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更新日:2023年2月15日

令和3年6月県議会定例会における知事議案説明要旨(令和3年6月17日)

 

 ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、当面の県政課題について御説明を申し上げます。

【新型コロナウイルス感染症への対応】

 新型コロナウイルス感染症との闘いが昨年来続いています。本県においては、1月に新規陽性者が急増した後、一時、感染状況は落ち着いておりましたが、3月中旬以降、再び新規陽性者数が増加し、4月8日には、医療提供体制のひっ迫状況を踏まえて「医療警報」を全県に発出いたしました。今回のいわゆる第4波での新規陽性者数は4月中旬と5月下旬の2度にわたってピークとなりましたが、全国平均を下回る水準で推移し、医療非常事態宣言を発出することなく今月8日に「医療警報」を解除することができました。

 この間、県民の皆様に対して感染防止策の徹底や感染拡大地域への訪問自粛などを呼び掛けたほか、感染対策強化期間の設定や営業時間の短縮要請など、感染状況に応じた様々な対策を講じてまいりました。救える命が救えなくなるような事態を招くことなく現在に至っておりますことは、県民、事業者の皆様のコロナ対策への御理解と御協力の賜(たまもの)であり、心から感謝申し上げます。

 感染力が強いと言われるデルタ株(L452R変異株)の増加への懸念や、学校を含む感染の場の多様化等もあり、感染状況の先行きは依然として予断を許しません。新型コロナウイルスの脅威から県民の皆様の命と健康、そして暮らしと産業を守るため、市町村と協力してワクチン接種の早期かつ着実な推進を図るとともに、療養体制の一層の整備、PCR検査等の充実、更には県内経済の下支えと生活支援に全力を傾注してまいります。

(ワクチン接種の推進)

 県が取り組む医療従事者へのワクチン接種については、今月中には希望者全員への接種が終了する見込みです。市町村主体で行われている高齢者等への接種については、今月14日までに241,331人の方が1回目の接種を受けており、希望される高齢者に対する2回目の接種を7月中には完了できるよう、医療従事者の確保・派遣等により市町村を支援してまいります。

 ワクチン接種を進めるため、長野県医師会、長野県歯科医師会、長野県薬剤師会、長野県看護協会の全面的な協力により、「長野県ワクチン接種支援チーム」の募集を行っており、応募いただいた医療従事者のうち、これまでに延べ800人を超える方々を市町村に御紹介したところです。現在、市町村の接種を補完するため、県としての接種会場を県内4か所に開設すべく鋭意準備を進めており、優先接種期間後に接種を希望する高齢者及び基礎疾患を有する方々のほか、早期の接種が望ましいと考えられる職種の方々を団体で受け入れていく予定です。

(医療提供体制等の強化)

 医療提供体制については、これまでの1日当たり最大の療養者数495人の約2倍に当たる1,000人の療養者への対応を目標に充実を図ってまいりました。医療機関の御協力の下、5月末までに、確保病床数を434床から490床へと増床した上で、患者急増時に緊急避難的に患者を受け入れていただける病床も一定数確保することができました。また、回復後の患者を受け入れていただく医療機関を新たに「後方支援医療機関」として18か所指定したほか、宿泊療養施設についても、北信地域に5か所目の施設を設置し、受入可能人数もこれまでの375人から523人へと強化したところです。

 自宅療養については、新たに「健康観察センター(仮称)」を設置し、インターネットを活用した遠隔健康管理システムの導入等により、自宅療養者が安心して療養していただける体制を構築します。

(検査方針の策定)

 早期に陽性者を発見し、感染拡大の防止を図るためには、PCR検査等の活用が重要であることから、「長野県新型コロナウイルス感染症PCR検査等実施方針」を独自に策定いたしました。「濃厚接触者に準じる者」を定め、感染の可能性がある方に対する検査を幅広く行うなど、戦略的にPCR検査等を実施してまいります。この方針に基づき、陽性者が確認された民間事業所における自主検査に対する助成、本県が不要不急の訪問を控えるよう呼び掛けている都道府県で開催される学校部活動の公式大会等の参加者を対象とする検査なども行ってまいります。

