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更新日:2023年9月13日
はじめに、この度、垣内基良議員の突然の訃報に接し、痛惜の念に堪えません。県勢発展に対するこれまでの多大な御功績に対し深甚なる敬意を表しますとともに、謹んで哀悼の誠を捧げます。
さて、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、当面の県政課題について御説明を申し上げます。
【新型コロナウイルス感染症への対応】
新型コロナウイルス感染症の第6波につきましては、まん延防止等重点措置の適用等により新規陽性者数が一旦減少に転じたものの、オミクロン株BA.2系統への置き換わりが進んだ3月中旬以降、新規陽性者数が再び増加に転じ、4月13日には1日の新規陽性者数が868人と過去最多を記録しました。その後、確保病床使用率が25パーセントを超えたことから、第6波で2度目となる「医療警報」を4月20日に発出し、高齢者、基礎疾患をお持ちの方やその御家族に対する注意喚起や、保健所業務の重点化等により対応を行いました。大型連休後には新規陽性者数が一時増加に転じる局面もありましたが、ワクチン接種の進展等により新規陽性者数の増加に歯止めがかかり、確保病床使用率も低下したことから、先月23日に「医療警報」を解除し今日に至っています。感染拡大防止をはじめとするコロナ対策全般に御尽力いただいた全ての皆様に改めて御礼を申し上げます。
オミクロン株には、従前の流行株と比べて感染力が高い一方、重症化リスクが低いという特性があります。そのため、医療のひっ迫状況を反映させるなど、実情に即した感染警戒レベルの見直しを行ったところです。
今後は、新たな変異株の発生にも十分注意しつつ、病床の確保やワクチン接種の推進、長い間停滞を強いられてきた社会経済活動の活性化などに取り組んでまいります。
(ワクチン接種の推進)
ワクチンの3回目接種については、県接種会場の運営や医療従事者の派遣等を通じて市町村の取組を補完・支援しながら、希望する方への速やかな接種に努めてまいりました。その結果、今月13日現在、65歳以上の高齢者への接種は世代人口に対し91.0パーセント、一般の方も含めた全体の接種率は全人口の65.3パーセント、全国で7番目となっております。
重症化予防を目的とする4回目接種については、60歳以上の方及び18歳以上で基礎疾患を有する方等を対象に、今月から市町村において順次開始されているところです。来月からは県接種会場でも4回目接種を実施するほか、医療従事者の市町村への派遣、効果的な広報などを通じ、県としても円滑かつ速やかな接種促進に努めてまいります。
【長野県価格高騰緊急対策の実施】
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や急激な円安の進行などの影響により、原油や原材料等の価格が高騰しています。直近の全国の調査結果によると、本年4月の消費者物価指数は8か月連続、5月の企業物価指数は15か月連続で前年同月を上回っており、コロナ禍からの回復途上にある中でのこうした価格の高騰は、県民生活や企業活動にとって大きな痛手となっています。更にこの状況が長期化すれば、消費マインドを一層低下させ、経済活動の更なる低迷の原因となることが強く懸念されます。
こうした状況の中、国では、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、4月に「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」を決定しました。これを踏まえ、本県でも地域の実情に即した対策を関係機関と連携して推進するため、今月10日に「長野県価格高騰緊急対策(第一弾)」をとりまとめたところです。
今回の緊急対策は、「生活費負担の軽減」、「事業継続への支援」、「エネルギーコストの削減」、「県内消費の拡大」の4つを柱とし、国の補正予算等を積極的に活用し、価格高騰により大きな影響を受けている県民や事業者を緊急的に支援するとともに、中長期的な視点に立った省エネルギーの推進や観光需要の喚起などにも取り組んでまいります。なお、価格高騰の影響は今後とも継続することが予想されることから、引き続き、県民生活や地域経済への影響を注視しつつ、必要な施策の具体化に努めてまいります。
(生活費負担の軽減)
コロナ禍の長期化により社会経済活動が停滞している中、それに追い打ちをかけるような食費、光熱費等の上昇により、県民の皆様の生活に大きな影響が生じつつあります。日常生活を送る上でお困りの方を中心に、市町村や関係機関等と連携し、きめ細やかな支援を行ってまいります。
