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更新日:2021年1月22日
ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、当面の県政課題について御説明を申し上げます。
【台湾訪問】
今月1日から5日にかけて、6年ぶりに台湾を訪問してまいりました。台湾との間では、本県における延べ宿泊者数が国・地域別で最も多い30万人を数えるインバウンド観光の更なる促進と、年間約3千人の児童生徒が相互に交流をしている教育旅行の推進、信州まつもと空港へのチャーター便の就航、更には近年急速に拡大している食料品の輸出促進が重要なテーマです。従来から交流を深めている高雄(タカオ)市及び彰化(ショウカ)県、今回新たに駒ヶ根市を含む三者で交流促進の覚書を締結した台中(タイチュウ)市などで、こうした点を中心に意見交換を行い、前向きな協力関係を確認いたしました。
また、御招待をいただいた台中フローラ世界博覧会開幕式への出席に加え、台湾国際教育旅行連盟の薛光豐(セツ コウホウ)総会長との間での青少年交流拡大についての懇談、世界的な自転車メーカーであるジャイアントグループの羅祥安(ラ ショウアン)最高顧問との自転車を通じた観光振興についての意見交換、中華航空の何煖軒(カ ナンケン)会長及びマンダリン航空の曹志芬(ソウ シフン)社長に対するチャーター便就航の要請などを行ってまいりました。今回の訪問を踏まえ、台湾との一層の交流・連携に努めてまいります。
【長野県営業本部(仮称)の設置】
先月26日、銀座NAGANOが開設4周年を迎えました。昨年度の来場者数は99万5千人となり、通年営業の初年度である平成27年度から34.5パーセント増加するとともに、商品開発のモニター調査など企業による利用も70件へと倍増しています。このように、銀座NAGANOが首都圏の消費者や市場のニーズを最前線で把握する拠点としての機能を果たす中で、改めて県外でのマーケティング活動の重要性を認識したところです。
味噌や漬物、日本酒・ワインなど発酵・長寿県ならではの加工食品、信州サーモンやシナノゴールド、ナガノパープルなど独自に開発した農畜産物、木曽漆器や飯田水引など地域で受け継がれてきた伝統的工芸品をはじめとする本県の優れた県産品を、重点的に県外、更には海外へと売り込むための専門組織として、長野県営業本部(仮称)を来年4月に設置したいと考えております。
同本部では、関係部局との円滑な連携のもと、市場の的確な分析と販売戦略を踏まえた営業活動、それを通じて得られたニーズの産地へのフィードバック、豊かな自然や伝統文化をはじめとする県産品の背景にあるストーリーの発信などを通じ、県産品の需要拡大と本県ブランド価値の向上を図ってまいります。
【国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の準備】
今年開催された第73回国民体育大会における本県の総合成績は、昨年の18位から13位へと向上し、また、第18回全国障害者スポーツ大会では、昨年の倍となる14個もの金メダルを獲得することができました。活躍した本県選手及びコーチ、スタッフをはじめとする関係者の皆様に改めて敬意を表します。
本県としては、2027年に49年ぶりに開催される第82回国民体育大会、第27回全国障害者スポーツ大会に向け、更なる競技力の向上や大会開催施設の整備などを今後精力的に進めていかなければなりません。
まず、競技力の向上については、開催県にふさわしい成績を挙げることができるよう、現在策定中の「競技力向上基本計画」に沿って、ジュニア選手の発掘・育成や指導者の養成に取り組むとともに、障がい者スポーツ選手の大会派遣やトレーニング費用の補助など競技活動への支援を進めてまいります。
また、今月9日、大会準備委員会第2回常任委員会において、総合開・閉会式会場を松本平広域公園の陸上競技場と決定いたしました。その整備の方向性については、国体の施設基準や航空法の高さ制限等の条件を踏まえ、今後検討してまいります。
あわせて、国体の競技会場地第1次選定分として、14競技の会場地を11の市町に内定いたしました。その他の競技につきましても調整を進め、2020年度末を目途に会場地の選定を終え、順次、準備委員会において競技施設整備基本計画を策定してまいります。
【自転車の利用に関する条例(仮称)の検討】
