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更新日:2019年8月19日
長野県知事 阿部守一
私からは冒頭4点お話したいと思います。まずはじめに浅間山の噴火についてです。ご承知の通り8月7日22時8分頃、浅間山で小規模な噴火が発生しました。同日22時30分に噴火警戒レベルが1(活火山であることに留意)から3(入山規制)に引き上げられたところですが、県としては直ちに警戒対策本部を立ち上げて、被害情報の把握等に努めてまいりました。人命最優先という観点で取り組んできましたが、幸い噴火による被害情報は長野県側においてはないという現状です。当分の間、関係市町村とも情報を共有し、連携しながら、対応に万全を期していきたいと考えています。
浅間山の現状についてですが、7日の噴火以降、新たな噴火は発生していません。また、地震活動の顕著な活発化は認められておらず、火山性地震も本日は少ない状態になっています。ご承知の通り、今回のレベル3への引き上げによる制限、火口から概ね4キロの範囲への入山規制がかかっている現状ですが、規制区域外においては普段通りの生活を送っている状況でもありますし、観光でお越しいただいた方もお楽しみいただくことができるわけです。私の住まいも浅間山山麓ですが、今日私は通常通り自分の家からこちらに出勤してきたということで、全く普通の生活をしているという現状です。
県としては引き続き、火山に関する正確な情報提供に努めていきたいと思っていますが、一部懸念していますのは、観光に対する風評被害です。キャンセル等が出ているという話も伺っています。浅間山の現状は今申し上げたような状況ですので、今後とも長野県としては正確な情報提供に努めると同時に、風評被害が起こることがないように、関係機関の皆さんと連携して取り組んでいきたいと思っています。火山の噴火ですので、危機意識はしっかりと持ちながらも、あまり過度な対応になることがないように県としても取り組んでいきますので、メディアの皆さまにも、今申し上げた趣旨、状況について、ぜひ多くの皆さまにご理解いただき、伝わるようにご協力いただければありがたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから2点目ですが、豚コレラに対する対応についてです。皆さまのところに資料をお配りしているかと思いますけれども、長野県としての当面の豚コレラ対策、そして緊急対策と書かれているものについては、速やかに専決処分等で予算措置を講じて対応していこうというものです。昨日、吉川貴盛農林水産大臣に対して豚コレラ対応についての緊急要望を行わせていただきました。大臣も私どもの考えを十分お聞き取りいただき、豚コレラへの対応を国としてもしっかり行っていきたいということでした。私どもとしては長野県内の養豚農場へ豚コレラを侵入させないという大方針のもとで、できる対策を最大限講じていきたいと思っています。
野生イノシシ対策ということで、今私どもでは、マップをつくっています。どういう地点で野生イノシシから陽性反応が出ているか、あるいはどこに養豚農家が存在しているか、そして陽性反応が出たところから10キロ圏内がどういう地域になっているのか、というようなことを地図上に落とし込んで、その上で戦略的に野生イノシシ対策を進めていこうということで取り組んでいるところです。まず野生イノシシの監視強化、そして感染確認検査、これもただむやみに検査するということではなくて、戦略的に検査していきたいと思っています。また猟友会の皆さまにご協力いただきながら、イノシシの捕獲対策、追い払い対策、あるいは森林整備も活用しながら、緩衝帯の整備ということも行っていきたいと考えています。また、今後狩猟シーズンを迎えていくわけですけれども、野生イノシシが豚コレラに感染している恐れのあるような山に、いろいろな人にむやみに入られるということは困ると考えていますので、そういう観点で狩猟禁止区域の設定についても行っていきたいと考えています。また、引き続き必要な地点には、経口ワクチンの散布を行っていきます。
また、養豚農場の防疫対策として、侵入防止柵、防鳥ネット、こうしたものの整備を進めると同時に、消毒ゲートの設置等も行っていきたいと考えています。また、ソフト対策としての衛生管理の徹底についても、農家の皆さま方にお願いし、またわれわれも一緒になって、取り組んでいきたいと思っています。そして、まん延防止対策、これは一般の方々への注意喚起等も含めて行っていきますし、昨日行いましたように、国ともしっかり連携しながら、そして、必要な要請を行いながら、対応を進めていきたいと思っています。
