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更新日:2017年4月1日
児童生徒の喫煙問題が、今日ほど社会問題となったことは、かつてなかったことである。学校・家庭・地域社会が一体となった、未成年者の喫煙を許さない環境づくりと、青少年の健全育成のための積極的な働きかけが強く求められている。
学校では、いままでの禁煙教育を見直しながら、喫煙防止指導、喫煙をしている子どもへの禁煙指導、家庭と手を携えた指導や地域への働きかけ、関係機関との連携等について、教職員が一丸となって取組み、児童生徒の実態に応じた適切な指導に努めることが望まれる。なかでも、喫煙している子どもについては、喫煙に至る原因や背景にまで及ぶ指導が大切である。「心ここに在らざれば 見れども視えず 聞けども聴こえず 喰らえどもその味わいを知らず」と言われるように、教師がどこに視点を置いて指導助言するかが、課題をもつ子どもの心に本当に寄りそう援助となれるかの鍵になる。
本号は、県下の学校で実施している指導事例を中心に、平成2年に発行した指導資料No.45号の再版を含めた「禁煙指導」の特集号である。これが、職員研修や具体的な指導への参考資料として活用され、禁煙教育が繰り返し繰り返し粘り強く進められることを期待するものである。
平成4年10月30日 長野県教育委員会
全国的にみても、中・高校生だけでなく、小学生にまで喫煙が拡大しつつある現状が見られる。こうした中で、本県の実態調査からみても、一層の指導の充実が求められている。
喫煙防止指導については、既に指導資料No.45で特集したが、ここでは、学校での禁煙指導や家庭及び地域社会との連携について述べる。
喫煙は、児童生徒が学校や家庭、社会に対する不適応と関わりがあると考えられる。
そこで、学校では、児童生徒が存在感が持てるように、分かる授業や充実感のある生活ができるようにすることが大切である。
また、家庭との連携を密にして児童生徒の指導に取組むことや、学校の指導方針に対して協力が得られるように、地域社会に対しても啓発を図ることが大切である。
実際の指導に当たっては、「学校保健・安全・給食指導資料」(保健厚生課発行)等も、併せてご活用いただきたい。
学校で禁煙指導をする時の困難点として、次の点があげられる。
そのため、指導が進まず、焦燥感や無力感にさいなまれることもあると思われる。
このような困難な状況の中でも、教師は、児童生徒に、かけがえのない健康(生命)と法を守らせるためにも、粘り強く禁煙指導に取組む必要がある。
しかし、学校での指導には限界があるので、家庭・地域社会と連携した対応が、今、一層強く求められている。
禁煙指導に当たっては、まず喫煙しにくい学校環境づくりが必要になる。そのためには、全教職員が、次の点を共通理解して取組むことが必要である。
実際の指導に当たっては、他人事としてとらえないように、児童生徒のなかに喫煙を見逃さない、許さない気風をつくることが大切である。
個人指導の場合は、喫煙という行為がはっきりしているので、口頭での禁止的な注意や処分が主になりがちである。しかし、喫煙行為には毅然とした態度で臨みながらも、喫煙せずにはいられない背景・心情に焦点をあてた指導が大切になる。それには、生徒と教師の信頼感に満ちた人間関係づくりが不可欠である。
喫煙生徒の中には、担任やその他多くの人からタバコの害や法的な規制に対する注意を受け、「またか」と思い、反抗的態度や無視の態度をとる者も出てくる。
そこで、生徒の心情に迫る指導をするためには、次の点に留意することが大切である。
喫煙の機会は、学校ばかりでなく、家庭や地域社会など、どこにでもある。
そこで、親が子どもの行動に関心を持ち、責任を持った禁煙指導ができるように、家庭との連格を密にすることが必要である。
未成年者喫煙禁止法をもとに、現に、子どもの喫煙を止めさせる義務のあることを認識させるとともに、家族ぐるみで子どもの禁煙に取組むよう、指導助言することが大切である。
学校は、親に対して、学校における問題行動等の事実や指導内容を知らせるとともに、指導方針の十分な理解を求め、密接な連携を保ちながら指導する必要がある。
地域が一体となって青少年健全育成を推進し、喫煙を防止することが必要である。そのためには、地域の人々に強く協力を要請し、地域ぐるみで禁煙運動を展開するようにしたい。
特に喫煙が常習化している児童生徒の指導については、子どもの状況に応じて、学校・保護者・校医・民生児童委員・警察等の関係者で組織を構成し、指導にあたることが大切である。
いずれにしても、学校・家庭・地域社会のあらゆる力を総動員し、一丸体制で推進することが強く望まれる。
そのために、学校は、あらゆる機関に働きかけ、未成年者をむしばんでいる喫煙の防止に、本気で取組む必要がある。
小学生から「喫煙は、健康に害がある」という健康教育の視点から、喫煙が発育・発達の著しい青少年期の身体と精神に及ぼす影響を理解させ、自他の健康を大切にする態度を育てる必要がある。
また、喫煙が禁止されている法律の視点から、社会の規律の大切さを教え、法を遵守する健全な生き方に努めさせるようにしたい。
そのためにも、一人一人の学校生活に充実感、満足感、所属感を持たせられるように、よく分かる充実した授業の実践が何より大切である。
