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更新日:2013年7月1日
■小海県有林で取得したオフセット・クレジット(J-VER)の販売を開始します(PDF形式:139KB)
長野県知事 阿部守一
それでは5月11日の知事会見を始めさせていただきます。私の方からは2点冒頭でお話を申し上げたいと思います。
一つは、オフセット・クレジットの販売開始ということであります。環境省のオフセット・クレジット、いわゆるJ-VER制度の認証を、平成24年3月に受けた、小海町にある小海県有林の森林整備で達成された二酸化炭素吸収量について、クレジットとして販売を実施します。申し込みの受け付けは、本日5月11日からということで、販売数量は583二酸化炭素トン。1トン単位で購入を希望する企業・団体の皆様方に販売をしてまいります。このオフセット・クレジット(J-VER)制度、購入をしていただくことによって、企業の製品あるいはサービスの販売、イベント・事業活動等でカーボン・オフセットができるということと併せて、長野県の美しい森林整備にも協力をしていただいているという形になりますので、そうした点を消費者あるいは関係者の皆様方にアピールしていただけるというメリットもあると考えております。販売で得られた収益は、長野県の森林整備に活用をしてまいります。ぜひ、企業・団体の皆様方には、この機会に長野県の森林によるカーボン・オフセットに取り組んでいただければありがたいと思っております。それが1点目でございます。
それから2点目でございますが、これも環境に関連する話でありますけれども、再生可能エネルギー等導入推進基金、いわゆるグリーンニューディール基金についてであります。環境省の平成24年度重点施策の一つであります、防災拠点に対する再生可能エネルギーあるいは蓄電池等の導入支援を目的とした、再生可能エネルギー等導入推進基金事業の配分額が5月1日に決定されました。総額121億円ということでありますが、長野県を含む13道県に114億円、2つの指定都市に7億円が配分予定と伺っております。本県の配分額は10億円であります。10億円は、いくつかの県と並んで、最も多く配分を受けるわけであります。長野県としては、この基金事業を1村1自然エネルギープロジェクトの一つということで位置付けをさせてもらって、災害に強い自立・分散型の自然エネルギー、街づくりに資する自然エネルギーの普及拡大に努めてまいりたいと考えています。私の方からは以上2点であります。よろしくお願い致します。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
昨日、政府の電力需給の中身を検討する会合が区切りだったそうで、関西電力の原発の再稼働も含めて議論されているようですけれども、県としても、この会議に併せて電力需給の見通し等の情報開示をということで求めてこられて、結果は再稼働がなければ非常に厳しいものになるというような見通しだったわけですけれども、これについて結果とか今後の対応を含めて、知事のお考えはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは、全国の話ですか。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
全国の状況が、結局中部電力管内にも融通とかそういった関係で影響してくると思いますので、関西電力の再稼働がなければという話、それから派生して中部電力にも関わってくる話だと思うので、その辺の受け止めをお願いしたいのですが。
長野県知事 阿部守一
私もまだ報道等で知っている限りではありますけれども、中部電力管内は、一定程度の需給の余力があるというデータが示されているようであります。私どもとすれば、中部電力に対しての情報開示を求めているところでありますので、中部電力管内の見通しについては、直接中部電力からしっかり状況を把握した上で、対応を考えたいと思います。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
他電力のことではありますけれども、原発が動かなければ、ゼロかそれ以下になるような厳しい状況もあり得るという、関西電力の需給の見通しについてご感想はありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
