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更新日:2023年6月16日
長野県知事 阿部守一
それでは、本日の会見を始めます。まず、本日2月定例会が閉会ということで新年度当初予算、それから新しい総合計画をはじめ重要な議案をご議決いただきました。しっかり県民の皆さまのために予算執行に当たっていきたいと思いますし、これから5年間の県政運営の指針となる総合計画を確定した上で、県民の皆さまと共に「確かな暮らしを守り、信州からゆたかな社会を創る」、この基本目標の達成に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
そうした中で、何点か申し上げたいと思います。まず、長野県と沖縄県との交流連携協定の締結についてです。プレスリリース資料(会見資料1)を沖縄県と連名でお配りしていますけれども、3月15日に長野県と沖縄県との交流連携協定の締結式、そして玉城知事に県庁にお越しいただいて共同での会見を行うこととなりましたのでお知らせします。何度もこの場でもお話をしているように、長野県と沖縄県は異なる強み・特徴を持った地域同士、これまでも子どもたちの交流であったり観光・物産での交流であったり、あるいは環境面での取り組みの協力であったりといろいろなことに連携しながら取り組んできました。こうした交流の取り組みをさらに発展させていきたいということで、先般、私が沖縄県を訪問し、玉城デニー知事に協定締結を申し入れたところ、前向きなご返事を頂き、年度内に締結しようということで事務的な調整を行った結果、今回15日に、玉城知事に長野県にお越しいただいた上で、交流連携協定を締結する運びとなりました。お配りしている資料にありますように、15日の14時半から県庁の特別応接室において、沖縄県の玉城知事、そして交流連携の仲立ち役をしてきていただいている長野・沖縄交流促進機構の井田理事長にもご列席いただき、協定締結式を開催したいと考えております。またその後、15時からこちらの会見場で玉城知事と共同での会見を行いたいと思います。海の沖縄、山の信州ということで、対極の強みを持った県同士が補完・連携し合って未来に向けて力を合わせてさまざまな取り組みを進めていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから、資料をお配りしている「Learn by Creation NAGANO 2023(ラーン・バイ・クリエイション長野2023)」の開催についてです。既にお知らせしていますけれども、近づいてきましたので改めてお伝えします。3月25日の土曜日に「Learn by Creation NAGANO 2023」という学びの県づくりのイベントを開催します。Learn by Creation NAGANO 実行委員会の主催ですが、私は事前収録で参加します。今回は「どうして学ばないといけないの?」をテーマにして、作家で福岡市で学習塾を運営されている鳥羽和久さん、それから長野市で未来工作ゼミを主催していらっしゃる株式会社アソビズム代表の大手智之さん、また、子どもと手作りおもちゃ作りを楽しむ、おもちゃ作家の佐藤蕗さんをゲストに迎えて、学びの意味を考える四つのプログラムをオンラインで開催します。私は鳥羽和久さんとのトークセッションを事前収録しましたが、私自身も非常に考える良い機会になったと思っています。学びの在り方、学びの意義というのはAI時代になり、改めて問い直されてきていると思います。ぜひ多くの皆さまのご視聴を願っているところです。
長野県知事 阿部守一
侍ジャパンで牧選手がきのう、ホームランを打ちました。中野市出身ということで非常に活躍していただいていること、嬉しく思っています。きょうもあしたもあさっても試合が続いているわけですが、牧選手をはじめ侍ジャパンの各選手の活躍を心から期待しているところですし、長野県も国民スポーツ大会を2028年に開催予定ですので、スポーツで元気な長野県づくりに向けてさらに機運を盛り上げていきたいと思っています。私からは以上です。よろしくお願いします。
市民タイムス 萩原真一 氏
3点ほど伺いたいことがあります。まず、沖縄との連携協定なのですけれども、松本空港の活用という面から改めて沖縄との交流拠点の意義、やはり松本・沖縄の定期便化等々も期待されますが、そのへんに及ぼす影響というか加速させるのかとか、そのへんの空港との絡みで意義等をお願いします。
長野県知事 阿部守一
もちろん沖縄県との交流は、幅広い側面で行います。そして相互にWin-Winの関係、双方にとってメリットがある関係構築を目指していきたいと思っています。そういう中で長野県にとっては沖縄とのチャーター便、それから将来的には定期便の就航を目指していきたいと思っておりますので、長野県が松本空港の活性化を進める上でもこうした沖縄県との交流連携というのは非常に追い風になり得るものと受け止めています。
市民タイムス 萩原真一 氏
