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更新日:2022年9月16日
長野県知事 阿部守一
それでは、本日の会見を始めます。私から冒頭9点お話をしますので、少し分量が多いので、若干駆け足で簡潔にお話をしていきたいと思います。まず始めに価格高騰緊急対策【第一弾】(会見資料1)についてです。今、国においても全国的に原油価格、あるいは物価の高騰が大きな課題になっているわけですけれども、国の補正予算等も積極的に活用しながら県として独自の視点を持ちながら対応していきたいと考えています。「生活費負担の軽減」、「事業継続への支援」、そして「エネルギーコストの削減」、「県内消費の拡大」、こうした大きく4点を柱にしながら補正予算を活用しながら市町村、関係機関とも連携しながら対策、対応を進めていきたいと考えています。補正予算案(会見資料2)と併せてご説明しますけれども、今回の補正予算は価格高騰緊急対策【第一弾】と、それから新型コロナ対策が大きな柱となっていますが、そのほとんどは価格高騰緊急対策で占められています。その分で約52億円、全体の補正予算案の規模が54億6千万円余という状況になっています。一つ一つ説明するのは省略しますが、価格高騰については当面、今価格高騰、物価高騰、資材価格の高騰、エネルギー価格の高騰で大変厳しい状況におかれている県民の皆さまの暮らしを支えるということ、そして経済活動が継続できるように事業者の皆さまを応援していくということを中心に組み立てていますが、もう一方で、このエネルギーの問題については、これから脱炭素社会をつくっていく上では非常に重要な課題だと考えています。そういう観点で、今回、事業者の皆さまに対しては省エネ、あるいは再エネ設備を導入する際の支援、そして県民の皆さまには省エネ家電を購入する際の支援を対策の一環として打ち出し、当面の価格高騰対策だけではなく中長期的な視点に立って脱炭素社会の実現、あるいは価格の面でみれば、より価格高騰への対応力が強い県づくりを進めていきたいと考えています。暮らしや産業への影響については今後もさまざまなことが起こり得る可能性があると思っています。分野によってはこれから影響が顕在化していくという分野もあろうかと思いますので、そういう観点で、今回は第1弾という形にしています。引き続き、各部局においてそれぞれの分野における経済の動き、社会の動向をしっかり把握をしながら必要な支援策を今後とも検討し具体化をしていきたいと考えています。また議会で審議いただくわけですので、しっかり県も審議、議論に対応し、可決をいただいた上で適切な執行、県民、事業者の皆さまをしっかり支えていくという観点で対応していきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから、条例案(会見資料3)についてです。今回、一部改正条例案7件、そして新設条例案2件ということです。そのうち特に盛り土の関係についてご説明をしたいと思います。今回の県議会に「土砂等の盛土等の規制に関する条例案」を提案していきたいと考えています。これはご承知の通り、昨年の7月熱海市において不適切な盛り土に起因する土石流が発生し多くの尊い人命が失われるという大変痛ましい出来事がありました。こうしたことを受けて、本県においても災害の発生を未然に防止していくために、盛り土について規制する条例が必要だという判断の下で検討を重ねた結果、本条例案を提出するものです。この条例案においては一定規模以上の盛り土等を行う場合については許可制とします。また盛り土等を行う者、そして土地の所有者などの責務を明らかにするなど、盛り土等の行為を規制の対象にしていきます。また条例の実効性を担保するために、災害の発生の防止に必要があると認められる場合には措置命令を行えるようにし、また罰則等も規定をします。これまで盛り土に関しては森林法と個別法での対応、対策という形になっていましたけれども、それぞれの各法律だけではなくて、県として県全体における一定規模以上の盛り土についてはしっかりと対応してもらえるように取り組んでいきたいと考えています。この条例を制定することによって、既存の砂防法、あるいは森林法等で安全性が担保されている水準と同水準の安全性を担保していくことによって、県民の皆さまの安全な暮らしを守っていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから、特別職・管理監督者の心身の健康管理対策(会見資料4)に取り組んでいきたいと考えています。