 

【県内経済の下支え、暮らしの支援】

(産業への支援)

 日本銀行松本支店が今月公表した金融経済動向によると、「長野県経済は、厳しい状況が続いているものの、持ち直しつつある」とされています。しかしながら、飲食業、観光業、交通事業やその関連産業を中心に、依然として多くの事業者がコロナ禍の影響により厳しい経営状況に置かれていることから、県としては、こうした事業者の皆様を引き続き積極的に支援してまいります。

 営業時間の短縮要請等に応じていただいた飲食店等に対する協力金については、売上規模に応じて最大1日7万5千円を支給する制度に改めるとともに、感染警戒レベル5となった市町村等が講じる事業者支援の取組に対する交付金額についても拡充をいたしました。また、県産品を扱う事業者のECサイトの情報を集約した「オールNAGANOモール」などのウェブサイトの開設、テイクアウトやデリバリーを応援するキャンペーンへの支援に加え、納税猶予に係る延滞金を一部免除するなど、事業の継続を後押ししてまいりました。

 現在進めている「信州の安心なお店」の認証は、感染防止対策に熱心に取り組む事業者を県民の支え合いで応援しようとするものであり、これまでに飲食・宿泊業を中心に2,700を超える店舗を認証し、認証店舗で利用できるプレミアム付きクーポン券の取扱いも今月10日から開始したところです。今後、生活関連サービス業、娯楽業等にも制度を広げてまいります。

 今回提出した補正予算案では、こうした取組に加え、更に様々な支援策を講じていくために必要な経費を計上いたしました。売上げが大幅に減少していながらも国の月次支援金の給付を受けられない事業者に対する中小企業者等特別応援金の支給、飲食店へのCO₂センサー等の配布、ビジネスモデルの再構築やIT機器導入を行う事業者に対する支援などを行います。また、経済活動を促進するため、「オールNAGANOモール」を活用した送料無料キャンペーンの実施、感染の収束を見据えた大都市圏での物産展等の開催、伝統的工芸品の新商品開発や後継者発掘のための取組への支援、日本酒やワインなど信州産のお酒の消費を喚起するためのプレミアム付きクーポン券の発売、牛肉や信州サーモン等県産食材の学校給食での提供や直売所等への販路拡大などにも取り組んでまいります。

 交通事業者に対しては、バス・鉄道事業者やFDA(フジドリームエアラインズ)の運行継続に必要な経費を支援するほか、鉄道輸送の安全確保に必要な車両検査費を支援します。今後とも県民生活に欠くことのできない地域公共交通の維持に努めるとともに、アフターコロナも見据えて「持続可能で最適な地域公共交通の確保」に取り組んでまいります。

(観光の振興)

 東京都、関西圏への緊急事態宣言発出の影響等により、ゴールデンウィークの人出は、例年の賑わいには程遠く、観光関連産業は引き続き厳しい状況に置かれています。

 感染拡大期にあっても宿泊事業者や旅行会社が一定の収入を確保できるよう創設した「信州の宿 県民応援前売割」は、宿泊施設と旅行会社合わせて約1,400の事業者に参加登録をいただき、当面の事業者の収入となる売上総額は約2億円となりました。明日18日からは同居家族を対象に県民宿泊割を再開するとともに、22日からはバス、タクシー等を利用した日帰り割も開始する予定です。なお、宿泊割等の利用者に対しては、観光地の体験施設や土産物店、飲食店等で利用できるクーポン券を給付します。

 また、宿泊事業者が行う感染防止対策や、コロナ後を見据えた新たな取組を支援するため、「信州安全・安心な宿魅力向上事業」として施設改修やツアー造成をはじめとするコンテンツ開発等に要する経費を助成するほか、修学旅行や合宿を行うに当たり感染防止対策として宿泊の部屋数や貸切バスの台数を増加させるために要する経費を支援するなど、観光関連産業を積極的に支援してまいります。

