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更新日:2022年9月22日

令和4年9月県議会定例会における知事議案説明要旨(令和4年9月22日)

 

 ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、4期目の県政を担当するに当たっての所信の一端を申し述べます。

【県政運営の基本方針】
 去る8月7日に執行された県知事選挙におきまして、県民の皆様からの負託をいただき、引き続き県政を担わせていただくこととなりました。大変光栄に存じますとともに、県政課題が山積している折から、改めて責任の重さを痛感しております。今後とも初心を忘れることなく、県民の皆様の御期待に応えることができますよう、長野県の発展に全力を尽くしてまいる決意です。県議会の皆様をはじめ県民の皆様には、どうか変わらぬ御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 県政運営に当たりましては、「対話と共創」を基本に、県民の皆様の思いに寄り添い、ともに考え、行動してまいります。また、「『確かな暮らし』を守り抜く」、「真に『ゆたかな社会』を創る」、「県行政を真に役立つ組織へと変革する」という大きな目標のもと、政策を推進してまいります。

(「確かな暮らし」を守り抜く)
 現在、私たちは、新型コロナウイルス感染症、物価高騰、気候変動とそれに伴う災害の多発化・激甚化、急激な人口減少とそれに伴う人手不足など、多くの危機に直面しています。県民の皆様の確かな暮らしを守り抜くためには、こうした危機を克服し、持続可能で安定した社会を実現していかなければなりません。
 そのため、まずは、新型コロナから県民の皆様の命と健康を守りつつ、物価高騰への緊急的な対策とコロナ禍からの経済再生に全力を傾けてまいります。加えて、素晴らしい地球環境を将来世代に着実に引き継ぐためのゼロカーボン社会の実現、県民の皆様の生命・財産を守るための防災・減災、県土強靱化の推進、医療・福祉や農林業・建設業など地域を支える人材の確保、公共交通をはじめとする社会的インフラの維持・発展に、これまで以上に力を入れて取り組んでまいります。

(真に「ゆたかな社会」を創る)
 IMF(国際通貨基金)のGDP統計によりますと、2021年における我が国の一人当たり名目GDPは世界で28位であり、世界のGDPに占める割合も1990年代半ばの約18パーセントから約5パーセントに低下するなど、経済力の回復が急務となっています。また、格差や貧困、育児・介護に伴う離職など、解決すべき社会的な課題も数多く存在しています。こうした問題意識のもと、真に「ゆたかな社会」、すなわち経済的に繁栄し、健康で文化的な人間らしい生活が営まれる社会の創造に力を尽くしてまいります。
 まずは、産業の生産性向上と働き方改革を一層推進し、県民の皆様の所得の向上とゆとりある暮らしの実現に取り組みます。DX(デジタルトランスフォーメーション)の積極的な推進と環境と調和した経済発展を図ることにより、産業や社会を大きく変革するとともに、心豊かな社会を築くため、景観保全やまちの緑化などの快適な空間づくりや、芸術文化・スポーツの振興にも取り組んでまいります。
 また、誰もが自分らしく生きることができるよう、多様性が尊重される温かく公正な社会の実現を目指します。女性や若者、子どもたちの幸せの追求を最大限応援するとともに、ジェンダーや障がいの有無、所得の違いなどに起因する差別や格差の解消に努めます。さらに、子どもたちの能力や適性に合わせた個別最適な学びの実現に挑戦するほか、地域医療と介護サービスの更なる充実に取り組みます。

(県行政を真に役立つ組織へと変革する)
 「真に役立つ県行政」を目指し、県組織の変革にも取り組みます。
 まず、複雑・多様化する課題に対し、県民起点で創造的に対応していくため、仕事の仕方や総量の見直し、組織内分権やデジタル技術の活用等を進め、業務の効率化や職員の多忙感の解消を図るとともに、地方分権の更なる推進や、市町村との協力・連携関係の一層の強化に取り組みます。また、幅広い県民との「対話と共創」を促進し、積極的に行動する組織を目指します。さらに、財政の健全化に取り組み、その持続可能性を高めるとともに、政策評価を踏まえた施策の構築や事業の改善を進めます。
 本年度中の策定を目指している新たな行政・財政改革方針にこうした考え方を盛り込み、速やかに実行してまいります。

