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更新日:2016年12月25日
■楽園信州ファンクラブ「地域百選おもてなしスポット」(特典協賛施設)の第1次募集を開始します(PDF形式:1,677KB)
長野県知事 阿部守一
8月31日の会見を始めたいと思います。私の方から冒頭4点、お話をしたいと思います。
まず、部局長会議の開催をこの会見に先立って行いました。新しい総合5か年計画の策定に当たって、「信州未来プロジェクトチーム」を設置していこうということ。それから第67回の全国植樹祭の開催が内定したという報告。それから信州四季旅キャンペーン(秋)についての取り組み。さらには私、今日でちょうど就任丸2年という形になりますけれども、県政としてこの2年間取り組んできたパワーポイント版でのまとめの報告という内容でございます。新しい総合5か年計画については、県総合計画審議会でいろいろなご議論を重ねてきていただいていますし、県民の皆さんとの意見交換も繰り返してきておりますけれども、この「信州未来プロジェクト」、私としては新しい計画のコアの部分だと考えています。次世代産業、雇用創出、あるいはアジア最高の山岳高原リゾート、美しく持続可能な農山村づくり、それぞれ課長級がチームリーダーになって部局横断的に新しい長野県をつくる上で必要な施策を具体化していってもらいたいと強く期待をしています。それから四季旅キャンペーンにつきましてですけれども、9月1日から11月30日まで3カ月間、秋のキャンペーンを実施していきたいと考えています。キャンペーンの内容は長野県全体を体験博覧会の会場と見立てて、「ぐるっと信州体験博」を実施していきます。県内各地の147のプログラムをご紹介して、体験の旅、周遊の旅を楽しんでいただきたいと考えています。夏に引き続きまして、旅館ホテル組合会とも連携して、インターネット宿泊予約サイトで、「体験」「紅葉」「信州の食」の3つをテーマにした宿泊プランを提供していきたいと考えています。また、旅の窓口となります市町村等の県内176カ所の観光案内所に統一サインを掲示して、おもてなしの拠点、情報発信の拠点としてこれまで以上に丁寧なサービスの対応をしていただきたいと考えています。こうしたものに加えて、持続可能な社会をつくっていこうという取り組みの一環として宿泊施設のアメニティの節減分を森林整備に活用させていただこうということで、信州森林(もり)ecoコインをスタートさせていきます。先週から参加施設を募集しているところでありまして、10月からは実際に宿泊施設への取り組みを始めていきたいと。アメニティを使わない方には、このecoコインをフロントで出していただいて、その分を森林整備の財源に充当をさせていただきたいと考えています。また、ポスターのデザイン、観光ポスターについては、夏に引き続いて画家でグラフィックデザイナーの原田泰治さんがキャンペーン用のポスター、そして季刊信州の表紙、ホームページのトップ画面をデザインしていただいております。四季を通じた統一感ある長野県のイメージ発信に努めていきたいと思っています。ぜひ、皆さま方のご協力をお願いしたいと思いますし、詳細についてはこの後観光部から説明をさせていただきたいと思います。それから就任2年間の取り組みということでまとめましたが、会議の時にも申し上げましたが、男女共同参画の観点とかもう少し加えてもいい部分があるかなと思っていますが、一応主な取り組みを分かりやすくとりまとめさせてもらいました。2年間を振り返って、東日本大震災をはじめとして、原発事故への対応等、突発的な対応に迫られた2年間であったなと思っておりますけれども、最初の1年目の時はまだまだ種まき状態だと私自身感じていたものが、かなり芽が伸びて大きく育ちつつあるという実感を持っています。自然エネルギーの話であるとか、あるいは誰にでも居場所と出番がある社会を目指してのパーソナルサポートセンターの設置だとか、私自身の思い入れの深い事業も具体化してくることができたと考えています。この2年間、私として心掛けたのは、やはり私は長野県の知事でありますから、オールジャパンの視点とは別の視点で長野県の力、長野県の潜在力であったり強みというものをどうすれば引き出すことができるか、活かすことができるかということを念頭に置きながら取り組んできたということと、加えて、今教育問題については、まさに本格的な検討をスタートさせたばかりでありますけれども、発達障害の子どもたちとか、あるいは、今の格差社会の中でなかなか就職だけではなくて、いろいろな困難に直面している皆さま方をどう支えるかといったような、長野県が直面している課題にしっかりと向き合っていく。その2点、長野県の強みを生かす、それから、直面している課題にしっかり向き合う。この2つを意識した取り組みを進めてきました。県民の皆さま方からはいろいろなご意見をいただいたり、厳しいご指摘をいただくこともあれば、温かく励ましていただくこともある中で、県民の皆さんといろいろな形で連携・協働しながら県政を進めてくることができたと考えております。この2年間の県民の皆さま方のご支援と、県の職員の奮闘に私としては感謝をしたいと考えています。引き続き、まだ途中のプロジェクトもさまざまありますし、先ほど申し上げた信州2大プロジェクト、新しい長野県を作っていく上での方向付けをきっちりと行っていかなければいけない時でありますので、県の職員と力を合わせて、新しい方向付け、県民の皆さま方と一緒になって実現をめざしていくことができる目標設定をしていきたいと考えています。メディアの皆さま方にも2年間大変お世話になりまして、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
それから、大きな2点目でございますけれども、南海トラフ地震の被害想定でございます。29日に内閣府から南海トラフ沿いで巨大地震が発生した場合の被害想定が発表されたところでございます。長野県内の被害想定のうち死者が最大になるケースは、多くの皆さんがご自宅でお休みになられているときに被災をする、冬、そして深夜というケースでございます。このケース、約50人の死者ということが想定されております。また、建物の被害については、地震が陸側で発生するケースが最大ということで、約2,400棟の全壊家屋という見込みになっております。うち、液状化による被害が約1,500棟、揺れによる被害が700棟という形になっておりますほか、がけ崩れ・火災による被害も想定されているという状況です。内閣府においては、東日本大震災を教訓として、最新の科学的知見に基づいて起こり得る最大クラスの想定をして、南海トラフの巨大地震モデルの見直しを行っているわけでありまして、県内では、飯田市、伊那市、阿南町、大鹿村で震度6強が想定されますほか、全県で震度5弱以上が想定されています。今回の被害想定もこうした震度分布に基づくものと聞いております。県としては今回発表された被害を少しでも軽減していくために、耐震化の促進、あるいは家具の転倒防止等の促進などの取り組みを進めていきたいと考えておりますし、今回の国の被害想定も踏まえて、平成14年3月に県の地震被害想定を発表しておりますけれども、この見直しも行ってまいります。また、今回の被害想定では、特に沿岸県、海沿いの県が津波の被害が非常に大きいということで、静岡あるいは愛知といった長野県の隣接県において大きな被害が発生することが予想されておりますので、私ども長野県としては、もちろん県内の被災地・被災者支援ということも行ってまいりますけれども、こうした沿岸部の被災県を広域的に応援することについても、今後検討を行っていきたいと考えています。