関西電力の話は、長野県としては直接関係しているわけではないので、当然、関西の各自治体、府・県・市町村、どういう対応をしようかということで考えられていると思いますので、私がコメントするという立場ではないと思いますけれども、まずは、全国的に電力需給がならされるというか、不足する地域に対して、昨年の夏、広域的に電力の融通がされたわけでありますから、一定程度の協力関係というのは、電力会社間で当然行われていくと思います。そうしたことも含めて、中部電力管内でどういう見通しになっていくのかということは、われわれとしてはしっかり把握して、対応していかなければいけないということだと思いますので、関西電力管内の話については、直接的に私も事態を把握しているわけではないので、一般論というか評論家的なコメントはここでは差し控えたいと思います。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
分かりました。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
あと一つ、これまでがれきの受け入れに関して、県の主張でもあった、当面優先すべきは県内の下水汚泥の焼却灰の処理を優先していくという話ですけれども、4月・5月辺りから、一定量保管している上田市とか上田の広域連合の方では、独自のルートといいますか、独自の判断に基づいて、セメント原料等で再処理を進めているような状況が出ているのですけれども、県としては、まずは国の基準の妥当性も含めて見極めてから、放射能アドバイザーなども設置して、見解というか、スタンスを見直していらっしゃると思うんですけれども、上田とか他の動きも含めて、知事としては今後どのように対応していかれるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今、保管しているものも含めて、県内で8,000ベクレル以下ではありますけれども、滞留しているものの処理をまず進めなければいけないと思いますので、アドバイザーの皆さんのご意見も聞きながら、いろいろな選択肢があり得ると思いますので、考えていきたいと思います。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
まだ仮定の話で恐縮ですけれど、アドバイザーから国の基準なりで妥当性が、仮にある程度認められたとすれば、埋め立てとか今後向き合っていかなければならないと思いますが、その辺へのお考えは今時点でおありでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今、滞留しているものの処理については、お話のあった埋め立て処分にする方法とかリサイクルする方法とか、いくつか選択する方法があり得ると思いますので、そうした選択肢、実現可能でかつ安全性があるのかという観点で考えてまいります。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
最後に、リニアの工事に伴って、将来的にですけれども、土壌を掘ったりして出てくる残土の問題なんですけれども、昨日も飯田方面では、連携して残土処理は対応していくべきでないかというような発言もあったようなんですけれども、まだ正確な、どのくらいのトンネルの残土が出るとかという段階にまでにはきていませんけれども、県として、あちこちで発生する残土の処理に関して、将来的にではありますけども、県として調整して、具体的な対応を市町村と連携して進めていくというお考えはおありでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ご質問の焦点がどこだかよく分からないところもありますが、この間、大鹿村で大鹿歌舞伎を見た際にも、大鹿村もリニアが通過する地点になる可能性があるので、どういう辺りを通過することが考えられるのだろうかということで、いくつか周辺地域も見てきましたけれども、地元の市町村とすれば、やはり今ご指摘あったような残土の処理をどうするかとか、その残土処理するためのトラックが行き交うような形になるのは、どういう状況になるのかということには、大変関心を持っていらっしゃると思いますので、そうした点については、県も市町村と一緒になって、事業主体がJR東海ですから、JR東海がまずどういう考え方で対応しようとしているのかということをしっかり把握した上で、対応していきたいと思います。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
分かりました。
朝日新聞 浅野有美 氏
先日逮捕された、上伊那農業高校の教頭先生の件ですけれども、知事は昨日、教育長とお話をされたと伺っていますが、具体的にどんなお話をされて、教育長からどんなご回答があったか教えてください。
長野県知事 阿部守一
