ホーム > 県政情報・統計 > 県概要 > 知事の部屋 > 知事会見(動画とテキストでご覧になれます) > 2012年度知事会見録一覧 > 知事会見2013年1月29日
ここから本文です。
更新日:2016年12月25日
■JR東日本冨田社長との会談結果について(PDF形式:37KB)
長野県知事 阿部守一
それでは、長野以北の並行在来線についての会見を始めさせていただきます。JR東日本の冨田社長と先ほどですね長野以北並行在来線の鉄道資産の譲受けに関する会談を致しました。その結果、双方納得する形での合意に至りましたので、皆さんにお知らせを致したいと思います。
概要はお配りしてありますかね。お配りした資料のとおりでございますけれども、まず鉄道資産の譲受け価格につきましては、34億円余、34億9,700万円であります。県で平成20年度に行いました「県内の並行在来線長期収支予測調査」におきましては、当該区間の鉄道資産額を60億円程度ということで推計を致したわけでありますが、極力低価格となるよう協議を重ねてまいった結果、不要資産を対象外とすること、あるいは撤去費について考慮してもらうというようなことを積み上げて、大幅に低価格化を図ることができました。また、この他に車両が5編成で1億円弱という形で譲渡を受けますので、鉄道資産と合わせて35億円余ということで、70億円程度と見込まれる額の約半額という形にすることができました。また、JR東日本からは鉄道資産の譲受け価格を大きく上回る、約44億円の支援策の実施をしていただくことができることになりました。こうしたことから、鉄道資産の譲受けについては実質的に無償という形になったと考えています。
支援策の内容につきましては、レールや架線の張替え、橋梁(きょうりょう)の塗装や駅舎の補修等、鉄道施設についての開業までのJRでの整備に関して約25億円、それから、長野駅と北長野駅間のように、JRとしなの鉄道が並走している区間があります。双方の敷地に入り組んだ架線等をJR側で分離する整備に関して約7億円、新幹線延伸開業に併せまして、JRで実施する観光宣伝、あるいはキャンペーンで約11億円、円滑な開業のためにJRからしなの鉄道への出向者にかかる人件費のJRでの一部負担ということで約1億円という形になっております。こうした支援策は、しなの鉄道が運行していく上で大変有効なものだと評価をしております。冨田社長からも、しなの鉄道での運行が円滑にスタートし、その後の経営が順調にいくための有形・無形の協力や支援を最大限行っていきたいというお話をいただいたところでございます。
また、さらにその他、新幹線開業に向けた広域観光ルートの整備、あるいは観光資源の開発及び商品化や幅広い情報の発信などの観光振興・地域振興の面で、協力して進めていくことを確認致しました。冨田社長も長野県を訪れる観光客を増やしていきたいと、積極的に取り組んでいきたいというご意向を示していただきました。
加えて、私の方から、これは具体的な実施時期については今後調整しなければいけないわけでありますけれども、新幹線延伸開業後の効果的な時期におけるディスティネーション・キャンペーンの実施のお願いをさせていただきました。平成22年にディスティネーション・キャンペーンを実施致しましたが、全国から大勢の皆さんに長野県にお越しいただいたわけでありまして、次回は金沢まで新幹線が延伸している時期を捉えて行っていただくことができれば、広く北陸方面も含めた地域から大勢の皆さんにお越しいただけるのではないかと期待をしているところでございます。
以上が、本日の会談結果の概要でございます。JR東日本には本県の財政状況、あるいは長野以北並行在来線の厳しい実情を踏まえて、誠意をもって協議を重ねていただきましたことに、深く感謝申し上げたいと思っております。
長野県にとりましては、平成9年の現行区間の譲受け協議の教訓を踏まえて、今回はかなり具体的な協議調整をしてまいりました。十分な協議を重ねた上での結果にすることができたのではないかと考えています。私の方からは以上でございます。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
70億円程度と推定したものが、鉄道資産と車両併せて35億円余に落ち着いたとうことなんですけれども、結果的に昨年石川とか富山県とか、それ以前の青森県等もですね、だいたい当初県側が見積もった約半額くらいに落ち着いているかと思うのですけれども、その辺がやっぱり前例が一つの参考になったという見方をお持ちかどうかということと、それからいろいろ譲受け価格を大きく上回る支援策というようにありますけれども、知事としてはこれが非常に大きな成果だと、特筆されるものがあればお願いしたいのですが。
長野県知事 阿部守一