具体的には、生活就労支援センター「まいさぽ」の体制を強化し、お一人おひとりに寄り添った丁寧な相談対応や就労支援を行うほか、希望する方への食料支援と併せ、タオルやトイレットペーパー、LED電球等の生活必需品についても緊急的に支給することとします。また、信州こどもカフェにおける食材費等のかかり増し経費を支援するほか、県立学校、私立小中学校の給食費負担の軽減を図ってまいります。なお、生活福祉資金特例貸付や生活困窮者自立支援金の申請期限を8月末まで延長し、子育て世帯生活支援特別給付金を今月から支給するために必要な予算を先月27日に専決処分させていただきました。
また、失業や不安定な就労を余儀なくされている方々を支援するため、Jobサポやジョブカフェ信州等において求人情報を広く収集し、相談者のニーズや適性等を踏まえた丁寧なキャリアコンサルティング、企業との面接会の設営によるマッチングなどを行ってまいります。特に障がいをお持ちの方の就労については、求人開拓員を通じた働く場の確保に引き続き取り組むとともに、障がい者を初めて雇用した中小企業に30万円を支給する「はじめの一歩応援助成金」の積極的な活用を呼び掛けるなど、重点的に取り組んでまいります。
(事業継続への支援)
価格高騰の影響を受ける事業者に対しては、産業・雇用総合サポートセンターの「中小企業原油・原材料価格高騰相談窓口」や、農業農村支援センターの「燃料・資材・飼料高騰に対する相談窓口」などにおいて、資金繰りや経営等に関する相談に引き続き対応してまいります。今回の緊急対策では、公共交通から農林業、製造業までの幅広い業種について、価格高騰の影響等を勘案して、補助金と融資により事業継続を支援することといたしました。
新型コロナウイルス感染症に加え燃料価格高騰の影響により厳しい環境に置かれているバス・タクシー・地域鉄道事業者に対し、運行が継続できるよう経営支援を行います。価格高騰の影響が比較的大きい畜産農家の飼料購入費や施設園芸農家の省エネルギー設備の導入経費を助成します。いわゆるウッドショックを背景に県産材の利用を拡大するため、主伐・再造林による木材増産体制の構築や、ウッドチェンジの推進による県産材の需要拡大に取り組みます。県内中小企業の競争力を強化するため、国の「中小企業等事業再構築促進事業」及び「中小企業生産性革命推進事業」に対する上乗せ補助を拡充するほか、新型コロナウイルス感染症に加えて価格高騰の影響を受ける事業者の資金繰りを支援するため、経営健全化支援資金(新型コロナウイルス対策)の貸付限度額引上げ等を行います。さらに、登山道補修や遭難救助など山小屋が担っている公益的機能を維持するため、今年度も支援金を支給するほか、クラウドファンディング型のふるさと信州寄付金を活用して全国からの支援を募ります。
なお、原油・原材料などの価格高騰による事業コストの増額分については、本来、円滑かつ適正な価格転嫁が必要であることから、長野県産業振興機構が設置している相談窓口「下請かけこみ寺」の周知や、発注元との交渉の仕方等を学ぶセミナーの開催などに取り組みます。また、県の公共工事に用いる資材単価等については、実勢価格に応じた速やかな改定に努めてまいります。
(エネルギーコストの削減)
将来の脱炭素社会の実現を見据え、家庭や事業所における省エネルギーを促進することによりエネルギーコストの削減を図ります。
省エネ性能の高いエアコン、電気冷蔵庫、電気温水機器を購入した方に対して、キャッシュレス決済サービスで利用できるポイントの付与等を行うほか、教育や医療・福祉、農林業を含む広範な事業者が、空調・換気、照明等に係る省エネ設備や太陽光パネル等の再エネ設備を導入するための経費を助成します。加えて、長野県産業振興機構に設置したグリーンイノベーションセンターを本格始動させ、カーボン排出量の可視化やその削減に取り組む事業者を支援してまいります。
また、松本空港ターミナルビルの照明設備のLED化に対する助成や、諏訪湖環境研究センター(仮称)の「ZEB Ready(ゼブ レディ)」化のための改修設計、8つの合同庁舎における照明設備をLED化するための工事設計や300を超える県有施設での太陽光発電設備導入に向けた調査などを行い、県としても率先してエネルギーの消費抑制とコスト削減に取り組んでまいります。
この夏の電力需給については非常に厳しい見通しが示されており、「2050ゼロカーボン」の実現のためにも、県民・事業者を挙げて省エネルギーに取り組むことが必要です。このため、今月10日、エネルギー消費量を前年度比で3パーセント削減することを目標とする「今こそ省エネ!プラスアクション」をスタートさせました。県民や事業者の皆様に対しては、電力需給ひっ迫が予想される9月までの間、「エアコンは室温『28℃』」、「省エネ設備・家電への転換」、「移動手段の見直し」などを呼び掛け、徹底した省エネルギー化に挑戦してまいります。