自転車の利用に関する条例(仮称)については、観光や教育など自転車の利用に関係する団体や交通事業者などで構成する「安全で快適な自転車利用のための検討連絡会議」での議論を踏まえて骨子案を取りまとめ、今月21日からパブリックコメントを実施しています。
骨子案では、自転車の利用促進と安全・安心な県民生活の確保を条例の基本理念とし、県や自転車利用者の責務、市町村や事業者等の役割を定めるとともに、自転車事故の際に被害者救済を確実に行うための自転車損害賠償保険への加入義務化などを盛り込んでおります。
また、条例に基づいて自転車活用推進計画を定め、日常生活での自転車利用の促進による県民の健康増進や環境負荷の低減、それを可能とする生活道路の整備、国内外のサイクリストをひきつける自転車を活用した観光地域づくりの推進、自転車安全教育の充実などに県民の皆様とともに取り組んでまいりたいと考えております。
今後、来年の2月定例会に条例案を提出すべく、県議会などの御意見を伺いながら、更に検討を進めてまいります。
【消防防災航空体制の再構築】
先月25日、国の運輸安全委員会から、昨年3月の消防防災ヘリコプター事故に係る航空事故調査報告書が公表されました。志の高い隊員たちの尊い生命が失われるという痛ましい事故を二度と起こさないことを改めて固く誓い、考え得る様々な安全対策を講じてまいります。既に導入しているダブルパイロット制等の対策に加え、今回の報告書を踏まえて隊員の健康診断結果を組織内で共有するなど、事故発生リスクの最小化に取り組んでまいります。
消防防災ヘリコプターの新機体については、落札業者が決定したことから、購入に係る議案を提出いたしました。新機体は2020年10月末に納入され、訓練を経て、遅くとも2021年4月には消火・救助活動を開始する予定でありますが、それまでの間は、引き続き民間ヘリコプターを借り上げて運航を継続する必要があることから、債務負担行為の設定を行いたいと考えております。
【障がい者の採用・活躍の場の拡大】
障害者雇用率の算定誤りの問題については、県組織として障害者雇用促進法の目的や意義への理解が必ずしも十分ではなかったことなどが背景にあるものと考えており、今回の教訓を踏まえて、障がい者雇用のあり方を抜本的に見直してまいります。
9月以降、障がいのある方々を講師に迎え、職員の意識改革に向けた研修を実施するとともに、障がい者団体の皆様との意見交換を重ね、それぞれの方の特性に応じた業務のあり方や採用方法などについて御意見を頂戴してまいりました。
障がい者の採用拡大に向けては、年齢要件の引上げなどの見直しを行った上で今年度2回目の選考募集を既に始めたところです。今後、障がい者の雇用促進と働きやすい環境づくりのため、非常勤職員の募集に当たっての障がい者枠の導入、短時間勤務や時差勤務など弾力的な勤務形態の拡大、職員相談体制の充実などについて検討し、誰もが活躍することができる県組織づくりに向けた取組方針を取りまとめ、実行してまいります。
【最近の経済情勢】
今月公表された政府の月例経済報告では、我が国の景気は11か月連続で「緩やかに回復」しているとの判断が示され、先行きについても、通商問題の動向や海外経済の不確実性等に留意する必要はあるものの、「緩やかな回復が続く」ことが期待されています。また、日本銀行松本支店が公表した金融経済動向によると、県内経済は14か月連続で「緩やかに拡大している」とされています。
今年12月のTPP発効、来年10月の消費税率引上げの影響などに的確に対応し、景気回復の動きを持続させていくことが重要です。国は、消費税率引上げが経済に影響を及ぼさぬようあらゆる施策を総動員するとしていることから、県としても国の取組と歩調を合わせ、適切な対応に努めてまいります。
県内の雇用情勢については、有効求人倍率が5月から9月まで5か月連続で1.7倍台と引き続き高水準で推移しており、企業の人手不足感は一層強まっています。こうした中、各産業の最重要課題となっている人手不足対策については、「長野県就業促進・働き方改革戦略会議」において検討を行っております。これまで全体会議のみならず、幹事会やワーキンググループ、地域会議や産業分野別会議で多くの方々から御意見をいただき、施策の方向性について議論を行ってきたところです。県内産業の振興・発展にとって、人材の確保は喫緊の課題であることから、UIJターンを含む若者の県内就職の促進、女性や高齢者、障がい者の活躍機会の拡充、県外からの高度人材の受入れ拡大、就業に直結する人材育成の充実など、短期間での効果発現が期待できる取組とそのために必要な働き方改革の推進に焦点を当てた当面の取組方針を取りまとめ、関係団体等とも協力して速やかに実施に移してまいります。
