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更新日:2022年2月16日

令和2年9月県議会定例会における知事議案説明要旨(令和2年9月24日)

 ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、当面の県政課題について御説明を申し上げます。

【令和2年7月豪雨等への対応】

 令和2年7月豪雨は、梅雨前線の長期停滞により全国各地に甚大な被害をもたらしました。本県においても、下伊那及び木曽地域を中心として、昭和36年のいわゆる「三六災害」を超える総雨量が一部で観測される記録的な大雨となり、尊い人命が失われ、100世帯を超える住家被害が発生しました。犠牲となられた方と御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 県では、7月8日の大雨特別警報の発表と同時に災害対策本部を設置し、安全な場所への避難など命を守るための最善の行動を県民に呼びかけるとともに、孤立集落の解消など各地で発生した土砂災害等への応急対策に取り組んできました。また、令和元年東日本台風災害を受けて各ダム管理者と締結した治水協定に基づく事前放流を今回初めて実施しましたが、木曽川等の水位を低下させ、洪水被害の軽減に効果を発揮することができたと考えています。

 7月豪雨による被害総額は約291億円にも上っており、ビルド・バック・ベターの視点を持ちながら、道路や河川等の早期の復旧に努めるとともに、被災した中小企業に対する支援や、観光需要の回復に向けた情報発信等により、災害からの復旧・復興に全力で取り組んでまいります。

 昨年の東日本台風災害から間もなく1年を迎えます。果樹園等からの土砂撤去については全て終了し、県管理の公共土木施設についても9割以上の箇所で本復旧工事に着手しました。引き続き道路、河川等の復旧に努めるとともに、被災したクリーンピア千曲についても来年度末を目途に復旧を完了させてまいります。中小企業等が取り組む施設の復旧や販路の開拓など、生業(なりわい)の再建についても引き続き支援してまいります。今後とも、被災された方々の復興への願いや住宅の再建に向けた悩みなど、様々な思いに寄り添いつつ、市町村とも連携して、復旧・復興を着実に進めてまいります。

 国や市町村と協力して取り組む「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」については、堤防整備、河道掘削等による洪水流下断面の拡大や遊水地整備などの河川における対策に加え、排水機場や雨水貯留施設の整備など流域における対策、ハザードマップの作成やマイ・タイムラインの普及などのソフト対策を総合的に推進し、観測史上最大洪水となった令和元年東日本台風と同程度の出水に対して越水等による家屋部の浸水を防止するとともに、経済的被害等を最小化できるよう取り組んでまいります。また、今後の台風災害等に備え、市長会、町村会とともに行った「信州防災『逃げ遅れゼロ』宣言」を踏まえ、県民の防災意識向上のための取組と避難対策の充実を市町村と協力して進めてまいります。

 大規模災害が相次ぐ中、県土の強靱化は喫緊の課題です。これまでの3年間で約900億円を投入し、落石等の危険性が高い箇所の法面対策や、河川内の土砂や立木の除去など、道路や河川等の安全性向上のための事業を実施してまいりました。引き続き防災・減災対策の推進に力を入れるとともに、国土強靱化予算の継続的な確保を国に対して要請してまいります。

 長期的視点から災害を抑止するためには、気候変動への対策も重要です。今回提出した補正予算案では、住宅用の太陽光発電設備や蓄電池の共同購入を進めるとともに、県有施設のネット・ゼロ・エネルギー・ビル化を実現していくための経費を計上したところです。次期環境エネルギー戦略を今年度中に取りまとめ、県民の皆様と方向性を共有して「2050 ゼロカーボン」の実現に邁(まい)進してまいります。