(県内消費の拡大)
価格高騰は需要の減退等を通じて県内経済に悪影響を及ぼす恐れがあることから、観光需要の喚起等県内消費の拡大に努めてまいります。
県内及び近隣県を対象に実施している「信州割SPECIAL」を継続するとともに、割引事業の全国への拡大に向けて準備を進めてまいります。また、海外からの旅行需要の回復に備え、オーストラリアや東南アジア等をターゲットにインバウンド観光のプロモーションを行うとともに、県内全てのバス・鉄道の路線情報をインターネットで検索可能とするための環境整備も早急に進めてまいります。なお、「省エネ家電切換え緊急支援事業」では、地元の家電販売店から購入する場合にはポイントを上乗せすることといたします。
【次期総合5か年計画の策定】
現在策定に取り組んでいる次期総合5か年計画については、取り組むべきテーマや方向性を県民の皆様と共有し、様々な人や組織とのパートナーシップの下で目標の達成に取り組む、いわば共創型の計画にしたいと考えております。
そのため、総合計画審議会における議論のほか、「信州これから会議」や県政タウンミーティング、地域戦略会議などにおいて、市町村長や経済団体はもとより、シニア世代・子育て世代や、高校生・大学生等を含む各界各層の皆様と意見交換を重ねているところです。現在までのところ、通院、通学等で利用する地域公共交通の維持・発展、魅力ある地域づくりのための学びの多様化や医療の充実、地域に不可欠な医療・介護や農林業、建設業等における人材の確保・育成、脱炭素社会に向けた産業構造の転換、若い世代が様々なことに挑戦しやすい県づくりなど、数多くの有意義な御提案をいただいています。
私たちは今日、気候変動と災害の激甚化・頻発化、急激な人口減少と様々な分野での人材不足など極めて大きな課題に直面し、歴史的な転換点に立たされています。今後、激動する社会経済環境の中で、様々なリスクに対する予防と備えを徹底することにより「確かな暮らし」を守り抜くと同時に、長野県の持つ可能性を最大限発揮して真に「ゆたかな社会」を築いていかなければなりません。これまで多くの方々と重ねてきた議論や、長野県の持続可能な未来に関するAIシミュレーションの結果なども踏まえ、総合計画審議会を中心に議論を深めながら、次期総合5か年計画の策定を鋭意進めてまいります。
【ウクライナ避難民の受入れ支援】
ロシアの軍事侵攻に伴うウクライナから国外への避難民は、現在、730万人にも達しています。多くの県民の皆様が平和を願い、過酷な状況に置かれている避難民となられた方々に思いを寄せられていることを踏まえ、県としても市町村と連携して避難民の皆様を積極的に受け入れることといたしました。最初に高森町にお越しになられた4家族の皆様とは県庁でお会いし、安心して避難生活を過ごしていただけるよう、県としてもしっかりと支えていくことをお伝えしたところです。
現在県内に避難されている12名の方々に対しては、関係者の御協力をいただきながら、生活支援ボランティアの紹介、スマートフォンや翻訳機の貸与などの支援を行っています。また、避難の長期化が見込まれる中、就労、就学等の支援を充実するため、先月27日からクラウドファンディング型のふるさと信州寄付金の募集を開始したところです。一日も早くウクライナに平和が訪れることを心から願いつつ、引き続き、多くの県民の皆様の御協力をいただきながら、避難民の皆様への支援を行ってまいります。
【観光の振興】
長期にわたるコロナ禍で疲弊している観光産業の再生を図るため、今年度を「信州観光復興元年」として位置付け、県民割などによる切れ目のない支援と四季折々の観光プロモーションを展開しているところです。
飯田お練りまつり、諏訪大社御柱祭、善光寺御開帳、穂高神社式年遷宮祭といった大型催事に併せ、県内各地の花の美しさや春スキーの楽しさなどをPRする観光キャンペーンを3月から展開したところ、主な観光地におけるゴールデンウィークの入り込みは前年を大きく上回り、コロナ禍前と比べて約7割にまで回復するなど、県内の観光地には徐々に賑わいが戻りつつあります。来月からは「夏の信州 わくわく観光キャンペーン」をスタートさせ、森や川、星空など本県の大自然を満喫できるアウトドアアクティビティや親子向け体験イベントなどを通じて、信州の夏の魅力を全国に向けて発信してまいります。
インバウンド観光については、団体ツアーの受入れが約2年ぶりに再開され、明るさが見え始めました。先月には、国の訪日観光再開に向けた実証事業として実施された6つのツアーを県内に積極的に受け入れ、参加された海外の旅行会社の皆様と今後の訪日旅行に対するニーズや課題について意見交換を行ったところです。今後とも、新規ツアー造成に対する支援や海外旅行博における長野県ブースの出展、旅行会社への営業活動の強化などに鋭意取り組み、旅行需要が世界的に復活しつつあるこの機会を逃すことがないよう取り組んでまいります。
