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更新日:2023年6月22日

令和5年6月県議会定例会における知事議案説明要旨(令和5年6月22日)

 ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、当面の県政課題について御説明を申し上げます。

 はじめに、先月25日、中野市において、4名の方々が猟銃等で殺害されるという大変痛ましい事件が発生いたしました。お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。県としては、殉職された2名の警察官に対する警察葬を開催し、その御功労に対して賞慰金を授与するとともに、犯罪被害者等支援条例も踏まえ、御遺族の皆様のお気持ちに寄り添った支援を行ってまいります。

【G7長野県軽井沢外務大臣会合の開催】
 4月16日から18日まで、G7長野県軽井沢外務大臣会合が開催されました。G7広島サミットへとつながる大きな意義を持つ会合を本県において安全かつ円滑に開催できましたことに対しまして、地元軽井沢町の皆様はもとより、これまで準備や運営に御協力いただいた県警察本部をはじめ全ての関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
 県産食材を多く取り入れた料理や信州のワイン、日本酒などで各国政府関係者の皆様を温かくおもてなしするとともに、国内外のメディアに対しても、本県の豊かな食文化や健康長寿、雄大な自然や伝統文化などの魅力をアピールすることができました。今後は、こうした本県の強みとこれまでの実績を生かして、国際会議の更なる誘致につなげてまいります。

【しあわせ信州創造プラン3.0の始動】
 2月定例会で県議会の皆様に御議決をいただき、策定した県の総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」が4月からスタートしました。基本目標に掲げた「確かな暮らしを守り、信州からゆたかな社会を創る」を実現するため、新型コロナウイルス感染症や価格高騰など現下の喫緊の課題に的確に対応するとともに、少子化・人口減少や気候変動など中長期的な観点から取り組むべき課題についても強い危機感を持って大変革に挑戦してまいります。

(少子化・人口減少への対応)
 国立社会保障・人口問題研究所が4月に公表した「日本の将来推計人口」によると、我が国の人口は、50年後の2070年には8,700万人となり、現在の人口から約3割減少すると予測されています。一方、長野県の人口は、現状の傾向が続くと仮定すれば、2070年には約4割減の121万人にまで減少することが見込まれており、我が国全体の動向以上に急激な人口減少となる見通しです。また、今月公表された2022年の人口動態統計によれば、本県の合計特殊出生率は1.43と前年より0.01ポイント下がり、出生数は統計開始以来最低の12,143人となるなど、少子化についても一層深刻な状況となりつつあります。
 こうした少子化・人口減少の進行は、経済活動における生産・消費の縮小、社会保障機能の低下、産業における担い手不足の加速化など、地域社会の根幹を揺るがす極めて深刻な問題を引き起こすことが懸念されます。
 県としては、これまでも市町村とともに「若者・子育て世代応援プロジェクト」として、「女性や若者が暮らしたくなる信州づくり」、「若者の出会いや結婚の希望の実現」、「子どもを生み、育てる世代の安心と幸せの実現」を柱に、若者や子育て世代の幸福追求を最大限支援するための取組を集中的に進めてきました。今年度当初予算においても、国基準以上に保育士を配置する私立保育所等の支援や、大学等への進学希望者を応援する給付型奨学金を盛り込むなど、対策の一層の充実に努めているところです。
 しかしながら、少子化対策は時間との闘いです。出生率の回復が遅れれば遅れるほど人口減少のスピードは加速するため、2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとされています。そのため、これまで以上に踏み込んだ政策が必要です。
 折しも国においては、今月13日に、保育士の配置基準の改善、医療費や高等教育費の負担軽減などの子ども・子育て政策を示した「こども未来戦略方針」を公表しました。本県においても、安心して子どもを生み育てることができる社会づくり等による少子化対策と、今後の人口減少を前提とした社会づくりとを検討するため、この夏に「少子化・人口減少対策戦略検討会議」を立ち上げる予定です。結婚や出産、子育ての希望をかなえるための支援策はもとより、女性・若者が住み続けたくなる政策、一人ひとりのライフスタイルに合わせた働き方の実現などについて幅広く議論を行うことにより、少子化に歯止めをかけ、人口減少に適応していくための大胆な政策の立案につなげてまいります。