 【新型コロナウイルス感染症への対応】

 5月中旬以降小康状態となっていた本県における新型コロナウイルスの新規感染者数は、7月上旬以降再び増加し始め、8月27日からの1週間では80人となるなど、いわゆる第2波が到来しました。感染拡大を防ぐため、7月29日には県全域に対して注意報を、さらに感染者の状況に応じて県内6つの圏域に対して順次警報を発出するとともに、クラスター対策チームの派遣、感染拡大予防ガイドライン遵守の働きかけなど、市町村等と連携して対策に取り組んでまいりました。特に感染者数が多かった上田圏域に対しては8月28日に特別警報を発出し、ガイドラインを遵守していない接待を伴う飲食店等の利用を控えるよう要請したほか、地域・職種を特定しての無料のPCR検査の実施などにより感染拡大の防止に努めたところです。こうした対応に合わせ、商店街等が行う感染対策等を支援するための予算を専決処分させていただきました。

 医療関係者の御尽力や県民・事業者の御協力のおかげで感染状況は落ち着きを取り戻し、今月16日には県全域の感染警戒レベルをレベル1に引き下げることができました。今後とも警戒を怠らず、基本的な感染防止策の徹底を県民の皆様にお願いするとともに、季節性インフルエンザ流行期に備えた検査体制の更なる充実などに取り組んでまいります。

 (入院療養体制、検査体制等の拡充)

 新型コロナウイルス感染者の受入可能施設は、当初、感染症指定医療機関の46床だけでしたが、その後医療機関等の御協力により、入院で350名程度(うち重症者48名)、宿泊療養施設で250名程度を受け入れられる体制を7月中に整え、今月11日には宿泊療養施設を初めて開設して軽症者等の受入れを開始しました。また、検査体制については、PCR検査等による1日当たりの検査可能件数をおおむね1,000件程度まで拡充することができました。

 今後は、地域の感染状況を踏まえて必要とされる幅広い検査の実施や、季節性インフルエンザ流行ピーク時の検査需要にも対応できるよう、医師会や市町村の御協力をいただきながら、「診療・検査医療機関(仮称)」の指定や外来・検査センターの強化を進めるなど、検査体制の一層の充実に努めてまいります。なお、季節性インフルエンザの流行期に備えては、重症化しやすい高齢者等に対するインフルエンザワクチンの接種を促すため、集中的な広報を行ってまいります。

 今回の補正予算案では、救急・周産期・小児医療機関をはじめとする医療機関が行う院内感染防止に必要な設備整備等に対する支援、入院療養体制を継続するための空床確保費用に対する支援を拡充するほか、1日最大9,000件と想定される検査需要に対応するための検査機器の購入支援や抗原検査キットを活用したみなし行政検査の実施等に要する経費を計上しました。また、外国人県民等に適切な受診や行動を促すため、医療機関における多言語看板等整備に対する支援や、SNS等を活用した多言語での感染防止の呼びかけに要する経費も計上したところです。

 なお、個人防護具等の医療物資については、依然として確保が困難なものや価格が高騰しているものがあることから、医療機関等の需要を把握し備蓄を行うなど、必要な対策を進めてまいります。

 【県内経済の再生・雇用対策の充実】

 新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、公共交通や観光、飲食等のサービス業においては依然として利用客が回復せず、製造業でも自動車関連を中心に生産の減少がみられます。日本銀行松本支店が今月公表した金融経済動向においても、県内経済は「新型コロナウイルス感染症の影響などから、厳しい状況が続いている」とされています。

 先日開催した「新型コロナ対策産業支援・再生本部会議」では、県内産業の活力を取り戻すためには、厳しい環境に置かれている事業者への実状に応じた経営支援や、低下した消費マインドの向上などが必要であるとの御意見を頂戴しました。今回の補正予算案においては、県内経済の当面の下支え施策に加え、将来を見据えた取組も含めて、県内経済の再生と雇用対策の充実のための経費を幅広く計上しました。

 (県内経済の下支え)

 まず、新型コロナウイルスに対応する中小企業者等の資金繰り支援を強化するため、中小企業融資制度資金の融資可能額を1,650億円追加します。また、「飲食・サービス業等新型コロナウイルス対策応援事業」の予算を増額し、「新しい生活様式」に適応した事業形態への転換等を一層支援するほか、サービス事業者等が進める先駆的な安全・安心対策を広く周知し、利用者の拡大につなげてまいります。さらに、地域鉄道事業者が行う設備の維持修繕等や、滞留している木材のバイオマス発電用材としての活用を支援するとともに、県産農産物の消費を拡大するための広報にも取り組んでまいります。