裏面に豚コレラ緊急対策ということで、今申し上げた中で特に予算措置が必要なものについて書いています。「1、野生イノシシ侵入防止用の防護柵等の設置」については、これは県として補助するだけではなく、市町村と協調して農家負担が生じないように対応していきたいと考えています。それから「2、農場出入口の車両消毒装置の設置」ということで、これについても市町村と協調して取り組んでいきますけれども、1については国で補助制度の創設を検討していただいているところですので、国の補助制度が早期に具体化するように、昨日も農水省にお願いしているところです。2については、当面、県単独事業で行うという形になるかと思いますけれども、これについても昨日、消毒ゲートであったり、動力噴霧器の設置であったり、こうしたものも国の補助対象に加えていただく必要があるのではないかということで要請しているところです。
それからソフト対策としては、消毒用資材の購入ということで、消毒用消石灰の配布を行っていきたいと考えています。農家の皆さま方は、本当に大変な不安と闘いながら、ご尽力いただいているわけですけれども、少しでも財政的な負担を軽減すると同時に、ウイルス侵入リスクを低下させたいということで、こうした対策も行っていきます。また、イノシシ以外のネズミ等の小型野生生物が媒介という可能性もありますので、そういう意味で、専門家に委託を行って、その委託先が各養豚農場に個別に指導を行ってもらうというようなことも実施していきたいと考えています。
また、野生イノシシ対策としては、感染が確認されている地域から広げないようにするということが最も重要ですので、先ほど申し上げましたように、猟友会の皆さま方の全面的なご協力、ご支援をいただきながら、この捕獲活動も活発に行っていきたいと考えています。また、こうした取り組みに関連してイノシシの検査量も増えます。また、イノシシと通常の豚との検査を別のラインで行えるようにしたいというようなこともありまして、検査施設、検査機器の整備、そして検査補助員の配置等を行って、検査のさらなる強化、充実を行っていきたいと思っています。こうしたものについては県議会にお諮りしての予算化を待っていますと、時期を失してしまいかねないものが多数ありますので、そういう観点で、私の専決処分等で対応するべく、今詳細を詰めている状況です。できるだけ早く予算措置を講じて具体的な対応を進めていきます。豚コレラについては以上です。
長野県知事 阿部守一
それから大きな3点目ですけれども、8月23日の「食料備蓄確認デー」についてです。防災の観点から、食料備蓄をぜひ進めていただきたい、そして、もう一方で食品ロスを削減するという観点で、賞味期限を確認していただくと同時に、期限前の備蓄食料の有効活用ということを、県民の皆さま方に呼びかけていきます。そうした観点で8月23日を「食料備蓄確認デー」と位置付けます。
今回皆さま方にお知らせする具体的な取り組みは、8月23日金曜日に県庁と長野合庁を除く各合同庁舎において、県民の皆さま方から賞味期限前の備蓄食料の寄付を受け付けるフードドライブ(家庭等で利用されずに眠っている食料を持ち寄っていただき、食料を必要としている方への生活支援に役立てる活動)を県として行っていくこととなります。県も備蓄食料がありますので、県としては約6,000食を子ども食堂に対して寄付したところですが、ぜひ県民の皆さま方も今回備蓄されている食料を点検いただいて、そして有効活用するという観点でフードドライブに備蓄食料を持ち寄っていただきたいと思います。その上で新しい備蓄食料を買い揃えていただければありがたいと思っています。なお、8月23日の1日だけではなかなか難しいという方もいらっしゃると思いますので、現在、県の社会福祉協議会を通じて市町村の社会福祉協議会に呼びかけ、賞味期限前の備蓄品の受付について、市町村の社会福祉協議会においても行っていただく方向で調整しているところです。また、今回の取り組みに合わせてタウンページ株式会社様にご協力いただき、備蓄のポイントについて掲載した「タウンページ」・「防災タウンページ」について、今後県内の全住戸全事業所に配布いただく予定になっています。
この機会に県民の皆さま方にはぜひ備蓄についてもう一度見直していただきたいと思います。特に最低3日分の備蓄をすることをお願いしたいと思います。企業については必要な分ですが、個人の方においては最低3日分の備蓄をお願いしたいと思います。また、賞味期限についてぜひこの機会に確認していただきたいと思います。その上で今申し上げたように、備蓄食料の買い換えをお考えの皆さま方は有効活用という観点で、賞味期限前のものであればフードバンクへの寄付をぜひ検討していただきたいと思っています。今回こうした取り組みを行うわけですけれども、来年度以降はもう少し市町村等の協力もいただきながら全県的な取り組みへと発展させていきたいと考えているところです。この備蓄の関係については以上です。
長野県知事 阿部守一
