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更新日:2023年6月14日
長野県知事 阿部守一
それでは会見を始めます。私の方からは7点お話をしていきたいと思います。まずはじめに、先週、沖縄県を訪問してきました。長野県遺族会の皆さまの主催ですが、「信濃の塔」の追悼式に参加し、戦争の悲惨な記憶を後世にしっかり伝えていくことをお誓いしました。また沖縄では玉城知事と懇談し、これまで沖縄県と長野県でさまざまな分野での交流を重ねてきましたが、そうしたこれまでの取り組みをさらに発展させていく観点から、連携協定の締結を申し入れ、玉城知事からも前向きなお返事を頂きました。できるだけ早く事務的に調整した上で、沖縄県と長野県、「海の沖縄」「山の長野」、お互いそれぞれ違った強みを持った地域同士の交流連携を一層深めていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
2点目ですけれども、予算それから条例についてです。本日の部局長会議で2月定例県議会に提出する予算案、条例案を決定しました。予算については、新しい総合計画の初年度ということもあり、新しい総合計画の柱立てに則して予算編成しました。新しい総合計画については「大変革への挑戦」というサブタイトルを打っていますので、できるだけ今後の変革につながるようにという思いも込めて予算案を作りました。当初予算の規模は1兆456億500万円余です。コロナ禍、あるいは価格高騰等への対応も含めた昨年の11月補正予算と一体的に政策を推進していきたいと考えています。また、新型コロナ対策についてはまだ、来年度どういう状況になるか見通せないところもありますけれども、これまでと同じような予算計上ではなくて対策を縮小していくという前提で当初予算には必要なものだけを計上しました。この点については国の動向をしっかり見極めながら対応していきたいと思っています。主な項目だけお話しすると、まず大きな柱の一つの「持続可能で安定した暮らしを守る」という観点では、ゼロカーボン社会の実現が大きなテーマです。「くらしふと信州」をしっかり活用していきたいと思っていますし、断熱性能の高い住宅の普及を進める観点で信州健康ゼロエネ住宅の支援も充実して、ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を超える住宅については最大200万円まで助成する仕組みに変えていきます。また、エネルギー自立地域の創出を目指す市町村に対しては5年間で最大1億円を支援します。市町村の皆さまとも対話する中で、県内の市町村もかなり前向きにゼロカーボンへの取り組みを進めようとしている市町村が多い状況ですので、そうした市町村とともに取り組みを進めていきたいと考えています。また、今回の予算の中にも県民の皆さまと対話する中で出てきているようなご意見も踏まえて予算化しているものがいくつかあります。例えば道路インフラの修繕予算を増額することにしました。小谷村で道路の話がテーマだったのですけれども、もっと維持修繕をしっかりやってほしいというご指摘もありました。安心して暮らせる地域をつくる上では、道路の安全性を担保していくことは非常に重要だと思いますので、県単独の道路橋梁維持費については37億円余を計上し、対前年1.4倍ということで大幅に増額しました。また、交通事業者の地域連携ICカードの導入を支援していきます。個々の事業者においていろいろな課題はあろうかと思いますが、一部の事業者だけで導入しても大きな効果が表れにくいこともあり、ぜひ全県でしっかり導入してもらいたいと思っています。そのために3年間集中的に支援していく形にしました。それから二つ目の柱の「創造的で強靭な産業の発展を支援する」という部分では、長野県、日本全体そうですけれども、自動車産業、自動車関連産業のウエートが非常に高い中で、自動車市場はEVにどんどんシフトしています。そうした観点で県内企業のEV市場への参入と海外展開を積極的に応援していきたいと思っています。また農業についても海外への輸出が順調に拡大していますので、引き続きぶどうや花き、米、こうしたものの輸出拡大に取り組んでいきます。加えて、人材の育成・確保の観点では、育児・介護等と職業訓練を両立できるようにオンライン型の職業訓練を行っていきます。また、長野県は観光県ですので、観光業に関心を持っている学生の皆さん等に長野県に実際に来ていただいて宿泊・交通等観光関係のさまざまな業種を体験することができるパッケージ型のインターンシップを行っていきます。また、「しあわせバイ信州運動」ということで、コロナ禍であまり活動は活発ではありませんでしたけれども、今、価格高騰の中で、適正な価格での取引、価格転嫁の促進が強く求められている中で、地域で生産したものはできるだけ適正な価格で、地域の中でみんなで消費しようと。地産地消、地消地産。地域で消費しているものはできるだけ地域で作っていこう、こうした取り組みも含めて「しあわせバイ信州運動」を進めていきたいと思います。また、地域の中で価値を循環させるという観点でデジタル地域通貨、これは私の公約にも掲げていますけれども、デジタル地域通貨の導入を支援していきたいと考えています。それから「快適でゆとりのある社会生活を創造する」という観点では、森林づくり県民税を延長しました。里山整備について、これまでは地域の皆さまに開かれているかどうかをあまり意識していませんでしたけれども、やはり県民の皆さまとお話しすると、長野県は森は多いけれどもなかなか入れる森が少ないという話もありましたので、開かれた里山の整備を進めていきたいと思います。まちなかの緑が少ないということも長野県の課題だと思っていますので、グリーンインフラ推進計画に基づいて緑地の整備あるいは街路樹の保全に取り組んでいきたいと考えています。また、多くの皆さまに県民参加型予算のご提案いただいたわけですが、そのうちの提案・選定型について、諏訪、南信州、長野の三つの地域振興局で事業選定が行われましたので、四つの事業について今回予算案に計上します。それから、松本空港ですけれども、チャーター便をどんどん増やしていきたいと思います。特に国際チャーター便の再開を見据えて松本空港の入国審査用の施設を整備していきます。また、観光面では国内外に対する切れ目のないプロモーションを行っていきます。さらに、「信州やまなみ国スポ・全障スポ」に向けては、競技力の向上そして陸上競技場の整備を着実に進めていきます。それから四つ目の柱ですが、「誰にでも居場所と出番がある社会をつくる」という観点では、まずは今、日本全体の大きな課題になっていますので、少子化・人口減少対策戦略検討会議を作って、若い人たちへの支援、少子化・人口減少対策につながる施策の検討、構築を図っていきたいと思っています。また、これもずっと県民の皆さまとの対話集会を回っている中で、保育士の皆さまとお話をし、保護者の皆さまと話し合いをした時に、保育士の配置基準をもっと充実する必要があるのではないかというご意見も頂いています。そういう中で今回、本県独自に0~1歳児については、国の基準は3対1(子ども3人に対して1人の保育士を配置)になっていますけれども、この3対1を超えて保育士を配置する場合と、それから従来も行っていますが、1歳児については6対1を4対1に配置する場合の必要な人件費、保育士の経費を補助する形にします。私立の保育所を対象にするわけですけれども、1人当たりの単価についても今、県の方から各方面に賃上げをお願いしている状況ですので、単価についても見直して増額します。