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更新日:2017年4月1日
いじめは、人間が人間に対して行う最も卑劣な行為です。一人一人の子どもがお互いの人格や個性を認め合う、温かい人間関係づくりをすすめることはもとよりですが、いじめられている子どもの立場にたった親身の指導と、弱い者をいじめることは人間として絶対に許されないという、毅然とした態度での指導が必要です。
指導資料No.55「いじめをなくすために」と併せてご活用ください。
平成7年7月20日 長野県教育委員会 生徒指導幹
昨年11月に愛知県の中学二年生がいじめを苦に自殺するという痛ましい事件を契機に、いじめ問題についての取り組みが様々に行われてきています。
本県でも、総点検で、新たに237件のいじめが発見されるなど、いじめ問題についての意識が高まり、指導の充実が図られています。
しかし、今回のような取り組みが一時的なものに終わらないよう、全ての教師が、いじめ問題の深刻さを再認識し、不断の見直しを行うとともに、いじめをなくす努力を続けられるようお願いします。
おとなしく肥満気味のA男は、保育園からの仲間に、入学以来毎日のように、下校途中に押されたり、つつかれたりするなどのいじめを受けていた。
ある日、面白半分に、道端の木の葉を「食べてみな」と口に押し込まれ食べさせられた。木の葉の固い部分が頬に刺さり、治療を受けた。その日の夜、母親から担任に連絡があった。
転入生B子は、学級の男子から「汚い」「臭い」と言われ、わざと避けられたり、机を寄せられたりした。それを見ていた他学級の男子にもいじめが広まった。
女子数人が、見かねて注意したが聞き入れられないので、B子をつれて担任に訴えてきた。友達に支えられてB子も、せつない胸のうちを語った。
C男は学習意欲に欠け、授業で毎時間のように教科担任から注意され続けていた。「辞書ぐらい持って来い。早くやれ。計算を間違えるな。静かにしろ。しゃべるな。ノートに写せ。ちゃんと歌え。動作がおそい。もたもたするな。動き回るな」等々。
2年生になり、相当にストレスがたまっていたC男は、校舎内を突然走りだし、大声をあげて「バカヤロー」と騒いだり、教室の戸を足で蹴とばしたりするようになった。C男の言動が気になった担任は、よく二人で話し合い、穏やかな対応に、C男は素直に担任の言うことに耳を傾けていた。
しかし、6月の終わり、トイレで、日頃まじめでよく勉強をし、教師の評価の高いD男に出会ったC男は、「まじめに勉強してどうするんだ。」と睨みながら突然大きな声を出した。黙ってその場から出ようとしたD男に、「こたえねーのか」と怒鳴った。
翌日からD男へのいじめが始まった。教科書を机の上から落とす、筆箱を隠すなどから、雑巾を投げ付ける、画鋲を投げるなど、いじめはエスカレートしていった。
D男は三か月に及ぶいじめに黙って耐えて来たが、やがて、「学校に来るな。勉強するな」と脅されるに及んで、一番頼りになる父親にすべてを打ち明けた。父親は、すぐ担任の自宅を訪問し相談した。
大人しく動作の遅いE子へのいじめは、3年生になった4月下旬、同じ学級の女子三人グループによって始まった。バレーボールの試合で負けたのはE子の責任だ、というのがいじめのきっかけであった。
机の上に落書きをする、のりを付ける、黒板ふきを頭の上でたたいて粉をかける、机上の筆箱を落とす。こんないじめをされながらもE子は、ただ黙って我慢し続けていた。学級のだれもがこのいじめに気づいていたが、見てみぬふりをしていた。
ある日、一人で下校しようとするE子を見た同じ学級のF子が、「いっしょに帰ろうね」と優しく声をかけた。二人で15分程ただ黙って歩いていたが、突然E子は泣き出した。「E子、今まで力になれなくてごめんね。がんばろう。」その夜、F子は、副ルーム長としての責任を強く感じ、担任へ電話をして、E子へのいじめについて、知る限り全てを打ち明けた。
3年生のG子を中心とした五人が、1年生のH子を5月頃から約二か月間、昼休みや放課後などに、学校のトイレや市の公園に連れ込み、いじめを繰り返した。
きっかけは、新入生のH子の態度・服装が気にいらなかったG子が、「生意気だ」「態度が大きい」「目つきが悪い」等の言いがかりをつけたことにあったが、数日後五人は、再びH子をトイレに呼び出して土下座させた上、便器に顔を突っ込んだりの、暴力を加えた。
その後も、学校の帰りに、駅近くの公園に連れ込み、「まだ反省がない」と脅したりした。H子は、その都度耐えていたが、H子の友人が気づき、担任に相談した。
担任が、G子やH子らへの面接や事実関係の把握を十分に行わずに、翌日の学級会で一般的指導をしたところ、かえっていじめはひどくなった。G子の仲間がH子に、「先生にチクッタな」と詰問し、鼻血が出るまで暴力を加えるにいたった。
3学期に入り、不登校傾向になっていた1.男の母親から、「家人のサイフの中のお金がなくなるし、本人への電話が毎日何回もかかってくるようになり、様子がおかしいので来てほしい」との連絡が入った。
ただちに担任と生徒指導係が家庭訪問をし、事実を明かすよう、深夜にわたり本人を説得した。すると、夏休み前、校内の自動販売機の前で下級生にジュースを奢ったことをきっかけに、金銭をたかられるようになり、12月上旬まで同級生及び下級生の五名から、20回以上お金を脅しとられていたことが判明した。またその際、暴力も加えられており、それが原因で登校しづらくなっていたことも打ち明けられた。
事態を重視し、臨時職員会で話し合って全校体制で対処することにした。
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