最後4点目ですが、中国訪問についての報告についてです。8月3日から6日にかけて訪中をしました。今回は青少年交流をより深めていきたいと、また北京の冬季オリンピックあるいはパラリンピックに対する協力を通じて冬季スポーツでの交流をさらに促進していきたいと、そしてウィンタースポーツ人口3億人を目指している中国から長野県に観光でお越しいただく方を増やしたいという観点から訪問しました。許勤(きょきん)河北省長、あるいは苟仲文(こうちゅぶん)国家体育総局長、蔡奇(さいき)北京市書記と直接会談し、今申し上げたような点を中心に要請し、関係の皆さまからはかなり前向きなご回答、一緒になって取り組んでいこうという言葉をいただいたところです。特に国家体育総局との関係では来年の東京オリンピックに向けての事前合宿の要請をしましたし、また友好交流を促進する上での松本空港への直行便のチャーター便の就航というようなことについても要請したところです。長野県は冬季オリンピックを開催した県として、先日も白馬村に蔡奇書記をお迎えしたように、中国側の長野県に対する関心は非常に強いものがあります。より友好交流を深めるきっかけにしていきたいと思いますし、こうした機会に長野県として取り組んでいきたいことについても、ぜひ関係者の理解を広げる中で具体的に進むように取り組んでいきたいと思っています。私からは以上です。よろしくお願いします。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
浅間山の噴火についてですが、長野県側での被害はなかったとお伝えしてよろしいでしょうかということと、改めてこの噴火についての知事の受け止め、予兆がなかったことなど、どのように受け止めているのかお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
まず、この噴火による長野県側での被害情報は現時点ではないということです。私としての受け止めですけれども、危機管理部にも指示していますけれども、今回、夜の10時過ぎという状況における噴火でした。御嶽山噴火災害の例を見るまでもなく、時間とか季節によって同じような規模の噴火であっても、被害状況が変わる可能性もあるわけですので、今回の噴火の状況は気象庁をはじめ、関係機関の皆さんにも協力していただきながら、しっかり検証したいと思っています。と同時に、今、現在警戒レベル3という現状が続いているわけですので、われわれとしては関係方面とも充分連携をとりながら、浅間山の活動については注意深く観察していきたいと思いますし、状況が変化するというようなことがあれば、迅速な対応を行っていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
これまで浅間山では、火山性地震が増えるとか、前兆があった上での噴火が多かったという気象庁の話なのですが、この予兆がなかったというのは知事としてどのようにご覧になっていますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
専門家の見解を待ちたいと思いますが、例えば事前に火山性地震が顕著に増大しているというようなことが今回はなかったということですので、そういう意味では今回のようなことが、先ほど申し上げたように、違う時間帯に起きたときに、今のレベル1の状況であっても500m以内入山禁止という対応になっていますけれども、そういう対応で必要十分なのかというようなことについては、考えていかなければいけないと思っています。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
またその一方で風評被害についてもお話がありました。山に入らなければ普通の県民は注意する必要がないのか、どのようなことを県民にはお伝えになりたいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、私も今朝、浅間山麓から通常通りに出勤しました。もちろん防災状況、今レベル3に引き上げているという現状の中で、4キロ圏内は入山規制がかかっていますから、そのことについてはしっかりと認識していただき、浅間山の入山規制エリアには入らないということは大前提です。その上で、先ほど申し上げたように、われわれも適時適確な情報提供を関係方面と一緒に取り組んでいきますので、そうした情報には充分関心を持っていただきたいと思っていますし、状況の変化があれば、積極的な情報提供を行っていきたいと思っています。そういう意味で、今の現状は、地震活動の活発化等もなく、火山性地震も今日は少ないという現状ですので、この4キロ圏内以外の地域で過度に不安を持っていただく必要はないと考えています。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
つまり情報は気にかけてほしいけれど、通常通りの生活、通常通りの観光をしていただきたいという認識でしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうです。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