禁煙指導には、これといった特効薬のような指導方法はないが、それぞれの状況に応じた指導で効果もあげられている。
以下に、各学校で、苦心しながらも粘り強く指導に取組んできた貴重な事例の幾つかをあげる。禁煙指導に、この指導事例を役立ててほしい。
児童は、悪いと知りながらも、友達の言動に左右されて行動してしまうこともある。喫煙についても同様な傾向がみられ、好奇心や人に勧められて吸ってみたという児童もいる。そこで、6年生の学級活動の時間に「タバコの害」を学習し、児童自ら喫煙しない意志の醸成を願って、授業を行った。
小学生のときに「タバコの害」についてしっかり教えておくことが大切である、ということが、実践をとおして分かった。
児童は、吸っている大人を見て「かっこいい」とか「吸ってみたい」等の好奇心から、喫煙へとすすんでいくケースがある。やや強烈だったけれど、この期の児童にタバコの害について、ビデオ等をとおして教えることの必要性について実感できた。
「喫煙の低年齢化」と言われているが、「喫煙は中学校や高校の問題」と、多くの職員はあまり身近に感じていなかった。そこへ、一人のお母さんから、学校に次のような電話があった。
「昨日の夕方、学校のグランド近くで、3人の子どもがタバコを吸っていました。2人は逃げて行ったのですが、一人は○○という名前が帽子に書いてありました。注意しておきましたが、学校でもお願いします。」
話を聞いて大変びっくりしたが、職員会で次のように確認し合った。
担任を中心に、子どもやお母さんたちから、粘り強く事実を聞いた。何度も事実を確認しながら、子どもたちの立場やお母さんの立場に立って聞いた結果、次のようなことが分かった。
5年生になったばかりの4月、数名の児童から「A男は、家でタバコ吸っている。」との話があった。そこで、家庭訪問の際、母親に聞いてみると、「そんなはずがない。」との返事であった。その後も、A男の喫煙について、他学級の児童からも幾度も担任に話があった。
その都度本人に、喫煙について聞いたが、「俺吸ってない。」という返事が返ってきた。11月になり、下級生から「A男にお金をとられた」という訴えがあり、担任が事実確認をしたところ、お金をとったことを認めた。そこで、お金の使い道を聞いたところ、タバコを買って吸ったということを話し、喫煙を認めた。
両親と兄の4人家族。両親共働きで、帰宅時間が7時前後になってしまう。A男が小学校入学から3年生の途中まで、父の病気治療のため、父親と別居した。
学校では、4年生頃は学級のボス的存在であり、友達を威嚇するようなこともあった。現在は、友人関係も落ちついてきている。
授業中はやや集中力に欠けるが、活発に発言する。運動が得意である。
喫煙の初めは、小2の時、4つ年上の兄とその友達と一緒に、面白半分に吸ったとのこと。
4年生のころは、日に3、4本吸うようになり、常習化してきた。5年生になり、家にきた友達にも喫煙を勧めたこともあったという。
喫煙の背景としては、次の点が考えられる。
現在は、A男の得意な運動面での記録も伸びていること、友達からもA男の喫煙についての話が出なくなったことなどから、禁煙ができたと信じている。
そこには、兄が就職し、真面目に働いていることや、家庭内の諸条件の改善がみられていることが、大きく関与していると思われる。
今後も家庭と連携し、温かく見守りたい。
本校では、タバコを吸った経験がある生徒は14%、そのうち現在も吸っている生徒は8名。(8月の県教委調査の集計より)
これらの生徒の中には、校内で教師の目を盗んで吸う生徒もいる。
喫煙している生徒は「減らすよう努力している。」と言っているが、なかなかやめられない。繰り返し根気よく指導を継続して、生徒達の心に迫っていきたい。
昨年、上級生が徒党を組んで校内を歩き回り、壁をけり、ガムを吐き出し、タバコを吸って、灰や吸い殻を投げ捨てる姿があった。
本年度に入っても、新3年生の中には、買い食いをしたり公然と喫煙したり、カバンの中にタバコやライターを持ち歩いたりする生徒が後を絶たず、対応に苦慮していた。
そこで、現状を整理してみた。
(1)教師が、喫煙する生徒への指導を重ねてきたが、現実には、公然と喫煙させてしまっている。
(2)生徒にとって、模範となるモデルが無いため、規範意識が低下している。
(3)家庭や地域においては、「今時の中学生は…」という受け止めで、共に禁煙問題を解決しようとする姿勢が希薄である。
以上の点をふまえ、校風に誇りをもたせて卒業させたいという教師の願いと、環境を整え、安心して学校生活を送りたいという生徒の願いを実現しようと、職員、生徒、家庭・地域が連携して、「よい校風づくり」を目指した取組みを始めた。
教師の喫煙に対する毅然とした対応、生徒間で高まる良い校風を育てる活動によって、公然と喫煙をする生徒は見られなくなった。しかし巡視の結果、体育館裏、便所の中に喫煙のあとが見られ、地域住民から、依然として喫煙が続いている状態の連絡があった。
そこで、校内の巡視、草刈り、便所の床磨き、ごみ箱のごみ捨て等を続けるとともに、喫煙のあった時間と場所等を、生徒に伝えることにした。その結果、次第に、校内にタバコの吸い殼が見られなくなってきている。
喫煙した生徒への指導から、家庭の理解と協力を得て、喫煙防止指導への取組みを重視していきたい。
本校は、市街化が進み、生徒数が増加しつつある大規模校である。