きょうの内容と少し外れるのですけれども、最近、新型コロナの減少速度が少し鈍っているのかと、下げ止まった感じもあるのかなという感じもするのですけれども、これで13日からマスクは個人の判断になりますが、そうするとやはり感染が再拡大という心配もあるかもしれませんし、弱毒化が進んでいれば再拡大してもいいのかなということもありますが、改めて第8波が、現状収束とは言えないかもしれないけれど、どういう段階にあって、13日以降、どのようになるのか、県としていくのかというのを、そのへんの見解を改めてお願いします。
長野県知事 阿部守一
新型コロナもいろいろな変異株を経る中で、今のオミクロン株は非常に感染力が強い一方で、重症化される方の割合は従来と比べるとだいぶ下がってはきています。ただ、この第8波はどうしてもご高齢の方の感染例が多いということもあって大変残念なことに亡くなられる方も大勢いらっしゃいます。そういう中で今の状況は、今お話しされたように、非常に大きな波は越えてきて、圏域ごとの感染警戒レベルもほとんど小康期という位置付けにまで下がってきています。また、確保病床使用率についても昨晩の段階で、15.3パーセントで重症の方がお一人ということで非常にひっ迫している状況から比べるとだいぶ医療機関への負荷も下がってきている状況です。しかし一方で、まだ感染者数がなくなった、ゼロになっているわけではありませんので、引き続き県としてはしっかり対応していきたいと思っています。ただ、感染拡大のピークはかなりもう越えてきていますし、ワクチンの普及等もあって重症化される方の割合もだいぶ少なくなってきています。13日からはマスクは個人の判断が基本になりますし、また、大型連休明けからは5類(感染症相当)への引き下げと当面のスケジュール感が決まっていますので県としては今、5類(感染症)相当になった後の対応について検討しています。今月中には専門家のご意見も伺った上で、県としての方向性、考え方を整理してお示ししていきたいと思っています。過度に恐れるような状況では今はだいぶなくなってきていますが、一方で、完全に新型コロナがなくなっているわけではありません。やはり重症化リスクがある方等については十分ご留意いただく、あるいは周りの方は気を付けていただくことは継続的に必要だと思っています。
市民タイムス 萩原真一 氏
全く別の話で、きょう、議会が閉会していよいよ議員さんたちが選挙モードに入ると思うのですけれども、統一地方選挙に向けて知事として期待すること等がありましたらお願いします。選挙そのもの、選挙に出られる皆さんに期待すること。
長野県知事 阿部守一
私も選挙で選ばれた立場ではありますけれども、選挙は県民の皆さまに選んでいただく、あるいはこれまで政治家をされてきた、例えば県議会議員をされてきた方々にとって今までの活動を評価いただく形になります。そういう意味では、ぜひこれまでのお取り組みをしっかり県民の皆さまに訴えていただいて、選挙前なので表現は難しいですけれども、私が今回、あいさつ回りさせていただく中では、今回選挙に出られる皆さまとはぜひまた再び県議会でお目にかかって、共に長野県を良くしていくために力を合わせていきたいというお話をしました。新しく立候補される皆さま方にも同じ思いであり、県議会と私の立場は、議決機関と執行機関ということで、担っている役割の部分は違いますけれども、いずれも長野県を良くしていくという思いは共通していると思います。各候補者の皆さまには活躍いただき、選挙戦でご自分の考え、そして長野県の将来に向けたビジョンをしっかり訴えていただければと思っています。
信濃毎日新聞 森優斗 氏
沖縄との連携協定のことで何点かお尋ねしたいのですけれど、まず玉城知事が長野県や県庁を訪問するのは過去にあったのかということと、長野県訪問に関しては玉城知事の希望と意向があったのかという2点についてお願いします。
長野県知事 阿部守一
過去にはないですし、希望があったかというと、前回、私が訪問していますので、今回は沖縄県からお越しいただく形になっていると思っています。もちろん玉城知事もいらっしゃりたくなければいらっしゃらないと思いますので、私としては、長野県との交流に期待していただけている証ではないかと思っていますし、非常に嬉しいことですし、しっかり歓迎させていただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 森優斗 氏
協定についてなのですけれど、今回、観光とか物産振興等、今までやっているものをさらに発展、交流させていくための意味合いがあると思いますけれど、知事として、例えば今までやってなかったけれどこうした項目・分野でさらに交流できればというような具体的な何か考えていらっしゃることはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
