呼吸ができないようにすると溺死してしまうという変わり者です。
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