生徒の行動には、やや落ち着きに欠ける面があり、問題行動等も起こりがちである。
そのような状況の中で、現在教室に入らない生徒が3年生に4名おり、喫煙を繰り返している。
本校では、このような喫煙常習の生徒が現れる原因の一つに、「生徒同士の、支え合い、高め合う姿勢の稀薄さ」があるのではないかと、考えている。
喫煙に代表される行為だけでなく、日常的な気になる行動を含めて、問題行動を支持したり、容認したりする生徒の雰囲気が基盤にある。
したがって、本校では、喫煙をする生徒へは、受容から安定、安定から自律を求める「行為は認めないが、心情により添う禁煙指導」を行い、全体の生徒に対しては、「集団としての力を高める指導」を両輪として、計画的組織的に取組んでいかなければならない。集団としての力がついてきたとき、喫煙常習の生徒も学級集団に吸収され、位置づき、その結果、喫煙を含む様々な問題行動がなくなっていくと考えた。
喫煙を含む問題行動に対する指導方針は、前述の両輪を基本と考えている。特に、喫煙生徒の指導にあたっては、次の二つの点について、職員の意識統一を図る必要がある。
第一、生徒の健康面からの指導である。「なによりも君の心と体を心配している。」という、教師としての誠意を、具体的に行為や言葉にした指導であること。
第二、校舎、設備を大切にさせ、「教師として学校を徹底して守る。」という真剣な願いが伝わる指導にすること。
対個、対学級、対家庭、対全校生徒、対地域等、指導対象は様々でも、この二点を職員全員が持ち、以下のような具体的な取組みを展開している。
初めに述べたように、本校では、禁煙指導だけを取り出して指導しているのではない。むしろ、喫煙という象徴的な現象の背景にある、学校全体の体質の問題に対して取組もうとしているのである。
学校は、あくまでも、育てる、導く、という視点からの取組みで、生徒の変容を待つ立場である。
本校では、喫煙などの問題行動をせざるを得なかったさびしい生徒のみならず、どの生徒に対しても、その叫び、つぶやきに、全職員が耳を傾け、正面から受けとめて対応していくことを、生徒指導の基本に据えて努力している。
遅々とした歩みではあるが、そのような基本姿勢で取組んできた結果、1学期当初に比べ、校内は、清掃が行き届くようになり、生徒に落ち着きが見られるようになってきた。嬌声、罵声が消え、かわりに、明るいあいさつの声があちこちで聞こえるようになってきている。
先日行われた写生会では、このところ全く授業に参加しなかったD男E男が、鉛筆書きではあるが風景を写生することもできた。
また、F男は、仲間の吸った煙草の吸い殻を生徒指導主事と一緒に拾う、という前向きな行動をするようになった。
このような一歩一歩を積み重ねて、やがて、喫煙に象徴されるような問題行動が一つもない学校になるよう、指導を繰り返している現在である。
「荒れた学校」から「誇りのもてる学校」を合い言葉に、全校生徒・職員が頑張り、地域からの期待も大きくなった本校である。以前は大量にあったタバコの吸い殻や喫煙の跡は、ほとんど見られなくなった。
「個々の良さを認め、前向きな姿を育てる」ことを共通の目標にして、指導にあたってきたためであろう。
10月、地域の人から「小学校体育館裏で中学生らしい者が喫煙していた」との連絡があった。調べたところ、2年生数名の喫煙と分かった。その中のG男は、1年の時、先輩に誘われてバイク盗・喫煙・万引き・暴れる等の問題行動があった。しかし、2年になり、部活部に入り新顧問のもとで部活に燃え、礼儀正しくなり、特に生活面では見違えるほど前向きになった。
5月の初旬ころから、タバコの火をもみ消した跡や、吸い殻が1本また1本と目立ちはじめた。職員が、朝、休み時間、放課後に校内を巡視すると、3年生のH男、I男を含む数名の生徒が、その場所に休み時間に集まっていることが分かった。職員間で連絡を取り合いながら様子を見ていたが、タバコを吸っているかはよく分からなかった。
6月、H男のかばんの中にタバコがあることが分かった。担任が、他の生徒に気づかれないようにしてH男と話し合った。担任がH男のことを思って真剣に尋ねると、H男は素直に喫煙していることを話した。そこで、担任は遵法精神の尊重と喫煙の有害性について指導した。
真剣に話を聞いたH男は、次のような反省文を書いた。
4月の中旬ころ、I男とお金を出し合い、自動販売機でタバコを買いました。H男の家で、自分とJ、K、L、M、N、O男たちと面白半分で吸いました。……(中略)……自分とI男はまずくもなかったので、その後も時々吸いました。タバコは自分が持っていたが、母親に見つかりそうになったので、学校に持ってくるようになりました。……(中略)……
先生の話を聞いて、そんなにいけないこととは知らずに吸ってきたことが、怖くなりました。タバコを吸うと大変なことになると、友達にも言ってやりたいと思いました。自分も大人になるまでは、絶対に吸わないようにしたい。
H男、I男と話をして、家庭訪問をした。両家は子どもを放任しているように普段から感じられていたので、担任は子どもの将来を考えて真剣に話した。特に喫煙のことを叱ることより、これからの生活について話し合うことを大事にした。両親から「子どもをどの様に指導してよいか不安であった」という話を聞き、担任は親の身になって一緒に考えることを伝えた。悪いと分かっているときは厳しく叱り、良いことは褒めるようにと、両親を励ました。