 昨シーズンと同様に厳しい経営環境にある山小屋については、登山道の補修や遭難救助など山小屋が担う公益的活動の維持と感染防止対策強化のための支援金を支給するほか、信州の山岳を愛する全国の皆様に対してふるさと納税を通じた支援を呼び掛けてまいります。

(雇用対策と生活者支援)

 本県の有効求人倍率は昨年8月を底として徐々に上昇し、本年4月には1.30倍となるなど、雇用情勢は回復傾向にあります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇・雇い止めの数は累計で2,200人を超え、感染の終息も未(いま)だ見通せないことから、今後とも長野労働局をはじめとする関係機関と連携して、雇用の確保、就労支援に努めてまいります。具体的には、ハローワークと連携して、求人企業の開拓、人手不足分野へのマッチング支援などに取り組むほか、失業者を2か月以上雇用した場合に賃金の一部を助成する「緊急就労支援事業」の対象に、本格就労に向けたステップアップのための職場体験研修を追加します。なお、事業所が雇用を維持するために不可欠な雇用調整助成金については、地域や業況に関わらず特例措置を延長するよう、国に対して強く要望してまいります。

 生活者への支援としては、生活福祉資金特例貸付及び住居確保給付金の申請期間を延長することに加え、特例貸付を上限まで利用している世帯等を対象に最大30万円の生活困窮者自立支援金を支給いたします。また、特例貸付の償還金に対する補助金などの様々な支援策を確実に御利用いただけるよう、SNSなどを活用して一層の周知を図ってまいります。フードドライブによる食料支援、ひとり親家庭の自立支援などに引き続き取り組むとともに、コロナ禍において不安や困難を抱える女性に対する緊急支援として、県社会福祉協議会やこども食堂を運営するNPO法人と連携し、きめ細かな相談支援や生理用品の配布などを行ってまいります。

 

【凍霜害への対応】

 4月当初からの連続した低温や降霜により、県内各地でりんごやなしを中心に20億円余の農作物被害が発生いたしました。県では、農業農村支援センターに凍霜害に関する相談窓口を設置するなど、生産者団体と連携しながら被災農家が抱える技術面・経営面の様々な課題に丁寧に対応してまいりました。今回の凍霜害は、被害の様相がほ場ごと、品種ごとに大きく異なることなどから、被害状況に応じた技術指導等を行うとともに、被害を受けられた農家の皆様の声を今後ともお伺いしながら、意欲をもって営農を継続していただけるよう必要な支援策を検討してまいります。

 

【長野県ゼロカーボン戦略の策定】

 気象災害や異常気象の要因とされる地球温暖化への対応は人類共通の課題です。今後、温室効果ガスの排出抑制に向けた追加的な取組が行われなければ、2100年頃の世界の平均気温は1986年から2005年の平均と比べ最大で4.8度上昇するとも言われています。災害の多発化・激甚化のみならず、水資源の減少や海水面の上昇、生態系の破壊、食糧生産の減少、熱中症等による健康被害など、私たちの日常の暮らしや経済活動に対し、深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。

 4月に米国主催で開催された気候変動サミットでは、主要国が相次いで温室効果ガス削減目標の引上げを表明し、2030年度までに2013年度比で46パーセントの削減を目指すという我が国の新たな方針も菅総理から示されました。長野県脱炭素社会づくり条例に基づく行動計画として策定した「長野県ゼロカーボン戦略」では、基本目標を「社会変革、経済発展とともに実現する持続可能な脱炭素社会づくり」とし、温室効果ガスの正味排出量を2030年度までに2010年度比で6割削減するとの高い目標を掲げたところです。