一人一人の職員が能力を発揮して県民の皆さまに信頼され期待に応えられる県をつくっていく上では、職員全体の健康管理が重要だと考えています。こうした中で、どうしても管理監督の職員であったり、あるいは私を含めて特別職であったり、そうした立場の健康管理というのが少し一般の職員と比べると、今まで対応が弱かった部分があると考えています。そうした部分を中心に強化をしていきたいと考えています。まず身体の健康管理ということで、管理監督者の身体の健康管理体制の強化ということで、特別職も含めて直近下位の職の職員等が健康状態を把握して対応していくというような仕組みを作っていきたいと考えています。また、メンタルヘルスの部分については「管理監督者等専用相談窓口」を設置したり、またみんなで気付いて声掛けをする仕組みも講じていきたいと考えています。また管理監督者等のメンタルヘルス研修を行うと同時に、常勤の特別職、私も含めてストレスチェックの対象にしていきたいと考えています。
また過重労働対策ということで管理監督者等についても勤務時間をしっかり把握するとともに、教育長についての勤務時間および休暇等に関する条例案を本議会に提案をしていきたいと考えています。教育長の勤務時間、休暇については一般の職員と同様の扱いにするということを規定する条例案です。教育長は特別職ですので私も特別職でありますけれども、基本的には自らの判断と責任で職務を遂行するということが求められているわけですが、しかしながら今申し上げたように、管理監督の立場にある職員の健康管理についても重要性が高まっていると考えていますので、今回、条例案を提案するということにしました。こうした取り組みを一体として進めることにより、より働きやすい職場づくりに努めていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
続きまして、信州アーツカウンシル(会見資料5)についてです。アーツカウンシルについては文化振興事業団の近藤理事長をはじめ、関係者の皆さまと在り方について検討を行ってきたわけですが、いよいよあした6月11日に信州アーツカウンシルとして始動していく、スタートしていくという形になります。これは県民主体の文化芸術活動を持続的に発展させていくという観点で文化芸術の振興、活用に専門的知見を持つ人材を配置する、中間支援組織として設置をしていくものです。あしたキックオフイベントを開催しますが、多くの皆さまにぜひお越しいただければありがたいと思っています。アーツカウンシルのミッションは資料に記載していますように、「県全域における文化芸術活動の創造力、発信力を高める」、そして「文化芸術活動のポテンシャルを社会の様々な領域に拡げる」、そして「文化芸術活動が持続的に発展する環境を醸成する」という三つのミッションの下、活動をしていくことになります。組織についてはこのミッションに賛同いただく団体の集合体としてスタートをしたいと思っています。助成、支援、それから相談や助言をセットにしながら県民の皆さまが取り組む文化芸術活動を寄り添い型で支援をしていきたいと考えています。これからますます心豊かな社会が求められている中で、アーツカウンシルにおいてはぜひ所期の目的をしっかりと達成をしていってもらいたいと思います。私もあすのイベントには参加し、また私の考えもお伝えをしていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから「障がい者芸術文化活動支援センター」の設置(会見資料6)についてです。これについては本日設置をしました。このセンターの運営を社会福祉事業団に委託をするものです。この4月に障がい者共生条例を施行しましたが、基本的施策の一つとして、文化芸術活動の振興を位置付けしています。今回の文化活動支援センターは文化芸術活動を振興する、条例の趣旨を実現するということも含めて設置するものです。私としては障がい者の皆さまもぜひ文化芸術活動を通じて生きがいであったり、楽しさ、喜びであったり、こうしたものを感じていただけるような長野県にしていきたいと思います。また障がい者のアート作品は非常に心を揺さぶられるものがたくさんあります。ぜひ県民の皆さまにも障がい者のアート作品をぜひ知っていただく機会を増やしていきたいと考えています。そういう観点では、この作品の展覧会等を行っていくことはもとより、有償でこうした障がい者の作品を貸し出す仕組みをつくっていきたいと考えています。ぜひ多くの皆さまにこの障がい者アートをぜひ親しんでいただき、また障がい者のアートの取り組みに応援をいただければありがたいと思っています。また、本日からこのセンターの愛称を募集しています。ぜひ多くの皆さまに今申し上げた趣旨にふさわしい愛称を付けていただければありがたいと思いますのでよろしくお願いします。