加えて、大学等への進学を応援するための給付型奨学金制度を創設します。年間40名程度を対象にして、国公立で月3万円、私立で月5万円を支援していきたいと思っています。加えて、一部報道等で問題になっていますが、生活保護世帯の皆さまの進学率が極めて低い状況が続いているということもあり、今回、生活保護世帯を対象に学習塾や模試代について助成します。高校3年生については32万円、高校2年生については23万8000円を上限に支援していきます。家計の状況によっての教育の格差を何とか少しでも縮めていきたいと思います。それから、がん治療で外見が変化してしまう皆さまを応援するという観点で、ウィッグ等の購入費用を助成していきます。また、地域就労支援センターを設置して、女性、若者、障がい者、こうした皆さまの就労を伴走型で支援していきます。そして五つ目、最後の柱ですが「誰もが主体的に学ぶことができる環境をつくる」という観点では、県民対話集会をずっと回っていると教育についてのご意見はかなりたくさん頂いています。県民対話集会の場でも申し上げていますけれども、教育は非常に権限が分散してしまっているので、誰か1人で決めるというのはなかなか難しい状況です。義務教育学校、小・中学校は市町村立学校ですが、教員の人件費は県が負担していますし、教育の中身についての大枠は国が示して、学校の設置基準も国が決めているといったような状況の中で、保護者の皆さまや現場の学校の先生の思いもしっかり生かしながら学びの県づくり、とりわけ、子どもたち一人ひとりの能力をしっかり伸ばすことができる「個別最適な学び」というのが重要だと思っています。その在り方も含めて、幅広く今後の長野県における学びの在り方を議論するための「信州学び円卓会議(仮称)」を開催していきたいと思います。いろいろな皆さまの考え方を持ち寄って方向付けしていきたいということで、あえて何とか検討会とか何とか審議会ではなくて「円卓会議」という名前にしたいと思っています。また、自由進度学習と個別最適な学びに取り組んでいかれる公立小・中学校を応援するとともに、不登校の子どもたちが大変増えている状況があります。また、子どもたちの居場所をもっと増やしてほしいということも、かなり対話集会で(意見が)出てきていますので、来年度は「信州型フリースクール」認証制度の構築を検討して、子どもたちのしっかりとした居場所づくり、今まで地域の皆さまが本当に独自に頑張ってこられたものを県としてもしっかりサポートできるように認証制度を構築していきたいと思っています。また、夜間中学の設置の検討を行っていきますし、長野県は学びの選択肢が少ないとずっと言われ続けている状況です。対話集会の中でそういう意見が非常に強く出ている中で、なかなか通常の学びの場を増やすのは難しい状況なので、サマースクールに着目して、長野県はいろいろなサマースクールをもう既に実施されているところもありますし、夏は気候が冷涼な長野県で県内外の子どもたちが学ぶということは非常に重要だと思いますので、サマースクールを広く定着、展開させていけないかということを考えていきたいと思っています。今、申し上げたようなこと以外にもいろいろ新しい観点を盛り込みましたので、時間の関係で個別の話についてはこれぐらいにしますけれども、その他、総合計画の新時代創造プロジェクトに即して、いろいろと予算の中で新しい新時代創造プロジェクトの種まきもしたつもりです。今回、予算計上した事業にとどまらず、規制改革等あらゆる政策手法を用いて、新時代創造プロジェクトも進めていきたいと思っています。また、生活困窮者への支援であったり、事業者の価格高騰への支援については、総合経済対策、それから昨年11月の補正予算と一体的に推進してしっかり支援を行っていきたいと思っています。政策ではなくて財政的な形ですけれども、予算総額については新型コロナ対応分が減少するということで前年度比マイナスという形になっています。新型コロナを除いた通常分については、社会保障関係費それから投資的経費が増加する一方で、人件費や公債費など義務的経費は抑制するなど事業の選択と集中をしっかり行って通常分では49億円の減という形になっています。また、社会資本の整備については引き続き、国の防災・減災、国土強靱化加速化対策を活用して災害に強い県づくりを進めていきますし、加えて、高校や特別支援学校の学習環境の整備であったり、あるいは県有施設の脱炭素化、庁舎や信号機のLED化であったり、あるいは再生可能エネルギー設備の導入を着実に進めていきます。令和5年度当初予算の財源不足額は113億円ということで、昨年の当初予算に比べると財源不足はやや縮まったという状況ですが、まだ、財源不足額が大きい状況です。本日、併せて公表した行政・財政改革方針に基づいて、歳入確保、歳出削減の取り組みについても強化していきたいと思っています。また、県債残高については、国において臨時財政対策債を県からもかねてから強く要望していましたけれども、大幅に抑制されました。国の地方財政対策の中で大幅に抑制されましたので、減少していく見通しです。大変良い方向だと思っています。そうした中で臨時財政対策債等を除いた通常債の残高については、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を最大限活用していきますので、当面増加しますが、この5か年加速化対策を除いた分は着実に減少させていきます。県債残高全体についてはマイナス、5か年加速化対策を除いた通常債残高についてもマイナスと、この基調は維持していきたいと考えています。結果、実質公債費比率等については今後とも健全な水準を維持することができると考えています。また、県民参加型予算については先ほど少し言及しましたけれども、23の事業提案があった中で、県民の皆さまの声を取り入れて、選定を経て4事業を予算案に計上しました。まだ試行事業ですので、事業を実施することはもとより重要ですが、県民の皆さまの声や考えをどう予算に反映するかということを今回の取り組みを通じてしっかり検証して本格的な実施につなげていきたいと考えています。
それから、条例案については(会見資料1)一部改正条例案が15件です。幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定の要件に関する条例の一部を改正する条例案については、静岡県における通園バスの置き去り事故を受けて自動車を運行する時の子どもの所在の確認の義務付けの基準を設けるといったような改正を行うものです。また、長野県立総合リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例案については、総合リハビリテーション事業については、経営状況の把握、それから中長期的な資産管理をしっかり行っていくという観点から、地方公営企業法に規定する財務規定等を適用しようというものです。これらの予算案、条例案については2月定例県議会に提案し、十分ご議論いただいた上でご議決を賜りたいと考えています。具体的な内容等については、また担当部局の方にお問い合わせいただければと思います。あまり時間がないので以上とします。
長野県知事 阿部守一
続きまして3点目ですけれども、しあわせ信州創造プラン3.0についてです。