 市町村が行うプレミアム付き商品券の販売などを支援する「地域支えあいプラスワン消費促進事業」は、これまでに69の市町村において100を超える取組が実施されています。今後予定されているGo To Eat事業などとの相乗効果により、消費マインドが喚起されることを期待しております。

 (将来を見据えた取組)

 新型コロナウイルスによる社会の変化をチャンスとして活かし、医療機器産業の振興や産業分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、移住や企業誘致など、将来を見据えた取組を進めてまいります。

 新型コロナウイルス感染症の影響で需要が高まる中、医療機器の試作開発や販路開拓を支援するとともに、新型コロナウイルス感染症関連の医療資材を製造するための設備導入費等を支援します。7月に策定した「長野県DX戦略」を踏まえ、RPA(業務自動化)ツール等の市町村との共同調達・共同利用の試行的な実施や、一人一台端末による学習を実現するための県立高等学校の全普通教室における無線LAN環境の整備とそのための通信回線増強に取り組みます。また、「信州ITバレー構想」を推進するため、生産現場等でのDXを進めるための実証研究を県内企業と共同で実施するほか、IT専門家のサポートにより県内中小企業のIT化・デジタル化を促進します。

 コロナ禍において、地方への関心が高まり、地方回帰の流れが起こりつつあります。この流れを機敏に捉え、移住先として全国トップクラスの人気を活かし、移住や二地域居住、企業誘致などの取組を一層強化します。

 移住やリゾートテレワークを促進するため、起業家、IT人材等のクリエイティブ人材や、リモートワークなどの新しい働き方をする人材・企業をターゲットとして、訴求力のあるウェブメディア等を活用した情報発信を行うほか、市町村やハローワークなど約50ものブースが出展する大規模な移住イベントをオンラインで開催し、長野県で働き・暮らす魅力を全国に発信してまいります。また、新しい働き方の普及と相まって都市部からの人の流れを創出するため、県外の副業・兼業人材を活用した企業誘致施策等の検討や、副業・兼業で県内企業に携わるプロフェッショナル人材に対する移動経費の補助等を行います。さらに、英語版を含む企業立地サイトを充実し、本社機能や研究機関、外資系企業等の誘致に積極的に取り組んでまいります。

 (観光の振興)

 春に全国に発出された緊急事態宣言や、夏休みシーズンの全国的な感染者数の再拡大などの影響で、本県を訪れる観光客の数は大きく減少いたしました。観光産業が地域経済において重要な役割を担っている本県としては、感染拡大防止に配慮しつつ、観光振興を図っていくことが重要です。

 そのため、国のGo To Travelキャンペーンを活用した施策として、県民を対象とした「ディスカバー信州県民宿泊割」の第2弾と県外客向けの「Go To信州!宿泊割」を、利用が伸び悩んでいる中・低価格帯の宿泊施設を対象として新たに予算化し、長期滞在型観光への転換を図るための「連泊エンジョイプラン」と合わせて、来月上旬から販売・利用を開始いたしたいと考えております。既に実施している「小さなお宿応援事業」も含め、他の都道府県よりも充実した宿泊割引をセールスポイントに、積極的な観光誘客を進めてまいります。加えて、リフト券や星空体験ツアーなど冬のアクティビティの割引支援や、索道事業者等が取り組む商品造成費やPR経費等への助成により、冬季の観光需要を下支えしてまいります。

