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更新日:2018年8月9日
人は顔かたちが違うように、それぞれが特性をもって生まれついています。その違いを認め合い、それぞれの特性を十分に伸ばしあっていくところから、個人の幸せも社会全体の幸福も生まれてくるはずです。しかし、現実にはその違いがいじめにつながり、仲間の生命までも奪う状況となっています。
こうした状況を踏まえ、児童生徒が主体的にいじめの問題に取り組み、教師と一緒になって考え、いじめの解決を図っている事例を紹介します。
なお、指導資料No.62「一人一人が支え合う学級を目指して」も併せてご活用ください。
平成9年3月6日 長野県教育委員会
本県におけるいじめの状況は、前記の資料で明らかなように、小・中学校での発生が大半を占め、特に中学生の増加が目立ちます。また、態様では「冷やかし・からかい」、「言葉によるおどし」といった、ことばによるいじめが大部分を占め、発見や対応を難しくしています。
いじめの根絶のために、各学校においては、校内研修等による教師の力量の向上、教育相談体制の整備、休み時間の巡視、生徒とふれあう時間の確保など、様々な取り組みの工夫がなされてきました。
ここでは、いじめの問題を子どもたち自身が自分たちの問題として受け止め、児童会や生徒会を中心に取り組んだ事例を紹介し、「いじめ根絶」のための指導のあり方について考えてみました。
事例の概要 | 5年生になって、転校してきたA子は左手がやや自由に動かせないという障がいがあった。 A子の転入後しばらくすると、他学年の児童たちが、A子のうわさを始めた。 そのうわさがいじめにつながると考えた担任は、まず学級でA子を支えることが必要だとして、学級での話し合いを何度も開き、A子への理解を深めた。 学級での支えは日ごとに強まっていったが、当該学級以外で心ないうわさが広がっていった。 A子は「全校の集い」で自分の悲しみを発表し、理解してもらう機会を得た。 A子の発表には多くの児童が心を動かされ、児童会ではいじめのない学校にするために、全校の児童がもっと仲良くなろうと「仲良し集会」を行い、全校の心を一つにする取り組みをした。 |
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指導の概要 |
A子の思い学級で人権に関わる話し合いの時間をもった。その一つの場面で、A子は自分の手が自由に動かないことによる、いじめを受けたときの思いを語った。
A子の言葉に衝撃を受けた学級の子どもたちは、「いじめだ。絶対許せない」「周りの人がどうして助けられなかったのか分からない」など感想をもち、積極的にA子を支えていった。 うわさの広がりとA子の訴え学級でのA子に対する支えの輪は、日ごとに大きくなっていった。しかし、学級外ではA子に対するうわさが広がっていた。
その後、A子への励ましの手紙が届いた。
児童会の取り組みA子の訴えに心を動かされた児童会では、この学校に「一人でも悲しい思いをする人がいない」ようにするための話し合いが何度ももたれた。 うわさの広がりとA子の訴え代表委員会の方針A子の話に基づいて、代表委員会ではいじめ問題に対する方針、、スローガンを次のように決め、全校集会で提示し、趣旨の理解を図った。 いじめ問題に対する方針
スローガン めざせ!全校友だち!303の輪
仲良し集会 児童会では、方針に基づいて、いじめをなくすためには、全校の児童が仲良くなることが大切だとして「仲良し集会」を企画し、実施した。 ゲーム例
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事例から学んだこと |
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事例の概要 | 平成6年に愛知県の中学2年生がいじめられて自殺したとの報道に接した生徒たちは、自分たちの中学校にもいじめがあるのではないかという不安をもった。 生徒会執行部は、こうした学校の雰囲気を大事に捉え、いじめの問題についての実態調査を行った。その結果、自分たちの想像していなかったいじめの事実を知ることとなった。 自分たちの学校からいじめをなくすためには、自分たちの手で解決することが大切であると考えた生徒会執行部は、生徒集会や学級での話し合いを通じて「B中学校生徒会人権宣言」を作成し、いじめの問題に自ら取り組んでいった。 |