 以上のような基本方針を含めて選挙で掲げた公約につきましては、「スタートダッシュ・アクション2022」として速やかな具体化を図るとともに、年内に計画原案を取りまとめる予定となっている次期総合5か年計画に反映させることにより、その実現に鋭意取り組んでまいります。

【スタートダッシュ・アクション2022】
 新たな任期の開始に当たり、公約として掲げた施策のうち速やかに取り組む事項を「スタートダッシュ・アクション2022」として取りまとめ、公表いたしました。
 まずは「対話と共創」を具現化するため、来月から県民の皆様との対話集会を実施したいと考えております。私自身ができるだけ速やかに全市町村を訪問し、市町村長の皆様とも課題を共有させていただく予定です。「県民参加型予算」については、来年度予算で試行的に実施いたしたいと考えております。現在詳細を詰めているところですが、県民の皆様に事業提案や事業選定プロセスに関与していただくなど、県政をできるだけ身近に感じていただけるよう工夫してまいります。
 「確かな暮らし」を守り抜くため、ウィズコロナに向けたコロナ対策の見直しと生活・産業における様々な価格高騰への対策については、当面の最重要課題として取り組んでまいります。また、「ゼロカーボン社会共創プラットフォーム」を今月中に始動し、多様な主体との共創による気候危機突破プロジェクトの推進やゼロカーボンミーティングの開催などを通じて、気候危機に立ち向かう行動の輪を広げてまいります。
 真に「ゆたかな社会」を創るため、まず、令和5年度の大学等への入学者から支給を開始できるよう新たな給付型奨学金制度の検討を進めるほか、学びの充実と地域の活性化に資する山村留学については、市町村や関係団体等からなる推進組織「信州自然留学(山村留学)推進協議会(仮称)」を新たに設置し、実施地域の拡大や情報発信の強化などに取り組んでまいります。また、性的マイノリティの方の生きづらさを解消し、あわせて社会全体の理解を促進するため、同性パートナーシップ制度の来年4月からの施行を目指して検討を進めます。さらに、若者や女性、障がい者等に対する就労相談から就職先のあっせんまでをワンストップで行う「地域就労支援センター(仮称)」を来年4月に各地域振興局に開設できるよう準備を進めます。
 県行政を真に役立つ組織へと変革する一環として、保健師や保育士など単独市町村では採用が難しい人材を、市町村と協力して確保するための仕組みを検討してまいります。
 続きまして、当面の県政課題について御説明を申し上げます。

【故安倍晋三元総理の国葬儀への対応】
 初めに、去る7月8日に選挙の応援演説中に銃撃されてお亡くなりになられた故安倍晋三元総理の御逝去を悼み、謹んで哀悼の誠を捧(ささ)げます。
 今月27日、故安倍元総理の国葬儀が挙行されます。
 故安倍元総理におかれては、神城断層地震災害や令和元年東日本台風災害の際、直ちに被災地を御訪問いただき、地域の要望に真摯に耳を傾けていただいたほか、地方創生を重要政策として掲げ、地方との連携を推進していただくなど、本県の災害復興や発展に多大な御支援を賜りました。本県としては、県の本庁舎及び各合同庁舎に半旗を掲揚し、弔意を表したいと考えております。
 本来であれば知事として国葬儀に参列するべきところですが、当日は、御嶽山噴火災害の犠牲者追悼式が王滝村で開催される予定です。そのため、国葬儀は欠席とさせていただき、救助・捜索の指揮を執った責任者として追悼式に出席し、噴火災害で犠牲になられた方々に対する追悼の言葉を申し述べさせていただくことといたします。