【森林づくり県民税の成果と今後】
平成20年度から始まった森林づくり県民税については、本年度末で第3期の課税期間が終了します。県民の皆様に超過課税として御負担いただいた貴重な財源を活用することにより、これまでの15年間で約3万3千ヘクタールに及ぶ間伐等を行うとともに、地域の皆様による主体的な森林の管理や利用が広がるなど、一定の成果を上げてくることができました。
豊かな森林資源は、水源の涵養(かんよう)や土砂災害の防止、生物多様性の保全などといった機能に加えて、今や一刻の猶予も許されない2050年までのカーボンニュートラル実現のために極めて重要な役割を果たします。長野県ゼロカーボン戦略においても、間伐などの森林整備と県産材の利用拡大を進めることにより二酸化炭素吸収量の維持・増加を図っていくこと、グリーンインフラの整備による環境負荷の低減や防災機能の強化を図っていくことを明記し、2050年に200万t-CO2の森林吸収量を確保することとしています。加えて、民有林人工林の約8割が50年生を超え、育てる時代から利用の時代を迎えている本県の森林機能を維持するためには、主伐・再造林を進めて若い森林へと更新していくことが急務となっています。
そのため、これまで森林づくり県民税を重点的に振り向けてきた里山の間伐のみならず、主伐・再造林の促進や県産材の利用拡大、林業県として必要な生産から消費までの一貫した体制整備や担い手の確保、まちなかの緑化推進などを総合的かつ速やかに進めていかなければなりません。
このように、森林整備等の重要性がこれまでになく高まっていること、脱炭素化や主伐・再造林の必要性に鑑みて緊急に進めるべき施策が多いこと、市長会などからも事業継続に関する御要望や御意見をいただいていることなどから、森林づくり県民税に関しては、来年度以降の継続も視野に入れて更に検討を深めることが必要だと考えております。今後、令和6年度から課税が始まる国税としての森林環境税との関係性、森林整備等に関する国庫補助金や一般財源の充当のあり方などについて、県民会議での議論や市町村・県民の皆様との意見交換などを通じて丁寧に整理し、方針を取りまとめてまいります。
【盛土規制条例の制定】
令和3年7月、静岡県熱海市で不適切な盛土に起因する土石流により多くの尊い人命が失われました。このことを受け、急峻(きゅうしゅん)な地形を多く有する本県としては、独自の対策を講じることが必要であると考え、「長野県土砂等の盛土等の規制に関する条例案」を今定例会に提出いたしました。この条例案は、一定規模以上の盛土等を許可制とし、盛土等を行う者や土地の所有者などの責務を明らかにしようとするものです。今般、新たに制定された、いわゆる盛土規制法では、重点的な規制が必要と考えられる区域をあらかじめ指定し、当該区域内における盛土等を規制することとなりますが、本条例は同法に基づき指定された区域外で森林法等による規制を受けない盛土等を対象に規制を行うこととなります。条例の実効性を担保するため、土砂崩落等による災害の発生防止に必要があると認められる場合の措置命令や罰則等についても規定したところです。各種法令に加えて本条例を適切に運用することにより、盛土等に起因する災害を未然に防止し、県民の皆様の安全・安心な暮らしを確保してまいります。
【決算見込みと新たな行政・財政改革方針の策定】
令和3年度の決算見込みについて申し上げます。
昨年度は、新型コロナウイルス感染症対策、防災・減災、県土強靱化の推進など喫緊の課題に積極的に対応した結果、一般会計の歳出総額は前年度比で約1,250億円増加し、1兆2,113億円余となる見込みです。一方、歳入面では、県税及び地方交付税が当初の見込みをそれぞれ275億円程度、272億円程度上回る見通しであることや、353億円余に上る新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などの国庫支出金を有効に活用したことなどにより、一般会計の実質収支は47億円余の黒字を確保できる見込みです。
急激な人口減少や様々な分野でのデジタル化の進展など、長野県を取り巻く社会経済環境は大きく変化しています。こうした状況を踏まえ、今年度、新たな行政・財政改革方針を策定し、県の組織風土や職員の働き方についての改革を進めるとともに、事業評価や決算を重視した効果的な施策の構築と財源の配分に努めることなどにより、県民の皆様からの期待に将来にわたって応えることができる行財政システムの構築を目指します。
【補正予算案】
さて、今定例会に提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