 観光の振興に当たっては、新型コロナウイルス感染症に対する安全・安心の確保が極めて重要であることから、県としても様々な対策や支援を行ってまいります。「Go To信州!宿泊割」については、土日・祝日の前日以外を対象日とすることにより県外からの観光客の分散を図るとともに、「ディスカバー信州県民宿泊割」も含め、まずは11月までの宿泊利用分にかかる第1期の販売を行い、その後、感染状況等を見極めながら第2期以降の販売を行ってまいります。また、旅行者が安心して滞在できる観光地域づくりを促進するため、観光・飲食施設等へのガイドラインの徹底、感染拡大防止のための体制の構築など、各地域の観光協会等が行う取組を支援するとともに、サーモグラフィーの設置や安全対策の発信など、スキー場における対策にも助成してまいります。

 自然豊かで密になりにくい本県観光地は、修学旅行等の目的地として適していることから、現在、多くの問い合わせが寄せられています。学校が感染リスクを下げるために宿泊部屋の数や貸切バスの台数を増やした場合に要する経費を支援し、県内外からの修学旅行等を積極的に誘致してまいります。

 厳しい経営状況にある山小屋支援のために行ったクラウドファンディング型ふるさと納税で集まった1,400万円余の御寄付については、各山小屋に対して均等に配分してまいります。山小屋の皆様には登山道の補修や遭難救助等多くの公益的な役割を担っていただいていることから、必要な支援のあり方について引き続き検討してまいります。

 (雇用の確保と暮らしの支援)

 平成26年1月以降1倍を上回ってきた本県の有効求人倍率は、今年に入って急速に低下し、今月1日に公表された7月の有効求人倍率は0.99倍となりました。雇用調整助成金の活用等により求職者の増加は抑えられているものの、有効求人数が前年同月比で約3分の2に減少しており、先行きへの不安等から求人を手控える事業所が多くなっています。こうした状況を踏まえ、雇用の確保と暮らしの支援に引き続き取り組んでまいります。

 長野労働局が各ハローワークに設置する求人確保対策本部と連携し、新規求人の開拓や、雇用過剰企業と人手不足企業との雇用シェアリングの支援等に取り組みます。そのため、各地域振興局に設置した就業支援デスクの就業支援員とジョブカフェ信州のアドバイザーを増員するほか、失業者を正社員として雇用した事業所に対して、緊急雇用対策助成金として一人当たり最大45万円を給付します。このほか、「まいさぽ」の支援を受けられている方等に対する「緊急就労支援事業」や、新型コロナウイルスの影響で離職した方の県非常勤職員としての採用を継続するほか、産業・雇用総合サポートセンターの申請サポート期間を12月まで延長するなど、雇用の確保や就労支援に重点的に取り組みます。

 生活福祉資金特例貸付の8月末までの貸付累計額が27億円余に上る中、引き続き、県税等の徴収猶予や住居確保給付金、一定の要件のもとで償還を免除する緊急小口資金等の周知・活用により、生活に困難を抱える方に対する支援に努めてまいります。また、保護者負担を軽減するため、県立学校や私立学校が修学旅行を中止した場合のキャンセル料を助成します。さらに、子どもの居場所としての信州こどもカフェの活動が停滞しないよう、食材費等のかかり増し経費を助成するほか、食品製造業が行う在庫の廉価販売を信州こどもカフェ等に紹介するためのサイトを構築します。

 (誹謗(ひぼう)中傷等の抑止)

 新型コロナウイルスがもたらしている深刻な問題に、差別や誹謗中傷があります。感染者や医療従事者、その御家族等への悪口や嫌がらせ、飲食店等に関する根拠のない噂(うわさ)話等により、大変つらい思いをされている方々がいらっしゃいます。人の心を深く傷つけるこうした行為は、決して許されることではありません。また、差別や誹謗中傷は、人と人との信頼関係や社会のつながりを分断してしまうのみならず、誹謗中傷を恐れるあまりに診察や検査を躊躇(ちゅうちょ)することによる感染の拡大や、必要以上の行動自粛による経済活動の停滞にもつながりかねないものであり、社会全体に深刻な影響を及ぼします。私たちが闘うべき相手は「ウイルス」です。全ての人が差別や誹謗中傷から守られ、医療従事者をはじめ頑張っている方々への敬意と感謝を忘れない、思いやりと優しさにあふれた地域社会を目指し、取組を進めてまいります。