【新型コロナウイルス感染症への対応】
 新型コロナウイルスのオミクロン株BA.5系統への置き換わりに伴い、新型コロナの感染者が7月以降全国的に急増いたしました。本県においても1週間当たりの新規陽性者数は7月19日以降過去最多を更新し続け、それに伴い確保病床使用率も上昇し、8月8日に「医療非常事態宣言」を、お盆明けの医療提供体制のひっ迫を受け8月24日には「BA.5対策強化宣言」を、それぞれ発出いたしました。
 この間、必要な方が適切な医療を受けられる状態を維持するため、「病床使用率の抑制」と「外来診療の負担軽減」に取り組んでまいりました。ワクチン接種の更なる推進、確保病床の531床への増床、高齢者施設等への検査キットの配布、新たな宿泊療養施設の開設などに取り組むとともに、重症化リスクが高い方を守るための行動を県民の皆様にお願いしてまいりました。また、「みなし陽性(臨床診断)」の導入や「若年軽症者登録センター」の設置などを進めるとともに、重症化リスクが低い方に対しては自宅での健康観察や自己検査の活用を呼び掛けてまいりました。
 こうした取組や県民の皆様の御協力により、「BA.5対策強化宣言」については、当初の予定どおり今月4日で終了することができました。その後も新規陽性者数の減少、確保病床使用率の低下傾向が継続したことから、先週13日に「医療非常事態宣言」を、さらに本日「医療特別警報」をそれぞれ解除し、現在は「医療警報」を発出している状況です。
 今月26日からは、陽性者の全数届出の見直しが全国一律で実施されるなど、新型コロナへの対応は大きく変わろうとしています。本県としても、「若年軽症者登録センター」の対象年齢の拡大やかかりつけ医等に自宅療養者が直接相談・受診する体制への移行など、季節性インフルエンザとの同時流行も想定しながら、次の大きな波に備えた新たな体制構築を進めてまいります。
 ワクチン接種については、10広域全てでの県接種会場の設置や、高齢者施設への巡回接種、ワクチン接種バスの運行などにより、市町村と協力して3回目、4回目の接種促進に取り組んでまいりました。その結果、今月20日時点で、4回目接種における60歳以上の方の接種率は対象人口の72.7パーセントで全国第2位、3回目接種率は全人口の70.1パーセントで全国第7位となっています。今月中には、オミクロン株対応ワクチンによる追加接種が開始されることから、改めて県民の皆様に対して積極的な接種の検討を呼び掛けてまいります。