教員の不祥事が相次いでいることに対しては、私の方からは、まずは個々のケースについては教育委員会として厳正に対処するようにということをお伝えしたのと、全般的に個々の不祥事の背景とか要因がどういう所にあるのかというのを、まずはしっかり分析していただく必要があると、その上でこういうことが起こらないようにするために、もちろん個々の教員の皆さんとか学校単位での改善とか、そうしたことも必要だと思いますが、私と教育長、私と教育委員の皆さんが考えなければいけないのは、制度、仕組みにおいて問題があれば、そこは改善していかなければいけないということで、職員採用の在り方とか、人事の在り方とか、研修の在り方とか、評価の在り方とか、そういうことについてもしっかりと検証して必要な、具体的な改善策を検討してほしいと伝えてあります。そうしたことを行う上で、ぜひ学校現場で一生懸命努力されている先生方も大勢いるわけでありますから、現場の教員の声もきちんと把握して、先般、教員の質を考えるということで教育委員と懇談したときに、県民の方からは学校と地域の垣根というか壁というか、なかなか学校に入りづらいとか、保護者とか子どもが率直な思いを伝えにくい部分があるのではないかという指摘もあったわけですから、そうしたことも含め検討するようにということを伝えたところであります。
朝日新聞 浅野有美 氏
知事のお話について、教育長からはどんなご回答があったのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
教育長は、まずはこういう不祥事が相次いでいることに対して申し訳ないとお話がありました。その上で、私が申し上げたようなことも含めて、これは教育委員会が考えていかなければいけない話でありますから、教育委員ともよく相談して対応をしていきたいという話でした。
朝日新聞 浅野有美 氏
続いてもう1点伺います。昨日のぶら下がりで、知事部局としても協力していくところは協力していくということだったのですが、具体的には、先ほどおっしゃった採用の在り方であるとか、研修、評価についてどういった形で聞き取りといいますか、県教委と調整をしていこうとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、教育委員会で取り組んでいただくことは、今申し上げたことを教育長には私から伝えてありますので、そうしたことを踏まえて、具体的にどう対応するかを考えてもらいたいと思っています。今日、総務部長には警察あるいは教育委員会での不祥事を踏まえて、県庁全体、任命権者が違うので、やや歯がゆいところが正直ありますけれども、それぞれの任命権者ごとに対応していただかなければいけないというのは、もちろん原則ではありますが、ただ犯罪の形態とか、同じ職員管理をするという観点から、共通する視点とかあり得ると思うので、例えばこういう取り組みを知事部局でやっているけれども他の教育委員会等でもできないのかとか、あるいは逆もあると思いますけれども、そういう情報を同じ組織なわけですから、共有して今後の対応を考えるようにということを総務部長には指示してあります。
朝日新聞 浅野有美 氏
ありがとうございました。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
先ほどの教員の関係についてなんですけれども、昨日のぶら下がりの中で、今後は知事ご自身も一部現場の先生、この事態をどういうふうに見て、どう問題意識を持っているのか聞きたいと、昨日のぶら下がりでおっしゃっていたんですが、知事がもし仮にこの現場の教員の皆さんにお話を聞くとすると、先日の青少年問題協議会の中で少しお話があった、県の子ども・若者育成支援推進本部の検討部会の方に知事が参加されて直接お話を聞くという形になるんでしょうか。それともまた別の形で知事が現場にいらっしゃるという形なんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは、話としては多分違う、その場でどうこうということと今回の対応とは別の問題だと思っています。私自身もぜひ機会を作って直接話を聞ければいいなと思いますが、私が直接聞くことだけが意味がある話ではなくて、やはり教育委員会として現場の声をどれだけ反映できるかというところが大事な話ですので、これは教育長にも、次長も含めてですね、校長の意見というのは、いろいろな場面で聞く機会があると思いますけれども、本当に学校現場で前向きに取り組んでいる先生方がどういうふうに思って、どういう問題意識、問題意識というのは、現場で改善できるところは当然現場、学校単位、職場単位で改善してもらう必要があるわけですけれども、さっき言った例えば人事とか評価とかですね、採用とかですね、そういうところの課題があれば、これは現場で考えろと言っても無理なわけですから、そうしたことの課題をしっかりと把握して対応するようにということでお話をしています。今回行政改革をやる中で、知事部局の職員からは、一人1提案ということで提案してもらうわけですけれども、教育現場でそういうことが行われているのかどうかも含めて、現場の第一線で本当に子どもたちのために向き合って頑張ろうという先生方の声というのは、しっかり把握した上で対応してもらいたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