玉城知事がいらっしゃった時に共同会見を開きますので、私があまり先走っていろいろなことを話すよりは、玉城知事とそろったところで一緒にお話をしたいと思います。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
統一地方選に関連しまして、少し細かい話ですけれど、(選挙用の)ため書き等を現職新人から知事の方にもし希望があったりした場合のご対応というのはどうなるのか教えてください。
長野県知事 阿部守一
ため書きはこれまでもそうだったと思いますけれど、求められれば、出す方向で検討したいと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
例えば他に、応援演説をしてほしいとか、そういった要望があった場合はいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今のところそうしたご要請はいただいていませんし、これまでもそうした対応はしていませんので、現時点で全く予定はありません。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
話題変わりまして、あす3月11日、それからあさって、長野県の北部地震、3月12日ということで、12年の経過ということでまた大きな節目かと思うのですけれども、栄村方面や東北方面の課題とかの現状、あるいは今後の展望につきまして一言お願いいたします。
長野県知事 阿部守一
栄村の対応については、発災直後から村の皆さまと一緒になって対応してきています。一時は村民のほとんどの方が避難所に避難している、あるいは役場等に避難している状況でしたけれども、災害復興住宅の建設であったり、あるいは道路の復旧であったり、いろいろな取り組みを進めてくる中で、災害からの復旧・復興というフェーズは終わってきていると思っています。ただ、栄村に訪問して、お話を聞くと、災害を契機にやはり人口減少が加速化してしまっているのではないかという認識をお持ちの方々が大勢いらっしゃいます。栄村のみならず、県全体の課題ではありますけれども、やはり大きな災害を経験した地域のこれからの持続可能性をどう担保していくかということは県としても村の皆さまと引き続き力を合わせて取り組んでいきたいと思っています。
それから、東日本大震災は北東北3県を中心として非常に大きな、大きなというには表現的には不足する、甚大な激甚な被害が発生したわけです。私もかつて岩手県庁で勤務していましたので、三陸沿岸各地に非常に高い防波堤というか防潮堤とか津波を防ぐための施設があり、私は当時は、この高い壁を乗り越える波が本当に来るのだろうかと思った時もありました。しかしながら、そうしたものがもう跡形もなくなるほどの強い津波が押し寄せ、そしてまた、原発の事故も発生したわけですので、我々、災害対策・災害対応に当たる立場の人間としては、もう想定外というような発想を持つことなく、ありとあらゆる事象を想定しながら、常日頃から対応できるようにしておかなければいけないと強く感じています。東北の復旧・復興はまだ道半ばのところもありますので、関係県の知事の皆さまとも意見交換しながら、災害に強い国土づくり、県としては長野県づくりをこれからもしっかり進めていきたいと思っていますし、いざ災害という時には、やはり広域的な連携をしっかり取れるようにしていきたいと思います。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
先日、「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」という男女のジェンダーに関する統計調査が上智大の研究チームから発表になりまして、弊社も報道しているところですけれども、長野県が行政では29位、政治分野で20位とか、真ん中辺りか少し下みたいな感じであるのですけれど、中には職員さんの育児休業の取得ですとか、そういった部分でまだ十分ではないのかなというような数値もありましたけれど、この分野で問題意識のある部分ですとか、今後の取り組みについてお考えがあればお願いします。
長野県知事 阿部守一
まずは、評価をしっかりと県も分析しなければいけないと思います。その上で、例えば長野県の審議会の女性比率はずっと上げてきたのですが、県職員の幹部職員の女性比率も着実に比率は上がっていますけれど、なかなか一気に飛び級人事のようなことをやりづらいところもあるので、少しずつ、着実に進めてきている状況です。一方で、今お話があったように男性の育児休業とか、そうした部分はもうかなり本気で取り組まなければ、男性も女性も活躍できる県にはならないと思っています。かえプロ(かえるプロジェクト)と称して長野県の組織風土改革にも取り組み始めています。私がこれが課題だということではなくて、むしろ職員側から問題提起してもらおうと思っていますけれども、そうした中でもしっかり対応していくべきものの一つが男性・女性が共に活躍できる社会、県組織の在り方であったり、あるいは男性も女性も家庭生活や社会生活をしっかり行いながら働けるような環境をつくっていくということになると思います。