 気候変動の影響が年々深刻化する中、2030年までが人類の未来を決定づける10年と言われています。将来世代に豊かな地球環境と持続可能な社会を引き継ぐことは、今を生きる私たちに課せられた重大な責務です。日本の脱炭素化をリードし、世界の気候変動対策に貢献していくとの強い決意の下、取組を加速してまいります。

(交通分野の取組)

 交通分野では、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)への転換を着実に進めるため、「次世代自動車インフラ整備ビジョン」を改定し、充電インフラや水素ステーションの計画的な整備を進めてまいります。また、環境負荷の低い多様な移動手段の確保と自家用車に依存しないまちづくりを進めるため、公共交通への積極的な支援、MaaSやCASEといった次世代交通システムの基盤づくり、自転車走行空間の整備等に積極的に取り組み、「歩いて楽しめるまち」や「持続可能な中山間地域」の実現を目指します。

(建物分野の取組)

 建物分野では、2030年度までに全ての新築建物のゼロエネルギー化を目指します。住宅については、高いレベルの断熱性能を有し、県産材を活用した「信州型健康ゼロエネ住宅」の普及に取り組みます。また、新築する県有施設は原則としてネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)にするとともに、民間施設のZEB化を促進するため、環境エネルギー性能検討制度の届出義務対象の拡大を検討します。また、学校や社会福祉施設等の整備に関する国庫補助制度をZEBを前提として見直すよう国に提言します。

(産業分野の取組)

 産業分野では、ESG投資の拡大やサプライチェーン全体の脱炭素化など、経済活動における脱炭素化の動きをビジネスチャンスとして活かせるよう県内企業を支援します。事業活動温暖化対策計画書制度により、事業所における温室効果ガスの排出削減を一層促進するとともに、今後は、県の各種補助金の採択要件として同計画書の提出を求めることも検討してまいります。また、中小企業融資制度資金のゼロカーボン枠を活用して省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの導入を金融面から支援するとともに、長野県ゼロカーボン基金を活用してゼロカーボン技術の開発を支援し、グリーン化をけん引する先端企業の創出を目指します。

(再生可能エネルギー分野の取組)

 再生可能エネルギー分野については、潜在力が大きい住宅用太陽光発電と小水力発電を中心に普及・拡大を図ってまいります。住宅用太陽光発電については、販売や施工を担う地域の優良事業者を認定し、当該事業者が行う太陽光発電の普及のための取組を支援するとともに、太陽光発電設備や蓄電池の導入を促進するための補助制度を創設します。小水力発電については、収益納付型補助事業や小水力発電ポテンシャルマップの作成により、地域企業等の参入による事業化の促進を図ってまいります。

 水力発電による新規電源開発を積極的に進めている企業局では、今年度、新たに3つの発電所の運転を開始したところであり、現在5つの発電所の建設に取り組んでいます。今後とも中小水力発電所の新規建設や基幹発電所の大規模改修・出力増強等に取り組むとともに、大規模災害発生による停電時等に地域へ電力を供給することができるマイクログリッドの構築などにより、地域の脱炭素化に貢献してまいります。

 国が策定した地域脱炭素ロードマップでは、全国100か所以上で脱炭素先行地域の創出を目指す方針が示されました。本県においても、100パーセント再生可能エネルギーで暮らしが営まれる中山間地域づくりや、EV・FCVやグリーンスローモビリティを活かした持続可能な観光地づくりなど、脱炭素社会のモデルとなる地域の創出に取り組んでまいります。

(吸収・適応分野の取組)

 本県の豊かな森林資源を活かし、間伐等の森林整備や主伐・再造林を推進することにより、二酸化炭素吸収量の増加を図ってまいります。また、全国の都道府県に先駆けて策定した「信州まちなかグリーンインフラ推進計画」に基づき、街路樹整備や建物緑化等による緑溢(あふ)れるコミュニティの形成を推進し、ヒートアイランド現象の抑止等による環境負荷の低減にもつなげてまいります。