【長野県価格高騰緊急対策(第二弾)の策定・実施】
 食料品やエネルギー、原材料などの価格上昇が止まりません。本年8月の全国の消費者物価指数は、前年同月比で、エネルギーが16.9パーセント、生鮮食品を除く食料が4.1パーセント上昇するなど、5か月連続で2パーセントを超える伸びとなっています。企業物価指数についても、電力・都市ガス・水道、鉄鋼、石油・石炭製品などでの高い伸びにより、前年同月比9パーセント以上の上昇が今年に入ってから継続しています。こうした状況を受け、多大な影響を受けている県民、事業者を支援するため、「長野県価格高騰緊急対策(第二弾)」を策定しました。「生活者への支援」、「事業継続への支援」、「エネルギーコストの削減」、そして「県内消費の拡大」の4つの観点から、県民の皆様の暮らしや産業への影響の緩和に努めるとともに、省エネやDXなど未来志向の取組にもつながるよう取り組んでまいります。
 「生活者への支援」としては、国の1世帯当たり5万円の給付金の対象とならない住民税所得割非課税世帯とそれに準ずる家計急変世帯を対象に、1世帯当たり3万円の「生活困窮世帯緊急支援金(仮称)」を支給します。「食料支援調整センター(仮称)」を県社会福祉協議会内に設置し、生活困窮者に対する安定的な食料支援体制を構築します。真に住まいを必要とする方々が県営住宅に入居しやすくなるよう、連帯保証人と敷金一括納付について見直しを行います。また、「信州健康ゼロエネ住宅」の建築促進のため、住宅建築費高騰分の一部を県内工務店に対して助成します。
 「事業継続への支援」としては、安定的なサービス提供を確保するため、物価統制令により入浴料金に上限額が定められている普通公衆浴場や、直ちに価格転嫁が難しい社会福祉施設、医療機関、私立学校などに対し、光熱費等の高騰分を助成いたします。農業分野では、肥料価格、きのこ培地資材価格、養魚用配合飼料価格の高騰分に対する支援を行うほか、輸入小麦の価格が高騰する中、県産小麦の品質向上による生産拡大を支援します。また、借入れが増加した中小企業の返済負担を軽減するため、信用保証付き融資を一括して借換えできる経営健全化支援資金(新型コロナ向け伴走支援型)の貸付限度額の引上げを行うほか、県トラック協会が行う燃料サーチャージ制の広報啓発に対する支援等により適正な価格転嫁を促進してまいります。
 「エネルギーコストの削減」としては、トラック事業者のエコタイヤ購入費を助成するとともに、6月補正予算に計上した中小企業や私立学校、施設園芸農家が行う省エネ設備等の導入を支援するための予算を増額いたします。
 「県内消費の拡大」としては、電子チケットによるプレミアム付き食事券の発行に加え、冬季の観光誘客を促進するためのスキーリフト券や体験型商品の割引販売を実施するほか、小・中・高等学校向けに実施している合宿補助の対象を来月から大学等の高等教育機関にも拡大してまいります。また、「信州割 SPECIAL」の利用者を対象として、本県独自の交通クーポン事業を来月から実施する予定です。

【ウィズコロナの観光振興】
 観光政策に関しては、来月から秋の観光キャンペーンをスタートさせ、ウィズコロナへの政策転換を積極的に進めてまいります。信州の秋の魅力である「食」や「紅葉」を中心に、JRや市町村、観光団体等と連携して首都圏等でのプロモーションを精力的に行うとともに、現在、実施している県内及び近隣県を対象とした「信州割SPECIAL」についても、全国旅行支援が開始された場合には速やかに切り替えることができるよう準備を進めるなど、旅行需要の最大限の取り込みに努めてまいります。
 インバウンドについては、未(いま)だに新型コロナの水際対策として個人旅行が解禁されていないことから、宿泊予約のキャンセルが発生しつつあります。これまで本県を訪れるインバウンド客は冬のスキーシーズンが最も多かったことから、今月14日、新潟県の花角(はなずみ)知事をはじめとする関係者とともに、個人旅行の解禁やビザの免除を直ちに実行するよう、国に対して緊急要望を行ったところです。引き続き、国に対しては早急な対応を求めつつ、水際対策の更なる緩和を見据えて、国際旅行博への出展、海外の旅行会社やメディアの招へいなどを進めるほか、私自身もオーストラリアを訪問してトップセールスを行ってまいります。加えて、スキー場における多言語表記の推進や自動改札の導入などの環境整備を支援し、インバウンドの受入準備を進めてまいります。

【令和4年大雨災害への対応と土木インフラ緊急修繕対策の実施】
 近年、気候変動の影響により災害が激甚化・頻発化しており、今年も線状降水帯等による大雨被害や大型台風による風水害が全国各地で発生しています。県内においても、先月6日から7日にかけての局地的な大雨により、土尻川での越水や濁沢(にごりさわ)地区での地すべりの発生など、小川村、長野市を中心に甚大な被害が発生いたしました。この災害は激甚災害として指定される見込みであり、国と連携して早期に災害査定を行い、市町村とともに早急な復旧・復興に当たってまいります。このほか、1時間に50ミリを超える非常に激しい雨は、県内各地で多数観測されており、7月には長野市や上田市などにおいて被害が発生したところです。
 今回の補正予算案では、こうした大雨等により被災した道路・河川・砂防施設等の応急対策・復旧工事のための経費に加え、経年劣化が進んでいる道路舗装や河川堤防などの土木施設を緊急的に修繕するための土木インフラ緊急修繕対策費を計上いたしました。県としては、今後、ビルド・バック・ベター(よりよい復興)の視点を持ちながら、被災箇所の早期の復旧・復興に全力で取り組むとともに、住民に身近な土木インフラのメンテナンスを着実に進め、地域の安全・安心の確保に努めてまいります。