なお、外国人材の活用については、現在、国会で新たな在留資格の創設に向けた関係法案の審議が行われていることから、国会や政府の動向を注視しつつ、各業界団体と意見交換を行った上で、必要な対応を行ってまいります。
【平成31年度当初予算編成】
平成31年度当初予算は、2年目となるしあわせ信州創造プラン2.0が掲げる政策を具現化し、8つの重点目標等を実現していく上で大きな意味を持つものです。学びの県づくり、産業の生産性が高い県づくりなど6つの政策推進の基本方針に沿って施策を構築し、確かな暮らしが営まれる美しい信州の実現に向け、各部局の力を結集して実行していく考えです。
予算編成に当たっては、そのプロセスを見直し、庁内のコミュニケーションを活発にすることにより、予算編成の効率化と政策の質の向上に努めてまいります。具体的には、新たに設けた「部局長裁量経費」により、各部局長がリーダーシップを発揮し、組織内の人材・資産・財源を総合的にマネジメントしながら、県民起点と現場重視で課題に的確に対応する分権型予算編成を強化するとともに、「しあわせ信州創造経費」により、政策分野を横断する課題に部局の枠を越えて全庁的に対応してまいります。
【補正予算案】
さて、今定例会に提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
補正予算案は、一般会計27億9,234万4千円であり、加えて、一般会計137億2,334万6千円、企業特別会計3億8,060万円の債務負担行為を設定しました。
補正予算案には、災害への対応、県立学校の空調設備整備、医療機関の機能分担・連携強化、来年4月に実施される県議会議員一般選挙の準備に要する経費等を計上しました。
台風第21号等による災害への対応については、9月補正予算に引き続き、河川護岸や道路の復旧、土石流発生箇所での砂防堰堤(えんてい)等の整備に要する経費を計上しました。
県立学校の空調設備については、再来年の夏までの2年間で全ての普通教室で利用できるよう着実に整備してまいります。このうち、特別支援学校と県立中学校については、国の補正予算を活用して来年中に整備を完了させることとし、設計・工事に係る経費を計上しました。
医療機関の機能分担・連携強化については、二次医療圏を越える患者の移動などを踏まえた広域的な観点からの協議を行うため、新たに県全体を対象とする地域医療構想調整会議を設置します。既に議論を進めている各医療圏の調整会議と連携し、需給バランスのとれた持続可能な医療提供体制の構築に向けた取組を進めてまいります。
このほか、春夏の観光シーズン前に観光地へのアクセス道路の安全性・快適性を向上させるとともに、施工時期の平準化を図るため、道路舗装の修繕・道路標示の補修等を前倒しして実施いたします。また、来年6月に軽井沢町で開催されるG20関係閣僚会合の警備に万全を期するため、ネットワーク型カメラシステムを整備するとともに、会場周辺の渋滞解消のため、信号機の改良を行います。
以上申し上げました補正予算案の財源として、県債15億5,300万円、国庫支出金8億8,222万7千円、その他地方交付税など3億5,711万7千円を見込み計上いたしました。今年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと8,571億5,495万5千円となります。
【条例案、事件案、専決処分報告】
次に、条例案は、一部改正条例案7件であります。
このうち、「知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案」は、住民サービスの向上のため、軽井沢町に旅券発給事務の一部についての権限を移譲するものであります。
事件案は、ヘリコプターの購入についてなど18件であります。
専決処分報告は、交通事故に係る損害賠償の専決処分報告など10件であります。
以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。
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