 信州気候変動適応センターを中心に、気候変動の実態や影響を継続的にモニタリングし、様々な分野での適応対策に取り組みます。農業分野では、温暖化に適応した新品種・新技術の開発・普及を農業関係試験場において進めてまいります。防災分野では、流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる「流域治水」の取組を推進します。また、熱中症の増加や生態系の変化、降雪量の減少等のリスク情報を県民の皆様と共有するとともに、県としても各分野における適応策を検討・実施してまいります。

(県民行動の促進)

 脱炭素社会を実現していくためには、県民お一人おひとりに問題意識を持って行動していただくことが不可欠です。そのため、信州環境カレッジを中心に多様な学びのカリキュラムを提供するとともに、気候危機に立ち向かう県民の輪を広げるため、新たに「ゼロカーボン実現県民会議(仮称)」を立ち上げてまいります。なおゼロカーボン戦略の策定と合わせて作成した「信州ゼロカーボンBOOK」では、気候変動の影響やゼロカーボンに取り組む意義、具体的な行動例などを分かり易くお示ししています。

 県も一事業者として、県有施設のZEB化や使用電力の再生可能エネルギー100パーセント化、公用車の電動化、グリーンボンドの発行拡大等、新たな取組に果敢に挑戦し、社会の変革を先導してまいります。

 

【長野県立美術館の開館】

 4月10日、約6年の歳月をかけて、県議会議員の皆様をはじめ多くの方々の御参画・御協力の下で検討・整備を進めてまいりました長野県立美術館が開館いたしました。屋上広場など無料ゾーンも含めて開館後2か月で約16万人の方にお越しいただき、今月6日まで開催した完成記念展「東京藝術大学スーパークローン文化財展」は、約3万人の方に御鑑賞いただきました。コロナ禍の中での厳しいスタートではありますが、多くの皆様に御来館いただけたことは、新しい県立美術館への期待の表れと受け止めています。

 8月28日にはいよいよグランドオープンを迎え、「森と水と生きる」をテーマとする企画展を開催します。指定管理者である文化振興事業団とともに、誰もが楽しめる展示や美術を通じた学習機会の提供、観光との連携等に積極的に取り組み、多くの方々に愛され、訪れていただける美術館となるよう努力してまいります。

 

【松本空港の運用時間延長】

 本県の空の玄関口である松本空港の運用時間を2時間延長するため、「長野県松本空港条例の一部を改正する条例案」を提出するとともに、所要の経費を補正予算案に計上いたしました。この間、関係市や地域の皆様から御理解と御協力をいただき、国においても航空管制の体制整備を迅速に進めていただいておりますことに、心より感謝を申し上げます。この時間延長を契機として、神戸便の複便化、より利便性の高いダイヤ設定、チャーター便の運航増加など、松本空港の更なる活性化を進めてまいります。

 

【犯罪被害者等支援条例の検討】

 安全で安心して暮らすことができる社会の実現は、県民共通の願いです。しかしながら、誰もが突然、犯罪等に巻き込まれる恐れがあり、被害者やその御家族、御遺族となった場合には、家族を失い、傷害を負わされ、財産を奪われるといった直接的な被害にとどまらず、精神的被害や経済的負担、周囲の無理解や中傷などにより、生活の平穏を害され、社会から孤立するといった二次被害に苦しめられることも少なくありません。こうした犯罪被害者等が社会の中で再び平穏な生活を営むことができるようにするためには、様々な関係機関が緊密に連携・協力して一人ひとりに寄り添った支援を行うとともに、犯罪被害者等を社会全体で支えていく機運を醸成することが必要です。

 県では、これまでも県警や犯罪被害者支援センター等と連携した相談体制の整備や公営住宅への優先入居などによる支援を行ってまいりましたが、それぞれの事情に一層配慮した犯罪被害者等に対する支援の充実が必要であると考えています。そのため、4月に人権政策審議会に部会を設置し、犯罪被害者等を支援するための条例の制定に向け、具体的な検討を開始したところです。今年度中の条例制定を目指すとともに、条例を検討する過程では、具体的な支援策のあり方についても議論を深めてまいります。