(ゼロカーボン施策の加速化)
 長野県ゼロカーボン戦略に掲げる高い目標を達成するため、3月に作成した「ゼロカーボン戦略ロードマップ骨子」の具体化を進めています。交通・建物・産業などの6つの分野における施策ごとに温室効果ガスの削減効果等を定量化し、現状と目標との乖(かい)離を把握した上で、9月を目途に効果的な施策を取りまとめてまいります。
 特に、再生可能エネルギーの普及拡大に関しては、地上設置型の太陽光発電設備を地域と調和した形で普及させることができるよう、条例制定の検討を進めております。現在、環境審議会の専門委員会において、住民等への説明や災害の防止、環境・景観の保全などに関する実効性のある手続や基準の在り方について、精力的に検討いただいているところであり、今後実施するパブリックコメントや市町村、県議会の皆様からの御意見も踏まえながら、9月定例会への条例案提出を目指してまいります。
 
【長野県行政・財政改革方針 2023】
 人員や財源など行政経営資源が限られる中、社会の変化を敏感に捉え、県民や社会からの要請に的確に応えていくため、昨年度末、「長野県行政・財政改革方針2023」を策定いたしました。「県民の信頼と期待に応える組織づくり~『学ぶ県組織』の浸透~」、「県民との対話と共創」、「持続可能な行財政基盤の構築」の3つを柱に、取組を強化してまいります。
 特に、県民のために真に役立つ県組織を目指し、職員が明るく楽しく前向きに仕事に取り組むことができる環境づくりを進めるため、「かえるプロジェクト」を始動いたしました。これまで若手や幹部職員により重ねてきた議論の中から、「行政経営理念の浸透などの『目標・意義の共有』」、「業務の効率化などの『“しごと”改革』」、「風通しの良い職場づくりに向けた『職場環境・雰囲気の改善』」、「職員の能力を最大限に引き出す『キャリア開発・人材活用』」の4つを根源的な課題として設定し、解決に向けたタスクフォースを立ち上げたところです。今後、各タスクフォースでの議論を深めるとともに、職員同士の対話を通じて組織風土改革を進めてまいります。

【「物価高克服・経済構造転換のための総合対策」の実施】
 国の支援によりエネルギー価格の高騰は抑制されているものの、食料品の相次ぐ値上げなどが影響し、長野市における4月の消費者物価指数総合指数は11か月連続で前年同月比3パーセントを上回る状況となっています。足下の物価高から県民生活等を守るため、「切れ目のない支援」を継続する一方で、エネルギー価格等の大幅な変動にも耐性を持った「強靱で健全な経済構造」への転換を促進するため、今般「物価高克服・経済構造転換のための総合対策」を取りまとめました。
 「切れ目のない支援」のうち、生活者に対するものとしては、まず、国の支援の対象とならない住民税所得割非課税世帯等を対象として、1世帯当たり2万円の支援金を支給することに加え、そのうち国の子育て世帯生活支援特別給付金の対象とならない世帯に対しては、18歳以下の子ども1人当たり3万円の特別給付金を県独自に支給します。また、国によるエネルギー価格の激変緩和対策の対象となっていないLPガスの利用者に対しては、LPガス販売事業者を通じて1契約当たり3千円の料金支援を行います。さらに、県立学校、私立小中学校の給食費の負担軽減を引き続き行うとともに、信州こどもカフェなどによる食料支援の充実に向けて、フードバンク活動団体の食料保管や運搬のための設備整備に対する助成を行います。
 事業者への支援としては、国の電気料金支援の対象となっていない特別高圧契約の中小企業者等に対して支援金を支給するほか、バス・タクシー・地域鉄道事業者や社会福祉施設・医療機関・私立学校等の燃料費や光熱費、畜産農家の飼料やきのこ生産者の培地の購入費などを引き続き助成してまいります。また、登山道補修や遭難救助など山小屋が担っている公益的機能を維持するため、燃料費等の高騰分を支援します。
 「強靱で健全な経済構造」への転換を図るため、適正な価格転嫁の促進、生産性向上とコスト削減支援、地域内経済循環の確立に取り組みます。
 適正な価格転嫁の促進に向けては、下請企業との望ましい取引慣行の遵守等を宣言する「パートナーシップ構築宣言」について、引き続き県内企業に周知して参画を促すほか、SDGs推進企業登録制度の登録要件に追加するなど、その拡大を図ってまいります。加えて、中小企業の経営相談窓口となる「下請けかけこみ寺」の周知や、価格交渉力を高めるための事業者向けセミナーの開催などに取り組みます。
 生産性の向上としては、アウトドアアクティビティによる通年誘客を促進する観点から、デジタル技術の活用や新たな事業展開等を行う観光事業者への支援を行います。あわせて、酪農経営を改善するための伴走支援、林業事業体の高性能林業機械等のレンタル経費の助成に取り組みます。また、コスト削減支援としては、中小企業や社会福祉施設等が取り組む省エネ・再エネ設備の導入支援に引き続き取り組んでまいります。
 地域内経済循環の確立に向けては、「しあわせバイ信州運動」を強化し、今年度は畜産物やペレット・薪(まき)などの木質バイオマスをテーマに県内消費を促進するための懇話会を開催します。このほか、牛乳・乳製品の消費拡大キャンペーン、化学肥料の代替となる緑肥作物の作付け支援などに取り組んでまいります。