あともう1点なんですけれども、昨日の政府の第三者委員会の節電の関係なんですけれども、節電の見通し、中電は5.2パーセントの余裕があるということではあるんですが、国全体としては、西日本全体で電力需給が関電を中心に非常に厳しい状況なので西日本全体で節電の融通を求めていくというような形も、選択肢として考えられているということで、中電に直接ダイレクトに電力の融通が求められるかどうかまだ分からないんですけれども、ただでさえ余裕がない中で、さらに西日本の支援ということで厳しい電力需給が続くということも考えられるんですけれども、県としては、また新たに節電の取り組み強化とかですね、この夏に向けての具体的な節電の取り組みとか今考えられている点があったら、ちょっとお願いします。
長野県知事 阿部守一
政府としての需給見通しの方向性が出てきたので、その具体的な状況をわれわれも把握した上で対応したいと思います。これは電力が足りるから節電しないとかですね、足りないから節電するとか、なんというか、もちろん需給がひっ迫して危機的な状況時の対応というのも一つあり得ると思いますが、それだけではなくて、やはりCO2、先ほどもJ-VERの話もさせてもらいましたけれども、地球温暖化の関係でいけば原発が停止して化石燃料の火力等に頼るという形になるということは、CO2の排出量は増えていく方向になるわけでありますから、そういう意味では、単に電力需給の問題だけではなくて、一般的な省電力・省エネルギーに努めていくということは、別の観点からも必要だと思っていますし、仮にひっ迫するような状況があれば、それはそれで別途の踏み込んだ検討が必要だろうと思いますが、今中部電力の需給見通しは、そうひっ迫した数字ではないということをメディアで報じられておりますので、ぜひ、直接中部電力から私どもも状況を聞いた上で、どういう対応が必要なのかということを考えたいと思います。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
最後に1点なんですけれども、関連して、この今回のオフセット・クレジットなんですけれども、これは県内初の導入ということでよろしいんでしょうか。それから改めてこのオフセットを、今後も別の県有林でも進めていくお考えがあるのかということと、この制度に懸ける思いと言いますか、期待する点を改めてお願いします。
長野県知事 阿部守一
これは長野県としては初めてですね。今後どうするかというのは、担当の方から。
林務部森林づくり推進課長 塩原豊
今回初めて県有林として、長野県で初めて取り組みました。小海の県有林がいろいろと森林整備を進めている大きな団地でありますので、引き続き小海の県有林で、今年も認証を得るように取り組みたいと考えております。それからさらに、各市町村でもこういった取り組みが生まれてくればというような形で、モデル的に取り組んでまいりたいと考えております。
長野県知事 阿部守一
思いというところですけれども、これはぜひ、先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、長野県の森林でカーボンオフセットをしていただく企業とわれわれと、CO2の排出権を売る立場、買う立場ということだけじゃなくてですね、いい意味で協力連携をする契機にしたいなと、企業の側からすれば、先ほど申し上げましたように、信州の美しい森林整備に協力した形の中でのカーボン・クレジットなわけでありますから、そういう意味で、企業のイメージアップにもぜひ役立てていただきたいと思いますし、企業がこういう信州の美しい森林の間伐を進めることによって、CO2の吸収源の創出に貢献していますよということを発信していただくことによって、逆に私たちの信州の良さ、長野県の発信ということにつながるわけでありますので、ぜひそういう相乗効果が得られるような形を目指していきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
分かりました。以上です。ありがとうございました。
信濃毎日新聞 小坂真希 氏