 

【決算見込みと新たな行政・財政改革方針の策定】

 令和2年度の決算見込みについて申し上げます。まず、新型コロナウイルスの影響による県内経済の低迷等により、県税や地方交付税などから県税交付金等を差し引いた実質的な一般財源は前年度に比べて約74億円の減少となる見込みです。一方、県民の皆様の命と暮らしを守るため、新型コロナウイルス感染症への対応、令和元年東日本台風災害からの復旧・復興、災害に強い県土づくりなど、喫緊の課題に積極的に対応した結果、一般会計の歳出総額は前年度比で約2,175億円増加し、1兆863億円余となる見込みです。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などの国庫支出金の積極的な活用、減収補塡債の発行、不要不急な事業の実施見送りなど、財政運営に様々な工夫を凝らした結果、一般会計の実質収支を48億円余の黒字とした上で、財政調整のための基金についても約536億円の残高を確保できる見込みです。新型コロナウイルス感染症の終息が未だ見通せない中、防災・減災対策や脱炭素社会の構築など待ったなしで取り組まなければならない政策課題も多いことから、新たな行政・財政改革方針を今年度中に策定し、行政サービスの質的転換と持続可能な財政構造の構築に取り組んでまいります。

 

【補正予算案】

 さて、今定例会に提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 補正予算案には、新型コロナウイルス感染症から県民の皆様の命と暮らしを守るための医療提供・検査体制の強化、県内経済の下支えや生活支援のほか、「2050ゼロカーボン」実現のための取組に必要な予算などを計上しました。

 一般会計補正予算(第4号)案は51億794万4千円であり、事業者に対する特別応援金の支給、飲食店へのCO₂センサー等の配布、生活困窮世帯への支援金の支給など、早期の予算執行が必要な施策に要する経費を計上しました。この補正予算案の財源として、国庫支出金51億763万8千円、その他繰越金など30万6千円を見込み、計上しました。

 一般会計補正予算(第5号)案は219億1,456万2千円であります。新型コロナ患者の受入病床の拡充や振分診察の効率化等のための施設・設備整備、入院患者の重症化を抑制するための酸素療法に用いる設備整備、変異株に対応したゲノム解析や迅速な検査を実施するための設備整備をそれぞれ支援するために要する経費などを計上しました。また、教育関係では、県立及び私立高校の生徒が学校でも家庭でもタブレット端末を活用した学びを行うことができるよう、購入が困難な生徒に対する端末の貸与に必要な経費を計上したほか、児童生徒の増加に対応するための寿台養護学校の増改築等に要する経費を計上しました。この補正予算案の財源として、国庫支出金212億8,648万7千円、繰越金4億4,007万5千円、その他基金繰入金など1億8,800万円を見込み、計上しました。

 今年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと1兆770億4,483万9千円となります。

 

【条例案、事件案、専決処分等報告】

 次に、条例案は、新設条例案1件、一部改正条例案5件であります。

 このうち「長野県県税条例等の一部を改正する条例案」は、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の制定を受け、事業税等に係る課税免除の特例措置の拡充などを行うものであります。

 「貸付金免除条例の一部を改正する条例案」は、保健師の人材確保に苦慮している過疎地域の町村を支援することを目的に、長野県看護職員修学資金の償還債務免除の対象拡大などを行うものであります。

 事件案は、7件であります。

 このうち、「大北森林組合等補助金不適正受給事案に対する損害賠償請求事件に係る和解について」は、県が大北森林組合の元専務理事に対して行った損害賠償請求に関し、元専務理事が補助金不正受給行為に係る損害賠償金等の支払い義務を認め、謝罪の意思を示したことから、裁判官の勧告による和解案に合意しようとするものであります。

 専決処分等報告は、令和2年度長野県一般会計補正予算の専決処分報告など20件であります。

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。

 

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