長野県知事 阿部守一
それから、奨学金の返還支援制度についてです。「奨学金返還支援制度導入企業サポート事業」(会見資料7)をスタートしていくわけですけれども、参加企業を本日から募集をします。従業員の奨学金返還支援制度を設ける県内企業に対して、企業が負担される金額の2分の1、1人当たり年額10万円を上限に県として補助しようというものです。これは人材の確保、あるいは若い世代の県内定着を促進するために有効な施策だと考えています。今、大学生、あるいは専門学校生の2人に1人が奨学金を利用していると聞いています。なかなか給与水準が低い若い世代にとっては奨学金の返還、経済的にも心理的にも大きな負担になっているところもあります。県としてはこうした制度をつくることによって若い人たちを支援し、また企業も応援していきたいと思っています。離職率の低下、あるいは有能な人材の採用にもつなげていっていただきたいと考えています。この制度に参加いただく企業の皆さまについては、8月に開設を予定している特設サイトに掲載をし、学生の皆さまに積極的にPRをしていきたいと考えていますので、ぜひこの事業を多くの企業の皆さまにご活用いただければありがたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
続きまして、「今こそ省エネ!プラスアクション」(会見資料8)についてです。本日開催したゼロカーボン戦略推進本部会議で決定したものです。資料をお配りしていると思いますが、今年の夏における電力需給は非常に厳しい見通しが示されています。先ほど価格高騰対策についてお話をしましたけれども、このエネルギー価格の高騰についてはすぐ下がっていくというようなものではなかなかないのではないかと考えていますし、先ほども申し上げたように2050ゼロカーボンを実現していく上では、これまで以上に多くの皆さまのご理解とご協力を頂く中で、この省エネルギーの取り組みを進めていくということが重要だと考えています。国からも節電要請がなされているわけですが、今回長野県としては県民の皆さま、事業者の皆さまに今日から9月30日までの間、「今こそ省エネ!プラスアクション」ということで、徹底した省エネルギーへのご協力をお願いしていきたいと考えています。エネルギー消費量の削減目標については対前年3パーセントということで、これはゼロカーボン戦略の長期的な削減目標も意識をした上で設定をしているものですので、できれば短期的な対策にとどまらず中長期的な視点も持っていただいて、県民の皆さまにはライフスタイルの変化を、そして事業者の皆さまには事業所におけるさまざまな設備更新等の対応を進めていっていただければありがたいと考えています。エアコンの設定については室温28度設定、そして省エネ設備、省エネ家電への切り替え促進、そして公共交通機関の利用促進をお願いしていきたいと考えています。先ほど6月の補正予算案においては事業者向けの省エネ、再エネ設備の導入支援の補助金を盛り込ませていただいていますし、また家庭向けの省エネ家電購入支援施策も計上していますので、こうした予算はまだ成立していませんけれども、こうした施策もぜひ有効に活用していただきながら省エネルギーは県民全体の運動、取り組みとして進めていけるように県として働き掛けていきたいと思っています。多くの皆さまのご協力をぜひともお願いをしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
ワクチンについてですけれども、これも資料をお配りしていると思いますけれども、イオンモール松本で新型コロナワクチンの出張接種(会見資料9)を行っていきたいと考えています。6月19日からスタートしようと予定をしています。本県における追加接種、3回目接種については市町村、それから医療関係者の皆さまのご尽力のおかげで全国的に見ても高い接種率で推移をしている状況です。直近で今全国で7番目に高い接種率になっていますけれども、これから若い世代にもぜひ前向きに接種のご検討をいただきたいと思っています。