先日の教員の逮捕にも関連もしてくるのですけれども、学校や教員に対する評価という問題について、今やっているもの以外に、県として、何か具体的に取り組んでいこうとか、制度として考えていることがありましたら教えてください。
長野県知事 阿部守一
学校や教員に対してですか。
信濃毎日新聞 小坂真希 氏
はい、そうです。
長野県知事 阿部守一
学校や教員に対する評価の話は、この間、教育委員との懇談のときに、PTAの副会長を務められた方からのご提案もありました。私も先ほど申し上げましたが、学校と地域なりにですね、そういうところの壁というか垣根というか、そういうのが高いという声はいろいろなところで、10年後の学校を考えるということで、タウンミーティングをやっても、やはりそういった意見は必ず出てくるので、もう少し開かれた学校にしていく必要があるだろうと、そういうことを考えていく上で、第三者というか、本当は保護者とか地域の人は当事者だと思うのですけれども、そういう人たちがもっと学校運営にですね、コミットしていただける制度というのは、私は必要だと思っております。教育委員会、個々の学校、公立学校をどうするかというのは、教育委員会の権限になるわけでありますので、この間そういうご提案をいただいたので、今後教育委員会とはそういう話をさせていただかなければいけないなと思いますし、まずは、今回の不祥事等を受けてですね、教育委員会としてどういう対応をするかということを、さっき私から何点かの提案を申し上げてありますので、そうしたものを踏まえた対応を考えてまいりたいと思っています。
信濃毎日新聞 小坂真希 氏
それは、いわゆる評価というものではなくて、どちらかというと保護者やあるいは地域の人が、学校や教員に対してどう思っているのかというような意見を聞くような場ということをイメージしておいてよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。例えば個々の教員の評価と学校の評価というのは、だいぶ質的に違う話だと思います。学校の評価というのは、外の意見で、開かれていないのではないかとかわれわれの声がうまく反映していないのではないかということ自体、それは学校の評価とほぼニアリーイコールじゃないかなと思います。個々の教員の評価は、また全然別の次元の話だと思いますが、先ほども言ったように、こうした不祥事等を受けてですね、教員の評価の在り方というのも、やはり一つ大きなテーマだと考えています。
信濃毎日新聞 小坂真希 氏
ありがとうございました。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
今の個々の教員の評価の制度の在り方、一つ大きなテーマということで、知事自身はどういう考えを持って、今のままではなくて、どういったところを直した方がよいと、具体的なものは描いていらっしゃるのですか。
長野県知事 阿部守一
教員評価、まさに教育委員会の専権事項みたいな話になるわけで、あまり私がどうこう言うのもいけない部分もあるかもしれませんが、やはり、まだ、導入して間もないというところもあるとは思いますけれども、どういう教師像を描いていくかということは、評価の話とセットだと思います。私、評価の軸というのはいろいろな観点があっていいと思います。子どもたちに興味を持たせて、引きつける授業ができるというのも、教員として素晴らしい能力だと思いますし、授業じゃなくて、勉強を教える、教えないということとは違う次元で、子どもたちの信頼を得られている教師とかですね、いろいろな学校現場で、本当に努力されている先生方は多いと思っていますので、そういうコンピテンシーモデルというか、本来目指すべきね、こういう教員が増えればいいなというモデルとなり得るような能力とか経験とかってあると思うんですよね。そういうものを蓄積して、教員の皆さんに、こういう能力をもっと身に付けようとか、あなたはこういう部分が課題ではないかということを、しっかり感覚的な問題ではなくて、もう少し理論的に伝えていく。とかく評価というと何か、AだのBだのCだの付けて、悪い評価になると嫌だなとか、そういう感じになりがちですけれども、私は評価というのは、むしろ自分の足りないところがどういうところで、そこをどう改善するかということにつなげていく手段だと思っていますから、そういう意味で教員の評価のあり方というのは、これから子どもたちに本当に向き合って信頼できる、信頼してもらえる、そして学力、体力の向上も課題ですけれども、そうしたことをきっちりと行っていくことができる学校教育をつくっていく上では、極めて重要な手段だと思います。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