【新型コロナウイルス感染症への対応】
 先月8日から、新型コロナウイルス感染症(COVID(コヴィッド)-19)の感染症法上の位置付けが5類となりました。これに伴い、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対策本部は廃止し、県独自に「長野県新型コロナウイルス感染症警戒・対策本部」を設置するとともに、病床のひっ迫状況を県民の皆様に伝える「医療アラート」の改定を行うなど必要な見直しを行いました。これまでのところ急激な感染拡大の傾向は見られませんが、引き続き、入院者数の推移や全国の発生状況などの感染状況を把握し、県民の皆様への分かりやすい情報発信と注意喚起に努めてまいります。
 外来診療や入院については、9月末までに原則として全ての医療機関で受け入れていただくことを目指し、引き続き医療機関に対する働きかけを行うとともに、必要な設備の整備を支援してまいります。また、先月設置した「長野県新型コロナ健康相談センター」において、症状が悪化した場合などに24時間体制で相談に応じることにより、自宅で療養される県民の皆様の不安解消に努めてまいります。重症化リスクの高い方等を対象に先月8日から始まったワクチン接種については、8月末までの接種期間の3分の1を経過した今月18日現在、65歳以上の高齢者の接種率は35.5パーセントとなっており、これまでのところ接種は順調に進んでいます。
 今後とも、新型コロナの感染急拡大等も念頭に置きながら、引き続き県民の皆様の命と健康を守る取組を進めてまいります。

【「長野県パートナーシップ届出制度」の創設】
 誰もが自分らしく生きることができる社会の実現に向けて、性的マイノリティの方々の生活上の障壁を取り除くとともに、県民の性の多様性に対する理解を促進するため、「長野県パートナーシップ届出制度」を創設いたしました。少なくとも一方が性的マイノリティであるお二人が、日常生活において継続的に協力し合うパートナーシップ関係であることを県に届け出る制度であり、8月から施行する予定です。
 県では、県営住宅への世帯としての入居申込み、県立医療機関における緊急治療への同意や面会などにおいて、届出受領証を提示していただくことにより夫婦や家族と同様の対応を行うこととしております。また、保育施設への送迎なども含めた市町村の行政サービスにつきましても、制度の趣旨を踏まえて対応していただくよう協力をお願いしてきたところです。
引き続き、性の多様性に対する理解の促進とこの制度の普及・定着を進めてまいります。