若い方のご意見としては接種の予約、あるいは会場に出向くということがなかなか面倒くさいといったようなお声もありますので、そういう観点で今回は予約なしで、例えば週末にお出掛けをされたついでに立ち寄っていただき接種をいただけるようにしていきたいと考えています。6月の後半から7月の初めにかけて、週末の金曜、夜間とそれから土曜、日曜延べ7日間で1500人規模での接種会場を設けていきたいと考えています。接種当日は今申し上げたように予約なしで接種をいただくことができます。特に松本市、塩尻市、安曇野市に住民票がある方は接種券をお持ちでなくても接種いただくことができるようにします。ぜひそういう意味で、まだ3回目接種を受けていない方はこの機会をご利用いただき、ワクチン接種を受けていただくことをぜひご検討いただきたいと思っています。私からは以上です。
日本経済新聞 畠山周平 氏
「省エネ!プラスアクション」の件で何点かお伺いしたいと思います。目標値の確認なのですけれども、これは電力に限らずすべてのエネルギー消費量を9月末までの期間で対前年比3パーセント削減と、そういう意味合いでよろしかったでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず今回お配りしている資料に示していますように、エネルギー消費量ということで、必ずしも電気等に限定せずに3パーセント削減という目標を立てています。もとより夏の電力需要の大きな分、どう乗り切るかということも重要な課題ではありますけれども、先ほど来申し上げていますように、もう一方でゼロカーボン社会をどうつくるかということも大変重要ですので、そういう意味ではエネルギー消費全体の削減を目標に据えて県民の皆さまと一緒に取り組んでいきたいと考えています。
日本経済新聞 畠山周平 氏
ちなみに前年のこの期間の消費電力というのはどれぐらいの数値だったのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
把握していないという状況です。ちなみに例えばゼロカーボン戦略におけるエネルギー消費量全体の2030年目標というのは12万3000テラジュールという状況になっていますが、直近出ている数値が2019年度のエネルギー消費量でこれは16万5000テラジュールという状況です。これ約25パーセント今後減らしていかなければいけないという状況になっていますけれども、そうしたことも念頭に置いて今回対前年比3パーセント削減ということで考えています。ただ、今申し上げたように、このエネルギー消費量全体のデータというのは、非常に時期が遅れて出てくる形になりますので、どういう成果が上がったかということの数値指標については取り方の工夫をしていきたいと思っています。
日本経済新聞 畠山周平 氏
するとなかなか途中経過でどのくらい達成できたかみたいなのは把握が厳しいですし、すぐに振り返りも難しいみたいなところだと思うのですけれども、だとするとこの3パーセント削減という目標をどのように捉えればいいのでしょう。これは個人個人、あるいは企業がそれぞれの持ち場で3パーセント削ってくださいという、そういう意味合いなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほども申し上げたように、例えば最大電力需要等について把握できますが、エネルギー消費量全体というのは精緻な形で統計を取るのは結構難しいので、その都度今何パーセント削減というようなことはお伝えすることは難しいです。できるだけどの分野でどれぐらいの削減が行われているかということについては、分かりやすく伝えさせていただく工夫をしていきたいと思います。
日本経済新聞 畠山周平 氏
このエアコンのところの呼び掛けで設定温度を28度にするようにと呼び掛けていらっしゃいますけれども、国の呼び掛けですと室温を28度にせよということで、わざわざ環境省のページでは「室温と設定温度は違います」という注意喚起もしていると思います。何かこのようにされている背景というか理由とかあるのでしょうか。
ゼロカーボン推進室長 新納範久
今、ご指摘をいただきました通り、設定温度と室温は違いまして、県の方で求めているのも室温の28度です。
日本経済新聞 畠山周平 氏
すると28度に設定するのではなくて、室温が28度になるようにという趣旨で書いていらっしゃるというそういう意味でよろしいですか。
ゼロカーボン推進室長 新納範久
おっしゃる通りです。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