そして、このことについては、H男、I男ともに、両親と夜中まで話し合いをした。この時の両親の真剣な姿が、H男、I男に自分のことを本気で心配し、考えてくれていることを十分に感じさせ、真剣に反省させることになった。
禁煙指導を受けた生徒達が、現在タバコを吸っていないことから、教師・保護者とも、遵法精神に基づいて違法行為を認めることなく、「いけないことはいけない」と諭し、粘り強く指導していくことの大切さをあらためて認識させられた。それとともに、保護者の温かい目と心による指導がかかせないことを実感した。
生徒達は、学校と家庭の密なる連携のもとに指導、援助がなされれば、きっと欲望や興味本位に流されている自分に気づき、自ら立ち直り、成長していくものと思う。
今回の禁煙指導の結果、喫煙者は一人もいないと考えていた。喫煙に関するアンケートの集計を見ると、指導対象となった生徒達は喫煙していないことが分かった。しかし、その生徒達以外に、残念ながら3名の者が現在も喫煙を行っている事実が判明した。そのうち2名は、今後もタバコをやめる気持ちがないと回答している。この生徒達に対しても、今回の喫煙指導の在り方に基づいて、早急に対応していく必要に迫られている。
本校での喫煙生徒の実態として、昨年度は、校内のトイレ、テラス、体育館裏等に毎日のように吸い殻が見られた。しかし、喫煙生徒の卒業や、全職員の努力で、今年度は、喫煙していることがはっきりしている生徒が2、3名にまで減ってきた。しかし、好奇心にかられて喫煙してみたいといった生徒が全然ないとはいえない。これは、そういった生徒に対する初期の指導事例である。
7月8日、体育科の職員が2時間目の休み時間(15分休み)にトイレに行ったところ、どうもタバコ臭いので、女子トイレの中をのぞいたらタバコの煙が漂っていた。
トイレの中には1年の女子生徒が数名いた。この子たちが喫煙をしたのではないかと思い、学級担任にこの事を連絡した。
担任は、学級の生徒たちに「タバコを吸ったことのある人?」と挙手させたところ、6人が手を挙げ、喫煙の行為を認めた。
事実を確認したところ、次のようなことが分かった。
一緒になって喫煙を始めたのは10日ほど前からで、喫煙するのはだいたい部活動の後(あるいは、部活動に出ないが部活動が行われている時間)で、場所は学校のトイレや公園が主であった。
P子とQ子が集団の中心的存在で、共に数回トイレや公園で吸っていた。P子は初めて吸ったタバコは「拾った」と言い、2回目は自分で買ったとのこと。Q子は最初P子にもらい、次からは自分で買ったと言っていた。
R子とS子はP子からもらい、1、2回トイレで吸い、T子はQ子からもらってトイレで1回吸ったという実態が分かってきた。
今のところ、その子たちの喫煙の報告はない。
今後は、本人たちに、毎日の授業、部活動、学級活動の中で自己の存在感をどう持たせたらよいか、また、家庭とも定期的に連絡の機会をもって、心情に迫る指導をどのようにしていくかが課題である。
小5で転校して来たU男は、中学校に入学してから2年生まで、異装、校内徘徊などの問題行動を繰り返した。喫煙は触法行為としての重さと、健康面、他への悪影響などから、特に見逃せない行為だった。
U男の禁煙指導は、それだけの指導では効果が上がらないという反省から、問題点を探った。
まず、当初からU男が不満を打ち明けていた家庭の指導に重点をおいた。
問題行動をもった生徒は、友人関係がうまくいかない、学習がわからないなどで焦り、孤独感を持ったり、自分の存在感を実感できずに悩んだりしている。そして、刹那的な解決策として喫煙や飲酒などに走ることがある。また、両親や教師からの愛情飢餓の状態になっている生徒もいる。
そこで、両親・教師が生徒の気持ちを理解する機会にと、父親と語る会や地区懇談会(12回各地区で開催)を行っている。特に、全学級で行う父親と語る会は、8割以上の父親の出席があり、生徒たちも、自分の思いを語ると同時に、父親たちの率直な話の中から、生きることの厳しさや人生の目的は何かを学んでいる。また、問題行動を示す生徒たちの両親については、生徒たちが、問題行動で何を両親に訴えようとしているかを視点に、積極的に個別に、またはグループで話し合う場を設けている。
生徒会保健委員会が「喫煙」を取り上げ、実態調査をし、結果を文化祭で全校に発表するとともに、展示発表を行った。
発表の内容
1学年会では、「学年通信」にタバコの害について書かれたクイズ式の資料を載せ、家庭に届けたり、学級で学年通信を使って、学級指導を行ったりした。
しかし、次の課題も残った。
校長が、夏休みの反省を、反省だけにとどめず、実行に移すことの大切さを講話する中で、校長自らも自分の健康を守るために、今までの喫煙を反省し、禁煙に踏みきり、現在も続いている体験を話し、決断の大切さを訴えた。
学校以外での喫煙の実態は、把握が難しい状況にある。そんな中で、地域の人々から学校に、「生徒が隣の集会所で喫煙している。」との連絡があった。早速職員がかけつけて実態を把握した。その結果、家庭と学校が協力した指導ができた。
しかし、地域の人々からは、「今の生徒は、逆恨みが怖い。」という声もあった。
これまでの本校の禁煙指導を通して、生徒の喫煙動機を分析してみると、喫煙への興味、周囲から疎外された欲求不満、仲間意識づくり等が、その要因と考えられる。そこで、従来の処罰指導から、生徒のおかれている状況を把握し、対話を深め、心情に訴える指導に変えることにより、喫煙も含めた生活習慣の改善も出来るようにしたい。