【災害等への対応】
 今月2日からの大雨により、南信地域を中心として住家や道路等に被害が発生いたしました。今回の大雨では、国道152号や国道418号への土砂流出等により、飯田市上村・南信濃や天龍村において、住民が一時孤立する事態となりましたが、速やかな土砂撤去や迂(う)回路の確保により、孤立を解消いたしました。現在、路肩決壊防止などの応急対策を進めているところであり、今後、今回の補正予算案に計上した災害復旧費などにより、被災した道路や河川、砂防施設などの早期復旧に努めてまいります。
 平年を2度程度上回る3月の平均気温の影響で、果樹等の生育が2週間程度早まる中、4月当初からの連続した低温や降霜により、県内各地でりんごやなしを中心に23億円余の農作物被害が発生いたしました。県では、農業農村支援センターに凍霜害に関する相談窓口を設置するなど、生産者団体と連携しながら被災農家が抱える技術面・経営面の様々な課題に丁寧に対応してまいりました。今後とも、被害を受けられた農家の皆様の声をお伺いしながら、意欲をもって営農を継続していただけるよう必要な支援策を検討してまいります。また、近年、温暖化の影響で農作物の生育が早まる傾向にあり、凍霜害が頻繁に発生していることを受け、新たな被害防止対策や必要な支援策について、生産者団体をはじめとする関係機関とともに検討を行ってまいります。
 今月12日、しなの鉄道上田駅構内において、入換え作業中の4両編成の回送列車が脱線する事故が発生いたしました。現在、しなの鉄道のほか国土交通省北陸信越運輸局、県警察本部により事故原因の調査が行われています。しなの鉄道は地域に不可欠な交通手段であることから、その安全確保のための取組を県としても支援してまいります。

【決算見込み】
 令和4年度の決算見込みについて申し上げます。
 昨年度は、最終年度を迎える「しあわせ信州創造プラン2.0」の総仕上げに取り組むとともに、コロナ禍や価格高騰、自然災害等への緊急的な対応にも積極的に取り組んだ結果、一般会計の歳出総額は過去2番目の規模となる1兆1,872億円余となる見込みです。県税及び地方交付税が当初の見込みを上回ったことに加え、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金が所要額以上に交付されたことなどにより、一般会計の実質収支は99億円余の黒字となる見込みです。なお、この交付金の不用額約40億円については今後返還等の対応が必要となることから、これを除いた本来の実質収支は59億円余となる見込みです。
 今後、歳入確保や予算の重点化などの取組を一層強化し、持続可能な財政構造の構築に努めてまいります。

【補正予算案】
 さて、今定例会に提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 一般会計補正予算案は211億2,374万9千円であります。これまで述べた「物価高克服・経済構造転換のための総合対策」の実施や新型コロナへの対応のほか、夜間・早朝及び休日に救急医療相談に応じる電話相談窓口「#(シャープ)7119」の設置、世界水準の山岳高原観光地づくりを推進するために必要な観光振興財源の検討、小諸新校及び伊那新校の施設整備に向けた地盤調査や設計などに必要な経費を計上しました。また、歴史的な建造物である「旧自治研修所(旧県庁舎)」の利活用を図るため、公募により決定した事業者に対して、建物の移築・解体等に要する経費を助成するための債務負担行為などを設定しました。
 この補正予算案の財源として、国庫支出金196億670万6千円、県債12億4,100万円、その他繰越金など2億7,604万3千円を見込み、計上しました。
 今年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと1兆669億4,673万3千円となります。

【条例案、事件案、専決処分等報告】
 次に、条例案は、一部改正条例案4件であります。
 このうち「長野県県税条例の一部を改正する条例案」は、電動車の一層の普及促進を図る観点から、自動車税環境性能割の税率適用に当たっての燃費基準達成度について3年間で段階的に引上げ等を行うものであります。 

 事件案は、交通事故に係る損害賠償についてなど17件であります。
 このうち、「高等学校の統合について」は、須坂東高等学校と須坂創成高等学校の統合に係るものであります。

 専決処分等報告は、令和4年度長野県一般会計補正予算の専決処分報告など23件であります。

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。
 

 
 

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