本日、『しあわせ信州創造プラン3.0 ~大変革への挑戦 「ゆたかな社会」を実現するために~』ということで、新しい総合5か年計画の案を公表しました。これまで、長期にわたって多くの皆さまにご参加いただき、ご意見いただく中で最終的な案を取りまとめたところです。ご協力いただいた皆さま、パブリックコメント等ご意見を頂いた皆さまに改めて感謝を申し上げます。計画の構成については非常に大部になっていますけれども、現状と課題ということで長野県を取り巻く状況、それから長野県の特性等を記述した上で、これからの政策の構築・推進に当たっての共通視点ということで、女性・若者の希望の実現であったり、あるいは人権の尊重であったり、デジタル技術の徹底活用であったり、これまでも計画に入れていますが、学びと自治の力を活かす、こうしたことを位置付けました。基本目標については「確かな暮らしを守り、信州からゆたかな社会を創る」ということで、私が知事になってから今ほど物価高騰であったり、災害であったり、コロナであったり、あるいは人材不足・人手不足であったりと確かな暮らしの基盤が揺らいでいる時期はないと思っていますので、危機感を持って確かな暮らしを守り抜いていきたいと思います。一方で、今、時代は大きな転換期ですので、「信州から」ゆたかな社会を創る、精神的にも物質的にも満足度の高い社会を長野県から実現していきたいという思いで「確かな暮らしを守り、信州からゆたかな社会を創る」を基本目標として掲げたところです。どういう社会を創るかということについても一定の方向性を書いたところですので、県民の皆さまとの対話集会でもずっと申し上げてきていますけれども、県民の皆さまと同じ方向を向いて、一緒に取り組み一緒に実現を目指す、そうした計画にしていきたいと考えています。施策の総合的展開については先ほど予算で触れたような柱立てにしていますし、新時代創造プロジェクトについては八つのプロジェクトを想定しています。「女性・若者から選ばれる県づくり」「ゼロカーボンの加速化」、「デジタル・最先端技術活用推進」、「個別最適な学びへの転換」、「人口減少下における人材確保」、「世界で稼ぎ地域が潤う経済循環実現」、「県内移動の利便性の向上」、そして「輝く農山村地域創造」ということで、通常の施策とは別に、あらゆる政策手段を動員してこうしたプロジェクトを進めていきたいと考えています。また、今回、地域計画についても各地域振興局、市町村等の意見も踏まえて取りまとめているところです。最後に、計画推進の基本姿勢ということで「学ぶ県組織」と「対話と共創」ということをうたっています。計画を作ってもどうやって実行していくのかという実行の仕方、県組織の動き方というものがやはり重要だと思っています。かえるプロジェクトということで、組織風土の改革についても併せて取り組んでいこうと思っていますけれども、本当に県民の皆さまに役立つ組織になるように心掛けながら、新しい5か年計画の実現を図っていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから、4点目は組織改正について(会見資料2)です。令和5年4月の組織改正ということで本日の部局長会議で決定しました。一つ目は広報・共創推進課の設置です。「対話と共創」ということを掲げているわけですけれども、いろいろな組織や団体と連携協定を結んだりしていますけれども、こうした他の組織との共創関係、あるいは県民の皆さまとの共創関係をより充実したいと考えています。これまでは主として「対話」は広報県民課、それから「共創」については県民協働課ということで部局も課も分かれていましたけれども、この「対話と共創」を一体化していこうということで今回、企画振興部に広報・共創推進課として設けて、対話と共創の両面を一体的に行うというものです。もとより対話と共創については、特定の部局だけが行えばいいというものではありませんので、各部局全体で対話と共創を意識していきたいと思いますが、全体的な方向性の取りまとめであったり、具体的な対応については、広報・共創推進課において事務を補ってもらいたいと思っています。それから、交通政策局の設置は、私の公約にも掲げていたわけですけれども、交通の分野は非常に全国的にも注目されてきていますし、長野県においても公共交通をどう維持するのか、あるいは免許返納される高齢の方が増えて、また高校の再編等で子どもたちの通学の足をどうするのかということが重要な課題になっている中で、交通政策については相当力を入れて取り組んでいかなければいけないと考えています。そうした観点で、交通関連政策を総合的に担う交通政策局を設置します。事業者の皆さまとも十分に意思疎通を図りながら、官民の役割分担の在り方も含めて今後の交通の在り方をしっかり考えていきたいと思います。それから、県民の学び支援課の設置です。「学びの県づくり」ということをずっと言ってきていますけれども、県民の皆さまと対話していると、多くの皆さまが本当に教育への改革にかなり強い問題意識をお持ちになられていることを感じています。そうした県民の皆さまの思いをしっかり受け止めて学びの在り方を変えていかなければいけないと思います。今回、私学振興課と高等教育振興課を統合し、かつ、企画振興部からも学びに関する業務を一部移管して県民の学び支援課を設置していきたいと考えています。県民の皆さまとの共創で、ぜひ子ども本位の学びの県づくりを進めていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから、5点目ですけれども、長野県結婚・出産・子育て応援サイト「チアフルながの」の開設について(会見資料3)です。女性・若者に選ばれる県づくりを進めていく上で、結婚・出産・子育て支援が極めて重要です。今まで、県単位で一元的に発信する方法がなかったので、今回、結婚・出産・子育て全般についての情報発信を行うためのポータルサイトを構築しました。若者そして子育て世帯の希望実現をしっかり応援していきたいと考えています。県からもこのサイトのPRをもっと積極的にしていかなければいけないと思います。また、ぜひ多くの皆さま、いろいろな団体や市町村の皆さまにもこのサイトを使ってイベント等を情報発信していただければありがたいと思っています。多くの皆さまが子育ての喜びを共有する、若い世代が希望を持てる社会をつくることを支援するサイトにしていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
最後ですが、森林フォーラムの開催(会見資料4)です。2月15日にリアルとオンラインの併用で令和4年度森林フォーラムを開催します。これからは間伐から主伐に転換していきたいと考えていますが、まだまだ県内では必ずしも十分進んでいない状況です。いろいろな課題もあると認識しています。今回のフォーラムでは、先進的に主伐に取り組まれている地域の先進事例等も共有しながら主伐・再造林への機運醸成を図っていきたいと考えています。また、当日は主伐・再造林に関する取り組み事例のみならず、地域からのご提案についての紹介発表も頂きたいと考えています。加えて、主伐・再造林推進ガイドラインを今、策定しているところですけれども、これについても県の考え方をご説明して意見交換していきたいと考えています。昨日も高山村で森林・林業をテーマとした県民対話集会を行いましたが、もちろん森林・林業関係者の皆さまにはこうした問題意識を共有していただきたいと思いますが、森林づくり県民税も徴収させていただいています。また、森林は広く公益的な機能を担っています。ぜひ幅広い県民の皆さまに長野県の森林・林業への取り組みにも関心を持っていただきたいと思います。ぜひ多くの皆さまにご参加いただければと思っています。
長野県知事 阿部守一
既に皆さんにお伝えしているかと思いますけれども、クラウドファンディングによる「ながのけん医療・介護従事者応援プロジェクト」についてです。まず、新型コロナ対応で医療従事者、介護従事者の皆さまに第一線で大変ご尽力いただいておりますことを心から感謝を申し上げたいと思います。コロナを取り巻く環境も、5類への引き下げが視野に入ってくる、だいぶ変わりつつあるわけですけれども、ただ、今でも医療・介護従事者の皆さまが日々、新型コロナに細心の注意を払いながら、また、コロナに感染された方へのサポートをしっかり行いながら、私たちの暮らしを支えていただいていると考えています。非常に負担が大きくかかっています。そういった状況の中でぜひ広く県民の皆さまにご協力いただいて、こうした医療従事者、介護従事者を応援していきたいと思います。特にメンタル面でのサポートが必要だというご意見を関係者の方々から頂いていますので、そういった方面で活用させていただきたいと考えています。ぜひ医療・介護従事者の皆さまを応援するという観点での県民の皆さまの温かなご支援をお願いしたいと思います。私からは以上です。よろしくお願いします。
市民タイムス 萩原真一 氏
予算の関係で2点ほど伺います。まず、全体の話で、自主財源がやはり伸びが見込めない、確保が厳しくなっていく中で、社会保障費の増大が止めようがなくなってきていて、その中で新たにスタートする新5か年計画の始動の年でもあると、やらなければいけないこと、やりたいことも多いかと思うのですけれども、そのへんのやりくりを振り返って、やりくりの苦労の部分と、あと改めて新年度当初予算への思い、予算に込めた思いをお願いします。
長野県知事 阿部守一
できるだけめりはりのある予算ということで、片方で予算を抑制した部分もありますが、その一方で新しい5か年計画のスタートの年でもあるので、これから県として力を入れていくべき分野については重点的に予算配分しました。どうしても県の予算は国の予算とか、国の地方財政対策に大きく影響を受ける部分があるわけですが、先ほど申し上げたように国においても臨時財政対策債を減らす方向で頑張っているので、大変ありがたい方向性だと思います。それによって、県債残高も何とか今後縮小させていくことができるようになりつつあると思っています。ただ、金利の状況等もこれから注視していかなければいけない状況だと思いますので、引き続き財政の健全性を維持できるようにしながら、かつ、必要な予算付けが行えるようにしていきたいと思っています。今回の予算についての私の思いとしては、新しい総合計画のスタートの年にふさわしいものにしていきたいということと、それから、時代が大きく変わろうとしていますので、できるだけ今までの前例にとらわれないで予算配分したいということで考えました。例えば先ほども申し上げたように、道路の維持補修費についても、ぐんと増額しましたし、また、なかなか塾代を応援するという取り組みはあまりないと思いますけれども、生活保護のご家庭の子どもたちが何とか学びの意欲を失わずにいてもらいたいということで塾代の支援といったようなことも入れています。まだまだやらなければいけないことはたくさんありますが、引き続き県民の皆さまの声もしっかり伺いながら、今の厳しい状況に置かれている皆さまの思いに寄り添いながら、加えて、未来を見据えた取り組みを進めていきたいと、そういう思いで予算編成をしました。
市民タイムス 萩原真一 氏
もう1点、今度、個別の話になるのですけれども、松本空港の先ほどお話でチャーター便再開、入国審査用施設を新たに今度作るということですが、空港と絡めたインバウンドへの期待というか、観光振興への期待、そのへんをお願いします。
長野県知事 阿部守一
コロナで航空事業がもうほとんどなくなったところからまただいぶ全国的に復活してきています。沖縄県の話もしましたけれども、国内チャーター、それから国際チャーターの双方ともしっかり増えるように取り組んでいきたいと思っていますし、世界的にはその機運がだいぶ高まってきていると思いますので、チャンスだと思います。そうした世の中の流れの潮目を読み間違えないようにしながら松本空港に多くの皆さまにお越しいただけるように、海外にもしっかり働きかけていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 峯田知幸 氏
先ほどの新年度予算案の関係なのですけれども、今朝の部局長会議で知事は、第一歩をしるす予算になるというふうにおっしゃいました。先ほどもめりはりのある予算を作るとおっしゃった中で今回予算案の規模で見ると過去2番目に大きな規模に膨らんでいます。改めてこの規模が過去2番目に膨らんだという点について知事の受け止めを聞かせてください。
長野県知事 阿部守一
予算の規模はコロナ対策等でだいぶ膨らんできたところが、まだ制度融資等で継続しているというのが、かなりウエートを占めています。予算総額はあまり気にしないというと少し語弊があるかもしれないですけれども、通常ベースの予算で考えると約8600億ですから、コロナ前の水準とほぼ近いレベルだと思っています。コロナの臨時交付金であったり、いろいろな財源をやりくりしながらこれまでも財政運営してきていますので、見かけ上の規模だけにとらわれずに実質的に有効な予算になるように取り組んできています。
日本放送協会(NHK) 峯田知幸 氏
もう一点だけ、先ほどの財源の不足の関係なのですけれども、今回、中期財政試算などを見てみると、財源の不足が今回で見ても113億あって、今後基金も残高の積み立てというものが令和9年度だと20億円程度になってくると、なかなか例えば基金に関してもコロナ禍で緊急的なものがもしまた同じようなことがあった場合に必要な予算でもあると思うのですけれども、この辺りは改めて、厳しい行財政運営が強いられる中でどういうふうに取り組んでいくかを教えてください。
長野県知事 阿部守一
先ほども選択と集中と申し上げましたけれども、本当に重要度が高いものに特化していかなければ有効な政策もなかなか取り入れられませんし、また、今の段階では先ほど申し上げたように、実質公債費比率も健全な水準を維持できる見通しですけれども、これから金利の一定程度の上昇も見込まれてくる中で持続可能な財政運営をしていくことがしっかりめりはりをつけないと難しくなってくると思います。前例にとらわれずに、もう必要がないものはやめると、反対される場合もあるかもしれないですけれども、全体としての最適性をやはり追求していかなければいけないと思いますし、乱暴にやるということよりはむしろ丁寧に県民の皆さまとも財政状況についても共有させていただきながら、対話しながら、めりはりのある予算編成をこれからも心掛けていきたいと思います。
朝日新聞 遠藤和希 氏
今回、5か年計画で八つのプロジェクトについて、AIで議論を進めたというような話がありまして、今回初めてAIを活用した総合計画ということになると思うのですが、その出来上がった今の所感などありましたらお聞かせいただきたいと思います。AIを使って何か難しい部分があったであるとか、AIがすごく今回の総合計画で大きな役割を果たしたとか、そういった評価を頂ければと。
長野県知事 阿部守一
まず、AIシミュレーションで見ると、これからの未来に向けて大きく二つ分岐点があったわけで、一つは最初の分岐点における影響度が高い分野としては、「若者」、それから「環境」、「公共交通」ということがAIシミュレーションから導き出されたわけです。今回いずれも新時代創造プロジェクトの中にしっかり位置付けましたし、単にAIが分岐点として示しているということだけではなくて、私の問題意識とも重なっているということで、新時代創造プロジェクトとして取り上げて大きな政策として練り上げていきたいと思っています。総合計画全体については、先ほど申し上げたように、これまでも多くの皆さまのご意見を頂く中でここまで組み立ててくることができました。関係していただいた皆さまには本当にありがたいと思っていますし、まだ県議会のご議決を頂かなければいけませんので、しっかり県議会の皆さまにご理解いただいてご議決いただけるように十分説明していきたいと思います。加えて、計画を作文することが重要なのではなくて実行することが重要ですので、県民の皆さまにも分かりやすく方向性をお示ししながら、県民の皆さまと共にしっかり実行していきたいと思います。
朝日新聞 遠藤和希 氏
その計画について、2050年までの目標と掲げられてその中で5年の目標についても、社会増減が2023年から2027年に2700人ですとか、出生数が1万2514人から1万3400人とか結構高めの目標を設定されてるのではないかと思っているのですけれども、そのあたりの目標感についてどのように考えておられるかというのを伺いたいと思います。
長野県知事 阿部守一
目標については、どちらかというと各部と議論して私は引っ張り上げる方向で意見を言ったので、事務方が想定するよりも高めになってるところが多いかもしれないと思っています。ただ、サブタイトルにも書いたように大変革をしなければ、もう社会の先細り感が非常に強いと思っています。ゼロカーボンの実現も待ったなしだと思っていますし、それから人口減少をどう食い止めるかということもかなり大胆なことも含めてやっていかないと、もうこのまま惰性で政策を進めているとなかなか世の中のマインドも変わっていかないと思います。まだ新時代創造プロジェクトはこんなことを考えますということを記載しているにとどまっていますけれども、しっかり踏み込んだ方向性を出して県民の皆さまに問い掛けながら、具体化していきたいと思います。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
今回の予算編成は、昨年知事が4期目の当選を果たされてその公約がほぼほぼ反映された総合計画と、それから昨年秋以降順次始めていらっしゃいます、先ほど言及も多々あった県民対話集会での知事と県民との対話の中から拾ってこられたヒントとか、二つのチャンネルというか、そういう形でかなりこれまでの予算編成の中でも知事の意向と言いますか、知事が思い描くものというのはかなり落とし込まれてるのかなというような印象を持つのですけれども、もしその認識は外れていないとすれば、そのことのメリットデメリットと言いますか、この出来上がった予算におけるメリットデメリットみたいな部分があればお聞かせいただきたいのですが。例年の編成と比べて知事の関与度と言いますか、もし、いつも以上にリーダーシップが強かったとすればそのことのメリットデメリットと言いますか。
長野県知事 阿部守一
私は選挙で選んでいただいている立場なので、もちろん私の考え方も相当入っています。ただ、今回の計画は、私がグリップするところとグリップしないところとかなり明確に分けたつもりでして、先ほど申し上げた例えば基本目標だとか新時代創造プロジェクトだとか、こうしたところはほぼ私の考え方でやっていこうということで位置付けて、私の考えとほぼニアリーイコールで計画の中にも位置付けていますが、ただ、相当いろいろな分野の政策が書かれていますし、地域計画もありますが、これは逆に私の考え方はあまり貫徹しすぎると、実際に各部がやろうとしていることとか、現場でやろうと思っていることを阻害しかねないので、そうした部分はほとんど原案を尊重しています。ですから、私の公約を踏まえて策定しているということはもちろんありますけれども、その一方で、細かいところまで私の考え方が入っているというわけでもないという、ハイブリットです。私がかなり「てにをは」まで直している部分もあります。根幹的な部分は私の考え方を貫徹しますが、施策の総合的展開のところのような表現は、各部の考え方を尊重していますので、私との距離感ということで言えば、非常に近い部分、大筋のところは私の意思をかなり反映した計画になっていますが、細部のところは各部や現場に任せているというのが私の感覚です。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
もう1点、今おっしゃられたそういう知事の関与の在り方ということと、あと、先ほどおっしゃられた一般財源のどうしても選択と集中という中で、新しいことをやろうとすることと各部局からこれまで継続的なものも一方で重要だというリクエストもあったかと思いますけれど、そのへんで、やはり5か年の初年度なので今年は少し我慢してくれたとか、そういっためりはり、そういうバランスと言いますか取り方もあったのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
質問されている意味がよく分かっていないところありますけれど、多分、今回の予算は総合計画の策定と並行して行っていますので、必ずしも総合計画の考え方を100パーセント全て反映しているというものではないと思っています。先ほど言っていただきました、はじめの一歩的な部分も実はあって、例えば女性・若者から選ばれる県づくり、子育てに伴う経済的負担の軽減のようなことは総合計画の中では非常に重要な位置付けになっていますけれども、ただ、今回の予算の中では、先ほど申し上げたように、例えば生活保護家庭における塾代であったり、あるいは私立保育園の0歳児の(保育士)加配の支援であったり、かなり限定的な具体化にとどまっていますので、これから総合計画に記載したものについては、さらに本格的に検討して具体化していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
ちょうど今、知事が言及されたのですけれども、私立保育園の加配の支援であったりとか、あとは塾代の支援であるとか、まだかなり限定的だというふうにおっしゃったものの、経常的にかけていく経費になるので結構(予算を)付けるのも踏ん切りがいたのではないかなとは思うのですよね、財政的なことを考えますと。そういった意味で今回、子育てとか若者の支援というところへの種まきというものの、やはり結構思い入れが強かったのではないかなという感じの印象を受けているのですけれども、今回スタートの年ですけれども、どういった思いで(予算)編成に挑んだという感じですかね。
長野県知事 阿部守一
やはりご指摘あったように、振り返ると子ども・若者のところはかなりこだわって予算編成した形には結果的になっていると思います。今もお話あったように、今までのやり方とか行政はここまでだよねというような従来の発想だとなかなか乗り越えづらいところが正直言ってあると思いますけれども、世の中変わってきて、やはり本当に子ども若者への応援を強めないと、特に、対話集会をずっとやって本当に痛切に感じているのは、県民の皆さまは教育を本当に何とかしてくれと、子育てはみんなで応援していかなかければいけないという思いをかなり多くの皆さまが共有しているので、あまり従来の発想には私自身とらわれないようにしながら県民の皆さまの声をどう具体化するかという観点で取り組ませていただいた第一歩的な予算だと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
細かい話なのですが、保育園の加算のところは、去年の12月にあった長野市の私立保育協会と対話をした時が、タウンミーティングの時がきっかけという感じですか。
長野県知事 阿部守一
何が具体的なきっかけだったかというのは私も正確には認識していないのですけれども、かなり従前から子育てに対する負担の軽減というのは課題だと思っていました。子育て関係はいくつか局面があって、一つは保育で言えば、保育士の処遇改善でいくのか、それから保育士の配置の充実でいくのか、保育料の軽減のような負担軽減でいくのかと、3方面あるのですけれども、今回はいろいろと保育関係の皆さまと話をしてると今の国が決めている配置基準だけでは十分ではないというお話が非常に強かったので、まずはそこのところを少しでも改善しようと一歩目をしるしたというところです。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
もう1点子育てのことで、知事は公約や選挙中からも子育ての支援のための新たな税の創設も含めた財源の議論をすべきだと、国も同じく財源の議論を進めている、進んでいるとは思うのですけれども、改めて知事として財源を確保していくということ、あくまでこれからさらに本格的にやっていかなければいけないという認識を示した中で膨らんでいく部分があると思うのですね。そういったことも踏まえて財源について、税とかというところについて、今どういうお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は何でもかんでも税金を上げるとか税金を取ろうという発想には必ずしも立っていません。ただ、先ほどからからずっと申し上げているのは、本当に世の中を変えないとまずいと。今までの延長線上で政策を進めているだけでは県民の皆さまの期待にも応えられないし、明るい未来を築き上げることが難しいという危機感は相当持っています。そういう中で、政策の在り方もこれまでのこじんまりとした枠にはまらずに大胆な発想を県庁全体でしていかなければいけないと思っています。財源がなければどうやって確保するのかということももちろんしっかり考えなければいけないですし、単に税だけではなくてどこから捻出するかということも含めて考えなければいけないですし、それから部局長会議でも言いましたけれども、単に予算を右から左に流すだけではなくて、いろいろな規制とか誘導とか、こうしたこともこれまで以上に地方行政としても、単に国の言っていることをはいはいと受け止めるだけではなくて、地方行政においてもやはりそういう規制の在り方についても踏み込んで検討していく必要があるだろうと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
最後1点だけ、県民参加型予算について、四つの事業の事業内容と額というのも一応定まりました。こういった予定する事業を見た中で、知事としてはどのように今回、手応えというのを感じていますか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように試行なので、しっかりプロセスとか検証して本格実施につなげていきたいと思いますが、まずは多くの皆さまに提案していただいたということが大変ありがたいことだと思っています。また、県政モニターの皆さまがお忙しい中協力していただいて、選定プロセスに関わっていただけたということも、限定された形になりますけれども、県民参加の一歩前進と思っています。今後さらに発展させていくにはどういう工夫が必要かということを今回のことも振り返りながら検討していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
事業内容については今のところどうでしょうか、知事としては。
長野県知事 阿部守一
事業内容は県民の皆さまが評価していただいた結果ですので尊重していきたいと思いますけれども、テーマが農業人材の話であったり諏訪湖の保全であったり、あるいは南信州のプロモーションであったりということで、地域振興局にある程度具体的なテーマ設定をしてもらったので、それに即した具体性のある提案をたくさんいただけたものと思っています。
読売新聞 三浦正基 氏
予算のことではなくて恐縮なのですが、県内で最近、バックカントリーの事故が増えていることに関連して、事故が県内で多発していることへの受け止めと、それから県として何か対策をされる、乗り出すような考えがあるかどうか教えてください。
長野県知事 阿部守一
まず、バックカントリースキーの事故で亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。長野県としては、世界から多くの皆さま、お客さまをお迎えしている立場ですので、安全面の対応というのも各地域、スキー場、市町村の皆さまとも連携しながら考えていかなければいけないと思います。長野県は登山安全条例という条例を持っています。一定の山に入る時は登山計画書の提出を義務付けている条例ですけれども、夏山だけではなくて冬山も対応するわけですが、今回のバックカントリースキーで山に入られる方が増加している中で、今後、県としてどう対応するかということは、今までの条例の運用も含めて考えていく必要があるのではないかと思っています。また、今、デジタル化も進んでいる中で、登山計画書もできるだけリアルタイムで捕捉できるようにするためには、できるだけ電子データで提出してもらう、今でもそういう形態になっていますけれども、迅速な捜索等につなげるようにするにはどうすればいいのかとか、そうしたことも含めて、バックカントリースキーの問題に限らずですけれども、広く考えていく必要も出てきたのではないかと思っています。
読売新聞 三浦正基 氏
重ねてですが、条例の運用という話がありましたけれども、もし必要があれば改正に向けた具体的な動きもお考えだということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
もちろん、必要があればいつでも改正します。実際現場で対応されている皆さまの考え方とか思いというのをまずはしっかりお伺いをして対応していきたいと思います。
テレビ信州(TSB) 佐々木渉 氏
性的マイノリティーの人たちや同性婚の在り方の発言を巡って、先日、岸田総理大臣が荒井秘書官を更迭しました。今回のしあわせ信州創造プランですけれども、年齢や性別などに関わらず、公正な社会をつくるとありますが、今回のこの発言に対する知事の受け止めや考えというのを聞かせていただきたいと思います。あと、県では来年度、早い段階でパートナーシップ制度をスタートする方針ですけれども、そのスケジュール感と、今後どのような長野県にしていきたいという方針を改めて教えていただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
まず、長野県として今回の総合計画の中でも政策構築・推進に当たっての共通視点の中で、「人権の尊重や公正さ、多様性・包摂性を追求し、誰一人取り残さない」ということを掲げています。いろいろな価値観の皆さまがいらっしゃいますけれども、多様性をお互いに尊重しあう社会でなければ、これからの発展はないと私は思っています。今、お話のあったパートナーシップ制度についても今までだいぶ準備をしてきていますので、できるだけ早くパブリックコメントを行って具体化していきたいと思っています。
テレビ信州(TSB) 佐々木渉 氏
総理秘書官の発言に対してはどのようにお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
性的マイノリティーの皆さまからすると本当にショックを受けるような発言だったのではないかと思います。性的マイノリティーの皆さまも暮らしやすい、すべての人が生きやすい社会でなければいけないと私は思いますけれど、先ほども障がい者団体の皆さまともお話しましたけれども、やはり何と言うかいろいろな意味で人を差別したくなってしまう思いというのが少しずつ皆さまの心の中に場合によってはあるのではないかと思いますけれども、なぜそんなことになってしまうのかということをもっと突き詰めて考えて、本当の意味で多様性が尊重される社会にしていくことが重要だと思いますし、私の所管外になってしまうかもしれませんけれど、子どもたちの教育の在り方も含めて考えていかなければいけないのではないかと思います。
信濃毎日新聞 森優斗 氏
先ほど冒頭、発言ありましたが、先日の沖縄訪問についてお伺いします。現地では玉城知事との懇談をはじめ沖縄の経済観光団体の方との懇談の場が複数回あったかと思いますが、沖縄訪問全体を通して今回の成果であったりとか手応えについてお感じになることありましたらお願いいたします。
長野県知事 阿部守一
沖縄での取材、ありがとうございました。まず、私は、沖縄の経済界の皆さま、あるいは県議会の皆さまも含めて非常に長野県との交流を前向きに受け止めていただいているということを感じています。北前船寄港地フォーラムの時もいろいろな皆さまとお話をさせていただきましたけれども、かなり長野県と沖縄県は継続的にいろいろな交流をしていますので、だいぶ顔なじみというか親しい関係性が作れてきたと思っていますので、そういう関係性を一部の人たちだけではなくて子どもたち、若者たち含めてもっともっと広げていきたいと思っています。実際、平和について大学生同士が語り合ったり、あるいは子どもたちが相互に交流したりということを進めていますので、多くの皆さまがそうした交流の拡大を前向きに受け止めていただいているというのはすごく感じてきました。それから、恩納村にも行ってきましたけれども、村長それから観光関係者の皆さまと懇談させていただきました。物産が互いに全然違うということもあり、そこでも話が出ていましたけれども、やはり海外から沖縄にいらっしゃる方たちは、当たり前のことですけれども、沖縄は日本だと、日本のものを求めている方もいらっしゃるということで、例えば日本酒をはじめ沖縄にはないものを提供したいというお話もありました。先ほど来申し上げている、長野県と沖縄県は違った強みを持っている県同士なので、例えば沖縄県で長野県の日本酒を提供してもらってその代わりに長野県では沖縄の泡盛を提供するとか、そういうWin-Winの関係を作ることができるということを今回の訪問でも実感して帰ってきたところです。良い関係が構築されつつありますので、さらに強固なものにしていきたいと思います。
信濃毎日新聞 森優斗 氏
玉城知事との懇談で阿部知事の方から連携協定を結ぼうという形で提案されて、玉城知事の方でも前向きなご回答、発言がありました。年度内に結ぶということでこれからより一層、関係を強固にしていこうということかと思いますけれど、連携協定の締結を機に知事が思い描く両県の今後の関係性、将来に向けた未来志向の部分でいうと、理想はどういった形の関係を築いていきたいというふうにお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
既に関係性の構築を始めていますのでさらに発展させていきたいと思います。一つはやはり観光交流、物産交流です。沖縄の皆さまからもご提案がありましたけれども、例えば海外からお越しになった方にとっては沖縄と長野県が航空便で結ばれれば、日本国内の移動で全然違う風土を体験できるということになりますので、観光面での連携ももっと深めていきたいと思いますし、その前提としては松本空港を利用したチャーター便、その先の定期便を視野に入れて取り組んでいきたいと思っています。加えて、物産はお互いの物産を活用しようということのみならず、アジアに開かれている沖縄を活用させていただいて、香港であったり台湾であったり、そうしたところに対するアピールということも行っていきたいと思いますし、子どもたちの交流、平和を大切にする県同士の交流であったり、あるいは環境を大切にする県同士の交流であったり、いろいろな面での交流を深めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井口賢太 氏
予算案の個別の話になりますけれども、長野県史で記載のない現代史部分の編さん検討会の設置について何点か伺います。本年度、県教委内部の検討チームで他県の編さん事例だとか情報収集されて仮定の人員、予算など検討結果について知事が報告を受けて判断されたと聞いています。刊行の意思を固めたと受け取っていますけれども、決断に至った理由を教えてください。
長野県知事 阿部守一
私としては長野県というものをしっかりと次の世代に引き継いでいかなければいけないと思います。時代が経てば経つほど、いろいろな資料の散逸であったり、あるいはリアルに歴史を体験された方が少なくなってしまうという中で、歴史的な資料を保存・記録していくということはまずしっかり行っていかなければいけないと思います。加えて、長野県は1876年に成立してからもうすぐ150年を迎えるわけですけれども、150年を迎えるに当たってやはりしっかりとした長野県史を編さんしていくということが重要だと感じています。非常に人手とコストが掛かる事業ですけれども、関係の皆さまからも強く必要性の指摘を頂いていますし、私自身も今、知事として仕事をしていても、やはり長野県らしさは何だろうか、長野県の強みは何だろう、長野県の個性が何なのかと常に考えて仕事しています。 そうしたものを今までの歴史としてしっかり残していくということが、(県史の編さんは)過去に向けての作業ですけれども、実は長野県の未来に向けての重要な作業だと思いますので、具体的な検討をしっかり進めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井口賢太 氏
今、少しお話にも出ましたけれども、長野県史と言っても、多くの県民の皆さんに関心を寄せてもらうことがポイントだと思っています。改めて、県民にとっての必要性だとか、どのような県史が望ましいとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
もちろん、専門的な観点でしっかりとしたものを編さんしていくということが重要だと思いますが、それと同時に、ご指摘があったように、例えば子どもたちの教育にどうつなげられるか、あるいは一般の皆さまに長野県の歴史をどう分かりやすく伝えていくかということもやはり念頭に置いていかないと、プロフェッショナルによるプロフェッショナルのためだけの県史編さんにとどまってしまうと、多くの皆さまの協力、理解はなかなか得づらいのかと思いますので、少しそうしたことも工夫していきたいと思います。
信濃毎日新聞 井口賢太 氏
知事もおっしゃる通りに、編さんに当たっては担い手の確保だとか資料の散逸、証言が得にくくなっていることなど懸念されています。知事の課題認識と編さんの進め方、規模感だったり期間だったりそのへんのお考えがあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
しっかりとした準備をしていかなければいけないので、編さんの委員会を作って、まずどういうものをどういう作業を行っていかなければいけないのかと、どういう形の県史を作るのかということから決めていかなければいけないと思います。まず、大枠をしっかりと決めて具体的な計画を作って、それを踏まえて具体的な編さん、執筆・編集に当たっていく形になりますので、かなり期間を要する作業になっていきます。かなり力を入れていかないと、予算的にも人員的にも充実させないと中途半端な形になってしまいかねないので、私は、お金を掛けるのであれば中途半端なものよりはしっかりしたものを作った方がいいと思っています。教育委員会とよく相談をしながら、今後の具体化に向けて取り組んでいきたいと思います。
朝日新聞 高億翔 氏
先ほどご質問にもあったバックカントリーのことなのですけれども、まず現場の思いをお伺いしたいというふうにおっしゃられていて、大体いつ頃をめどにという考えですか。
長野県知事 阿部守一
スキー場関係者の皆さま、あるいは市町村長の皆さまとか、山岳遭難防止対策協会の皆さまとは日ごろからいろいろ意思疎通させていただいているので、そういう中でもご意見を聞かせていただきたいと思いますが、しっかりとした形で皆さまに集まってもらってやるとなると、今、一番忙しいので、ある程度スキーシーズンが一段落するところでないとなかなか多くの皆さまの声を集約してというのは難しい部分があるかと思います。ただ、重要な課題だと思いますので、できるだけ早く取り組めるようにしていきたいです。
朝日新聞 高億翔 氏
最後に、県外では過料の規定があったりする県もある、登山届の未提出者に関しては過料が存在したりだとか、長野に関してはそういったものがないですけれども、現状の条例の問題点だとか、知事がお考えになっている欠点みたいなもの、ここは見直すところなのではないかなというところがあればお伺いしたいです。
長野県知事 阿部守一
登山届の提出を義務化していますけれど罰則は作ってないと、いろいろな考え方があると思いますけれども、条例を作る時に関係の皆さまのご意見を伺ったところ、やはり山は本来自由であるべきだと、このルールあのルールとがんじがらめに縛られることに対する抵抗感がある人も多いと思っていますし、自然と向き合って暮らしていく上では、そうしたご意見は私はもっともなことではないかと。要は、あるいは自分でリスクを取るところがなければ、逆に自然を楽しむこともできづらいというところがあるので、どの程度の規制をするのかしないのかというのはかなり微妙な問題だと私は思っています。特に山の関係は。ただ、今、登山安全条例で一定のルールができてきているわけですが、そもそも登山安全条例を作るきっかけは御嶽山の噴火災害で、御嶽山噴火災害の時は、当初、何人が山に入ってるか分からなかったので、誰が山に入ったのか誰を探せばいいのかということすら分からなかったということもあり、やはり山に入る時には登山計画書を提出していただくということが、災害時、遭難時の初動においても非常に重要だということで、条例を作りましたけれど、今、だんだんオンライン化が進むようになって、そうしたアクションにつなげるための登山届の提出の在り方であったり、あるいは指定登山道を定めてそこに入る時は登山計画書を出してくださいと義務化していますけれども、例えばバックカントリースキーのようなものを想定した時には、登山道のように必ずしも決められたルートがあるわけではないので、今の規定の仕方が本当に適切なのかどうかということとか、深く検討してないのですけれど、私が思いつく論点としてもいくつかあると思います。先ほど申し上げたように、バックカントリースキーの問題だけでなく、登山安全条例を作ってだいぶもう時間も経過して世の中の状況も変わってきていることも含めて、在り方については見直していく必要があるのかと思っています。
長野朝日放送(abn) 村岡晴視 氏
今の登山安全条例のことに関してなのですが、本日の部局長会議でも信州 火山防災の日の制定について議題があったかと思うのですが、そのことについても知事から決意であったりとか、所感を頂ければと思います。
長野県知事 阿部守一
信州 火山防災の日については、御嶽山の噴火災害が起きた9月27日に定めていきたいと思っています。本当に多くの犠牲者を出すことになってしまった御嶽山の噴火災害を決して忘れない、そして教訓を後世に伝えていく、そうした思いです。また、御嶽山に限らず、本県は全国でも有数の火山県ですので、御嶽山周辺のみならず他の火山における火山対策であったり、登山される方あるいは周辺にお住まいの方の防災意識の向上であったり、こうしたものを進めていく契機にしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
総合5か年計画の関係でお伺いします。知事もきょうの会見などで説明なさっていたように大変革をしていかなければいけないという問題意識をかなり強く持ってらっしゃったのですが、そのためにはその知事の問題意識であるとか考え方というのを県民と共有するというのが一番大事なのかなと思います。ただ、大事だというのと同時に一番難しいのかなとも感じてまして、知事は多分その解決の手段として共創プラットフォームであるとか対話集会だとか、いろいろな手法で意見を聞きつつ、知事自身の考え方を伝えようというふうにやってらっしゃるのかなと思うのですが、そういった知事の問題意識を県民と共有していくということについて、どのように手応えと到達点というか、どのぐらいまでできているかとか、もしくは今後こういうことが難しくなっていくのかとか、さらにこういうことに取り組みたいだとか、そういった部分をどのように考えてらっしゃるかということをお伺いいたします。
長野県知事 阿部守一
県民の皆さまと問題意識を共有して一緒に長野県を良くしていこうということは私の強い願いですし、今、お話いただいたように県民の皆さまとの対話集会はじめ、県民参加型予算であったり、くらしふと信州であったり、いろいろな場面で少しずつ具現化しているところです。ただ、どれぐらいできればいいというのはないと思って、エンドレスな取り組みだと思っていますし、まだまだ入り口だと思っています。住民に身近な市町村と比べて、なかなか県の場合は、対話と言っても、これまで知事をやっていても、多分まだ私と直接会ったことがないという人が大勢いらっしゃいますので、対話と共創ということを私だけがやるというのは無理だと思っています。そういう意味で今、私が率先して出掛けて(県民対話集会を)やっていますけれども、県職員が幅広く、対話と共創という理念を共有してもらって行動していくということが重要だと思いますし、私はある意味全ての部局を所管しているわけですので多分、対話しやすいと思いますけれども、県職員はそれぞれ役割や責任が定まっているので対話しづらいと思います。ただ、職員が対話したり共創したりしてきたことを組織としてどう受け止めて、県民の皆さまに応えていくかということは改めて別途仕組みも考えながら進めていくことが必要ではないかと思います。いずれにしても全職員挙げて、今回の総合計画の中にも対話と共創ということを位置付けましたので、県庁全体がそういう姿勢で取り組んでいけるように私も努力していきたいと思います。
ありがとうございました。
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