 先月、庁内に人権対策チームを設置するとともに、誹謗中傷等に関する相談窓口を開設いたしました。寄せられた相談については、法務局、警察等と連携し、相談者の御希望や相談内容に応じて適切に対応するとともに、人権対策チームを中心として必要な対策を部局横断的に検討・推進してまいります。差別や誹謗中傷をなくすためには、多くの関係者の積極的な取組が重要です。そのため、明日、市長会・町村会、経済・労働団体、PTA連合会や「シトラスリボンプロジェクト」の賛同団体の皆様と一緒に、誹謗中傷等がない社会を共に目指していくとの共同宣言を行う予定であり、思いやりと支えあいでコロナ危機を乗り越えていくためのキャンペーンを合わせて開始いたします。県としても、新型コロナウイルス感染症に関する正確でわかりやすい情報の提供を行うなど、差別や偏見の根底にある不安や恐れがいたずらに増幅されることのないよう、引き続き努力してまいります。

 【国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の延期】

 新型コロナウイルスの影響で、今年秋に開催予定であった鹿児島国体が延期されたことに伴い、本県で開催予定の第82回国民体育大会及び第27回全国障害者スポーツ大会についても令和9年から令和10年に開催が延期される見込みです。両大会については、平成29年の県議会での招致決議を経て、競技団体や市町村をはじめ多くの皆様方と準備を進めてきたところですが、新型コロナウイルスによる難局を全国で協力して乗り越えていく必要があることから、本県としても前向きに対応してまいりたいと考えています。今後、開催延期が正式に決定された場合には、県議会をはじめ、競技団体や市町村など、様々な関係者の御協力をいただきながら、必要な取組を行ってまいります。

 令和10年は、「やまびこ国体」からちょうど半世紀となる50年目、長野冬季オリンピック・パラリンピックの開催からは30年目の節目の年に当たります。両大会が、出場選手や関係者はもとより、多くの県民の皆様の心に残る素晴らしいものとなるよう、引き続き、着実に準備を進めてまいります。

 【新しい県立美術館の開館】

 今回提出した「長野県信濃美術館条例の一部を改正する条例案」は、新しく美術館を整備することに伴い、美術館の名称を「長野県立美術館」に改称し、利用料金の額等について所要の改正を行うものです。

 この度の建替えを契機にソフト・ハード両面で美術館のあり方を一新してまいります。まず、展示環境の大幅な改善によって、国宝や重要文化財を含む企画展や巡回展の開催が可能となります。新たに設ける常設展示室では、菱田春草や村山槐多など4,600点余りの収蔵作品の中から、時々のテーマに合った作品を展示いたします。コレクション・ポリシーに「自然と人の共存・共栄」というテーマを新たに加え、国内外の優れた作品を積極的に収集します。また、「学びの県づくり」の一環として、アート・コミュニケータによる対話型鑑賞機会の提供や、学芸員等によるワークショップの開催、アート・ライブラリーの新設等により、アートによる学びの支援を充実します。さらに、他の美術館と連携した交流展・移動展の開催や、若手作家の育成などを通じて、県立美術館として多くの県内美術館の中心的な役割を果たしてまいります。また、国宝善光寺本堂に隣接するという好立地を活かし、「ランドスケープ・ミュージアム」として周囲と一体となった美しい景観を作り出すとともに、屋上広場やカフェレストラン、イベント等で使用できるレセプションルームなどを設け、美術作品の鑑賞以外でも楽しんで御利用いただけるよう機能を充実します。

 長い間親しまれてきた信濃美術館ですが、今回、ソフト・ハード両面で大きく生まれ変わるにあたり、美術館の性格をわかりやすく示すとともに、国内外の皆様に対して広く来館を呼びかけるため、名称を「長野県立美術館」と改めます。