前例という話がありましたけれども、まず、他県の事例とは単純に、置かれている状況からしても全く同じ条件、状況ではないと思いますので、なかなか単純に比較することは難しいのではないのかなと考えていますが、先ほど申し上げましたように、例えば平成9年に長野県しなの鉄道、最初の並行在来線として分離する時には、不要資産の整理等を行うことなくですね、JR側から提示された金額で鉄道資産の取得をしてきたわけでありますけれども、今回、先ほど、縷々(るる)ご説明をさせていただいたようにですね、不要資産を、これは、並行在来線の経営に必要なものかどうかというのを一つ一つ検討したり、あるいは除却していくようなものについては、その撤去費についてJR側に考えてもらうといったようなことの積み上げを行ってまいりましたので、そうした観点では、県として、納得のいく協議ができたと考えています。もう一点は何ですかね。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
今、後段のお答えにもなるかと思うのですけれども、長野県にとって非常に大きいというか、他県とは違うということはないかもしれませんが、やっぱり、長野県としては、しなの鉄道健全に運営していく上でも、この支援は大きいというのは、やっぱり今おっしゃるような不要資産の整理とかそういうところになるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。これは、まず一つはやっぱり鉄道資産の譲受け価格のところで、具体的に踏み込んだ交渉をしてきたということは、一つ重要なポイントだろうと思っています。信越本線、今信越線になっていますけれども、かつて特急が走っている非常に全国の鉄道の中で規格が高いものを、今のしなの鉄道区間は、そのままのスペックで譲り受けたわけでありますから、そうした教訓をわれわれは今回はしっかり生かして交渉したということ、それからもう1点は先ほどJRからの支援策の話を申し上げましたけども、これはJR東日本、とりわけ首都圏からの長野県への観光、あるいは人の移動という意味で非常に重要なウエイトを占めている企業でありますが、JR東日本の方で、例えば観光宣伝、キャンペーンをですね、しっかりと取り組んでいただけるということは、これは私どもとしては大変大きなプラスの経済効果を生むものと考えています。そうした価格面でのしっかりとした協議とそれとは並行したさまざまな支援策、総体において、私どもとしてJR東日本に対して期待していたことについてはほとんど実現ができたのではないかなと思っています。
共同通信 小田智博 氏
観光宣伝やキャンペーンに11億円ということだったんですが、この宣伝というのは本来であれば県が行うはずであった宣伝という意味なんでしょうか。というのも、当然JR東日本としましても沿線が延伸したら、当然該当地の宣伝をするのはある意味当然なのかなと思えて、これを額に加えることが妥当かどうかというのがちょっとよく分からないですけど、教えていただけないでしょうか。
長野県知事 阿部守一
当然県も宣伝はしていかなければいけないわけでありますけども、JR、先ほども例えばDCキャンペーンの話もさせてもらいましたけども、JR東日本なり、あるいはJR各社が観光宣伝をやっていただくというのは、これは非常に効果が大きいわけであります。例えば重点販売地域みたいなものを決めてですね、もちろん管内、JR東日本であれば管内全体を対象にして伸びていけばいいんでしょうけど、やっぱりそれは会社の判断としてどういうところを重点的に宣伝していくかということは、その都度、その都度、会社側の経営判断として取り組まれているわけですから、そういう中に長野県のことをしっかり折り込んでいってもらうことができるのは、何もしない、長野県として何も働き掛けをしていない状況に比べれば、確実にプラスの要素だと思っています。ディスティネーション・キャンペーンについても前向きに、ディスティネーション・キャンペーンは他のJR各社と相談事にもなりますけれども、前向きにご検討いただくということでありますので、そういう意味で私どもとしては、大変大きな効果が今回の並行在来線の分離に伴って期待できると思っています。
共同通信 小田智博 氏
今、分かっている範囲で結構なのですが、11億円の内訳を教えていただけないでしょうか。
長野県知事 阿部守一
はい。それは、担当課の方からご説明を致します。
企画部交通政策課 新幹線・在来線企画室長 関昇一郎
11億円の細かな積算については、私どもも現時点で詰めているわけではありません。ただ、先ほど知事から申し上げましたように、通常のJRさんで行われている長野県の観光宣伝に加えて、通常ベースを上回る形で、それだけの大きさの観光宣伝、特に東日本管内が中心になりますが、行われていくということで承っています。
読売新聞 中村和裕 氏
県としては、どういうスタンスで交渉に臨んでいたかを再確認させてください。
長野県知事 阿部守一
どういうスタンス。
読売新聞 中村和裕 氏
できるだけ低価格でというのがあったかと思うのですが、ちょっと再確認を。
長野県知事 阿部守一
そうですね。私どもは、先ほどから申し上げているように、現行のしなの鉄道の区間での教訓があるわけでありますので、そういう観点では、先ほども言ったように不要なものまで引き継がないと、そして極力低価格になるようにというスタンスで、JR東日本と協議をしてきたということであります。
信越放送(SBC) 伊藤一郎 氏