今回の補正予算案についてお伺いします。今回は価格高騰緊急対策の第1弾と位置付けて、喫緊の対策と中長期的な視点の双方で予算編成したということなのですけれども、第1弾とありますので、今後どのように展開していくのかというのも一つ気になるところなのですが、今回、財源の多くが国の地方創生臨時交付金を充てていますので、そういったタイミングでこの対策の打ち出し方になるのか、それとも状況に応じてとなるのか、今後見通しづらいところもあって、なかなか明確に言えないところもあるとは思うのですが、今後の見通しについてどのように考えていらっしゃるかお伺いします。
長野県知事 阿部守一
まずこれは機動的に対応していきたいと思っています。今回、国の補正予算を活用して打ち出しをしていますけれども、国もこれから国会が閉幕して参議院選挙という形になっていくと思いますので、県としては国の予算とか追加での対策のあるなしにかかわらず、必要な対策を第2弾として打ち出していくことを前提に実態を把握し続けていきたいと考えています。例えば食料品等支障を来される方に対する支援であったり、あるいは畜産農家であったり施設園芸を行っていらっしゃる農家の皆さまへの支援ということも入れさせていただいていますが、県としては、一つは今回の対策、対応には入っていないけれども必要な対象となる方とか事業者がいればそうした方への支援ということも考えていきたいと思いますし、また今回、支援の対象になっている人たちに対する支援策も、例えばエネルギー価格とか物価の変動というのはまだ流動的な部分があると思いますので、場合によっては追加でさらに支援していくということもあり得ると思いますので、さまざまなことを留保なしに検討していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
そうしますと、これは確認なのですけれども、留保なしで状況を見てということなのですが、特に時期というものは定めずにその時の状況に応じて必要な対策をやっていくということでよろしいですか。例えば、その場合の事業の規模というのは52億というのはかなり大きな額だと思うのですが、その数千万円の規模であっても必要な支援だと思えばしていく、例えば今回の予算案でも生活困窮者だけに限って言えば数千万円単位の事業かと思うのですが、そういったこともあり得るということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
全くそのこと自体否定はしませんが、今回の価格高騰というのはいろいろな分野に影響が生じているわけですので、今後の対策を考える上でも、例えばここの分野だけということより、むしろ引き続き総合的な視点で検討をしていきたいと思いますので、あまり単発、単発というイメージよりはむしろ今回第1弾ということで出していますので、いろいろな実態を把握させていただいた上で第2弾という形でお出ししていくというのが、考え方としては県が今想定している形です。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
特別職に関する条例の関係でお伺いいたします。知事も先ほどのお話の中からご自身も当然その中に含まれるというようなお話が出ているのですが、今回の条例案についていえば教育長に限っているわけなのですけれども、今後、それがどんどん広がって、例えば知事ご自身であるとか、そういったこともあり得ると今考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
今、特別職については私と副知事、常勤の監査委員、それから教育長、公営企業管理者が特別職として働かせていただいているわけですけれども、そのうちの教育長については先ほど申し上げたように、条例で一般職と同様の対応をしていきたいと思っています。その一方で私、知事、副知事と常勤の監査委員については教育長の法令の規定が他の特別職と少し変わっているわけですが、知事であったり副知事についてはこういう職務専念義務に関する規定等がありません。これは常勤の監査委員も同じです。そういう意味で、一般職と同様の規制を置くというのはあまりなじまない職種ですし、他の都道府県でもそうしたルールは基本的には置いていないと思いますので、知事、副知事、常勤監査委員についてはこれまで通りで対応していきたいと思っています。ただ、先ほど申し上げたようにメンタルヘルスチェックみたいなことは対象にしていきたいと思っています。公営企業管理者については法律上政治的な中立性、あるいは職務専念義務が課されているところですので、この公営企業管理者の勤務時間については企業局の公営企業管理規程で定めていきたいと考えています。今、企業局の中でこの規程の策定手続きを進めているところですので、速やかに制定をしていきたいと考えています。