 先人の取組に対する敬意と感謝、そして開館以来の歴史をしっかりと継承しながら、多くの方々に愛され、訪れていただける美術館となるよう、来年4月10日の開館に向けて鋭意準備を進めてまいります。

 【県財政の現状と今後の財政運営】

 今年度の県税収入は、新型コロナウイルスの影響による企業業績の下振れや消費の低迷により、当初予算額に比べて100億円以上の減収となる見通しです。多くの企業が今後の業績に厳しい見通しを立てており、来年度の税収は今年度を更に下回ることが予想されます。一方で、新型コロナウイルスによる危機に立ち向かうための医療・検査体制の強化や生活・産業支援、令和元年東日本台風災害及び令和2年7月豪雨災害からの復旧・復興については、県民の皆様の命と暮らしを守るため、待ったなしで取り組まなければなりません。今年度当初予算及び今回の予算案を含む補正予算では、新型コロナウイルス対策に約1,360億円、災害からの復旧・復興に約880億円もの財源を充当しており、当面、厳しい財政運営は避けられません。

 知事就任から昨年の東日本台風災害発生前まで、毎年度、財政調整のための基金の積増しと通常債残高の縮減などに取り組んできたことや、災害からの復旧に当たっても国庫支出金や交付税措置のある地方債を最大限活用してきたことから、現時点では、実質公債費比率等の財政健全化判断比率を健全な水準で維持できるものと考えていますが、引き続き、ICTの活用等による物件費の削減、緊急性が低い事業の休止や廃止等により一般財源負担の抑制を図るなど、細心の注意を払って財政運営を行ってまいります。

 なお、国に対しては、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の増額や事業期間の延長等を求めるとともに、地方消費税等を減収補塡債の発行対象とすることや、来年度の地方一般財源総額の確保・充実など、地方財政に対する支援の強化を今後とも強く要請してまいります。

 【補正予算案】

 さて、今定例会に提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 補正予算案は、一般会計755億5,432万2千円、特別会計233万4千円、企業特別会計43億1,700万円であります。

 一般会計補正予算(第6号)案は18億4,374万2千円であり、地域経済の活性化と厳しい経営状況にある観光関連事業者支援のため、観光誘客の促進に係る経費を計上しました。この補正予算案の財源として、国庫支出金18億3,674万2千円、繰越金700万円を見込み、計上しました。

 一般会計補正予算(第7号)案は737億1,058万円であります。これまで申し上げたことに加え、感染拡大防止策を行う高齢者福祉施設に対する支援、有料老人ホーム等の職員への慰労金の支給、補助公共事業による防災・減災対策の実施、県立高等学校の再編に向けて地域の皆様の御意見を伺う「新校再編実施計画懇話会」の開催等に要する経費を計上するとともに、事業の見直しに伴い執行を取り止めた経費を減額しました。この補正予算案の財源として、諸収入312億7,783万5千円、国庫支出金270億9,025万4千円、その他県債など153億4,249万1千円を見込み、計上しました。今年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと1兆1,170億8,253万2千円となります。

 特別会計の補正予算案は、母子父子寡婦福祉資金貸付金に係るものです。

 企業特別会計の補正予算案は、流域下水道事業に係るものであり、先ほど申し上げたクリーンピア千曲の復旧工事について工事費の増額を行うものであります。

 【条例案、事件案、専決処分報告】

 次に、条例案は、新設条例案1件、一部改正条例案5件であります。

 事件案は、医療事故に係る損害賠償についてなど12件であります。

 このうち「大北森林組合への損害賠償請求に係る調停及び債権の放棄について」は、地方自治法第96条第1項第10号及び第12号の規定に基づき、県が大北森林組合に対して行った損害賠償請求に係る調停及び債権の放棄について議会の議決を求めるものです。減額する請求額は実際に施業が実施された部分の金額に限定されていることなどから、裁判所の調停案に合意することが適当と判断したものであります。

 専決処分報告は、令和2年度長野県一般会計補正予算の専決処分報告など12件であります。

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。

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