豚コレラについてお聞かせください。感染拡大が続いています。農家の方も危機意識をすごくお持ちだと思うのですけれども、知事として受け止めの部分、どのように取り組んでいきたいかを改めてお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
先ほど資料でご説明しましたが、われわれとしては、今、野生イノシシにおける陽性反応が木曽地域を中心として出ているという現状を重く受け止めていますし、非常に危機感を持って受け止めています。養豚農場における豚コレラの発生を防止する、発生させないということに全力を傾けていきたいというのが今の状況です。農家の皆さまの不安や懸念は、もう言葉に表すことができないくらい強いものがあると考えていますので、農家の皆さまの思いも、現場の職員には丁寧に聞き取るよう指示していますので、農家の皆さまとも思いを共有してこの難局、危機をぜひ乗り切っていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
これまでも野生イノシシへのワクチンの対応をしてきたと思うのですが、今日までにどれぐらいの量のワクチンを野生イノシシに散布しているのか、効果検証というのはいつ頃、公にしていただける事なのかをお聞きしてもよろしいでしょうか。
園芸畜産課長 小林安男
これまで3回に分けまして、緊急散布という形で野生イノシシに対する経口ワクチンの散布を実施してきています。場所につきましては、木曽地域、南信州地域、それから松本地域振興局管内の塩尻地域と、伊那地域と諏訪地域という形で行ってきています。合計1,600個の経口ワクチンを散布しているという状況になっています。経口ワクチンのイノシシの摂取状況につきましては、今取りまとめをしているところでございまして、まとまった時点で今日にもプレスリリース等をしたいと考えています。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
これまでのワクチンについての効果検証は今日いただけるということでよろしいですか。
園芸畜産課長 小林安男
取りまとめまして、進行状況が早ければ、今日にも出していきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
分かりました。こちらについては知事にお聞きしたいのですが、経口ワクチンが熱に非常に弱いというような意見、指摘があります。この暑さの中、山の中に散布するということについてはどのようにご覧になっていますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
どのようにというのはどういったことでしょうか。
日本放送協会(NHK) 河合風悟 氏
経口ワクチンの効果についてです。
長野県知事 阿部守一
われわれとしては可能な対策は最大限とっていく必要があると思っています。ですから効果が薄まる可能性があるのでないかといういろいろな議論はいろいろな取り組みについてありますけれども、今取り組めることに最大限取り組んでいくという方針でやっていきたいと思います。その一方で、例えばどれぐらい摂取しているかとか、あるいは先ほど申し上げたように野生イノシシの検査も、これから継続的に行っていくわけですので、そうしたことを通じて効果検証も行いながら、戦略的に対応を行っていきたいと思っています。
時事通信 真勢春海 氏
7日に山梨県の長崎知事がワイン県宣言というのをされまして、長野県もワインに力を入れてきていると思うのですけれども、知事の受け止めをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
長野県も「おいしい信州ふーど宣言」をしたり、あるいは「発酵・長寿」県宣言をしたりして、その中にはワインも含まれていますし、長野県としては信州ワインバレー構想というものを進めているところです。そういう意味で長野県としてはワイン振興をこれまでも力を入れて取り組んできていますし、その大きな成果として、例えばワイン用ぶどうの生産量は長野県が日本一ですし、またワイナリーの数も直近だと51と伺っていますけれども、かなり増えてきています。いろいろな関係の皆さんのご努力とわれわれの取り組みの成果が着実に出ているのでないかと思っています。山梨県がそういう宣言をしたことは、山梨県の取り組みでありまして、ただこれから日本ワインをどうしていくかと考えたときには、世界に向けて発信していく必要があります。ソラリスもそうですけれども、世界の市場を視野に入れて取り組んでいく必要があると思いますので、そうしたことを考えると、何県という狭い括りではなくて、山梨県とも協力できるところは協力して、日本ワインの素晴らしさというものを発信していくということが重要だと思います。