共同通信 滝野瀬雅史 氏
リニア中央新幹線の関係でお尋ねします。今月の2日、静岡県の川勝知事が沿線9都府県でつくる建設促進期成同盟会への加入を申請しています。会長の大村知事なのですけれども、各都府県から意見を聞き対応するというような話をしていまして、この点について長野県としては静岡県の加入申請を認めるのか否か理由を含めてお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
まだ県としては文書回答をしていないようですけれども、私の今の時点での考え方を申し上げれば、静岡県として現行ルートで整備促進をするという考え方に立つということであれば、これは同盟会に加入していただいて一緒に取り組みを進めていきたいと考えています。
共同通信 滝野瀬雅史 氏
回答はいつくらいまでになりそうでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今申し上げたような方向で県としては考えていますので、来週の早い時期には回答していきたいと思います。
共同通信 滝野瀬雅史 氏
関連して川勝知事の姿勢なのですけれども、おっしゃっていたようにリニアの静岡工区の着工については環境面の悪影響を理由に反対する一方で、リニアの推進自体については推進しようという立場を示していまして、この考え方について知事はどのようにお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
静岡県の中の今の実情を必ずしも私も十分承知をしているわけではありませんけれども、長野県内においてもいろいろな課題がある中で、この周辺の皆さまのご理解とご協力を得ながら整備促進を図ってきているところです。そういう意味でぜひこの静岡県内においても関係者間でしっかり意思疎通をしていただき、また課題については多くの皆さまの意見を聞いていただく中で、しっかり一つひとつ速やかに解決をしていただき、全体としての整備が進むように取り組んでいただきたいと考えています。
共同通信 滝野瀬雅史 氏
関連してですけれども、現行の静岡工区で環境問題悪影響に反対しているということで、これがどうしても難しくなった場合に別ルートを通す案というのは知事はどのようにお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、例えば長野県内での工事はもうかなり進んできていますので、そういう意味では、別ルートというのは決して整備促進ということではないだろうと、むしろ促進じゃなくて振り出しに戻すという形になりかねないので、そういう意味で現行ルートでの整備促進ということをしっかり確認をした上でご参加をいただき、一緒に取り組ませていただきたいと思います。
共同通信 滝野瀬雅史 氏
あくまでもそこが前提というところで進めていくと。
長野県知事 阿部守一
そもそも静岡工区においても、今、国も含めて課題解決に向けて検討いただいているところだと思いますので、そういう意味では現行ルートを前提にしながら、さまざまな取り組みを進めていただきたいと思います。
中日新聞 城石愛麻 氏
特別職の心身の健康管理対策について伺います。教育長の勤務時間を規定する条例の提出ということですけれども、この3月に原山教育長がお亡くなりになったことも受けて、こういったことになったと思いますが、条例案提出に至った知事の思いというのを教えていただきたいのですけれども。
長野県知事 阿部守一
まず原山教育長のご逝去、改めてご冥福をお祈り申し上げたいと思っています。今回、先ほど申し上げたように、この条例案だけではなくて特別職、あるいは管理監督職の立場にある者も含めて、この心身の健康管理をどうするかということを改めて振り返って、改善すべき点について前向きに取り組んでいきたいと思っています。県としては、やはり県民の皆さまへのしっかりとしたサービス提供を行っていくということがもとより重要ですが、その一方で今新型コロナであったり、あるいは災害対応であったり、組織全体にも通常時と違ってかなりいろいろな負荷がかかっている部分があります。そういう意味で、改めて管理監督の職員、特別職を含めた健康管理ということについてしっかりと取り組んでいきたいという思いの中で今回の条例案も取りまとめて提出をするものです。