更に、学校で作成した「禁煙プリント」も活用し、喫煙が健康上良くないと言う学習を進めながら、全職員が一丸となって生徒指導に取組んでいる姿勢を、生徒一人ひとりに理解させることを通して、生徒の心情に迫ることが可能だと考えた。
生徒指導専門教員の配置により、生徒相談室を開設した。この相談室を活用して、従来の処罰型指導から、生徒の心情に迫る指導に変えていくことで、全職員の共通認識が得られたので、その方向で指導することになった。
本校の生徒の多くは、小・中学校より心情面でも常に疎外され、傷つき、痛みを背負っている。これらの悩みを解消していくには、心の内部にあるその子自身の良さを引き出し、育てていくことが必要である。そこで、朝夕、全職員が教室や廊下の清掃を率先して行い、校庭・玄関・生徒昇降口等を年間花で美しくする努力をしている。
毎朝の校門指導も、校長を先頭に職員が生徒昇降口に立ち、一人ひとりの生徒とあいさつを交わし心の交流を図っている。そのためか、以前の刺々しい空気も温和なものに変わってきた。生徒達の元気にあいさつを交わす声も、校内のあちこちで聞かれるようになった。
また、生徒相談室からの、生徒への日常の呼びかけも定着した。相談室を通しての交流が図られ、喫煙する生徒の悩みも順次解消されつつあり、自分一人の解決に留まることなく、仲間の生徒も禁煙に引き込むという協力が得られるようになってきた。これまでの状況をまとめると、
校内の雰囲気を一層高めることで、これまでの生徒と教師の対決ムードや、殺伐とした雰囲気も薄らいでいくものと期待できる。
本校の生徒相談室や職員室は、非常に開放的で、日常の生徒の出入りが多く、雰囲気も穏やかになってきた。この状況を活用して、生徒との信頼関係を一層深めていきたい。また、家庭との連携を密にし、「胸におちる」心情に訴える指導を続けていきたい。
高校2年生のC男は、両親と妹の4人家族、物静かだが気弱なところがあり、生活全般に消極的である。過年度卒業生であることから、同級生より上級生との友達関係が中心であった。
予備校時代の夏休みあけ頃、友達との遊びの中で、まわりの皆も吸っているといった気持ちと、友達にすすめられて、初めて喫煙をした。
その後、3か月くらい隠れて吸っていたが、母親に見つかり、一度は止めたが、高校一年の春休みに予備校時代の友達と遊んだ時から、再び吸い始めた。一日に3~5本くらい、主に家の中で吸っていたが、通学途中、自転車に乗りながら吸うこともあった。しかし、校内では、ほとんど吸うことはなかった。
母親は子どもの行動について関心が強く、喫煙の問題についても再三注意をしてきたが、担任や父親には内緒という甘さもあった。C男にとって、父親は厳しく、口やかましいといった不満があり、心を開いて話し合うことがなかった。
C男は、運動クラブに所属していたが、1年生の頃は練習に積極的でなく、2年生になった4月に、他の2年生が全員退部してしまい、自分一人だけが、新しい顧問との話し合いで継続することになった。しかし、心の動揺もあり、遅刻・無断欠席なども多く、担任も心配していた矢先の6月初句、昼休みに3年生の友達に誘われて、鍵のかかっていない部室で喫煙をしていたところを、巡視の職員に見つかった。
喫煙が発覚した日の夜、担任が家庭訪問をし、父親にも事実を話し、家族皆で喫煙問題について話し合い、断固として喫煙を許さない姿勢を確認した。翌日学校長から、母親とC男に「喫煙の問題点」、「高校生活の目標」、「クラブ活動の意義」、「友達関係の在り方」等を自覚するよう指導し、学校と家庭との連携の重要性を訴え、家庭反省に入った。
家庭反省中は母親も行動を共にし、C男との触れ合いと話し合いを深めた。また、学習へも意欲的に取組んだ。担任の家庭訪問も1日おきに行い、両親との協力体制のもとで指導をしてきた。そんな中で、予備校時代の友達関係よりも、クラスとかクラブなど身近な友達を大切にしていくことも自覚することが出来るようになった。また、クラブ顧問は、励ましも含めて、具体的なクラブ活動(トレーニングから試合出場まで)方針を話し合った。
C男は、反省指導を通して、「たばこは絶対に止める」「クラブ活動に一生懸命取組みたい」「将来は公務員になりたい」という決意を強くした。
現在は禁煙し、クラブ長として早朝・放課後の練習にも積極的に参加し、精神的にも強くなりつつある。また、将来の進路に向かって、公務員試験の補習授業にも前向きに取組んでいる。C男は、「一つの事に集中することが高校生活を充実させ、喫煙にも興味をもたなくなる」と話している。今後、学習にクラブ活動に進路にと、目標実現に粘り強く努力することを通して、学校と家庭との連携を密にし、C男を励ましていきたい。
最近の修学旅行では、飲酒・喫煙が発覚し、本来の行事の目的が十分達成されないまま生徒指導に追われる事が多く、「来年はやめよう」という教員の声を聞く事が多い。本校もその例外ではなかった。
学年会発足時、指導方針として「生徒の自治活動の育成」を一つの柱に据えた。とかく、指導が後手に回ると、クラス内では、暴力的な集団が幅を利かせ、正義派のリーダーはなかなか育たず、指導を一層困難にする。そこで、学年の正副ルーム長会を中心とする民主的な集団づくり、いじめや喫煙等の問題行動も集団として理解できる学年・クラスづくりが始まった。