片方でいろいろな分野では切磋琢磨しながら取り組みを進めていくということが重要だと思いますので、そういう意味ではこれからも長野県としてはこのワイン振興を全力で取り組んでいきたいと思っていますし、長野県産のワインを多くの皆さんに、長野県にお越しいただいて楽しんでいただける、そして、世界の中でも評価される、そうしたものになるように取り組んでいきたいと思います。
時事通信 真勢春海 氏
長野県もワイン県と言っても過言ではないぐらいワインは盛んになっていると思うのですけれども、日本酒とワインを改めて日本酒・ワイン宣言をするようなお考えはありませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今のところはないです。やっても別に悪くはないと思いますけれども、私としては先ほど申し上げたように、関係者の皆さんのご尽力もあって、非常にワイン用ぶどうの生産だとか、ワイナリーの設立だとか、順調に進んできていますので、こうしたことがこれからも継続的に発展していくように、県として具体的な政策のレベルでしっかり取り組みを行っていきたいと思います。
時事通信 真勢春海 氏
長崎知事は、山梨県はワインの元祖としてというようなことを、ライバル心を燃やしているようなところを示していますけれども、知事は、山梨と長野で、どちらのワインが美味しいと、または魅力があるとお感じでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは長野県だと思っていますし、いろいろなところでそうやって申し上げてきていますが、実は山梨県と長野県はある意味融合していまして、例えば長野県でつくったワイン用ぶどうを山梨県のワイナリー醸造所に持っていき、ワインになっているものもあります。そういう意味では、長野県と山梨県の協調でつくられているワインというものも、実際にあるわけですので、そういう意味でこっちがいいということを競うよりは、むしろ、協力するところは協力しながら、全体としての産業の振興を図っていくということが重要でないかと思っています。もちろん長野県産のワインは品質が高いし、美味しいということは、県知事の立場としてはいろいろなところで申し上げてきていますし、これからも申し上げていきますけれども、具体的な取り組みにおいては協調するところは協調していくということも必要だと思っています。
時事通信 真勢春海 氏
長野は良いブドウが取れるという所があると思うのですけれども、改めて長野ワインに対する知事の思いをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
例えば、この間のワインコンクールで金賞を受賞したワイン、日本ワインコンクール2019での金賞受賞が5つあるわけです。本当に長い間の皆さんの御努力と長野県の気候が育む優れたブドウの賜物だと思っていますが、私としては、世界に通用するワインをたくさん有しているのが長野県だと思っていますし、またワイナリーが増加して、特に若い方たちがワイナリー、ワイン醸造、あるいはワインブドウの生産に参入してきているということが実は長野県のこれからの未来に向けての潜在的な力だと思っています。こういうものをしっかり伸ばしていきたいと思っています。
ちなみに先日G20のエネルギー環境大臣会合のレセプションの時に世耕経済産業大臣は、「EUの皆さんは日本にワインをいっぱい買ってもらいたいと思っていると思いますけれども、長野県のワインは美味しい。逆に皆さんのところに日本のワインを持っていかなければならないのではないのですかと思っています。」というようなあいさつをしていただいていますので、そういう意味で世界の中でも一目置かれるワインに、長野県産のワインは発展してきていると思っていますので、これからもそうした特色や素晴らしさというものをしっかり発信していきたいと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
浅間山の話に戻ってしまうのですが、観光のトップシーズンということで風評被害が一番怖いという話を先ほどされていたと思うのですが、現状で県内の観光地への影響があるのか、例えば先ほどキャンセルといったお話をされていたのですが、どの程度、観光への影響があるのかということをお伺いしたい。
観光誘客課長 大槻覚
登山客につきましては宿泊のキャンセル等も出ていますけれども、一般の観光客については通常通りきているというような佐久地域振興局からの報告を受けていますし、小諸や軽井沢の宿泊施設にも直接電話でお聞きしましたけれども、通常ベースの入り込みになっているという話をお聞きしています。
日本農業新聞 飯島有三 氏