中日新聞 城石愛麻 氏
今回の施策の中には知事ご自身も対象となるようなものも含まれていますが、知事がこれまでに職務にある中で、こういった健康管理の必要性などをご自身が感じたような場面というのはありましたでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私の健康管理というか、私の周りの職員も含めてなのだと思いますけれども、例えば、どこの知事も同じような感じではあると思いますけれども、時期によっては土曜も日曜も何もないという、休みがないということがかなり続きます。私としては、そういう中でも県民の皆さまの負託を受けて頑張らねばという思いが強いわけですし、恐らく副知事はじめ他の特別職もそういう感覚が強いと思いますけれども、本当にそれでいいのかということは改めて立ち止まって考えていくことも必要だと思います。私はできるだけ、あまり周りの職員が超過勤務にならないようになるべく早く帰ろうと心掛けてはいますが、まだ必ずしもそうはなっていないので秘書課ともよく相談しながら、私だけの問題ではなくて、やはり私が夜まで残っていると他の職員も残っていなければいけない職員も必ず出てきますので、少し改善していきたいと思います。
市民タイムス 萩原真一 氏
きょう、松本でアルピコ交通の上高地線が比較的長い寸断から復旧されていますが、松本の方の通勤通学の足や高齢者の足の復活に対する知事さんの思いと、あと繰り返されてはいけないわけで、災害に強い公共交通に対する決意というか思いとかをお伺いします。
長野県知事 阿部守一
今回被災したアルピコ交通上高地線が復旧して運行再開できることは大変うれしく思っていますし、多くの皆さまがこの災害で大きな影響を受けられたことと思いますので、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。県としては事業者、あるいは地元市とも連携しながら対策を講じてきているわけですけれども、ご指摘があったように災害があった後の速やかな復旧であったり、あるいは代替交通の確保ということも重要ですし、同時にできるだけ災害に強い県づくりを進めることが必要だと思っています。橋梁(きょうりょう)の点検等も各事業者に行っていただいているところですので、必要な箇所があれば県としても一緒に対応を考えていきたいと思いますし、今防災・減災、県土強靭化ということで、県全体が災害に強い県となるように取り組んでいますので、引き続きしっかり県民の安全・安心を少しでも確保できるように努力をしていきたいと考えています。
市民タイムス 萩原真一 氏
ウクライナの支援プロジェクトがスタートしていますが、ふるさと寄付金とか含めてプロジェクトの取り組みの手応えというか県民の関心の高さとか。
長野県知事 阿部守一
今のところまだ目標には達していない、寄付もお願いの目標に達していないところですが、私もこの間いろいろな方とウクライナ情勢についてお話をしました。このウクライナ情勢が日本の社会経済にも大きな影響を与えているということのみならず、やはり避難されている方、あるいは戦争に巻き込まれていらっしゃる方に対する共感の思いというのは、多くの方たちが共有をされていると受け止めています。そういう意味で県もさらに強力な呼び掛けをしっかりと行っていきたいと思っています。寄付金についてはまだ目標に達していませんので、ぜひ多くの皆さまにご協力いただきたいと思いますし、その一方で例えば事業者の皆さまからはいろいろな協力の申し出をいただき、具体的な支援につなげさせていただいているところですので、引き続き避難されてきた方を県民の皆さま全体で温かく支えていっていただきたいと思っていますし、また県としても市町村とも連携しながら、出来る限りの対策、対応、支援を行っていきたいと思っています。
読売新聞 浅川貴道 氏
本日、海外観光客の受け入れが解禁となりましたけれども、信州も海外観光客の方から人気の県だと思います。知事の期待のほどを伺えたらと思います。
長野県知事 阿部守一