旅行前の生徒指導面では、リーダー集団である正副ルーム長会を中心に、旅行の目的・自主規律についてのクラス討議に重点を置いた指導が行われた。正副ルーム長会の原案の提案に際し、「今、修学旅行を成功させる、クラスの団結を図る活動はこれだ!と言う君達の考えを自信を持って提案しなさい。」「大切な事なんだから、是非皆で考えよう!説得してやる気を起こさせる事が大切なんだ。」「自分達の修学旅行だ。君達が取り仕切ってやってみろ。」と、係職員や担任は励ました。
正副ルーム長会の原案がクラスで討議され、修正案を持ち寄る作業が繰り返された。持ち物や服装・旅行中の行動等について論議され、特に「時間厳守」と「問題行動」について討議が繰り返され、「喫煙」の問題も大きく取り上げられた。
「去年の修学旅行はタバコで失敗した。今年は絶対にタバコを吸わないように。」との提案が可決され、次に「もし、皆で決めた規則を破ったときは、その班全員京都の夜間外出は禁止する。」との提案がされた。「タバコ吸えねえじゃねえか。」で教室内はざわめく。「なぜ吸ってはいけないのか。」の論議が生徒間で行われた。ペナルティについての提案と、先輩達の修学旅行での失敗例の効果もあり、真剣な話し合いがなされた。何回目かの学年集会に6組の5名が遅刻をして来た。「時間厳守」を大きな目標として取組んできた正副ルーム長は、「あれだけ言って皆で決めたのにどうして守れないの!」と彼らに迫った。一連の活動の中で、正副ルーム長会の面々に「私達の修学旅行を成功させる。」と言う意気込みが見えてきた。この間、各担任は、正副ルーム長を支援できるよう各班長会の指導に力を注いだ。
最後に、自主規律を保証するための点検活動とペナルティについても学年集会で決定し、修学旅行を迎えた。
修学旅行中は、教師の期待通り、正副ルーム長会が前面に立って、学年を引っぱった。集合の点呼をはじめ、就寝の確認、広島での慰霊祭も立派に執り行った。我々教師も、ひょっとしたら喫煙はあるかもしれないと心配したが、見回りをしても一向にタバコの臭いはしなかった。また、生徒指導上の問題も生じなかった。
6か月間にわたる修学旅行への取組みを通して、2学年集団が創り出したものを幾つかあげてみる。
この取組みを通じて、禁煙指導をはじめ様々な問題行動を解決するためには、生徒に形式的な論議をさせたり、学校からの一方的な押しつけの管理だけでは、決してうまくいかないということを教えられた。
7月の初め、生徒指導係が校内巡視をしたとき、E部室で、ジュースの空き缶7個の中に多数の吸い殻を発見した。結果を顧問に知らせ、自主申告の呼びかけをした。放課後、顧問召集のミーティングで、顧問が空き缶を前に自主申告を呼びかけ、申告のない場合は、部室閉鎖をせざるを得ない旨を告げた。
粘り強い呼びかけの中で、F男が名乗り出た。しかし、F男は他の喫煙者の名前を告げようとしなかった。そこで、F男に、今夜中に部室で喫煙した者に声をかけ、翌朝、学級担任に申し出るように指示をした。しかし、翌朝に申し出てきたのはG男1人のみであった。
E部室での喫煙を申し出た者は2名だけであった。1・2年生の部員を調べる中で、E部室での喫煙者は全員3年生で、申し出の2人を除き、他は部員以外であることが分かったが、その後他の者からの申し出はなかった。当面自主申告のあった2人のみの指導に入らざるを得なかった。
教職員が一丸となって、禁煙教育と喫煙防止のための巡視を、今まで以上にきめ細かく行う必要がある。また、生徒会執行部への積極的な問題提起を行い、生徒自らが禁煙に立ち上がる動きをつくると共に、禁煙指導を受けたことのある生徒へ声をかける指導を継続し、禁煙を続けさせることが必要である。最後に、喫煙問題の解決は、学級だけの努力では難しく、学校・家庭・地域が一体となって、地域から喫煙を無くす努力をする必要がある。
5月中旬、体育の教師が部室を巡視中、男子バスケット班の部室で、タバコの吸い殻の入った空き缶を見つけた。顧問が至急部員を集めて調べたところ、班長のH男を含む3年生5名が、部室で時々喫煙していた旨を素直に申し出た。
H男は、1年生の時、先輩と喫煙して家庭反省指導を受けている。I男は、1年生のときから不登校気味で欠席し、家庭で喫煙するようになった。2年生の時、不登校に関して専門家の力ウンセリングを受けたが、特に問題なしとの診断であった。父親は退学させることまで決意をしたが、本人が、3年生になり、卒業したいとの意欲も出て、登校もかなり正常になり、明るい展望が持てる状況に変わりつつあった。J男は、2年生のとき下級生に暴力を加え、金銭強要などの問題行動を起こし、厳しい指導を受けている。K男は遅刻の常習者で、担任を悩ませていた。L男は入学以来特に問題行動を起こしていない。
以上のように、喫煙問題を起こした5名の生徒の中で4名は、以前から担任が注意をしていた生徒達であった。
この問題が発覚したのは、一週間後にバスケットの県大会出場をかけた地区予選が迫っていたときであった。この5名は、試合の主軸となる選手で、部員の期待も大きかっただけに、本人達はもちろん、他の部員にも大きなショックを与えた。
本校でのこれら喫煙に係る指導は、一般的には、一週間の家庭反省をメドとしている。慣例に従うと、大会がその期間中に行われることになり、彼等にとっては、3年間の苦労が無に帰すことになる。また、地区でも評価されていたチームだけに、部員仲間への申し訳なさも重なり、反省状況は極めて神妙なものがあった。