【「若者・子育て世代応援プロジェクト」の推進】
 20年前と比べて出生数が約4割減少するなど、急速に進展する少子化に立ち向かうため、本年施行された「県民の希望をかなえる少子化対策の推進に関する条例」を踏まえ、市町村とともに「若者・子育て世代応援プロジェクト」を積極的に推進してまいります。
 女性や若者が暮らしたくなる信州をつくるため、従業員の奨学金返済を支援する企業を来年度から助成するほか、夫婦二人世帯で100万円、18歳未満の子どもについては1人当たり30万円を加算する移住支援金や、最大200万円の支援を受けられる創業支援金に係る広報の充実、労働局や経済団体と連携した仕事と出産・育児を両立できる環境づくりなどを進めてまいります。
 若者の出会いや結婚の希望を実現するため、地域・業種を越えたグループ同士のマッチングサイトによる交流支援や、結婚に伴う住居費等を支援する結婚新生活支援事業の更なる普及などを進めるほか、来月1日からは新婚夫婦や結婚を予定しているカップルが協賛店舗での割引や特典を受けられる「ながの結婚応援パスポート(enn pass(エンパス))」制度を開始してまいります。
 子どもを生み育てる世代の安心と幸せの実現を図るため、今年度から不妊治療に医療保険が適用されることと合わせて、保険適用外となる先進医療に対する助成等を新たに開始したほか、来月からは不妊・不育専門相談センターの相談体制を拡充いたします。また、子どもの医療費助成についても県としての助成対象を拡大したところです。  
 今後とも、若者や子育て世代の希望を実現するため、仕事と出産・子育ての両立支援や子育て世帯の一層の負担軽減などを推進し、出生数の減少にも歯止めをかけることができるよう取り組んでまいります。


【「障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例」の具体化】
 「障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例」に基づき、来月からは、事業者にも障がいのある人に対する不当な差別的取扱いの禁止及び社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な配慮が義務付けられることとなります。そのため、事業者向けにチラシを配布して条例の内容を周知するとともに、優れた合理的配慮を行う事業所を「ともいきカンパニー」として認定する制度を来月から開始いたします。あわせて、不当な差別的取扱い等に関する紛争解決を図るための第三者機関として「共生社会づくり調整委員会」を設置します。
 芸術文化活動を通じて障がいのある人に生きがいや楽しさを感じていただけるよう、本年6月に「障がい者芸術文化活動支援センター」を設置いたしました。同センターでは、各種の相談対応や、障がいのある人の芸術文化活動を支援する人材の育成に取り組むほか、障がい者アートを身近に感じていただくことができるよう、「ザワメキアート展」の開催や、来年4月からの実施に向けて現在検討中のアート作品のレンタル事業などに取り組みます。
 今後とも、本条例を踏まえ、その理念や事業者の役割、合理的配慮のあり方などについて、フォーラムの開催やSNSでの発信を通じて周知に努めるとともに、医療・介護、学校教育、就業機会、住宅の確保など県の様々な政策において、本条例に定められた事項の具体化を進めてまいります。