この場でも申し上げたように、長野県としては今の新型コロナの感染状況の中ではインバウンド(訪日外国人旅行)の受け入れについては県民の皆さまのご理解をいただきながら積極的に対応していきたいと思っています。今、海外からのインバウンドのお客様、実証実験として長野県にもお越しをいただいたわけですけれども、これから県としても海外向けのPRも含めて積極的な対策を講じていきたいと思っています。特に日本政策投資銀行とか日本交通公社が行ったアンケート調査では、今世界の中でもっとも旅行に訪れたい国が日本という形になっていますし、世界経済フォーラムの観光の競争力ランキングでも日本が初めて1位という形になっていますので、そういう意味では、物価の面ではマイナス面の強い円安ですけれども、今お越しになられる方にとっては割安感が出る状況でもありますので、こうしたさまざまな状況をできるだけポジティブに生かしていけるように取り組んでいきたいと思っています。
読売新聞 浅川貴道 氏
ただ一方で不安の声といいますか、実際海外から来られた方が日本の若干厳しいといわれているようなマスクのルールですとか、そういったものに従ってくれるかどうかというような不安の声もあると聞いていますが、そういったことに関して何か周知するようなことを考えていらっしゃるのか、いってみればネガティブな面に関してはどのように捉えていらっしゃるか教えてください。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、県民の皆さまの理解と協力を得ながら進めていくことが必要だと思っています。例えば、私も1人で外を歩くときはマスクを外していますが、いまだにほとんどの方がマスクを着用されているというような状況で、少し海外の皆さまと日本人との認識のギャップは確かにあるのではないかと思いますので、それは県からも正しい情報発信をしっかりしていく必要があると思っていますし、マスクの目安をお示しした時に申し上げたように、絶対ゼロリスクとか絶対100パーセント感染するということではないわけで、一定程度、日本人同士でも寛容の心を持って接してもらわないと、常にここではマスク着用といっても、マスクを体質的にしづらい方もいらっしゃいますし、逆にここはマスクを外していいよと言っても、心配でマスクされる方もいらっしゃると思いますので、そうした寛容性というのは外国人をお迎えするだけでなくて日本の中でも実は必要になってきているのではないかなと思っています。もとより感染拡大によって多くの皆さまの命と健康が損なわれるということになってしまっては元も子もないというわけですので、そこは医療体制の整備をはじめとして、しっかり対応を講じながら、もう一方で社会経済活動は動かしていかなければいけないので、その中でインバウンドについても積極的に対応していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
来週には通常国会が会期末を迎える予定でして、いよいよ参議院選挙に入っていくと思うのですが、少し気が早いかも分かりませんけれども、知事としてこの参議院選挙において議論を期待するテーマといいますか、そんなところをお尋ねしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
今、先ほど申し上げたように、県も6月補正に向けては物価高騰対策、価格高騰対策に取り組んでいくわけですが、私としては日本全体、多くの危機が襲っている状況だと思っています。一つはこのコロナですし、世界情勢の影響を受けながらの価格高騰、エネルギーの高騰、そして中長期的には人口減少であったり、脱炭素社会の実現であったり、私も約12年知事の仕事をしていますけれども、極めて大きな課題がこれほど集中的に同時発生的に起きている時期というのは、これまでの12年間の中ではなかったと思います。もちろん単発の災害とか危機はいろいろありましたけれども、今、同時並行でさまざまな危機、課題に向き合わなければいけないという状況だと思います。そういう意味でぜひ国レベルにおいては、まず足元の対策をしっかりとやっていただくということももとより重要ですが、中長期的な視点での、今回の県の予算は当面の対策としてのエネルギー価格高騰への一時的な補助という観点だけではなくて、もう少し全体として省エネルギー化が進むような補助、支援ということもかなり積極的に盛り込ませていただいています。国レベルにおいては人口減少であったり、気候変動であったり、あるいは今世界がグローバル化してきた中で、国際関係のさまざまな危機が生じているわけですので、そうしたことを決して短期的な視点だけではなくて、中長期的な視点で議論をして方向性をしっかり出して、国民全体をけん引していっていただきたいと思います。
ありがとうございました。
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