豚コレラの緊急対策で改めて何点か確認したいが、これまでの侵入防止柵の設置や専門家の動物侵入防止の指導は、野生イノシシの感染が確認されているエリアを中心に対策されてきたものだと思うのですけれども、今回の一番のポイントは県内の全養豚農場を対象にハード、ソフト両面を行うという理解でよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほどの私の説明が不十分だったかもしれませんけれども、全くご指摘の通りです。野生イノシシの陽性反応が出ているところに近い市町村と必ずしもそうではない市町村と、農家の皆さんは問題意識をもちろんお持ちと思いますけれども、市町村レベルではいささか意識が異なる可能性もあるので、今われわれは地域振興局等を通じて、養豚農家がある市町村の皆さんには、まず市町村と協調して支援して、早急に農家の皆さんが対応していただけるようにしたいということでお願いしているところですので、県内全域を対象にしていくということが、ご指摘の通り大きなポイントだと思います。
日本農業新聞 飯島有三 氏
速やかに専決処分等で対応されるということなのですが、ハード的な部分で、いつごろまでに設置を終えるという、目標のようなものはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
できるだけ早くと思っています。そういう意味で通常、予算の審議を県議会にお願いすると9月議会という形になってしまいます。そこからの対応になってしまうので、できるだけ早く専決処分も含めて対応していきたいと考えています。
日本農業新聞 飯島有三 氏
この場合、対象となる養豚農場は具体的な数で、今、何戸という形になりますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
対象となる農場数は全部で81です。
園芸畜産課長 小林安男
6頭以上の豚を飼育している農家は85です。その内、放牧をしていて現在中止しているのは4ということで、81農場を対象にこの事業については実施していきたいと考えています。
中日新聞 我那覇圭 氏
専決処分とあるのですが、だいたいどれくらいの予算額がかかりそうだということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今精査中ですが、億は超えるぐらいです。まだ箇所数などは精査中でして、まず私としてはこういう対策をとっていくということを、農家の皆さんや市町村の皆さんに認識してもらいたいということで、数字が精査されていないまま発表させていただいていますけれども、金額的にはかなり大きな金額になると思っています。
中日新聞 我那覇圭 氏
1億円を超えるというイメージなのか、それとも数億円規模というイメージなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今手元に資料を持っていないのでなんとも申し上げられないのですが、大きな対応として考えられるのが、1つは養豚農家に対する支援の部分と、それからもう1つは野生イノシシに対する支援の部分となります。まだ精査中ですので、詳細なところまで申し上げにくいですけれども、大きな二つの柱でそれぞれ1億円前後ぐらいになるのではないかという感覚です。
中日新聞 我那覇圭 氏
いつまでに執行されるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今、最終的に取りまとめているところですので、来週早々には金額を確定して具体的に取り組めるようにしていきたいと思っています。
中日新聞 我那覇圭 氏
防護柵等の設置と車両の消毒装置の設置、それぞれ補助率が全額補助でなくて、一部市町村、例えば4分の3や2分の1の補助金額が足りないというような形になっていて、おそらくそれを市町村に補助してもらうというようなお気持ちがあるのかと受け止めたのですけれども、市町村にも財源、財政措置が伴うということで、もしかしたら難色を示す場合もあるかと推測したのですが、現状どのような手応えを感じていらっしゃるでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、個別に市町村に当たっていて、ほとんどのところでは協力して予算化していく方向で取り組むと考えていただいています。もちろん市町村によって必ずしも一律の対応ではない部分もありますけれども、この問題の状況については認識していただいて、かなりの市町村で予算措置に向けて取り組んでいきますと言っていただいています。予算の話は議会も関連するので、はい、分かりましたとは、すぐには言えないと思いますけれども、ただ問題意識は持っていただいて、その方向で多くの市町村が取り組むという方向性に今の時点ではなっていると認識しています。
中日新聞 我那覇圭 氏
確認ですけれども、81農場があるところの市町村と理解してよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
農場の所在市町村です。