【G7外務大臣会合の開催】
 来年春、軽井沢町でG7外務大臣会合が開催されることが決定いたしました。国際社会における喫緊の課題を議論する重要な会合の開催地として、軽井沢町が選ばれましたことは大変ありがたく、各国外務大臣をはじめ関係の皆様を心より歓迎したいと思います。誘致に際し、県議会をはじめ多くの皆様のお力添えを賜りましたことに厚く御礼を申し上げます。
 開催決定を受け、今月12日、新たに「G7外務大臣会合準備室」を企画振興部に設置し、今月16日には、同会合の円滑な実施に向けて、「G7外務大臣会合長野県推進本部」を立ち上げました。 
 今回の補正予算案では、官民一体で受入準備を進めるための協議会の設立等、同会合の受入れに必要な経費に加え、記念イベントの開催等関連事業に要する経費を計上いたしました。今回の会合が、本県の持つ魅力や強みを世界へと発信し、観光誘客等を促進するための有効な機会となるよう努力するとともに、会合の成功に向け、外務省や軽井沢町とも十分連携しながら準備に万全を期してまいります。

【御嶽山ビジターセンターの開館等】
 木曽町、王滝村と共に整備を進めてきた2つの「御嶽山ビジターセンター」が、先月27日に開館いたしました。県議会議員の皆様をはじめ、多くの方々のこれまでの御支援・御協力に心より感謝申し上げます。
 県立の「やまテラス王滝」は、標高2,190メートル、雄大な御嶽山を眼前に臨む王滝登山口に立地し、御嶽山に関する最新の火山情報のほか、御嶽山の歴史や文化、自然の魅力などを発信する「火山防災と自然情報の発信拠点」となります。また、木曽町の「さとテラス三岳」は、名古屋大学御嶽山火山研究施設を併設し、御嶽山火山マイスターの活動拠点でもあることから、地域住民の学びと交流の場となることが期待されています。
 全国でも有数の火山県である長野県としては、多くの方々が犠牲となられた2014年の御嶽山噴火災害の教訓を決して風化させてはいけません。そのため、噴火当日である9月27日を「火山防災の日(仮称)」として定め、火山防災に係る意識の更なる高揚と対策の一層の推進に継続的に取り組んでまいりたいと考えております。今後、市町村や関係者の皆様の御意見を丁寧にお伺いしながら、制定に向けた準備を進めてまいります。
 御嶽山については、本年6月に環境省から国定公園の指定候補地として選定されました。御嶽山一帯の国定公園化は、噴火災害からの復興を促進し、環境保護と利活用の両面での充実が期待されることから、岐阜県側の関係機関とも連携し、国定公園化に向けた取組を進めてまいります。

【令和5年度以降の森林づくり県民税】
 本年度末で課税期間が終了する森林づくり県民税につきましては、令和5年度以降のあり方について、関係者等の御意見も踏まえ、その必要性等について慎重に検討を行ってまいりました。
 「みんなで支える森林づくり県民会議」においては、二酸化炭素吸収の観点からも森林の役割は大変有効であり、森林づくり県民税は新たな視点や目標を据えて継続をお願いしたいなど、全体的に継続に前向きな御意見をいただきました。また、県民約3,000人に対して行ったアンケート調査におきましても、概(おおむ)ね3分の2の方から継続に賛成との御回答をいただいています。
 本県の多くの森林が伐採適齢期を迎える中で、旺盛な成長力を持つ若い森林に更新するための主伐・再造林の推進は、2050ゼロカーボンを実現し、林業県への飛躍を図るための喫緊の課題です。また、林業人材の確保や防災・減災のための森林整備、里山の利活用やまちなかの緑化推進などは、これまで以上にその必要性が高まっております。
 こうした施策の重要性と、県民会議の御意見や県民アンケートの結果などを踏まえ、令和5年度以降も森林づくり県民税を延長させていただくことが必要であると判断し、本日、基本的な考え方を「長野県森林づくり県民税に関する基本方針(案)」として公表いたしました。
 今回の基本方針案では、次期森林づくり県民税を活用して実施する必要性が高い施策を4つの柱でお示ししています。第一は「森林の若返り促進と安全・安心な里山づくり」です。そのうち再造林については、脱炭素と林業振興の両面で重要な施策として強力に進める必要があることから、費用負担の大きい植林や一定期間の保育作業に必要な経費を全額補助する制度を創設します。第二に「森や緑、木のぬくもりに親しむことのできる環境づくり」です。県民の皆様からは、「森林は多いのに快適に過ごすことができる場所が少ない」との御意見をいただいてまいりました。そのため、県民が広く親しめる里山づくりやまちなかグリーンインフラの整備などを進めてまいります。第三に「森林・林業活動に取り組む多様な人材・事業体への支援」です。健康・教育・観光などに森林を活用する森林サービス産業への支援や、林業に関わる多様な担い手の確保・育成を進めてまいります。そして第四が、「市町村と連携した森林等に関連する課題の解決」です。河川沿いの支障木伐採、ライフラインの保全対策や観光地の景観整備、病害虫被害対策などに係る市町村の取組を支援します。
 緊急度が高いこうした取組を実施するために必要な費用は、森林環境譲与税などの他の財源との整理も含めて精査した結果、令和5年度からの5年間で総額約34億円であることから、県民及び事業者の皆様には個人県民税の均等割で500円、法人県民税の均等割で5パーセントの御負担を引き続きお願いいたしたいと考えております。
 先人たちのたゆまぬ努力により育まれた豊かな森林資源を積極的に利活用しながら、健全な姿で次の世代に引き継いでいくことは極めて重要です。
 今後、県議会、市町村等に対して、今回の基本方針案を御説明申し上げますとともに、広く県民の皆様に対しても説明会やパブリックコメント等を実施し、11月定例会までに県としての最終判断を行いたいと考えております。