分かりました。知事がおっしゃった評価の中身というか、質の問題をおっしゃられているという理解でいいですかね。評価主体が、例えば教育委員会だけではなくて、第三者の評価とか、そちらの話はいかがですか。
長野県知事 阿部守一
そこは、私は、例えば普通の職場でも360度評価だったりとかですね、そこはいろいろやり方はあると思いますし、唯一絶対これがベストだとか、これでなければいけないという話ではないのだろうなと思います。これは、教育長にも話したのは、今回は不祥事が相次いだことを受けての対応ですから、不祥事をどうすれば無くせるかという視点で取り組むことも必要だと思いますが、他方で子どもたちとか保護者の皆さんが求めているのは、そうしたレベルではないだろうと。不祥事を起こさない、犯罪を犯さないというのは、それは当たり前の話であって、行政経営理念にも書かせてもらいましたけれども、もっと高い志で教育現場をどうするかということを考えていただくということが必要だと思いますし、そうした観点からすると、今言った評価というのは、実は、知事の立場で教育に関係するのは予算の話がメインなわけですけれども、30人規模学級を導入するときも、私が教育委員会にお願いしたのは、量の話、教員の数を増やすとか減らすとかというのは私の権限と責任でやれるところが多いけれども、質の話は教育委員会にしっかりと取り組んでいただかなければいけないので、そこはしっかり頼みますよというお話を30人規模学級の導入のときもさせていただきました。今回も、私からはやはり、教育予算のある意味で大半は人件費なわけです。教育の基本は、人、子どもたちに向き合うという意味での人であると同時に、教員自身が、ある意味で政策でもあるわけですよね。そういうことをぜひしっかりと認識していただきたいと。そういうことを認識していただければ、今申し上げた評価制度とかですね、研修制度とかが、他の分野も重要ですけれども、教育の分野においては特に重要だということが分かると思います。そういうことは教育長にもお伝えはしています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
分かりました。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
来週、市町村との協議の場を今年度予定されてまして、内容で、元気づくり支援金についてテーマに上がっていましたが、これについては、知事の中では元気づくり支援金についての現状の課題というか、問題意識というかがあるのなら教えていただきたいのと、将来的に地方事務所とか地域への予算配分の在り方というものも含めたものなのか、それとも個別支援金のみの議論ということなのか、その辺を教えてほしいんですが。
長野県知事 阿部守一
元気づくり支援金については、いろいろなところからこれはいい制度だと、ぜひ維持してくださいというお話をずいぶん頂いています。ただ、その一方で、私の問題意識からすると、例えば市町村に対する支援とNPOとか地域づくりの団体に対する支援が、同じところで論じられているとかですね、そうした中で、市町村によってかなりそこの行政分と団体分のウエイトが違うとかですね、いろいろな運用のされ方が、それぞれの地域とかそれぞれの市町村によってさまざまあると。さまざまあっていい制度として設計してきているわけですけれども、今後を考えたときに、やはり一区切りする時期に、今後どういう制度にしていくべきかということについては、これまでの実績を検証しながらですね、考えていく必要もあるだろうと思っていますので、そういう意味で、市町村と一番密接に関係する話でありますから、市町村の皆さんが、まずはそのどういうお考えを持ってるのかということを伺いながら、意見交換をしたいと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
分かりました。
共同通信 水内友靖 氏
連休中に、北アルプスを中心に山岳遭難が相次ぎ、7名亡くなるという事態が起こりましたけれども、昨年の事業仕分けの際に、山岳遭難防止対策協会の負担金について要改善という結果が出て、県の対応としても入山税の検討、あと寄付についてPRして負担について考えていくという判断だったかと思うのですけれども、知事として今どのようにお考えになっているか、これは確か税制研究会とかで議論するということになっているかと思うのですけれども、知事のお考えを伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