保護者同伴による校長訓戒、「それでもあなたはタバコを吸いますか」のビデオを見せ、反省文を書かせる等の一連の指導に加えて、生徒指導係が、自分がタバコを吸わない理由、旅行の際の禁煙席のこと、ホームステイで喫煙が嫌がられること、自分が吸わなくとも、吸っている者の煙を吸えば、体への害は喫煙者と同じ程度にあることなど、将来への不利益を説いた。家庭反省中の本人達の生活態度や反省の深まり状態は良く、担任の家庭訪問指導等の報告をもとに職員会議で討議の結果、反省態度良好との結論に達し、5日間で家庭反省が解除された。
大会に出場することができた彼等は、優勝こそ逸したが、県大会への出場権を得、その後県大会をめざして練習に励んだ。
問題行動を起こした生徒の親達も、学校側の指導に沿って家庭環境を整える努力をし、クラブの合宿や練習試合には必ず顔を出すなど、子ども達の立ち直りには極めて意欲的であった。
9月に入り、5名の内3名は4年制大学、2名は短期大学進学を希望し、受験勉強に力を入れている。現在まで、校内での喫煙行為はなく、家庭からも喫煙していないとの報告を受けている。ただ、H男のみは、両親の仕事の関係上、両親の目の届かない部分もあり、報告が正確に捕らえられない状況である。
これらの生徒達の指導を通して、指導がうまくいった理由として、
等であった。
この事例では、喫煙をした生徒自身はもとより他の部員の集団としての強い絆が彼等を立ち直らせたことと、親自身が積極的に真剣に我が子に立ち向かった姿が印象的であった。
従来から、本校では、多くの喫煙経験者がみられる。しかし、それらの生徒達は、適宜行われているHRでの注意で学校の方針を理解し、校内で目に余る程の喫煙は行わなかった。
ところが、本年度に入って、下校時、人目に付かない所での喫煙が広がり、HRでの指導だけでは一向に改まる気配を見せず、逆に、指導に対する反発と思われる行為すら見られるようになった。そこで、禁煙指導の機会と場をこれまで以上に増やし、生徒の自覚を促すことにした。
生徒の喫煙の状況は、一進一退で推移している。意識は徐々に高まってきたと判断出来る場面も見えてきたが、全体的にはとても安心出来る状況ではない。家庭や職場で喫煙が大目に見られ、常習化が低年齢化している現状の中で、生徒・職員の相互理解を一層深め、全教育活動を通して指導していく必要がある。生徒が日々の生活に目的と自信を持ち、喫煙などによる安易な安らぎを求めることの無意味さを自覚できるようになるまで、粘り強く指導を継続していかなければならないと考えている。
過年度卒業生のM男は、本校に入学する前は定時制課程に通学しながら、昼間は工場で働いていた。入学当時の生活は、遅刻が目立ち、授業中、ガムをかんでいたり、寝ていることが多かった。過年度卒業生としては、クラスの生徒とも仲良く話をしていたが、どこか陰のある感じがあり、教師に対しても、今ひとつ心を開かないでいた。
5月に入り、年間行事予定に基づいた定期的な家庭訪問を行った際、本人が喫煙を認めた。喫煙は、仕事をしていた時に覚えたようで、本校入学後は、1日40本程の喫煙を人目を盗んでしていたと言う。担任の段階で、父親の前でライターを預かり、喫煙を止めるよう強く指導をした。
その後も喫煙はやまず、友人と連れ立って、教師の目を盗んでは喫煙を続けていた。やがて6月に入って校内での喫煙が発覚し、家庭反省指導に入ることが決まった。処分申し渡しの際、校長室で生活指導主任から、親子に、未成年者の喫煙は法で禁じられていること、親としての責任、喫煙の害、今やめなければ自分の将来に対して決してよい結果にならないこと等を切々と説いた。本人、親とも涙を流して反省をした。その後、父親も喫煙に関しては毅然とした態度をとるようになった。
家庭反省中は、素直に指導に従い、学校生活に復帰後は、学校でも家庭でも喫煙を止めた。この生徒の場合は、後で本人と話して分かったことだが、吸いたいと思うときでも、校長室で厳しく叱られたことを思い出すと、胸の中がきゅっと締めつけられる気分になり、吸うことができないということであった。
この事例から明らかなように、教師も親も本人のことを本当に思って叱っていることを本人に分らせる努力をすることが大切である。
現在(2年生)の状況であるが、遅刻、早退、授業中の居眠り等も極端に少なくなり、生活面でも前向きに取組む姿が見られるようになった。また、ルーム長と親しく、彼の良き助言者として、クラスをまとめようと努力する姿も見られるようになった。修学旅行では、クラスの旅行委員として活躍した。進路についても、将来の希望から、専門学校への進学を希望している。将来に対しても、確固とした考えを持つようになった。
2年生のN男は、中学校からの喫煙が常習化していて、不登校気味でもあった。基本的生活習慣にも問題があり、成績も振るわず、9月に入り神経性衰弱状態で休学して、専門家O氏の指導を受けるようになった。
翌年の4月に復学するにあたり、学校側(担任、学年主任、生徒指導主任)と専門家O氏との懇談を3回程持ち、今後のことについて話し合った。その中で、O氏から、喫煙常習者であることから、「心を安心させるため」に1日数本の喫煙をさせたこと、学校生活でも、不安定状態になったら、喫煙させるのも一方法であること、という助言を受けた。