それから、大きな3点目でございます。平成24年度、今年度の地震総合防災訓練についてであります。明日、9月1日が防災の日でございますので、今日の午後と明日の午前にかけまして、地震総合防災訓練を実施してまいります。例年県としては、大規模地震の発生を想定して訓練を行ってきておりますが、今年度は29日に発表された、今申し上げた南海トラフの巨大地震の発生を想定しての訓練ということで、取り組んでまいります。今年度の訓練は重点項目として、まず県として優先的にどういう対応をするかという、災害対応方針を対策本部員会議において意思決定をしっかりと行っていきたいと思っております。また災害対策本部を強化するために新たに本部要員として指名された企画部・総務部の職員が、実際の災害に際して担うこととなります対策本部の各班の業務を訓練においてきっちり経験をしてもらうということに重点を置いて取り組んでいきたいと考えております。また、災害時の広報ということは大変重要でありますので、皆さま方にもご協力をいただければと思いますが、第1回の災害対策本部員会議終了後に模擬会見を行わせていただきたいと思っています。ぜひ協力をいただければと思っております。
それから、4点目でございますが、楽園信州ファンクラブの関係でございます。楽園信州ファンクラブ、6月補正予算で予算付けをしたわけでありますけれども、今後多くの皆さんに長野県に訪れてもらう、あるいは特産品を味わっていただけるような取り組みというものをしっかりとつくっていきたいと思っております。さまざまな特典付きのファンクラブにしていきたいと思っております。そういう中で、今回は会員向けの特典の協賛をいただける施設の公募ということでございます。県内の観光事業者の皆さんをはじめとして、歴史文化施設、あるいは飲食店の皆さんや商店街の皆さん、交通関係者の皆さんが、ぜひ創意工夫していただいて、わが地域・わが町、あるいはわが社のおもてなしスポットとしてエントリーをしていただきたいと考えております。そうしたものを統一的に発信することによって、大勢のファンの皆さんにメリットを感じてもらえるようにしていきたいと考えています。エントリー数の目標は、全県で1,000と、各圏域ごとに100程度という目標で取り組んでいきます。1,000のおもてなしスポットというかたちで紹介をしていきたいと思いますし、観光あるいは体験交流の楽しみ方を点から線、そして面へと広げていく一助にしていきたいと考えております。ぜひ、大勢の事業者の皆さま方に今回のこの信州ファンクラブを広げるための取り組みにご賛同・ご協力をいただければ大変ありがたいと思っております。私の方からは以上でございます。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
南海トラフの被害想定の関係で、建物被害の2,400棟のうち1,500、約6割ぐらいが液状化による被害だということだったわけですけれども、県として今後の対策、新たに何か考えていることって、被害想定を受けてありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
危機管理部の方から、今の取り組みついてご説明をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
危機管理部危機管理防災課長 池田秀幸
液状化の件につきましてはですね、現在地域防災計画の中ではですね、対応策と言いますか、液状化に対する対応についても盛り込ませていただいておりますが、まだ具体的なところはですね、現在国交省でもですね、液状化に対する検討委員会が立ち上がっておりますし、それから、今後の地震に対するですね、新たな被害想定もまた秋冬に出てまいりますので、それを見ながらですね、こちらでも地域防災計画に取り込んでいくとかですね、先ほど知事が申し上げましたように、県の地震対策基礎調査、これも10年経っておりますので、その見直しを検討していく中で、液状化に対する対応も建設部と一緒に盛り込むのであれば、盛り込んでまいりたいと考えております。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
その地震対策基礎調査の見直しなのですけれども、その見直しというのがどういうような内容になるのかということと、どういうプロセスでスケジュールで進めていくのかということを教えてください。
長野県知事 阿部守一
これも危機管理部の方でお願いします。
危機管理部危機管理防災課長 池田秀幸
実際の基礎調査につきましてはですね、現在、関係する大学の先生とかですね、内部的には打ち合わせをしておりますが、それについて、予算とか伴うこともございますし、今後いろんな、どういう形でですね、検討していくのか、これからこちらの方で検討してまいりたいと考えております。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
最初に聞くべきだったと思いますが、長野県の被害想定というものをご覧になって、知事としては、知事としては率直にどういうふうにお感じになられたのかということを教えてください。
長野県知事 阿部守一
今回東日本大震災も踏まえて、非常に最大限大きな被害想定がされてきている中で、先ほど申し上げたように、震度6強の地域が、県内に出てきているということは、これはこれまで以上にですね、これは直下型地震も含めて、いろいろな地震対策していかなければいけないわけですけれども、南海トラフ沿いでの巨大地震に対しても、より踏み込んだ対応を検討していく必要があると思っています。
毎日新聞 小田中大 氏
南海トラフの関係で、先ほど知事の方から、沿岸県ですね、隣接沿岸県についての、広域的な、応援することも検討したいというご発言があったのですけれども、それはいわゆる今知事会とかでも、基本的にそういう応援する形になっていると思っているのですけれども、そうではなくて、例えば静岡県とか愛知県と長野県として個別に何か協定なりを結んでいきたいというご意向ということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは、今、県と市町村との協議の場でも、広域応援体制の在り方を一緒に考えてきました。東日本大震災に対しての応援は、全国都道府県市町村、協力して応援したわけですけれども、そういう中で見えてきている課題もありますので、これは知事会なりでも検討してきましたし、併せて長野県の場合はチーム長野で応援していこうということで、市町村との検討も進めてきていますので、そうした中で南海トラフの巨大地震を想定したときには、先ほど申し上げましたように、静岡県あるいは愛知県で大変大きな被害が見込まれる中で、具体的に私どもとしては、真っ先に、もちろん南信地域に対する対応ということもしなければいけなくなりますが、併せてこうした地域に対しての応援ということも、これはやっていかなければいけないし、それがある意味で隣接している県の務めでもあると思いますので、そうした観点を持って、具体的にどうしていけば効果的な応援ができるのかということは、隣県あるいは知事会等でも、これから議論がこれからさらに出てくると思いますので、そうした中で具体化をしていきたいと思っています。
毎日新聞 小田中大 氏
これから具体化というところなんですけれども、避難者がかなり大量に発生するということで、山梨の方でも一応議論があったのですけれども、要は、静岡からどれだけ人がくるか分からない、その受け入れもあるし、長野県の場合は、南信地方は被災する可能性もあるかもしれない、ということもあるのですけれども、知事の中では、そういう受け入れについては積極的に検討なり、どれだけできるかってことも考えていきたいということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね、これはもちろん静岡県なり愛知県なりが、東日本大震災でも、当初広域的な避難をだいぶ想定したわけですけれども、やはり自分の都道府県の中での避難が優先されて、ただ、現実的に長野県は、今でも1,000名の方が避難されていますし、東北の例えば山形等では、もっと大勢の皆さんが避難されているという状況もあるので、そういうことを考えると、もちろん静岡県、愛知県どういう対応を考えるかということが、前堤ではありますけれども、一定の避難者に対する支援、受け入れということを私たちも考えておく必要があるだろうと思います。
毎日新聞 小田中大 氏
2点目なのですけれども、先ほど、今日で就任から2年になるということでお話があって、部局長会議の方でもこういう成果があるということでお話しがあったのですけれども、先ほど知事の思い入れのある政策についてお話しがありましたが、これからあと2年あるわけなんですけれども、先ほどおっしゃっていた潜在力を活かすという点と課題と向き合うという点で、どういう点を強化されたいのかということを一言お伺いしたいのですが。これからの展開というか。
長野県知事 阿部守一
長野県の強みを活かすという観点から申し上げれば、一つは自然エネルギーは、これは長野県、潜在力がある、これは太陽光、小水力、木質バイオマスいずれも潜在力の大きな地域ですから、そうしたものをこれまで以上に生かすことによって、地域の自立であったり、地域内の資金循環につなげていきたいと、経済的な側面にもプラスの効果が最大限上がるように取り組んでいきたいと思っています。加えて、今回森林税も延長をさせていただく方向で、議会に議案をお示しをしていきたいと思っていますけれども、長野県の有する水であるとか森であるとか、そういう価値が改めて見直されてきていると思っています。そういう意味で水も保全すると同時に生かしていく、森林も保全すると同時に生かしていく、そういう観点での取り組みもさらに強化していきたいと思いますし、加えて長野県、農業、園芸作物を中心として非常に付加価値が高い果物、野菜等を作ってきているわけでありますので、そうしたもののブランド力をより高めていくことによって、農業の活性化を図っていくと、これも長野県の強みをある意味で生かしていくことにつながると思いますし、また、移住交流の施策、一歩踏み出して取り組み始めていますけれども、長野県、他の地域から選ばれる、住むところとして、移り住みたいところとして、選ばれる県でこれまでもあったわけですけれども、そうしたものにさらに磨きをかけていきたいと思います。移住される方々のためにという施策だけでなくて、そういう人たちをより引き付ける上では、やはり域内の医療であるとか、教育であるとか、そういうことの充実と併せて行っていかなければいけないわけでありまして、県民の皆さま方の暮らしをより豊かなものにしていくという取り組みとセットでですね、対外的な発信を行っていきたいと考えています。
テレビ信州(TSB) 大和洋介 氏
先ほど南海トラフの関係で、それぞれ震度想定は市町村ごとに出ていますが、被害想定は全県で、最大50人というところですが、これからなかなか50人というところが、見えにくいところですが、県としてこのデータを基に、市町村別の想定を作ったりということやそういう作業を行ったりするのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
具体的な県レベルでの被害想定やっているので、さっき危機管理部の方からご説明したように、これから取り組んでいきたいと思いますが、今、具体的に話せることがあれば少し話してもらえますか。
危機管理部危機管理防災課長 池田秀幸
知事が申し上げましたようにですね、今一番細かく出ているのは、県の地震対策基礎調査で、10年前のものなのですが、今回の被害想定については、内閣府で出した被害想定争点については、この50人についてですね、なかなか詳細の部分といいますか、どういう被害想定で、また耐震化が進んだので、前回の15年の東海地震の調査よりも死者数や倒壊数が減っているんですが、具体的なところがまだですね、詳細がちょっとまだ分からない部分がありますので、今後まだまだ内閣府の検討部会の方もですね、今後、秋・冬にまた経済的な被害想定も含めてですね、その対応策も出してくるという情報でございますので、それを見ながら併せてですね、細かな市町村別の例えば被害想定については、やはり県の被害想定調査、そちらの方で検討していくことになっていくと思います。
テレビ信州 大和洋介 氏
東海地震では県独自の調査から市町村別が出されていますけど、そういった形を最終的に見込んでいるというところでしょうか。
危機管理部危機管理防災課長 池田秀幸
10年前の基礎調査、これはそのまま見直すとか、どういった形になるかはこれから検討なんですが、南海トラフで出た東海地震そのまま、あの調査は調査で続いているんですが、今回は南海トラフの調査も含めて、分布的な面も含めて調査をするかそれも検討してまいりたいと考えております。
読売新聞 青柳庸介 氏
知事の任期折り返しということでお伺いしたいのですが、市町村との対話を重視されてやってきたかと思われるんですが、それについて市町村側の首長さんの評価も軒並み高いようなんですけども、そもそも論なんですが、市町村の対話はなぜ重要なのかをですね、田中県政の反省を含めて、踏まえてというとこもあろうと思うんですけども、その関係性を円滑に緊密にしていく重要性について改めてお話いただけますか。
長野県知事 阿部守一
県と市町村との関係は私はいろいろな福祉であったり、あるいは産業振興であったり、さまざまな取り組みを進めていく上で、最も重要な関係だと思っています。私は今までの公務員として仕事をしてきた中で、うちの県でいう市町村課長を2回やらせていただいてるんですよね。岩手県と神奈川県で2回市町村課長をさせてもらって、さらに山口県では市町村課、昔は地方課って言いましたけども、仕事をしてきて私自身が立脚している、そもそも私が公務員としてスタートした時の、私に対して地方自治とはなんぞやということを教えた皆さんは市町村行政に携わる県の職員であったり、あるいは私が直接向き合ってお世話になった市町村の職員の皆さんだったわけでありまして、そういう意味で私の根っこのところにですね、市町村との関係性とか、あるいはこれは今の制度上どうしてもいろいろな政策をやるにしても、財政的にも県が3分の1、市町村が3分の1、国が3分の1とかですね、そういう形で非常に全ての分野において密接に関係しているという部分もあるわけで、私は心情的にも市町村との関係抜きに長野県の活性化はでき得ないと思っていますし、加えて今の仕組み上はですね、県だけが右へ行って市町村は左に行くということはあり得ない。仮にそういうことであれば、ほとんど政策は進まなくなってしまうと思いますので、そういう観点で市町村長の皆さま方とはぜひ率直なやり取りをする中で、お互い力を合わせて住民のための仕事をしていきたいとずっと思っていますし、昨日もたまたま市長会の総会の後の懇親会、私も出席をさせていただきましたが、これからもぜひ市町村の皆さんと一緒になって長野県を良くしていきたいというお話をさせていただいているところであります。
信濃毎日新聞 河原千春 氏
先日政府の方でオスプレイの事故に関する見解をまとめた報告書が、説明があったかと思うんですけども、その内容についてですね、知事としてどう受け止められているのかというのが1点と、長野県に対してはなんらかそういった説明だとかがあったのかどうか。以前要望したことを満たす内容であったのかどうかっていうことについてお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
防衛省からの対応は危機管理部の方で。
危機管理部危機管理防災課長 池田秀幸
オスプレイの関係でございますが、昨日でございますが、防衛省北関東防衛局の方からですね、今回の分析評価報告についてのご説明がございました。危機管理監の方で承りましたけれども、内容的には現在報道されている通りですね、人為的ミスの可能性が大きいという結果でございますが、いずれにしても今後、フロリダの事故に関する分析評価も出ますので、詳細については逐次長野県の方にも報告いただけるという状況になっております。
信濃毎日新聞 河原千春 氏
すみません、そのご説明というのは、北関東防衛局の方が県の方にいらっしゃってということだったのでしょうか。
危機管理部危機管理防災課長 池田秀幸
北関東防衛局から企画部の次長さんはじめ2名の方がいらっしゃいました。
信濃毎日新聞 河原千春 氏
その人為的ミスという事故の報告について、知事の方では詳細にはちょっとご存じないかもしれないのですけれども、報道されている範囲でも構いませんのでどう受け止められたのかということとですね、既に要望書、7月の段階で出していらっしゃいますが、改めて国に対して要望したいことがあれば、一言お願いしたいのですが。
長野県知事 阿部守一
今回の国の説明は私はまだ直接詳細な報告を受けていないので、それについてのコメントは、今直ちには致しかねるという状況ですけれども、市長会の中でもオスプレイをめぐって議論をいただいたと伺っておりますし、住民の皆さんの不安感というものがあるということは事実だと思いますので、私どもとしては、国がまずしっかりとした安全性の確認をするということをこれからも求めていきたいと思います。昨日の報告内容で納得し得るものなのか、思考し得るものなのかというのは危機管理部から少し報告を受けてですね、考える必要があると思います。
テレビ信州(TSB) 大和洋介 氏
先週大阪でシャープの社長との会談があったと思うのですが、その中のご説明と、あと富士見のメガソーラーへの影響に関して、知事にお聞かせ願いたいと思います。
長野県知事 阿部守一
大阪のシャープ本社を訪れさせていただいて、奥田社長と今回のメガソーラーの事業者として、まず非常に地域貢献もさまざま含めた素晴らしいご提案をいただいたことに対して、私の方から謝意を表しさせていただきました。社長の方からも、長野県、非常にメガソーラー、太陽エネルギーの活用に当たっては、非常に適した地域だというご認識で、富士見町にかなりお越しいただいたような感じだったですけれどね、よく富士見町周辺のことをご存じでいらっしゃいましたけれども、ぜひしっかりといい関係でこれから事業を進めていきたいということでお互い話をさせていただいたところであります。いろいろ報道、シャープ本体の在り方について、報道等されているわけでありますけれども、私とのやり取りの中では、非常にシャープ側の取り組み姿勢としては前向きな姿勢を感じたところでございます。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
任期折り返しで市町村との関係に関連してなのですけれども、知事の総括としてはいろいろな場で率直に首長の皆さんたちとやり取りをして、開けてきた部分が多いという、当然一面ではそういう面があると思うのですけれども、僕ら首長さん側に取材する中では、当然そういう知事との率直なやり取りを好意的に受け止める首長さんがものすごく多かったです。一方で知事とのやり取りをより成果に結び付けて欲しいというような、結果を求められている首長さんたちも一定程度いらっしゃったりとか、あとは今市町村との協議の場とかですね、知事と市町村長との意見交換会、それから地域戦略会議っていうように複数の場が設けられていて、なかなか重なるような課題も結構多くて、その辺少し整理してよりその成果に結び付けるような工夫をして欲しいというような声もありまして、その辺について知事は今後こういう形で引き続きやっていくということなんですけど、その辺でもう少し工夫の余地をお感じになったりというのはございますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
市町村長は私と同じような立場で市町村行政を幅広く所管されていらっしゃるので、そういう意味ではいろいろな分野についてのご意見とかご要望があるというのは事実だと思いますし、ご指摘いただいたことがすべて思い通りにはいっているものばかりではないなあと思います。これ一つは今お話にあったように結果が出せないというご意見があるかもしれませんけれども、ものによっては正直言って市町村の皆さんとは必ずしも意見が同じじゃないと、市町村はこうしたいと思うけれども、私は必ずしもそうじゃないと思っているものは、それはまあ進まないだろうなと、ただ率直な意見交換は引き続きしていかなければいけないと、いろいろなご要望ありますけれども、例えば限られた財源の中で、私としては優先順位を付けざるを得ないという中で、そういう意味で市町村長からご要請いただいているものが全てご要請の通りにはなってないだろうなとは思います。意見交換の場がいろいろあるというところは、私は整理をするというよりはそれぞれ位置付けをもう少しクリアにしていく必要があるのかなという感じはします。地域戦略会議は、これは私が全く基本的に関与するような場ではなくて、各地方事務所単位でですね、地域の課題を県と市町村で率直に語り合って方向付けをしていってもらいたいと思っていますので、ここは私が出る幕はないなと、ただむしろそういうところでもっと具体的な施策展開ができるようにするためには、地方事務所なり、建設事務所なり、現地機関の在り方というものも今回地方事務所長の調整費というものを一定程度少額ではありますけれども、予算措置もさせてもらいましたが、もう少し現地で取り組めるような環境、体制を作っていくということが、いろいろなご意見に対応していくことにつながるのではないかと思います。それから県と市町村との協議の場、これ市長会、町村会の役員の皆さんと県、市町村共有の課題、大きな市町村、個別の市町村とかそういう話じゃなくて、共有の課題について意見交換をしていく場として設定をしておりますので、さっき言ったチーム長野という形での被災地支援だとかですね、鳥獣被害対策を一緒に力を合わせてやっていこうという方向で、具体的な取り組みがここはできてきていると思っています。市町村長の皆さんとの意見交換は、これはもう個々の市町村の課題について、私と意見交換させていただく色彩が強いわけでありますので、私の感覚だと、それをひとまとめにすると、またたぶん十分な意思疎通をする場が逆に減ってしまうんじゃないかという感じは持っているんで、あまり場の整理をするというよりは、むしろ場の性格付けをもう少しはっきりしていった方がいいのかもしれないなと、今のお話を伺って感じるのはそういう感覚です。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
それとちょっと、聞きづらいというかあれですけど、いろいろ2年の取り組みとか、こういうふうにいろいろまとめていただいて、こういうふうに進んできたのかと思って眺めているんですけど、自己採点と言いますかですね、この2年間のご自身の取り組みというのは、もし点を付ければというか、そんなふうにお聞きしてもいいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうやってよくこれ聞かれるんですけど、自己採点はしないし、これは県民の皆さんに採点してもらうのがいいのかな。やっぱり分野分野でですね、まだ私も途半ばだなあと思っている部分もありますし、まだ本格的な着手はこれからというような部分もあるので、まあそういう意味では一概にひっくるめて何点というのは正直難しいと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
最後にすいません。最近、各新聞、テレビ等でも、知事の2年の折り返しということで特集とかしているんですけど、どこかの番組だったと思うんですけど、知事、主体性とかリーダーシップを求められることがあるけれども、必ずしも色を出すことがいいこととは思わないというか、どこかの確か時間でそんなふうにお話になっていたのを拝見したんですけども、その真意を一言伺えればと思うんですけど。
長野県知事 阿部守一
そうですね。例えば阿部カラーとかっていう話でよく言われることがあります。これは本人が自分で何色にしようというふうにやっていくというよりは、おのずとそういうものが出てくれば、そういうふうに評されるということなんだろうなと私は思っています。今回新しい中期総合計画をつくって方向性を打ち出すので、そうした中で県として県民の皆さんと一緒になって目指すべき目標設定をよりクリアに私はしていきたいと思っていますけれども、それがカラーというのかカラーじゃないのかというのは、これは私はここもたぶんカラーが出にくい一つの要因かもしれないですけども、私はやっぱり県民の皆さんと一緒にやりたいんですよね。県職員とも一緒にやりたいと思っていまして、そういう意味では、この間も不登校の子どもたちを支援する学生たちと話をして、私は基本的に聞き役に回ってたわけですけれども。ただ、じゃあ阿部カラーはそういうところで何なんだと言われると、あまり私はクリアなことは言っていないかもしれませんけれども、だけどそういう地域の取り組みとかいろいろな取り組みをやっぱりサポートしていくっていうことが私の基本的なスタンスですし、そういうこと抜きに、私だけが一人で踊っててもですね、長野県全体は決して私は良くならないと思っています。もちろん私が決定すべき事項は責任を持って決定しますし、私が力を入れてやりたい分野は、先ほどから何度も申し上げているように、自然エネルギーであったり、移住であったり、あるいは教育であったり、これ教育委員会とも関係ありますけれども、そういう分野については、他の県以上にですね、力を入れていくということは、これは明確にしていきたいと思いますけども、そうした中でどういう形で読み取っていただくかというのは、これは皆さま方にお任せした方がいいのかなと。私が何色だとかですね、そういう話ではないんじゃないかなというふうに思っています。
読売新聞 中村和裕 氏
自然エネルギーの政策を今後も強化していきたいということだったんですけれども、具体的な政策展開として、今後の2年間で構想されているものはありますでしょうか。また、自然エネルギーといってもさまざまあるわけで、例えば栃木県では、小水力に注力していたりというのがありますが、今後どの分野に集中的に資源を投入していくのかというお考え、また、3点目ですいません、自然エネルギーに関する具体的な戦略とか計画は立てられるご予定はございますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まずエネルギー自給戦略、今作成中ですので、年度内には具体的な目標数値と併せてですね、お示しして、県民の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思っています。加えて、どういう部分かというのは、そもそも私の発想が自然エネルギーは、何というかエネルギーの問題でなくて、社会の在り方を変えていくものだと考えていますので、変えるというのは、自立、中央集権的ブラックボックス的なエネルギーの仕組みから、やっぱり分散自立の自分たちの手の届くところでのエネルギーの活用という形の変化だと思っていますから、確かに県レベルでメガソーラーを自分で造りますとか、これをやりますというのは、一番分かりやすい、さっきのカラーとも関係しますけれども、県が直接○○事業をやりましたというのは、一番分かりやすいですね。たぶん皆さんにとっては、県が富士見にメガソーラー誘致したというのは一番分かりやすい例として伝わるんじゃないかなと思いますけども、私はむしろ自然エネルギー信州ネットでやっているおひさま進歩エネルギー、飯田の中心にこれまでもやってますけれども、そういう仕組みをもっと広げたりとかですね、上田の方で相乗りくんとかいう形で、市民参加型で取り組みを進めてきてもらったりとかですね、そもそも自然エネルギーが自立分散の思想ですから、県が画一的にこれだということではなくて、それぞれの地域特性を生かした取り組みが花開いてくることが私は長野県として望ましい形だと思っています。もちろんそういう中で県としてやるべきことはいろいろあって、一つは特区提案していこうと思いますけども、いろいろな規制緩和ですね。そうしたところは行政でなければ、なかなか一県民、一企業では難しい部分は県としてしっかり後押しをしていきたいと思いますし、木質バイオマスの活用等についてもですね、私は今まで長野県は森林県だけども林業県ではないんじゃないかということをいろいろなところで言っていますけれども、やっぱりエネルギーの活用と木材の活用がセットで取り組めるような仕組みを具現化していかなければいけないと思っていますし、小水力もこれ水利権との関係でまず規制緩和してもらわなければいけませんけれども、農業関係の皆さま方は実際に水利権持っていますし、今でも電力、エネルギー、農業分野でも利用しているわけですから、そういう中で、農業関係は農業関係の中で自立した仕組みをつくってもらうと、そういうことが必要だと思いますし、自然エネルギー信州ネットの取り組み等を通じてですね、そうした地域の取り組みとか個々のビジネスモデルの取り組みを県としては応援をしていきたいと思っています。ただ大きな方向性は冒頭言ったように自然エネルギー自給戦略をつくって、そうした中で県民と目標共有をしていきたいと思っています。
読売新聞 中村和裕 氏
追加でもう一点。知事は公約で四つの条例を策定することを掲げられていましたけれども、この2年間では特に動きはなかったように思うんですが、具体的な進捗と今後どのようにされていきたいのかということをお伺いできますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
具体的な動きがなかったというよりは、検討の場をつくってそれぞれ検討してきていますので、条例もですね、例えば条例の案文をつくって、はいこれですとやるのは簡単なのかもしれないですけれども、やはり大勢の皆さんの声を聞いて、いろいろな人を巻き込んで条例をつくるからには、そうした社会が本当に長野県に根付くような形をつくっていくということで取り組んでいますので、それぞれの検討委員会の皆さまには積極的にいろいろな議論してもらっていますから、そうしたものを踏まえた次の進展を着実に行っていきたいと思っています。
中日新聞 小西数紀 氏
先ほどの木質バイオマスの関係でなんですけれども、報道で塩尻市の遊休地に木質バイオマスの発電所をつくるという計画があるというような報道がされたんですけれども、これも県も関連してられるというようなお話を伺っているんですが、県としてはこの計画にどういうふうに関わっていかれるのかということと、先ほどもちょっと話がありましたが、こういったような発電所を使って、木質バイオマスの活用、どういうような在り方を目指していかれるのかということをお伺いします。
長野県知事 阿部守一
これは森林税の議論にも関連してくると思いますけれども、私は長野県の森を子どもたち、孫たちに本当に引き継いでいく上では、税金をただ単に投入してですね、木材にしていくということだけでは立ち行かなくなると。森林資源を活かしていくということとセットで、森の持続可能性を高めていくということが重要だと考えています。そういう意味で、さっき申し上げましたけれども、自然エネルギー、木質バイオマスをエネルギー源として活用する発電であったり、地域の熱エネルギーとして活用していく、あるいは、材自体を生かしていく仕組みというのは重要だと思っています。今、報道の話がありましたけれども、私のところで報道の内容を承知してないんでですね、なんともコメントのしようがないですけれども、今私が申し上げたような観点でいろいろなプロジェクトをこれから具体化をしていかなければいけないと思っておりますので、そうした中でわれわれの方で発表できるものが出てくればですね、順次しっかりと発表・発信をしていきたいと思っています。
中日新聞 小西数紀 氏
もう一点、ちょっと全然関係のない話なんですけれども、今日閣議後の財務大臣の会見で、特例公債法案の成立がちょっと目途が立たないということで、財源が枯渇しかねないということで、予算の執行抑制、遅らせていくというような発言があったようなんですけれども、知事の立場としてはそのことをどう捉えてらっしゃって、どういうふうな要望を財務大臣にはしたいと思っていらっしゃるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
特例公債法案が成立しないときにどこまでどういう対応を国がするかというのが、必ずしも、よく私は把握できていませんけども、少なくともこれは国民生活とかですね、あるいは都道府県市町村の財政運営に最大限支障のないように責任をもって取り組んでもらうと、いうことが必要だと思っています。
信濃毎日新聞 山越悌治 氏
最初の発表でありました信州未来プロジェクトチームの関係なんですけど、昨日の審議会の中でも委員さんの中からいろいろ質問がこのプロジェクトの関係ではあったんですが、部局横断的に県の目指すべき姿の5つのテーマについて検討していくということなんですけど、一方でこれまで通り部局ごとに各施策については検討を実施していくことがあると思うんですが、それとのたぶん整合性だとか、関連性だとか、今日部局長会議の中では、知事はプロジェクトチームが機能するように各部局長はしっかり対応してほしいというような話がありましたけど、施策を立てて実施する上でプロジェクトチームがコアな部分というような位置付けもあるのかと思うんですけど、その辺がどうなるのかよく見えないというか、分かりにくいんですが、どういう整合性があるんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
整合性は、プロジェクトをまずしっかりと確立させて、それに整合していない施策の方をむしろプロジェクトに合わせるということじゃないかと私は思っていますけれどね。要は、中期計画を何のためにつくるかといったら、今までの資源配分、人であったり、財政配分を、今後どういうところにシフトさせていきましょうかということを議論するわけですから、今までと同じものを粛々とやっていくのであれば、わざわざこんな時間をかけて中期計画をつくる必要は全くないわけでありまして、もちろん粛々とやる事業は粛々とやるけれども、どういうところにメリハリを付けていくかというところが、やっぱり中期計画のコアだと私は考えますし、まさにそういう部分を議論してもらうのがこのプロジェクトだと考えています。
信濃毎日新聞 山越悌治 氏
そうした場合に、例えば予算編成だとか、施策の位置付けだとかというのは、今後、来年度ので変わってくるようなことがあるんですかね。
長野県知事 阿部守一
当然変わっていかなければ、中期計画をつくったけど予算編成の発想とか重点の置き方が今までどおりだというのは、それはあり得ないですよね。
信濃毎日新聞 山越悌治 氏
別件で教えてほしいのですが、先ほどから2年の折り返しの関係でいろいろ質問が出ているのですが、これまでいろいろ施策を実施される中で県民の評価というのが、意外と知事の思っている以上に評価が高いとか、そういった面があるかと思うのですけれど、知事自身は自分自身が2年間で取り組んできたことが、県民に高く評価されていることについて妥当だと考えていらっしゃるのか、それともちょっと差があるのか。
長野県知事 阿部守一
私は県民の皆さんの評価を評価する立場ではないので、妥当だとか妥当じゃないとかっていうふうに申し上げる考えはないですけれども、今実際に県政を県民の負託を得て担わせていただいているわけですから、もっと頑張れよということも含めて、そういう期待を表していただいている部分もあるのではないかと思いますので、ぜひ、私はいろいろなところでお話していますれども、県民の皆さんとお話したり、接することで実はパワーをいただいているところもありますので、引き続き私は県民の一人ひとりの皆さんが、少しでも幸せが実現できるような長野県にしていきたいと思いますし、ほかの県と比較してもやっぱり長野県良いところだねと、暮らしやすいねということで、少しでも長野県が繁栄していくような、発展していくような取り組みをしっかり全力でこれからも行っていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 山越悌治 氏
もう一点すみません。2年間の取組でいろいろ進んできたこともあると思うのですが、逆にこれはうまくいかなかったなとか、こうしておけばよかったなというようなことはあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
うまくいかなかったというよりは、例えば公約の中でもまだ少し本格的な取り組みをまだよく考えなければいけないなと思うものもいくつかありますよね。大きなものから小さなものまでいろいろありますけれども、大きなテーマでいえば、教育のところはこれだけ教員の不祥事が相次ぐ中で、あり方検討会議を教育委員会と共同設置しましたけれども、教育の部分は一朝一夕には変えられない部分がたくさんあると思いますけれども、方向付けを明確にしてしっかりとそっちに向かって着実に進めていくと、県民の皆さんにも協力していただいて、今年よりも来年、来年よりも再来年、着実に変わっていくなという形にぜひしていきたいなと思っています。そういう意味では、まだまだこれから教育委員会の皆さんと一緒になって、より踏み込んだ検討、より踏み込んだ方向付けというものをしていかなければいけないのではないかと思っています。
鈴木恵美子 氏
長時間大変失礼致します。長野市に住む鈴木恵美子と申します。教育問題に関して、最初にこどもの権利支援センターに関わることでお尋ねをさせてください。まず、本県で子どもや保護者らが学校等に関して相談をする場合、どちらの方が窓口になっているのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
学校等について相談。
鈴木恵美子 氏
こどもの権利支援センターが県教委内にございますが、何か学校等に関して困った場合、現在いじめ相談を受け付けていらっしゃいますが、そのほか学校関連などについてお尋ねをしたい場合、ご相談申し上げたい場合は、県としてはどちらのところで、どちらの機関で受け付けているという構図になっているのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それは、どういう相談。多分、心の支援室があったりとか、教学指導課があったり、義務教育課があったりしているので、多分内容によっても少し違ってくると思いますけれども、子どものいじめだとか、そういう子どもたちが困っているみたいな相談ということですかね。
鈴木恵美子 氏
すみません。時間が限られた中で申し訳ありません。といいますのは、8月9日に教育委員会定例会がございまして、引き続き教育委員長会見がございました。その折、こどもの権利支援センターの体制について、お尋ねをしましたところ、現在専任の職員の方はお一人ということでした。また、こどもの権利支援センターの設置当時は、県庁7階に相談室という部屋が設けられていたのですが、現状はないと。また、職員の方のお考えの中には、例えば県立高校の校長先生の不適切な対応等についてご相談をしたいときに、その担当職員さんが繰り返しおっしゃるには、このセンターというもの、心の支援室というものは県教育委員会の中にあるから、中立の立場ではなく、訴訟等になった場合には学校側に立つ立場なんだ、そういうことを繰り返しおっしゃいまして、その姿勢でことに臨まれたという実例もございました。そういったことについて、山口教育長は今後改善をしていきたいと。それには知事部局と相談をし、拡充の方向で検討したいということをお答えになられましたが、具体的にどのように拡充をされているのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
こどもの権利支援センターは、今回いじめの相談窓口になって、私から教育委員会には、そこだけではなくて、義務教育課であったり、高校教育課と一緒になって、具体的な対応をする必要があるだろうということで、そういう対応を教育委員会にはしてもらっていると思っております。ただ、お話のあった心の権利支援センターについては、前にここで質問をいただいて、あの後教育委員会から今の実情がどうなっているのか聞かせていただきました。それを聞く限りでは、私としてはいくつか疑問点があると。疑問点というのは、もう少し直接的に、間接的な伝言ゲームではなくて、もう少し相談を受けたら、ストレートな対応ができるような体制が望ましいのではないかという話をさせていただいておりますので、山口教育長の発言はそうしたことも踏まえて検討していきたいということだと思います。私としては今、あり方検討会議をやったり、いじめの問題でいろいろな切実な相談も来ていますから、ぜひ一日も早く権利支援センターの体制、対応の在り方というものを新しい形にしてもらいたいということは強く教育委員会に対して期待をしたいと思いますし、また具体的にそういう話も私の所管じゃないところを私の責任であるかのように発言するといろいろな方がいろいろなことをおっしゃりたくなってしまうのかもしれませんけれども、少なくとも県民の代表としては、そういう意向を教育委員会の方にはさらに伝えていきたいと思います。
鈴木恵美子 氏
ありがとうございます。人員の増加ということはいかがでしょうか。といいますのは、こどもの権利支援センターでは、今までからですね受け付けている、継続している案件も多く抱えていると思いますが、限られた職員で緊急いじめ相談やまた9月中旬まで、この相談電話が続いて行われているということで、それはそれで歓迎できることなんですけれども、そのために継続した案件に手が回らないという実情はないんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
本当に必要な部分は教育委員会の組織定数なり、ちゃんと配置をしなければいけないと思いますが、まずは教育委員会がしっかり考えてもらうことが重要だと思います。加えて、私はそういうものに携わる方の想い、資質というとちょっと違うのかもしれませんけけれども、子どもたち、あるいは保護者の人たちにしっかりと向き合うことができる人たちが、そういうポストに確実についてもらうということが大事だと思いますので、量的な話と質的な側面と、教育委員会には両面をよく考えてもらいたいと思います。
鈴木恵美子 氏
ありがとうございます。実態として、ある県立高校で教職員及び学校長により不適切な対応があり、生徒が心を病むという事態が発生しました。思い余り、県の教育委員会を信頼して心の支援室に相談したのですが、先ほど述べさせていただいたような対応で実際口頭では校長先生が応じてくれないため、要望書を校長、山口教育長、矢﨑教育委員長の連名で差し上げて、県教育委員会は誠意ある回答を学校長がしてくれるよう指導をお願いしたいということを述べたのですが、結局寄せられた回答書というものは非常に納得のいかない、学校の関与について一切触れないものでした。しかしながら、大変驚いたことはその文書というものはあろうことか、心の支援室長と支援室の担当職員がこの内容でいいですよと容認した上で保護者に提出したものだったそうです。併せて、矢﨑教育委員長はその文書の存在すら知らなかったそうです。現在、知事はあるテレビ局とのインタビューの中で、今後教育というものは学校長のマネジメント力に期待すると述べられていましたが、大変残念ながら、その中には改善をお願いしたいような方も含まれるわけです。その学校に通う保護者は校長先生と4月以来何度も「お目にかかりたい」と、「直接お会いして問題解決に向けて心を合わせ、力を合わせていきたい」ということをお願いしていますが、応じていただけません。そのことを心の支援室長及びおそらく教育委員会の皆さまもご存じですが動いてくださらないです。7月の下旬、じゃあ具体的にはこれこれこういったことをしますということを、速やかに対応しますということを支援室の方がおっしゃいましたが、いじめ問題や例の不祥事等で忙しくてということでそのまま連絡なしです。大変残念ながらこれが長野県の実態です。知事が本当に全力で向かってくださることを本当に感謝しております。大変期待しております。しかし、今まさにどんなようなことが起こっているのか、心に病を抱える者、いじめ等によって受けた子どもの回復力はものすごく時間がかかるということを思い知らされております。本来であればこんなに長時間、長々しいことを知事にこの会見の場をお借りして申し上げるべきではないことは重々承知しておりますが、現在長野県にはこのような言葉を聞いていただく場はありません。ぜひ、改めていただくようにお願いをしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。心の支援室の方で。