長野県は山岳県ということで、多くの登山者の皆さんを引き付ける、そういう意味では山岳がある意味で長野県のシンボルであると、日本の屋根ということでも称されているわけでありますので、シンボルだと思っています。そういう意味で、私は山岳・登山の関係というのはいろいろ意味で大事にしていかなければいけないと思っています。そうした中で、非常に残念な事故が多く発生してしまっているということで、県としては、安全を守る、何か事故があったときにはしっかりと対応ができるということを、片ややっていかなければいけないわけでありますけれども、それと同時に、今お話にあった費用負担をどうするかというのは、実はいろいろな観点で課題だと思います。これは、もう一つ議論している森林税もそうですけれども、入山税的なものも含めて、一定の費用がかかるものに対して誰が費用負担をするべきなのか、今、国税と地方税とあるいは税以外の協力金みたいな話とか、いろいろな形で財源手当がなされているところがあるわけですけれども、やはり山に登る一定のリスクを覚悟して山に行かれる方々に対しての財政負担というのは、私は単純に税金で負担すればいいのかというところは、いろいろ議論の余地があるのではないかと思います。それが、税の形がいいのか、協力金みたいな話がいいのか、山岳にかかる経費というのもいろいろあるわけですよね。登山道の整備とか、ずっと国で議論のあった山小屋のトイレをどうするのかとか、あるいは山岳救助の話で、山岳救助もヘリコプター出動させる話と、救助隊が行くところで費用負担のあり方も必ずしも一様な考え方には今なっていないと思いますので、そうしたことも含めて、今お話のあった入山税のあり方とかを考えていく必要があるのだろうと思います。
共同通信 水内友靖 氏
これはいつぐらいに結論を出すというお考えはあったのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
税制研究会は当面森林税が時限になっているので、それに対してどうするかということをまず先行してご議論いただいている状況ですから、その後になるので、スケジュール的にはいつまでにどういう結論を導こうということには現状ではなっていない状況です。
共同通信 水内友靖 氏
今の知事のお話の確認なんですけれども、一定のリスクを覚悟して行かれている方々の負担について、すべて税金で賄うというのは、知事としては違和感があるというお考えなんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは、今現状例えば税負担でやっている部分、例えば県警のヘリを飛ばすことは税負担でやっているわけですから、今の現状を直ちに否定するということではなくて、幅広く議論をしていくことが必要な分野ではないか、これは救助の話に限らず、山岳についてはいつも登山道の整備をしても、登山道の整備は結構寄付で賄ったりしているところもあるわけであります。そういうところは寄付で本当にいいのか、もっと税負担で逆にやっていかなくてはいけないのか、通常の47都道府県共通の項目というよりは、長野県とかいくつかの山岳県の独自の課題だと思いますし、もう一つ山の話は例えば北アルプスであれば、長野県だけではなく富山県とか岐阜県とか、そういうところとの共同歩調を取らなくてはいけないというところもあるので、一足飛びにいろいろな見直しをするというところまでいくのは、なかなか正直難しいと思いますけれども、本質的に誰がどういうものについて、どういう負担をするのかというところについての議論の余地というのはある分野かなと思っています。
鈴木恵美子 氏
長時間、恐れ入ります。長野市に住みます鈴木恵美子と申します。子どもや教育に関する二つの事柄について伺わせてください。1点目は、教育や子どもに関する県庁内の組織体制についてです。現在、県教育委員会の他にですね、私立学校に関しては総務部情報公開・私学課県立大学設立準備室が担当されてまして、企画部次世代サポート課、この他子どもの権利条例制定をめぐりましては、健康福祉部こども・家庭課が受け持たれています。この健康福祉部こども・家庭課さんの方は、「子どもの育ちを支える仕組みを考える委員会」というのが、この課がご担当されて設立・設置されているということが理由のようです。そこで、子どもの教育に関することのそういった施策を充実させていただきたいと願っているわけですが、知事として、このようにいろいろな課にまたがっていることで当然利点があると思いますが、一方で課題として受け止めていらっしゃることがもしありましたら教えてください。
長野県知事 阿部守一