中日新聞 我那覇圭 氏
補助率を全額県で補助できない理由というのは、どういうようなところがあるのでしょうか。
園芸畜産課長 小林安男
事業ですけれども、まず「1、野生イノシシの侵入防止用の防護柵等の設置」、この部分については、国が、フェンス、柵の設置に係る補助事業を新規に創設するということで今動いているところです。この補助率が、国が2分の1ということになっていまして、残りの2分の1について、県が4分の1の補助を出しますという形、さらに市町村にも協調していただければ、農家負担をゼロにさせていただくということで考えているものとご理解いただきたいと思います。
一方で、「2、農場の出入口の車両消毒装置の設置」については、国の補助事業が現在のところありません。ですので、県で2分の1、残りの部分のところは市町村との協調という形で現状では考えているというところです。ただ先ほど知事からもお話がありましたけれども、国に対しても、こういった部分についても、国の事業として創設していただきたいという要望はさせていただいているところです。
中日新聞 我那覇圭 氏
2の方の県での全額補助というのは、予算的にはなかなか厳しいのですか。
長野県知事 阿部守一
県が全額補助ということも、もちろん検討しました。ただ豚コレラ対策については、特別交付税による措置があるという状況になっていまして、市町村に対応してもらえれば、一般財源の一定割合について、特別交付税措置を講じられるということですので、そういう観点で県と市町村の協調補助という形に、今回はさせていただいています。
中日新聞 我那覇圭 氏
知事が大臣に要望を行われたということで、現状いろいろな要望があって、飼養豚へのワクチン接種も含めていろいろな要望が上がっているかと思うのですけれど、なかなか国が難色を示しているというか、慎重な考えを示している状況だと思うのですが、今の国の対策のスピード感についてどのような印象を抱いていらっしゃるでしょうか。
長野県知事 阿部守一
昨日吉川大臣と末松次官にそれぞれ個別に要請し、いろいろお話をしました。大臣からはいずれも、われわれが要請した項目については重要なものだということで認識は共有していただいていますし、また国として手伝えることがあれば何でも言ってください、ということを繰り返しおっしゃっていただきました。そういう意味では、国においても、相当な問題意識を持って、大臣をはじめ、関係の皆さんには取り組んでいただいているという認識を持ちました。ただワクチン接種のところについては、やはり、この部分については慎重な検討が必要だと国は認識しているという状況でして、この点については県としても、養豚農家の皆さまの声、思いというものは、まずはしっかりお伝えしなければいけないと思っていますし、今後具体的にワクチンを接種するということになったときに、いろいろな条件等がついてくる可能性がありますので、そうしたものを見極めながら、考えていかなければいけないだろうとも思っています。私は国もいろいろ問題意識を持って、様々な検討をしていただいていると認識をしていますが、もう一方で、これは県境をまたいだ対応になっているわけですので、国において各都道府県を、ぜひ牽引(けんいん)して、国主導でしっかり対応を行っていってもらいたいということを、強く期待しているところです。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
豚コレラについて、禁猟区を設けるというような発言があったかと思うのですけれども、今回の対策は全県エリアを対象とするので、禁猟区の設定というのは、全県で考えていくということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これもきちんと説明しなければいけないと思いますし、林務部から後で補足してもらいますけれども、1つは、地元の猟友会の皆さまには、徹底的にイノシシ捕獲をやってもらいたいと思っています。ただ県外からいらっしゃる方が、陽性イノシシが出る可能性があるようなエリアにむやみに入られてしまっては困るという認識です。そういう意味では、これは全県でなくて、まだ野生イノシシの発生は県内の一部地域にとどまっていますので、その周辺部を中心に考えているというのが現状です。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
猟期は11月の半ばからですか。
鳥獣対策・ジビエ振興室企画幹兼課長補佐 三枝哲一郎
狩猟期は11月15日から2月15日です。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