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指導の概要 |
生徒会による実態調査いじめについて全校一斉のアンケートを実施し、次のような実態が明らかになった。
この実態から、いじめを自分たちで解決していくことを生徒会の重要課題とした。 月間目標の設定いじめの問題について全校の意識を高めるために、生徒会の月間目標を設定し、生徒集会でその趣旨説明や呼びかけを行った。
B中学校人権宣言いじめの問題を解決するために、全校が一つになる必要があると考えた執行部は、「人権宣言」について、代表委員会で検討したり、学級で話し合ったりして原案をつくった。 3月の生徒総会において、執行部は次のような「B中学校人権宣言(案)」を提案した。 討議の後、「B中学校生徒会人権宣言」は全校生徒の賛成で承認された。
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事例から学んだこと |
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事例の概要 | 1年生の生徒の母親から、クラス内でいじめにあっている男子生徒がいるとの連絡が生活指導部にあった。 生活指導部は、いじめられている本人や目撃者の聞き取り調査を実施することによって、「生意気だ、買い出しにいかない」などという理由で「机へのいたずら書き、仲間はずし」などの嫌がらせを男子生徒が受けている事実を知った。 生活指導部が1年生の調査をしていく中で、C運動部の1年生3名が同じ部の1年生数名から「部活中の態度が気にいらない、女子生徒と馴れ馴れしい、練習をさぼる」などの理由で、暴力・威圧を受けていたことも明らかになった。 また、調査の中で、上級生が威圧的な態度で下級生の言葉づかいなどの指導をしていた状況も明らかとなった。 これらの問題に対して、生活指導部は「いじめの問題に対して職員が意識統一をし、すべてのいじめについて、学校全体で取り組んでいく必要性がある」ことを職員会に提案し、全職員でその方向性を確認しあった。 この確認を受けて、生活指導部と生徒会顧問が連携して生徒会に働きかけ、いじめ問題への取り組みをしていった。 |
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指導の概要 |
いじめ(暴力等)をした生徒に対しては家庭と連絡を取り、家庭反省を含む指導を行った。一方、この問題を単に当該生徒への指導で終わらせることなく、生徒会を中心に全校生徒一人一人の問題として捉え、校内から「いじめ」をなくすために全校集会、運動クラブ長会、クラス討議を繰り返した。 生徒会の取り組み生徒会総務会で、いじめの問題について、生徒全員の意識を高める取り組み方法の骨子を検討し、その原案を基に次のような取り組みがなされた。
今回のいじめについてどう考えるのかについて、全校生徒の意識調査を実施し、調査結果を基に、下記のような討議マニュアルをつくり、クラスで話し合いをもった。
全校集会 以上の取り組みをもとに、いじめの問題について、生徒会主催による全校集会を開いた。 運動クラブ長会の決意表明今回の不祥事を各クラブとも厳粛に受け止め、当該のクラブからは以下のような活動自粛が提出された。そして、自粛解除の手順については、クラブ長会会長が以下のように提案し、全校生徒によって了承された。
また、クラブ長会としての決意表明を以下のようにした。
クラスごとの決意表明各クラスのいじめ問題に対する決意表明がなされたのち、当該クラスは以下のように発表した。
全校討議いじめの問題についてさまぎまな角度から話し合いがもたれた。その中で、問題を起こした生徒が、自ら自分のとった行動について、「いじめの不当性と決意」を全校生徒に訴える場面もあった。 「いじめ撲滅宣言」の承認生徒会長が学校生活の在り方と基本的人権尊重の立場から、次のような「いじめ撲滅宣言」を提案し、全校生徒によって承認された。 いじめ撲殺宣言 三原則 いじめは、 しない、させない、認めない
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事例から学んだこと |
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