一般会計補正予算案は54億6,008万8千円であります。これまで述べた「長野県価格高騰緊急対策(第一弾)」の実施に加え、新型コロナウイルス感染症への対応などのために必要な予算を計上しました。
新型コロナウイルス感染症により休業や診療縮小を余儀なくされた医療機関等の事業継続や、外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関の受診環境を確保するための多言語表示板等の整備に対する支援、オンライン学習等に対応できる県立学校のICT機器整備のほか、令和3年8月の大雨災害により被害を受けたアルピコ交通上高地線の橋梁(きょうりょう)補強、農作物の残雪対策等に要する経費を計上しました。
この補正予算案の財源として、国庫支出金52億1,400万円、繰越金2億507万7千円、その他県債など4,101万1千円を見込み、計上しました。
今年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと1兆914億449万6千円となります。
【条例案、事件案、専決処分等報告】
次に、条例案は、新設条例案2件、一部改正条例案7件であります。
このうち「教育長の勤務時間及び休暇等に関する条例案」は、教育長の勤務時間及び休暇等について定めるものであります。
「長野県県税条例の一部を改正する条例案」は、地域再生法に係る関係法令の改正を受け、IT企業をはじめとする本社機能の移転や拡充を行った事業者に対する不動産取得税等の減税措置の要件緩和及び適用期間の延長などを行うものであります。
事件案は、交通事故に係る損害賠償についてなど9件であります。
専決処分等報告は、令和3年度長野県一般会計補正予算の専決処分報告など16件であります。
以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。
最後に一言申し上げます。
県民の皆様から負託された私の知事としての任期も、残すところあと2か月余りとなりました。今任期の大半は、令和元年東日本台風災害などの自然災害に対する対応、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う感染防止対策や医療検査体制の整備、暮らしや産業への支援など、平時とは全く異なる危機対応の連続であり、県民の皆様の生命・財産、そして暮らしと産業を守るため、精一杯取り組んでまいりました。
その間にも、県職員のたゆまぬ努力により、学校におけるICT機器の整備促進や特別支援学校の施設改修、若い世代の希望実現を後押しする結婚・子育て支援の充実、信州回帰プロジェクトを通じた移住や企業立地の促進、脱炭素社会実現に向けたゼロカーボン戦略の策定とその推進、公正な社会を目指した障がい者共生条例や犯罪被害者等支援条例の制定、企業の経営革新等を支援する長野県産業振興機構の設置、IT企業・IT人材の集積を図る「信州ITバレー構想」をはじめとする「長野県DX戦略」の推進、医療・介護や農林業など様々な分野における人材の確保・育成、災害に強い県土づくりや広域交通ネットワークの充実など社会資本の整備、UDC信州の開設などによる地域づくり・まちづくりの支援、県立美術館や県立武道館の整備をはじめとする文化・スポーツの振興など、様々な分野の施策を進めてくることができました。厳しい社会経済環境の中にあっても県政を前進させ、一定の成果を上げてくることができましたのは、ひとえに議員各位をはじめ県民の皆様の御理解と御協力のおかげであり、この場をお借りして深く感謝申し上げます。
現在長野県では、依然としてコロナ禍が継続し、物価高騰が県民の皆様の暮らしや産業を直撃している一方で、人口減少の急速な進展と様々な分野での担い手不足、地球温暖化に起因する気候変動とそれに伴う災害の激甚化など、確かな暮らしの基礎を揺るがす数々の大きな危機が顕在化しています。こうした中、社会経済活動の再生・復活はコロナ対策への協力を求めてきた私の責務であり、また、直面する危機に対処していくことこそ私に課せられた使命であると考えるに至りました。その上で、県民の皆様のため、長野県の発展のため、これからも全身全霊で県政に取り組むとの強い覚悟を固め、過日、来る知事選挙に立候補する旨の表明をさせていただきました。確かな暮らしを守り抜き、真にゆたかな社会を築くために全力を尽くす決意です。
もとより8月末までの任期中も、引き続き責任を持って県政運営に当たってまいりますので、議員各位の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
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