山というと、まずきのこのシーズンが秋にくると思うのですけれど、大量の人たちが山に入っていくと思います。これについてどうお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そういうことも考えなければいけないということで、登山道での注意喚起の呼びかけ、それから、例えば消毒場所の設置というようなことを進めています。先ほど申し上げたように、一般の方に対しても豚コレラの予防についての周知を図っているところですので、きのこを採ること以外にも登山をしたり、キャンプをしたり、山に入る形態がいろいろありうると思いますが、そうしたことに対しても、関係部局を挙げて対応していますので、そういう対応で不十分なところがあればしっかり対応していきますが、一般的に山に入る方への注意喚起というのはこれまでも行ってきているところです。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
むやみに山に入らないことで猟の圧力が低下すると、例えばニホンジカの総数の増加とか、あるいはジビエの流通等に関する影響というのはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
鳥獣対策・ジビエ振興室企画幹兼課長補佐 三枝哲一郎
禁止する狩猟についてはあくまでも趣味の部分です。県外県内問わず、防疫対策、交差感染のおそれのあるということで禁止させていただいています。それとは別に、通常の有害捕獲というような許可捕獲については、冬季についても実施できるような形で今検討しているところです。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
浅間山についてですけれど、噴火当時、知事はおそらく小諸にいたかと思うのですが、噴火のときにご自身で何か体感されましたか。
長野県知事 阿部守一
全く感じなかったです。テレビで流れたのを見たときに噴火したのかと思いましたけれども、その後外へ出て、浅間山を見たのですけれども、雲がかかっていたということもあるのかもしれないですけれども、全く何も見えもしないし感じもしません、という状況です。ただ、地元の市町村の防災無線が鳴っていましたし、私はその後、新幹線ですぐこちらに来ましたので、その後の状況はよく分かりませんが、噴火当時、私自身は直接的には感じなかったという状況です。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
参考までに、知事の家は浅間山の山頂からどれくらい離れていますか。
長野県知事 阿部守一
10キロ程度だと思います。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
愛知のトリエンナーレ、表現の不自由展が公開中止になったということがありました。これを巡って愛知県の知事が、表現の自由に対して、これはいけないのでないか、まずいのではないかというような発言もあり、大阪府知事からもいろいろ発言があったりするのですが、知事はこの件について、もしご見解ありましたら、お聞かせいただければと思います。
長野県知事 阿部守一
私は○×対応で100%正しいとか間違っているということは、世の中にはあまりないのでないかと思っています。表現の自由は最大限尊重されるべきだと思っていますし、ちょうど先日信濃美術館の寄付募集のキックオフフォーラムが開かれました。そこで私が語ったのは、県知事の立場なので私が寄付募集するというのは変だという話をさせていただいたわけです。要は、県議会の理解が得られれば、例えば私が予算措置すれば、今回2,000万円かけてやろうとしていることは寄付でなくてもいいのではないかという話もありうると思います。けれども、内部での打ち合わせのときにも、担当課同士の美術館の皆さんと話しているのですけれども、県として最低限必要なことはちゃんとやっていく必要はあります。ただ美術館として自由にやっていただく部分というのも当然あります。例えば何でも県の予算を通して、予算の観点で口出しすることばかりで美術館が運営されるというのはあまり良くないのでないかと思っています。そういう観点での寄付を集めて、あるいはボランティアの皆さんに協力してもらって、信濃美術館が主体的にいろいろな活動をやっていくということは重要だという話をします。
文化芸術と表現の自由やそれから公権力の関わりというのは、率直に言って非常に難しい問題だと思いますので、一律にこうだというのがなかなか申し上げづらいところがありますけれども、今申し上げたような文化芸術という分野はできるだけ、当然表現としては最大限自由だと思っていますが、例えば県の予算を通したりするとどうしてもその中でどういう企画をやろうかとか、どういう取り組みが望ましいのかという議論は当然せざるを得なくなってしまいます。そういうこととの兼ね合いの中でのあり方の検討ということになるのではないかと思います。
どうもありがとうございました。
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