【補正予算案】
 さて、今定例会に提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 一般会計補正予算案は144億4,581万7千円であります。これまで述べてきた、新型コロナウイルス感染症への対応、「長野県価格高騰緊急対策(第二弾)」の実施、県民生活の安全・安心の確保、G7外務大臣会合の開催準備などのほか、ウクライナ避難民への支援や地域課題解決のためのデータ連携基盤の構築などに必要な予算を計上しました。
 まず、学びの県づくりを推進するため、フリースクール、山村留学など信州の特色ある学びを行う団体の資金調達を長野県みらい基金と協働して支援します。クラウドファンディングでお寄せいただいた寄付金を活用して、市町村等が行う就学、就労支援等に対する助成や、生活資金の直接的な支給を行うことを通じて、ウクライナからの避難民の皆様の暮らしを支えます。また、県や市町村が異なるフォーマットで保有している防災や交通などに関するデータを一元化し、政策立案や新たなサービス提供に役立てるためのデータ連携基盤を構築します。今年度は、水位や雨量に関するデータを統合し、河川の洪水予測技術の高度化等に用いてまいります。
 この補正予算案の財源として、国庫支出金102億9,520万7千円、県債20億7,300万円、繰越金20億5,615万2千円、その他諸収入など2,145万8千円を見込み、計上しました。今年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと1兆1,058億5,031万3千円となります。

【条例案、事件案、専決処分報告】
 次に、条例案は、新設条例案1件、一部改正条例案1件であります。
 このうち、「一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する等の条例案」は、令和5年から始まる職員の定年年齢の段階的な引上げに関して、役職定年制や定年前再任用短時間勤務制の導入など必要な事項を定めるものであります。
 また、「個人情報の保護に関する法律施行条例案」は、個人情報の保護に関する法律の一部改正により、個人情報の取扱いに係る法律の規定が地方公共団体に適用されることに伴い、法律の施行に必要な事項について定めるものであります。

 事件案は、8件であります。
 このうち、「令和元年公共土木施設災害復旧工事(金山橋下他(かなやまばししたほか))変更請負契約の締結の追認について」は、必要な議決を得ることなく行った工事変更請負契約について、その追認をお願いするものであります。このような誤りはあってはならないことであり、県議会及び県民の皆様に心からお詫(わ)び申し上げます。今後、組織を挙げて再発の防止に努めてまいります。

 専決処分報告は、交通事故に係る損害賠償の専決処分報告など8件であります。

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。

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