それからもう一つ、行政だけではなかなか改善できないのが、県民の皆さまとの対話集会でも申し上げましたけれど、例えば、自治会長や町内会長、PTA会長、あるいは企業の社長さんとかは私のところでは全くどうこうしようがないわけですので、長野県全体で女性の活躍であったり男性も女性もその能力を発揮できる、あるいは共に活躍できる、そうした社会づくりに向けた機運を高めていかなければいけないと思っています。率直に言うと、長野県がジェンダー平等の観点で非常に進んでいる県という状況ではないと思っていますので、問題意識と危機意識をしっかり持ちながら取り組んでいきたいと思います。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
来週からのマスクの個人判断で、知事とすれば執務時間帯に外へ出られたり入ったりとあると思うのですけれど、個人的にどんなルールで対応されるお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
例えば、きょうも県庁に来るまでは私はマスクを外してきていますが、13日は、基本的には県庁に入る時からもうマスクしないようにするつもりではあります。あと、身近で人と接するような機会や、いわゆるハイリスクの方と身近で接するような場合には、私もマスクをすることもあろうかと思いますし、あと、多くの人たちからも話が出ていますけれど、私も今、薬を飲んでいるのであまり症状は出ていないですが、花粉症でもあるので、花粉症の症状がひどかったりすれば、コロナとは別の関係でマスクをするということもあるのかと思いますが、基本的には13日以降はマスクを外している機会がほとんどになると考えています。
日本放送協会(NHK) 高田実穂 氏
沖縄との連携協定の関係なのですけれども、私がこれまでの経緯とか十分に理解しきれてない部分もありまして、47都道府県ある中でどうして沖縄県との交流を深めていこうということになっているのか、そのあたりを改めて教えていただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
都道府県同士でこのように交流連携協定を締結すること自体があまり例がないのではないかと思っています。先ほど少し申し上げたように、沖縄県と長野県というのは一つは強みと個性が全く両極だと思っています。豊かな美しい海、そして水資源、海洋資源が豊富で、しかも気候的に温暖な沖縄、それから長野県は非常に標高の高い山岳に囲まれ、そして寒冷な地域ですので、例えば物産であったり景観であったり、あるいは文化であったり、そうしたものが全く違います。今回の県議会でも少し答弁の中にも入れましたけれども、いろいろな価値や新しい文化というのは異質なもの同士が出会うことによって生まれてくると思っています。そういう観点で、沖縄県との交流については、いつ頃から本格的に始めたかというスタートの時期をはっきり私は今ここで申し上げにくいですけれども、先ほど申し上げたように観光面、物産面、子どもの交流、あるいはチャーター便の就航、平和学習、さらには、私も沖縄を訪問し、玉城知事をはじめ、沖縄の観光関係の皆さまであったり、あるいは産業界の皆さまとも親しく意見交換してきています。そういうことを通じて、長野県にとっても、沖縄県にとってもこうした交流を強化していくことがお互いにとってのプラスになるという考え方から、今回の協定締結の話になったところです。
日本放送協会(NHK) 高田実穂 氏
これまでも数年前から沖縄県とは、県議団が来たりとかこの間も子どもさんたちが来られたりとか緊密な関係を取られていたと思うのですけれども、交流連携協定を結ぶことによって、より関係性が強固になる、結び付きがより強くなるという、そういうことを期待しているということでよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
私としてはやはり安定的、継続的な関係性をつくっていきたいと思っています。例えば、県議会の皆さまも議連を作って交流いただいています。沖縄県議会の皆さまにも長野県にお越しいただきましたし、先般、私が沖縄県を訪問する際にも、県議会の皆さまも参加いただいています。知事同士だけの関係性ではなくて、県と県、あるいは民間の皆さまも含めた、より幅広い関係性をしっかり構築していく上ではこうした協定を結んでいくことは非常に意義があると考えています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
新型コロナの5類移行後の医療などの体制ですけれど、先ほども専門家懇談会の意見も聞いてまとめていくというお話なのですけれども、例えば長野県の役割としては保健所が入院調整に関わったりということがだいぶ今まで機能してきたと思うのですけれど、全国的にもそうですが。そういったことがどうなるのかとか公費負担の在り方とか国の方からまだ方針が出ていないですけれども、知事としてはどういったところが論点になるとか、あるいは課題になると考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