子どもに関係する部局がいろいろまたがっているということは、私もそれぞれの、例えば福祉は福祉、教育は教育、そういう専門的な立場で考えていくという観点では、メリットがあるのかもしれないですけれども、子どもを総合的に捉えて対応していくという上では、実は課題でもあるなと思っています。自治体によってはそういう子ども関係部局を統合していくという、横浜なんかはこども青少年局という形で局をつくってましたけれども、そういう動きもある中で、長野県として子ども行政をどうしていくのかというのは、今まさに中期計画を検討している中で、子どもをどう応援するか、教育をどうするかというのは一つの重要な柱になると思いますので、そうした県としての取り組むべき施策を考える中で、組織体制の在り方も併せて検討していきます。
鈴木恵美子 氏
ありがとうございます。今、まさに知事がおっしゃってくださいましたが、具体的な例を二つほど挙げさせていただきますと、一つは私立高校に直接県教育委員会が直接的にはですね監督指導等かかわることができないということが一つ課題になっているのではないかと思います。時間が無いときに長くなって申し訳ないのですが、その中の一つの例を申し上げますと、長野県の場合、中学校での特別支援学級に在籍する生徒さんの数が全国の中でも極めて高いという現状がございます。平成22年度の卒業生の523人のうち、約6割の304人の方が高校に進学されました。そのうち、およそ3分の1の方が私立高校に進学されています。3分の2は公立高校と伺っております。昨年の11月、県教育委員会の定例会の中で、公立高校生の発達障がいの生徒さんの実態調査がございました。その折、私立高校にいらっしゃる生徒さんの実態調査はいかがなものかということをお尋ねしましたら、そのような調査は現在では行われていないということでした。長野県の子どもたちをずっと生まれた時からまた大人になるまで支援していく上では、何か連携だけではない、具体的な取り組みが必要ではないかとは感じているところです。もう1点、子どもの権利条例に関しましては、大変失礼ですが、知事は4月3日の知事会見の折、次世代サポート課さんのお名前を挙げられましたが、これは健康福祉部さんの方でなさっているということで、私ども県民にとりましては少し分かりにくい点もございますので、そこのところ、より県民がこの問題に関心を持ち、子どもをサポートするというところに共に歩んで行けるようにまたお考えをいただきたいと思います。
鈴木恵美子 氏
続きまして、2点目のご質問ですがよろしいでしょうか。「こどもの権利支援センター」についてです。これは県教育委員会の教学指導課心の支援室内に設置されていまして、田中県政時に発足され、当時マスメディアに全国的にも取り上げられ、画期的な機関ではないかということで、今日まで継続されていると思います。昨年度の信州型事業仕分けでも、判定結果は「現行通り・拡充」となりまして、今年度も引き続き現行通りということでやっていただいています。この「こどもの権利支援センター」の活動内容を県のホームページで拝見しましたところ、学校との調整や仲裁といった言葉が明記されています。学校の事情に精通してらっしゃる方が担当され、教育委員会の中にあるからこそ、迅速に適切なご対応をしてくださるものだと思っております。しかしながら一方で、この中で保護者あるいは子ども、保護者と学校が何か問題になり、課題があったときにですね、ややもすれば、教育委員会の中にあるがために、学校の方にやや重きを置くような関係になっていてはいけないのではないかということを危惧しております。つきましては、この「こどもの権利支援センター」に大変期待をし、信頼をさせていただいていますので、強化をしていただき、ぜひですね、子どもたちに寄り添った機能をさらにさらに持っていただくようにお願いをしたいと思いますが、知事の受け止めはいかがでいらっしゃいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
教育委員会も、何というかレイマンコントロールで、専門的な教員とかではない方々も含めて教育委員会は組織しているので、そういう皆さんにまずしっかり教育のあり方をコントロールしてもらいたいと思いますし、今お話にあった「こどもの権利支援センター」については、今はどういう具体的な相談があって、どういう対応をされているのかということを私もよく把握をさせていただいて、その上で課題があれば改善してまいります。
鈴木恵美子 氏
ありがとうございます。学校精通者のみならず、時には第三者的な立場の方もおいでいただくとか、より子どもの立場に寄り添い、支援をするといったものにしていただきたいということを切に願っております。どうもありがとうございました。
長野県知事 阿部守一
はい、どうもありがとうございました。
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