この譲り受け価格の車両の方なんですが、これまで5編成で1億円弱ということで、最終的に資産と車両を合わせて35億ということなんですが、もともとこれはいくらぐらいのもので、どれぐらいのものなのか。資産のほうは書いてあるのですけれども、これの試算みたいなものはあるのかとか。
長野県知事 阿部守一
はい。それも担当課の方から。
企画部交通政策課 新幹線・在来線企画室長 関 昇一郎
もともといくらということよりも、こちらの方で使用価値として見込んでいたものが大体10億円程度、残りの耐用年数を考慮すると5編成で10億円程度とみています。
信越放送(SBC) 伊藤一郎 氏
これは大幅な減だったということでしょうか。分かりました。あと、ちょっとまだ一息ついたばかりで早いのですけれども、今後鉄道資産の話、車両の話等も出ましたけれども、今後しなの鉄道の長野以北を経営するための課題で大きいものを、知事がお考えになっているものを教えていただけたらと思います。
長野県知事 阿部守一
本日の段階では、譲渡価格について合意をしたところでありますから、まだこれから具体的なプロセスや手続きをしていかなければいけない、まだまだ細かい具体的な引き継ぎ等をですね、JRとしなの鉄道でやっていってもらわなければいけないという部分もありますし、政府に対して私どもはかねてからいろいろな財政措置も要請をさせてきていただいています。一定程度、国においても私どもの考えを踏まえて、前向きにご検討いただいているわけでありますけれども、そうしたものを受けて、経営自体が持続可能なものになるように、しなの鉄道において支援策がはっきりした段階で、持続可能な経営計画を作っていってもらうということが必要だと思っています。加えて沿線の皆さんには利用促進の取り組みを今からしっかりやっていただきたいと思いますし、私どもとしては、大勢の観光客がこの並行在来線としての長野以北の、今の現行信越線にお越しいただけるような取り組みも、県としても考えていくことが重要だと思っています。
長野放送(NBS) 中村大輔 氏
今回の協議で、当初の推計より大幅に安く譲り受けられるということで、初期投資が予想より大幅に低くなったということが今後の経営計画に何か影響を及ぼすことがあるかどうか教えてください。
長野県知事 阿部守一
そもそも資産の譲受け金額が大きければ大きいほど、しなの鉄道、県の負担が大きくなるわけですから、そこについては最大限、極力低価格に抑えていこうということがわれわれの大方針でありました。そういう意味では、経営面、そして県の財政面、双方にとってはプラスの方向性の交渉ができたと思っています。
長野放送(NBS) 中村大輔 氏
あと、知事、先々週、国交省で初期投資のさらなる国の支援を求めてお願いされたと思うんですが、今日の新聞でも書いてあったんですけど、それの具体的に国の方からですね、どんな支援が、他の設備投資費用ですとか、について受けられる見通しかっていうのが、もしありましたら教えていただきたいのですが。
長野県知事 阿部守一
そうですね。この並行在来線、それから地域鉄道に対しての支援策というものは、私もずっと政府に対しお願いをしてきたわけで、今年度も延べ5回、国に対して、私からお願いをさせてきていただいています。そういう中で、地方財政措置が前向きに今検討されていると伺っています。これを実現していただければ、私どもが強く求めていたことが実現するということになりますし、並行在来線、あるいは地域鉄道に対する地方の負担軽減につながるということで、大変ありがたいことだと思っています。まだ正式な形で具体化されていませんけども、ぜひしっかりと具体化をしていただきたいと思っています。
中日新聞 森若奈 氏
細かいことで申し訳ないんですが、しなの鉄道が長野駅を使うとなると、結構な額を駅の使用料として支払わなければいけないと思うんですけれども、それについての話っていうのは今日はあったんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そこは、ちょっと具体的な話なんで、事務方の方で、関室長の方でお願いします。
企画部交通政策課 新幹線・在来線企画室長 関昇一郎
長野駅をJRの方から共同使用という形で、しなの鉄道として使わせていただくこととなりますけれども、金額的なやり取りについては、今日はございません。ただ、どういう形になるかというのは引き続き検討しているところであります。
信濃毎日新聞 中川かおり 氏
ディスティネーション・キャンペーンなんですが、具体的にこの時期というのを知事の方から要請されたのか、あるいはしてなくてもこの時期というのがあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
そうですね。これ関係者の、県だけの一存ではなくて、関係者の皆さんの意見を聞いて、具体的な時期を確定をさせていかなければいけないと思っていますが、開業の年は、長野県、長野市にとって、善光寺の御開帳の年になりますので、その年と少しずらした方がいいのかな、と私自身は思っています。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください