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更新日:2016年12月25日
■“いじめを見逃(みのが)さない長野県(ながのけん)”をめざす共同(きょうどう)メッセージ(PDF形式:53KB)
■「“いじめを見逃さない長野県”を目指す共同メッセージへ」賛同された皆様(PDF形式:81KB)
長野県知事 阿部守一
それでは8月10日の会見を始めさせていただきたいと思います。私の方からは、冒頭3点、お話を申し上げます。
1点目が、本日の午後から開催されます、「教員の資質向上・教育制度のあり方検討会議」の開催についてということと、それから先般発表させていただきました“いじめを見逃さない長野県”を目指す共同メッセージへの賛同についてのお話でございます。
まず、「資質向上・教育制度のあり方検討会議」の第1回会議、本日開催ということで、私も冒頭出席をさせていただいて、私の考え方なり、思いの一端もお話をしたいと思っております。相次ぐ不祥事と、綱紀粛正を徹底する中でもですね、相次いで不祥事が起きているということは、これは本当に私としては、たいへん危機感を持って受け止めなければいけない極めて重大な状況だと思っています。ぜひ、この検討会議では、これまでの発想の枠組みというかですね、あえて知事部局と共同設置にしていますので、教育委員会だけですと、どうしても教育委員会の責任範囲の枠内での議論という形になりがちだと思いますので、そういう枠は意識してもらわずにですね、幅広い議論をしていただきたいと思いますし、やはり教師の皆さんも、一生懸命現場で取り組んでいる人たちも大勢いる中で、これは学校現場の問題だと、もちろんそういう部分もあると思います。ただそれだけではなくて、やはり教育委員会であるとか、知事である私とか、制度・仕組み、あるいは国への意見表明とかですね、さまざまなことができるわけでありますので、ぜひ出てきた方向性については、しっかりと実現に向けた取り組みを行うという前提で委員の皆さま方には議論を深めていただきたいと思っています。今回を契機に、長野県の教育を本格的に立て直す契機にしていきたいと考えています。
それから7日に、いじめの共同メッセージを発表させていただきました。2日間の賛同者、個人の皆さんから28名、あるいは団体から13名ご賛同をいただきました。鎌田實先生、あるいは三四六さんからもメッセージをいただいております。そうした賛同された皆さんからいただいたメッセージも併せてホームページにご紹介しておりますので、ぜひ大勢の県民の皆さま方に目を通していただければありがたいと思っています。また、市町村からも、いち早く伊那市、そして伊那市教育委員会からは、自治体としてメッセージに賛同するというご連絡をいただきました。資料で配付をしているかと思いますが、白鳥伊那市長、それから松田教育委員長のお名前を、私どもの矢﨑委員長と私の名前と一緒に記した形で、伊那市のホームページに共同メッセージをそのままの内容でご掲載をいただけると伺っております。ぜひ、県内の市町村、市町村教育委員会の皆さま方とも一緒になってですね、このいじめを見逃さない取り組みを進めていきたいと思いますし、それぞれの地域でも、さらに力を入れた具体的な形での取り組みをしていただきたいと考えております。また、緊急いじめ相談電話ですが、8日・9日で13件のご相談があったと伺っております。これまでの相談件数のペースに比べれば多いということはありますが、まだまだメッセージが十分届いていないのではないかと思います。さまざまな形で、県民の皆さま方にメッセージをお伝えしていきたいと思っています。出したら出しっぱなし、言ったら言いっぱなしというようなことでは、本当にいじめをなくすことはできないと思っています。相談体制もこれまでとは違った形で私どもも組ませていただいております。小・中学校、高校、特別支援学校のそれぞれの責任者を決めて、相談から問題解決まで一貫して責任を持った対応をしていこうということで、教育委員会とも相談をしておりますので、ぜひこの緊急電話相談の窓口・電話番号については、さらなる周知を皆さま方の方からお願いをできればありがたいと思っております。
それから2点目でございますが、一昨日8月8日、「自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワーク」第5回の知事会合に参加致しました。島根県松江市で開催ということでございましたが、これまで取り組んできた共同プロジェクト等の報告をいただいて、これからの進め方についての議論をしたわけであります。新しい国づくり、新たな国づくりのための税制提案も5月に取りまとめて国にも提案をしております。私どもの方からは、森林税の全国化というようなことも提案して、そうした中に具体策を入れていただいております。私の感想としては、大都市部ではない知事の集まりということで、考え方であるとか、価値観が非常に共通している点が多いと感じました。これからも具体的な取り組みをしていこうということで、若手職員による政策塾、長野県の場合は農業関係の担い手育成の関係で、ネットワークの職員と一緒になって政策を考えていこうということにしておりますけれども、あるいは農産物直売所の交流であるとか、さらに新しい政策の研究・実行の共同プロジェクト、こうしたものを進めていきたいと思っております。共同プロジェクトの中では、長野県がリーダーになって、これは山梨県と共同ではありますが、地方のライフスタイルを提案しますということで、移住・交流のニーズを掘り起こす具体的な取り組みを参加各県と一緒になって行ってまいります。また、今後の進め方として私が申し上げたのは、一つは新しい国の形やライフスタイル、これまでの形とは違うものが求められている、これは移住希望者が多いということにも表れていますけれども、そうした新しい国の形やライフスタイルをぜひこの知事ネットワークから発信していく必要があるのではないかと。それから、そうした描いたものを多くの国民から支持していただくという上では、さらに発信力を高めて、経済界であるとかメディアの皆さんとの意見交換、連携というものは必要ではないかと。さらには、国は具体的な行動はできにくい組織でありますから、知事同士が連携して、地方同士が連携して、具体的なアクションを一つでも二つでも多く行っていくと、こういうことが必要だということを問題提起させていただきました。これからもこのふるさと知事ネットワークの枠組みを使ってですね、新しい日本の形、そしてこれまでのものの豊かさ追求一辺倒の社会のあり方というものを変えていく取り組みをしていきたいと考えております。
それから、大きな3点目でございますが、「おいしい信州ふーど(風土)」の関係でございます。「おいしい信州ふーど(風土)大使」、前回4人の方にお願いしましたが、今度、おいしい信州ふーど(風土)の応援団を結成していこうということで、8月11日土曜日、軽井沢で応援団の結成発表会を行いたいと考えています。夏の軽井沢は県外のお客さまが大変多く集う場所でありますので、こういう機会に長野県のおいしい信州ふーど(風土)、農畜産物を発信していくことは大変重要だと思っています。当日は、おいしい信州ふーど(風土)のキャラバン隊に加えまして、上田市出身の立川談慶師匠、伊那市長公認の女性アイドルグループ「オトメ☆コーポレーション」の皆さん、さらには長野県信州観光宣伝部長のお笑い芸人コンビの「こてつ」の皆さんにご協力をいただいて、おいしい信州ふーど(風土)大使をパネルでご紹介したり、オトメ☆コーポレーションのミニライブをしたり、あるいは談慶師匠のおいしい信州ふーど(風土)トーク、こうしたものを開催して、おいしい信州ふーど(風土)に対する認知度を高めていきたいと考えています。ぜひこうした取り組みも大勢の皆さんに関心を持っていただければありがたいと思っています。また、先月の31日からおいしい信州ふーど(風土)が食べられるお店につきまして、大手のグルメサイトであります「ぐるなび」での掲載も始めておりますので、そちらもご覧をいただければと思っております。私の方からは以上でございます。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
1点目はいじめの相談の関係で、8日、9日で13件ということでしたけれども、知事の方ではまだまだ共同メッセージの趣旨が届いていないというようなことをおっしゃっておりましたが、13件という数が思ったよりも多い、少ないという次元でおっしゃっているのか、それとも今回の本旨であるところの問題の解決までという意味でいうと、例えば匿名とかそういうものが多くて、そこまで至らない状況がまだあるので、相談の受け入れ体制、こちらの姿勢をもっと理解してもらいたいという意味でおっしゃったのか、ちょっと分からなかったのですけれども。
長野県知事 阿部守一
基本的には件数が、毎年約1,000件のいじめの認知件数があるという中で、もっと個別のいじめに関する問題に限らず、いじめに対するご意見も含めて、もっともっと寄せられていいのではないかと私は思っておりますので、そうした観点でまだ十分伝わっていない、あるいはメッセージだけは伝わっているけれども、こういうところに問題提起あるいは具体的な相談をしていただきたいという部分が伝わりきれていないのではないかということであります。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
今日、「社会保障と税の一体改革」の参議院での採決の予定になっていまして、これに関して、知事の方で解散の時期も含めて政局的な動きと今回の採決のタイミングというのが一緒に語られている現状について意見をいただきたかったのと、知事はかねてから十分な社会保障の将来ビジョンについて説明責任なり議論を尽くしてほしいという趣旨の発言をされていましたが、今回採決に至る状況になって、それが国会として果たされているかどうかというのはどう考えてますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
国会の解散の時期とか解散する必要があるとかないとかという政局的な話は少し横において考えれば、私も何度も繰り返し申し上げさせていただいていますけれども、「社会保障と税の一体改革」の中で、どうも消費税の話が中心的な議論となって、安心して暮らせる社会保障の議論のところが、やや先送りになってしまっていると。国民会議を設置してということになっていますけれども、多くの国民の皆さんが求めているのは「社会保障と税の一体改革」と銘を打つのであれば、やはり安心できる社会保障のあり方を示していただくということだと思いますので、そこの取り組みを私はきっちりと行っていただくということが大変重要ではないかと思っています。それと関連すると、解散うんぬんということの議論が行われているわけですけれども、そこの社会保障の基本的な制度設計のところについて、どういう考え方を国会の中で議論されているのかなというのが、いま一つ私の知り得る範囲では、報道で拝見している範囲でははっきり分からないなというのが正直な思いであります。
長野放送(NBS) 野平崇 氏
今日午後から「教員の資質向上・教育制度のあり方検討会議」が始まるということなんですけれども、昨日も2人の教員がわいせつなどの行為で懲戒免職になったのですけれども、この綱紀粛正を掲げて活動している中で、こういった事案があったということで、知事はそれについてまず教育委員会の対応がまずいのではないかとか甘さがあるのではないかというお考えはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
教育委員会と私が一緒になって変えていかなければいけないことがいろいろあると思いますので、単に教育委員会が悪いとか、校長先生が悪いとかそういう話ではないと思っています。再三申し上げていますけれども、私が一番問題意識を感じているのは教育の仕組み、責任の所在、これを何度もここで申し上げていると思いますけれども、今回不祥事が相次いでいます。私としては大変危機的な事態だと思っていますが、県民から選ばれた私は教員の人事に対しては直接的な権限を行使できないという立場であります。処分のあり方、結果については報告を受けるという立場で、教育委員会が決定するということになっているわけでありますけれども、県民から見たときに誰が自分たちの負託を受けてしっかり動くのかというのが今の制度は極めて間接的になり過ぎていると。極めて間接的というのは、知事と教育委員会の関係だけではなく、市町村の教育委員会があり、校長先生がいるという中で、現場の先生方からしたときにも、私がいろいろな発言をしています、あるいは市町村の教育委員会がいろいろな発言をされたりすることがあると思います。一体誰に対して、誰の言うことを一義的に受け止めて対応すれば良いのかということも、私が教員の立場になれば非常にいろいろなことをいろいろな人が言われているというのは、行動が明確にしづらい、ミッションがはっきりしない一因ではないかなと思っています。そういう意味では責任を誰が取るのか、行政として責任を誰が取るのかということがはっきりしないというのは、保護者とか子どもたちにとっても良くない状況だと私は思いますし、先生、教師の皆さんにとっても、いろいろなメッセージをいろいろな人が言っているというのは良くないと、こういう制度、仕組み自体、教育委員会のあり方論の是非というのは知事会でも議論されたようです。私は参加しなかったですけれども。かねてから議論されているけれども、全く世の中が変わっていかないということが続いているわけですから、この際こうしたことも含めてですね、この検討会議においてはきっちり議論をしてもらいたいと思っておりますし、加えて中期計画の策定等で経済界の皆さんたちともお話しているとき、私は申し上げているので、皆さんの中にも聞いた方がいるかもしれませんけれども、教育の問題は教育関係者という狭い意味での教育関係者の皆さんだけの問題ではないと、社会全体、例えば経済界は学校を出た子どもたちを人材として採用するわけですから、経済界の皆さんもぜひ教育のあり方の問題提起してくださいという話をいろいろなところでさせていただいています。今までは、教育の問題は狭い意味の教育関係者の皆さんだけが考えて、そこで方向付けしてきたわけですけれども、私はそういうことではいけないだろうと、これからはもっと広い枠組みの中で教育のあり方を検討して、広い枠組みで子どもたちの教育を支えていくということが必要だと思いますので、ぜひそうした見地での検討を検討会議で行っていってもらいたいと思っています。
長野放送(NBS) 野平崇 氏
もう1点、関連ですけど、昨日3件教員の処分が出た中で、そのうち2件に関しては、過去ですね、同じような問題を起こしている、前任校や前々任校で起こしている教員が、また改めて起こして処分を受けたという事案なのですけれども、これまでの再発防止に問題があったんですとか、知事はそういった危機感みたいなものを現在持っておられますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
懲戒処分の量定のあり方というのは、私は今までのあり方が本当に良かったのかということに対しては、率直に言って疑問は持っています。あるいは、引き継ぎというか、事件を起こした教員に対してのその後の対応、そうしたものも本当に十分であったのか、そうしたことも含めて、今回の検討会議は、何というか、あるべき論で議論してもらうというよりは、むしろ、これまでの具体的な学校での取り組み、対応あるいは教育委員会としての取り組み、対応、そうしたものを現場に近い県民の皆さん、あるいは教師の方、さらには当事者である保護者の皆さん、そうした皆さんの声を反映する形で改善する方策をつくってもらいたいと思っています。そういう意味では、きれいな報告書をまとめていただく必要は、私はあまりないと思っています。きれいなというのは実効性がないということです。何をやればいいかわからないですね、きれいごとが並んでいるようなものをまとめていただく必要は全くないわけでありまして、具体的な内容での提案をぜひ行っていただきたいなと思っています。
信濃毎日新聞 河原千春 氏
知事にお伺いをさせていただきたいんですけれども、教員不祥事が相次いでいる中で、特に女の子の、生徒・児童の皆さんが被害にあっていらっしゃるかと思うんですけれども、こうしたいじめの相談電話のほかに、そうした学校の先生に嫌なことをされただとか、そういったものを、子どもの声を聞くような仕組みだとか体制とかというのは、こういった緊急的な電話とか窓口とか用意されるということもありかと思うのですけれども、その点について、どうお考えになられますか。
長野県知事 阿部守一
まず、こどもの権利支援センターの対応の仕方を今回少し臨時的に変えているわけです。臨時的に変えているというのは、心の支援室だけが受け付けて、後は伝言ゲームという形ではなくて、関係課も現場に出向いて、関係課の責任者が責任を持って対応をしていこうということで、今回いじめについてはそういう形で対応しようとしているわけですけれども、私はこどもの支援センターで受けた電話全体についての対応のあり方というのは、今後見直さなければいけない。これはこの場でも私は申し上げたかもしれませんけれども、学校現場に至るまで伝言ゲームになっていると、これはさっきの権限、責任の所在が不明確だということと裏返しの、表裏の関係で極めておかしな話だと思います。これは教育委員会を責めるというよりは、今の法令に忠実であればあるほど、権限が分散しているわけです。知事の権限もあれば、市町村教育委員会の権限もあれば、学校長の権限もあれば、今の教育の法体系というもの自体が私は問い直されないといけないと思いますが、今の法制度の中でも、私はもっとやりようがあるだろうと、さっきのいじめの話で現場に直接行かせるというのもそういう話ですけれども、そうした改善を今の仕組みの中でも行っていきたいと思いますし、もう一つは行政だけが対応するのではなくて、もっと学校の中に、教育の仕組みの中に、普通の県民の皆さん、普通というのは公務員以外の県民の皆さんで子どもたちを本当に支えていただいている方たちが入ってきやすい、一緒になって取り組みやすい、そういう環境をつくっていくということが重要だと思いますので、そこも今回のあり方検討会議では方向付けを行っていただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 河原千春 氏
こどもの権利支援センターというところでは、例えば学校で嫌なことをされただとか、教員から嫌なことをされたとか、そういったこともこちらでは聞く窓口…。
長野県知事 阿部守一
幅広くいろいろな悩みをですね、今回は緊急いじめ相談という形でやっていますけれども、もう少し広い形で相談を受けていますし、今でも例えば、いのちの電話であったり、チャイルドラインであったり、子どもの相談を市民レベルで受け止めていただいている皆さんもいらっしゃいます。そうした皆さんとも横の連携を、行政も一緒になって取っていくという形を進めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 河原千春 氏
こどもの権利支援センターの緊急いじめ相談電話ということで設けていらっしゃるということなんですけれども、子どもが勇気を出して、いち早く連絡をするにあたって、有料ではなくて無料で、例えば県が一時的に電話代を負担するような形で窓口を開設ということもあり得るかと思うんですけれども。そうしないと、思っても、例えば親御さんの目だとか、電話代が気になって掛けられないという子どももいたりするかと思うんですけれども、その点についてはどうお考えになられますか。
長野県知事 阿部守一
掛けてくる子どもの電話代の負担。
信濃毎日新聞 河原千春 氏
そうです、結局有料ですよね。掛ける側の。
長野県知事 阿部守一
なるほど。電話代の負担のことまで念頭に置いていなかったですけれども、子どもたちからすれば確かにそういう部分もあるかもしれません。少しそこは考えなければいけないのかもしれませんが、これは教育委員会で今までこどもの権利支援センターをやっていて、そういう問題というのはあるのかしら。もし、そういう問題があるとすれば、それも改善しなければいけないと思います。これまでも電話相談をずっとやってきていますので、そうした問題があるのか、ないのか、あるいは、あるけれども潜在的に埋もれてしまっているから対応しなければいけない問題なのかというのはちょっと検討したいと思います。
日本放送協会(NHK) 梅村洋次 氏
繰り返しになってしまう部分もあるかと思うんですが、改めて不祥事についてなんですけども、今年に入ってだけでわいせつ事案で5人の教師が懲戒免職になるという、昨日の教育委員長も異常事態という言葉を使ってらっしゃいましたが、知事は今、大変危機感を持ってらっしゃるという言葉でしたが、今のこの事態がどういった要因で引き起こされているのかということについて、知事としてどういうふうに分析をなさっていらっしゃるのかということと、その要因に対してどのようなアプローチが効果的だと今の時点で、これから検討部会で検討するということなんですけども、今の時点でどういうアプローチが有効だとお考えか聞かせてください。
長野県知事 阿部守一
検討会議で検討していただく部分なので、あまり私の意見ばかりをどんどん申し上げるのはどうかというところもありますが、私が感じていることを率直に申し上げれば、さっき言った責任の所在が不明確と。例えば、今回の事件の中にも市町村教育委員会と県の教育委員会の連携不足というものもあるわけでありますし、あるいは、これは私の思いとすれば、今まさに県の教育全体を挙げて不祥事をなくそうという取り組みをしている中で、そうしたことを学校長、あるいは各市町村の教育委員会に周知をした後に起きている事案というのがあるわけですよね。これはいったい何なのかと、要するに学校現場の先生は、県の教育委員会がいくら言ってもそれは全く関係ないよという話で行動しているのか、あるいは県の教育委員会が言っていることは右から左に通り過ぎるような形で今まで行われているのか、これは個々の教師の問題ではなくて、学校現場を預かっている校長の皆さんも含めて、どういう状況になっているのかというのをぜひ、この際つまびらかに私はしていただきたいと思います。多くの県民が何でこんなこと起きているんだということは、大いなる疑問を持っていると思いますし、本当にお子さんをお持ちの皆さんからすれば、とんでもないという状況であることは間違いないと思います。もちろん一生懸命やっている先生方もいるわけですが、一生懸命やっている先生方からしても、こんな状況がこのままいってしまうということは耐えられないことだと、私がもし仮に教員をやっていれば思うと思いますので、ぜひ学校教育に関わる皆さんはこの機会に本当に何が問題なのかと、過去の問題を指摘するといろいろな人を傷つけたりするんじゃないかとかっていう話じゃなくて、ぜひ前向きな情報共有と議論をしてもらいたいと思います。個別の懲戒の在り方については、私も横浜市で外部有識者が入ったコンプライアンス委員会をやって、私はコンプライアンス担当の副市長だったので感じますけれども、全体として、もっとしっかりとした方向付けを教育委員会にはしてもらう必要があるんじゃないかと。もっとしっかりした方向付けというのは、例えば個々の教員の処分をするからには、その周囲にいた管理監督者はいつ、どういう指導をして、どういう情報を把握していたのか、そういうことも含めて、きっちりと把握をした上で全体的な処分を行っていくということが不可欠だと考えていますし、平素の、今回の検討会議の中でも評価部会をつくっていますけれども、平素の評価というのが、本当にどういう形で行われてきたのか、そういうことも含めて、これはもうここまでくれば、全く教育あるいは学校の内輪の議論というのは、私は許されないと思いますので、本当に課題を全部つまびらかにした上で良い方向を出すような検討をこの検討会議で行ってもらいたいと思っています。私はやはり責任の所在が不明確だということと、いわゆる教育の社会の中で、あるいは教育委員会という枠の中での狭い議論が問題の解決を遅らせたり、あるいは社会から見たときに少し疑問を持たれるような対応の原因になってきたんじゃないかと率直に思っています。
共同通信 小田智博 氏
教員の不祥事のことで何回も続いて申し訳ないんですけれども、今週明らかになった事案でもですね、教育委員会なり学校なりが分かってから実際に外部に連絡、今回の場合は警察だったりするわけですけれども、連絡するまでにかなりの時間が、今回の場合1週間経ってるという状況が、前回も、前にもそういう状況が塩尻のときもあったかと思うんですけれども、教育委員会なり学校なりの内部でその事案をある程度聞き取りをしてから出しているという状況についてですね、知事としてはこのやり方が適切なのか、それともいじめの場合は第三者機関なり警察なりに任せるべきじゃないかという議論も出てますけれども、教員の不祥事に関してはどのようにお考えか教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
そうですね、これ私が責任者であれば変えなきゃいけないと思っています。公表の仕方は変えなきゃいけないんじゃないかと。今の公表の仕方が本当にいいのかというのは検討しろということを教育委員会にはお願いをしています。今回の検討会議での議論も含めて、そこは十分検討されていくことになると思います。私が責任者であればと言ったのは、さっき言ったように責任者が本当に県の教育委員会でいいのかっていうところも私は大いなる疑問があります。特に義務教育学校の場合は、市町村教育委員会があって、県の教育委員会があるわけですから、県の教育委員会が決めていくという形で本当にいいのかというところも私はいささか疑問なしとはしないですね。ただ私は、少なくとも県の組織として一緒に仕事をしている県の教育委員会には、そこの在り方は検討してくれという話はしていますけれども、これ知事部局と教育委員会との関係、県教委と市町村教委の関係、そうしたものも含めて整理をしないと、またいつまでたっても私は同じことの繰り返し、要するに責任が本当にどっちにあるかということをはっきりさせなければ、なんとなく人ごとでですね、市町村教育委員会も県の教育委員会から言われたからこういうふうにしましょうというような人ごと的な対応で情報の提供の仕方を考えるようでは、これはいけないと思いますし、今の仕組みは、どうもそうなりがちなので、そこから変えないと、表面的な仕組みを変えるだけでは、私は物事の本質的な解決にはなかなかつながってかないなと、対症療法にはなるけれども、本質的な部分はもっと違うところにあるんじゃないかと思っています。
共同通信 小田智博 氏
例えば警察だと監察があってですね、警察内部の犯罪であったりというのは、一義的にそこが扱ったりしているかと思うんですけれども、学校にはそういうところ恐らくないと思いますし、市町村教委にもちょっとあるのかないのか、あるところもあるのかもしれませんが、そういった内部で犯罪が起き得るということを前提にした組織っていうのがある例も、警察の中の組織、県庁でもあるかと思うんですけれども、そういった組織についてはどのようにお考えですかね。
長野県知事 阿部守一
はい。これは、まず、まずですよ、学校で犯罪とか逮捕されるようなことが起きるようなことを前提にすること自体、私はおかしいと思っています。そんな学校の風土自体がもし仮にそういうことがあるとすれば、それはもう破壊的に変えなければといけないと思いますけれども、私はむしろ、チェックをしながらしていくというよりは、まずもっと前向きにですね、本当に権限と責任の所在の話でずっと申し上げていますけれども、学校現場の先生、別に私が特に教育問題について知見を持っているわけではないですし、子どもたちに対して学校の現場の先生以上に愛情を私が持っているわけではないわけですが、ただそれでも私は問題意識を持って、怒りを感じるわけです、ある意味で。学校の現場の先生方はもっとそういう方は大勢いると私は信じています。そういう人たちが自分たちで声を上げたり、自分たちで取り組んでいくことができるような学校の風土というのをつくらなければ、これはもういくら教育委員会とか知事が、右だ左だと言ったって、それはもう現場にしてみれば、いろいろなことを、これもやれ、あれもやれという話で大変なことになる一方ですから、大きなところはわれわれが変えていかなければならないわけですけれども、やっぱり自立してね、学校の先生たちが自分たちの協力関係の中で責任の中で変えていけるような仕組みを私はつくっていくということがまずは重要、これは校長先生のリーダーシップの下でですね、行っていける形というのが私は一番望ましいと思っています。ただ、何度も言いますように、今回のいじめの第三者委員会の話は、私は別に良い話だと思います。良い話ですけれども、それを文部科学省が言ってくるから学校現場でもやりましょうなんていう、そんなことで世の中が良い方向に変わるとは私は思わないです。むしろ個々の学校現場が、こういうことが必要だと、ぜひこういう制度をつくれということを、教育委員会を突き上げるくらいの動きを私は大いに期待をしたいと思います。
朝日新聞 浅野有美 氏
先ほどからお話に出ているように、検討会議の方で、検討されているその結果をもって、制度の仕組みとか国への考えを表明していくということなんですが、そういった抜本的な改革ももちろん必要で、今やっているとは思うんですが、今すぐできる対処の方法というのもあると思うんですね。もしかしたら今でも悩んでいらっしゃるお子さんがいるかもしれないので、こういった不祥事、教員の不祥事が本当にないのかって、今一斉に調査するとかですね、何か今すぐできることもあると思うのですが、知事として、何かもしその当たりのお考えがあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
不祥事を一斉に調査するというか、いじめの話は学校現場に出向いて行って、お話を聞いて、情報共有をした上で一緒に学校現場と考えようと。私は教育っていう世界はやはりフラットな関係が私は望ましいと思っています。子どもたちの周りに大勢の大人が居て、相互に協力し合って子どもたちを支えていくということが、望ましいと思っていますので、そういう意味で、これはそういう仕組みをどうやって構築するかということを、まず私はしっかり考えていきたいと思っていますので、もちろん個別の課題に対しての対応は必要だと思います。個別の課題について、それぞれの学校で先生、校長、向き合っている課題があると思いますが、そうしたものはこういう機会にぜひちゃんと出してもらいたい。そういうところで、一緒になって考えていくということで、対症療法よりは、むしろしっかりとした形での制度、仕組みをつくっていくということが、まずは私としてやらなければいけない重要な課題だと思っています。個々のテーマについては、例えば知事が個別にああだ、こうだ、とやっていくやり方というのは、私はあまり望ましくないなと、すべての問題について。むしろ誰が責任を持つのかと、その責任を持つ人がその考え方の基にしっかりと動いてもらうということが必要だと思いますので、そういうところをしっかり積み上げた上で対応をしていくということが、回り道のようではあるけれども実は一番重要なことではないかなと思っています。
信濃毎日新聞 小坂真希 氏
教員の不祥事が相次いでこの数カ月で発覚しているということなのですけれども、これはたまたまこの時期に表面化しているだけで、これまでもそういった不祥事があっても学校、あるいは教育委員会の内部で外に出ないように押さえていたというような体質があると思うのですけども、その点について知事はどうお考えですか。
長野県知事 阿部守一
押さえている体質があったのかどうかということも含めて、検討会議でよく考えてもらいたいと思いますが、かつてNPOの皆さんがまとめた、いじめの、県内の小学校、中学校、高校で、こんな保護者とか子どもの声がありますというのを私も拝見しましたけれども、とんでもない事例がいくつか掲載されているわけですね。そういうものが子どもたちにしてみればやはり自分たちの、保護者にしてみれば子どものプライバシーの問題もあって、なかなかはっきり言いづらいケースというのも、これは私はなくはなかったんじゃないかなと思いますので、例えば学校の先生に直接言っても取り上げてもらえない、あるいは、学校に言っただけでは十分対応していただけない、してもらえない、そういう問題意識を持たれている保護者の皆さんも私はいらっしゃると思いますので、ぜひそうした皆さんの声も今回の検討会議には反映して、どういう形になれば、より問題解決につながるのかということを考えていきたいと思います。
信濃毎日新聞 小坂真希 氏
それは学校や教育委員会、あるいは行政の外で保護者からの要望を聞いて何か指導したり、話を聞いていくというような第三者機関についてもこの検討委員会で話し合うということなんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
検討会議で話し合う事項は検討会議で議論してもらうことが基本ですが、私はぜひそうしたことはですね、考えてもらいたいと思っています。今日、私は冒頭、話をしたいと思っていることは、一つは先ほどから申し上げている、責任の所在の明確化をしてくれと、それから開かれた学校づくりをどうするのかということを考えてほしいということをお話しようと思っていますけれども、例えば、教員以外の人たちで子どもを支えている人たち大勢いるわけでありますけれども、どうしても学校という塀の中に入るとですね、支えづらい、たまたまその学校、校長なりの考え方がそういう人たちとネットワーク組んでやっていきましょうということならいいんですけれども、そうではない学校の場合は、なかなかしっかりと協力しにくいという声も聞いていますので、たまたま良い先生がいたからとか、たまたま良い校長先生がいたからという話が教育の場合は、非常にいろいろなところで聞くんですけれども、それは、良い先生とか、良い校長先生は頑張っていただいているんで、私は評価すべきことだと思いますが、本当にじゃあそういうことで評価されているのかということと併せて、そうじゃないところは運が悪かったから仕方ないんだという話で済まされるかというとそうではないんで、やはり行政として、公教育で、公立学校でやっている教育ですから、そういう部分のレベルアップとか、あるいは対応の仕方、良い方向での対応の仕方の仕組みづくりということは、これはやっていく必要があるだろうと思っています。
中日新聞 酒井博章 氏
教員不祥事の件、お伺いしたいんですけれども、先ほど抜本的な改革も必要だけれども、今すぐできる対処があるのではないかという質問もありましたけれども、その質問の中で、結局、回り道で教育制度とかあり方を検討するのは大事だということはよく分かるんですけれども、いじめの問題でですね、各校回る際にそういう不祥事がないのかという点検をするということも一つ考えられるのではないかなと思います。教員の皆さん、大勢の皆さんが真面目にやってらっしゃると何度も繰り返すようにおっしゃられていますけれども、それすらも信じることができない異常事態だと思いますが、それについてどうお考えですか。
長野県知事 阿部守一
いじめの話を聞くときに、もちろんいじめの話というのは学校自体のガバナンスの話にも関わってくる問題ですから、同じような視点のところも出てくると思います。ただ、まあこれもあれもという話でいっぺんにやりだすと何が主たる目的なのか、分からなくなってしまうという形になりますので、あくまでも主たる目的は、いじめを見逃さないということに主眼をおいていかなければいけないだろうと思います。学校の先生が信用できないということは、今回これだけ不祥事が続けばですね、多くの皆さま方から、そう思われてしまう部分も残念ながらあるのではないかと思いますが、私は個別の先生とお会いしたりお話したりする機会もありますが、本当に問題意識を持って、そして子どもたちに向き合って学力の向上を図ろうと取り組んでいる人たちも大勢いるわけでありますから、そういう人たちを本当にですね、活躍できるような学校にしていくということと、不適格というかですね、本当に子どもたちの前で教員をやらせるわけにいかないという先生と、峻別(しゅんべつ)していくということが私は必要だと思います。評価の仕方、評価のあり方というのも、今回のテーマでありますけれども、そういう形で私はぜひ議論をしていただく必要があると思っています。
中日新聞 酒井博章 氏
7月1日から八十二銀行さんとキッセイ薬品工業さんが、県有施設のネーミングライツを買われましたけれども、今後の方向性、つまりネーミングが変わる経済状況とかですね、数年で変わってしまう可能性とか、愛着ある名称が変わってしまうことへの抵抗感とかもあると思うんですけれども、今後、県有施設に対しての命名権、ネーミングライツの方向性と今後どうして行きたいのか、知事の意見をお伺いしたいんですが。
長野県知事 阿部守一
私はネーミングライツは広く拡大をしていきたいと思っておりますので、これは企業の皆さま方から逆にご提案をいただく形も可能でありますので、ぜひ、こういう施設はうちの名前、あるいはうちの関係の商品の名前を使って、こういうものにしてはどうかというご提案も含めてですね、どんどんいただければと思います。愛着のある名称という部分の議論も、もちろんあろうかと思いますけれども、これは県の施設、維持管理等に経費を要しているところもありますが、財政が厳しい中でやりくりをしていく一つの手法としてはですね、私は意義があるということだと思いますので、引き続きいろいろな形で協力を呼び掛けていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
教育の話で、知事が先ほどからジレンマを感じていらっしゃる、知事とか、あるいは教育委員会、あるいは市町村教委との権限の分散という話なんですけど、本を正せば戦前の戦時教育みたいなところから、権限の集中を防ぐというようなそういう原則的な部分もあるかと思うんですけど、こういう事態に至っては、そういう原則みたいな部分っていうのはもはや危機的状況の方が超越しちゃっていて、もともと謳(うた)われているような教育委員会の独立みたいなところっていうのは時代遅れになりつつあるというような認識は、知事はお感じになっているのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
相当時代遅れだと私は思いますね。相当時代遅れっていうのは、教育委員会制度も公選制だったり、準公選制だったり、あるいはまだ私は公務員になる前までこういう制度があったので、何年前になくなったか忘れましたけれども、教育長も文部科学省が承認する人事、ほとんど地方分権とは相入れないやり方であったんじゃないかと思いますけれど、要は首長からの中立性ということはこれまで建前として言われてきたわけですけども、私から見てると、逆に中央集権的な形が強く残ったんじゃないかと思っています。教育長の承認なんてまさにその典型だと思いますし、この席でも申し上げたかもしれませんけども、いろいろなこと細かな通知を文部科学省が出すのは、これは文部科学省の仕事としては私は敬意を表したいと思いますし、良いこともいろいろ言っていると思います。ただ、これだけ多様な学校があってですね、学校現場の抱えている課題がさまざまある中で本当に現場から遠く遠く遠く、私でさえ例えば個々の教員の不祥事の具体的な内容をつぶさに承知をするという状況にはなれないわけですよね、文部科学省に行けばなおさらの話ですから、そういうところで、こういう形にしたらいいんじゃないのということを懇切丁寧に検討してもらうのは、私は地方自治の立場から見れば、ある意味でありがた迷惑的なところが正直あると。もっと地方の自主性、自立性等も高めていく方向で、この教育のあり方というのは論じられるべきものだと思っていますので、とかく首長と教育委員会との関係性のところばかりに目が向いていますけれども、私はむしろ、国、県、市町村の関係のあり方というところで本当に今の制度がいいのかということをぜひ考えていかなければいけないんじゃないかと思います。
教育委員会教学指導課心の支援室長 澤井淳
こどもの権利支援センターの電話ですが、現在フリーダイヤルは持っておりません。相談される方も大人の方もたくさんいらっしゃいますし、お子さんもいらっしゃいますし、内容もいじめのこと、教育相談、さまざまであります。お求めに応じて、こちらから掛け直すということで現在対応させていただいておりますので、よろしくお願い致します。以上であります。
長野県知事 阿部守一
はい、ではよろしくお願い致します。
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