関係職員がN男の指導について協議を重ねた結果、次の結論に達した。
これらの方針は、専門家O氏や家庭でも了解され、学校での指導が始まった。
N男は、相談室の生徒指導専門教員のところに、毎日通う日々であった。そんな中で、喫煙について許しを請う時もあった。しかし、喫煙を許可せず、今は苦しいだろうが強い精神力をもって頑張ること、困った事があったら、いつでも相談にくること等、親身になって相談にのった。また、クラス担任や学年主任もN男の行動に注意を払いながら、「励ますための一声」をかけ、皆でN男のことを心配していることを本人に知せると共に、家庭との連絡を密にし、精神面での落ち着きを図る指導を続けた。
学校での喫煙は全くない。家庭では父親自身が減煙をしてくれたこともあり、家庭での喫煙もほとんどなくなってきている。今後は、更に精神的に落ち着くよう指導を続けながら、禁煙への指導を継続していきたい。
調査実施期間:平成4年 8月25日(火曜日)~9月2日(金曜日)
調査対象者:県内公立小・中・高校の児童生徒
小学校(5・6年生) |
中学生 |
高校生(全日制) |
||||||
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
26,842 |
25,385 |
52,227 |
43,738 |
41,224 |
84,962 |
37,086 |
35,509 |
72,595 |
小学校(5・6年生) |
中学生 |
高校生(全日制) |
|||||||
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
|
現在、喫煙をしている人 |
0.3 |
0.1 |
0.2 |
2.0 |
0.7 |
1.3 |
17.0 |
4.8 |
11.0 |
タバコを吸った経験のある人 |
8.8 |
2.2 |
5.6 |
20.6 |
6.7 |
13.9 |
44.5 |
16.2 |
30.7 |
小学生で初めて吸った |
8.8 |
2.2 |
5.6 |
14.0 |
4.2 |
9.2 |
11.6 |
3.5 |
7.6 |
中学生で初めて吸った |
- |
- |
- |
6.6 |
2.5 |
4.7 |
24.9 |
7.8 |
16.6 |
高校生で初めて吸った |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
8.0 |
4.9 |
6.5 |
|
小学校(5・6年生) |
中学生 |
高校生(全日制) |
||||||
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
|
なんとなく |
33.8 |
38.4 |
34.8 |
29.4 |
32.4 |
30.1 |
29.4 |
33.5 |
30.4 |
興味があったから |
13.3 |
14.9 |
13.6 |
21.9 |
19.4 |
21.3 |
24.8 |
22.3 |
24.2 |
人にすすめられて |
22.9 |
19.0 |
22.1 |
20.3 |
19.0 |
20.0 |
22.5 |
20.6 |
22.0 |
友達が吸っているのを見て |
7.4 |
3.6 |
6.7 |
8.8 |
6.2 |
8.2 |
11.0 |
10.9 |
11.0 |
かっこいいから |
3.0 |
2.6 |
2.9 |
4.4 |
4.0 |
4.3 |
3.7 |
2.6 |
3.5 |
その他 |
19.6 |
21.5 |
19.9 |
15.2 |
19.0 |
16.1 |
8.6 |
10.1 |
8.9 |
小学校(5・6年生) |
中学生 |
高校生(全日制) |
||||||
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
65.1 |
50.0 |
62.1 |
66.5 |
52.2 |
63.1 |
77.3 |
64.7 |
74.7 |
小学校(5・6年生) |
中学生 |
高校生(全日制) |
|||||||
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
男子 |
女子 |
全体 |
|
絶対にいけないと言う |
28.6 |
30.8 |
29.0 |
44.1 |
38.9 |
43.0 |
22.0 |
27.6 |
23.0 |
知っていても何もいわない |
26.8 |
15.4 |
24.7 |
17.1 |
19.7 |
17.7 |
21.4 |
24.5 |
21.9 |
家以外で吸うなと言う |
12.4 |
23.0 |
14.5 |
19.9 |
13.4 |
18.6 |
27.3 |
17.6 |
25.6 |
吸う本数を減らせという |
5.4 |
0.0 |
4.3 |
9.0 |
7.0 |
8.6 |
16.7 |
14.6 |
16.3 |
その他 |
26.8 |
30.8 |
27.5 |
9.9 |
21.0 |
12.1 |
12.6 |
15.7 |
13.2 |
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