教育委員会教学指導課心の支援室長 澤井淳
今伺いましたことをわれわれとしても十分受け止めて、考えていかなければいけないところがあると思います。今すぐにというところは申し上げられないところがありますが、しっかりと受け止めさせていただきました。
長野県知事 阿部守一
私も少し個別にまた話を伺わせていただくようにしますし、今回いじめの相談を受けて、私は個別に具体的なお話があったものに対して、私は校長の考え方とか、私自身もいささか疑問を持たざるを得ないものも正直言ってあります。それで、これは今あり方検討会議やっていますけれども、今回のいじめの相談に対する教育委員会の対応の在り方を含めてですね、ぜひああいう場でしっかりと検証してもらいたいと。こどもの権利支援センターの対応の在り方も、今のままでは私は不十分だと思っていますが、私だけの見方だけではいけないと思いますので、本当に教育委員会から、ぜひあり方検討会議でですね、今のこどもの権利支援センターがどういう体制でどう対応しているかということをぜひ出してもらって、そして今お話いただいたような不十分な対応であったり、あるいは話は聞くけれども、その後は伝言ゲームでですね、結局誰が責任を持って対応してくれているのかよくわからないというようなことが、この長野県からなくなるようにしていかなければいけないなと思いますので、今のお話はよく私も受け止めさせていただいて、これから教育改革いろいろなことをやっていかなければいけないと思います。教育委員会でも、ぜひ問題意識を共有してもらって考えてもらいたいと思っています。ありがとうございます。
鈴木恵美子 氏
ありがとうございます。申し訳ありません。最後に申し添えたいことは、その方がですね、個人的に何かということではなくてですね、組織全体の中でその方は一生懸命に連絡などなさっていただいています。やっぱり組織全体の姿勢という問題で捉えていただければありがたいです。大変ありがとうございました。
長野県知事 阿部守一
もちろん、学校の先生も教育委員会の職員も別に仕事を怠けようとか、子どもたちを応援しないように振舞おうとかと思っているわけでは私はないと思っています。ただ、今の仕組みだったり、今までの風土がこの程度の対応でいいと私はしてしまっているところがあるんじゃないかということは、この間ですね教育委員会といろいろ話を聞く中で、かなり強く感じています。そういうことも含めてぜひ今後の教育の在り方、私の取り組んできたことの中で、まだまだですね不十分な分野が教育だと思っていますので、これは私だけではいかんともしがたいので、教育委員会の皆さんと本当に思いを共有させていただいて、そして教育委員会事務局もそして学校の先生方も、ぜひですね、率直にですね、私はぜひ組合の皆さんとも話し合いをしなきゃいけないと思っています。これは私の思いと、組合の皆さんとの思いと私はそんなに違っているわけではないと思いますけれども、この間も声明を出されたと間接的にお伺いをしておりますけれども、そういう間接的な伝言ゲームを繰り返していては、私は子どもたちのためには全くならないと思っていますので、ぜひ直接組合の皆さんとも私は話をして、どういうところに現場の課題があるのかということを私もぜひ把握をさせていただいて、一緒になって考えていきたいと思っています。
早稲田大学大学院 林佑香 氏
先ほどの会見の中で、直面している課題に就職の問題があったと思うのですけれども、その中でも若者の雇用についてお伺いしたいと思います。やはり若者の雇用を促進することが地域活性化につながっていくと思うのですが、今まで取り組まれてきた雇用対策の中で、特に若者の雇用問題で成果があれば教えていただきたいのと、これから若者の雇用を促進していくにはどのようにしていけば良いのか、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
若者の雇用対策は、私もこれから社会に出ようと夢と希望にあふれている若者が第一歩でつまずいちゃうのはですね、社会的に大きな損失だと思っていますので、いろいろな就職相談会をやったりとかですね、私の方からは経済団体等にもお願いをして、一人でも多くの若者を採用してくださいという取り組みもさせてきていただいております。加えて、やっぱりミスマッチがあるわけですよね。片方は今でも人手が欲しいと。例えば福祉や介護の職場とかですね。その反面、就職できない若者もいるということで、私はもちろんその人その人に適した仕事というのがあると思いますけれども、ただあまりお互いに知らない中で敬遠してしまっているということもあると思いますし、特に農業なんかは、やっぱり体験・経験をしないと農地の取得等の話もあってなかなかちょっとハードルが高くて、就職先として、例えば都会から長野県に来てもいいけれども、最初はハードルが高いなというところもあるので、そういうハードルを、例えば低くする取り組みを今までも農政部でやってきておりますので、そのミスマッチの解消とか、就職する際のハードルを低めていく取り組みみたいな部分は、これからも力を入れてやっていかなきゃいけないなと思いますし、何はともあれ全体として長野県の経済情勢・雇用情勢を、今有効求人倍率が0・83、0.85からちょっと横ばいになっていますけれども、これをさらに確実に引き上げていけるように、経済全体の活性化の取り組みということをしていくことも重要だと思っています。
早稲田大学 溝上夕貴 氏
いじめの問題に関して度々申し訳ないのですが、先日までも緊急相談室というものを設けられていたと思うのですけれど、今後もそのような相談室を設けたりするのかというのと、今後どのような対策を講じていくのかというお考えをお聞かせ願います。
長野県知事 阿部守一
いじめの緊急電話相談後もこどもの権利支援センターでは引き続き相談対応はしていきます。今各学校に出向いてもらって、学校現場の状況等を把握しているところですので、そうしたものも踏まえて、トータルとしてどういう取り組みが県として求められているのかということを把握した上で、具体策を考えていきたいと思います。併せてこのいじめの問題は、いじめの問題に限らずだと私は思っておりますけれども、狭い意味の学校の中だけで全部解決しようという話では対応しきれない部分があると思います。もちろん学校で対応してもらわなければいけないものもありますけれども、地域の皆さんと一緒になって解決しなければいけない部分もあると思いますし、実際にさまざまな若者や子どもたちを応援している地域の方たちが大勢いらっしゃるわけですので、そうした皆さんと一緒になっていじめを見逃さない長野県をつくるべく、ちょっと今県民会議という形で前へ出してますけれども、県民会議だといかにも頭の固い役所的な発想になりかねないなという気もするので、もう少し柔らかい名前でですね、官民、行政、県と県民が一緒になっていじめの問題について考えて行動できるような体制をつくっていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
はい、じゃあよろしくお願いします。
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