いろいろな課題があると思います。一つは、行政として、例えば今までも、皆さまに感染警戒レベルの引き上げだとか医療アラートの発出だとか、そういったことを会見の場でお伝えしてきていますが、5月8日以降は、そうした対応をどうしていくかというのはまずあります。基本的には発生届が出る形にはならなくなって、インフルエンザと同じようにいくつかの医療機関で定点観測して状況を把握する形になるので、そもそも実態の把握の仕方から変わります。そうしたときに、ただ、コロナは2類(感染症相当)から5類(感染症相当)になるということでなくなってはいないので、県民の皆さまにどういう情報提供をするのかしないのか、あるいは注意喚起をしていくのかしていかないのか。こうしたことはまず一つ、テーマとしてあると思います。例えばインフルエンザでも感染者が増えてくれば注意報を出したりしていますので、同じような対応は継続するということもあり得るかとは今の時点では漠然と思っていますけれども、専門家のご意見も聞きながら、どういうことが考えられるか、取り組んでいきたいと思います。それから今まで、例えば外来、入院も診療・検査医療機関であったり、あるいは医療機関の皆さま、入院については先ほどご質問あったように、入院調整を保健所を中心に行っていますけれども、原則そうしたことは医療機関に委ねていく方向性にはなると思います。ただ、例えば医療がひっ迫しているときにも、医療機関に任せておくだけでいいのかどうか。医療機関も基本的には同じだと思いますけれども、県の責任として県民の皆さまの命をしっかり守っていくことが重要です。感染が落ち着いているときは、あまり行政は余計なことはしなくてもいいですけれども、今後、また医療がひっ迫するような状況であったり感染者が急増するような状況になったときに、どういう対応が必要なのか、あるいはまた可能なのか、こうしたことをやはりちゃんと整理しておかなければいけないと思っています。そうしたことを考えると実はいろいろ考えるべきことがあると思っています。大きな枠組みについては国の方で考えて、示してもらえると思いますけれども、長野県の実情にどう合わせるかということは県が医療関係者であったり市町村の皆さまと相談しながら固めていかなければいけませんので、円滑な移行が行えるようにしっかり対応していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
先ほどおっしゃった感染警戒レベルだとか医療アラートについては、5月8日以降は廃止するということもあり得るのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まだ決めていないので多分ということで、今の私の個人的な思いで申し上げると、先ほど申し上げたデータの把握の仕方がそもそも変わってきてしまいますので、全く同じ仕組みを維持するというのは逆になかなか難しいのではないかと思います。ただ、新型コロナがなくなってしまったわけではないので、状況を県民の皆さまと共有をして、例えばこれからマスクの着用もご自身の判断でというのが基本になっていきますので、そうなれば実は今の状況を県民の皆さまとしっかり共有していくということはむしろ重要になってくるのではないかと思いますので、何らかの情報提供の仕方とか、あるいは注意喚起の仕方、注意喚起は今までみたいに、これはしてはいけないあれはしてはいけないということよりは、今はこうした状況ですということを発信していくことは当分は引き続き必要なのではないかと思っています。そういう問題意識の中で、国の考え方とか現場の対応であったりとか、そうしたことを踏まえながら在り方を考えていきたいと思います。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
細かい話で申し訳ないですが、感染警戒レベルでいうと6段階という運用がされてきたりというのがあるのですけれども、そういったものはもう少し簡単にするとかそういった方向になっていくということは少なくとも言えるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
他の県と比べても多分、長野県はかなり精緻な制度設計をこれまでしてきています。ただ、例えば今、感染警戒レベルも圏域ごとのレベルの上げ下げをしていますけれども、定点観測する医療機関がどれぐらいの医療機関を対象にするかということにもよってきますけれども、今までのように全数把握ができたりとか発生届が出ているというような状況ではなくなっていきます。そうすればおのずと、県が把握できる情報量も少なくなるので、それに伴ってどういう情報を提供するのかというのは、今と同じ形を維持するというのは、どういう形が適切かということは別にして、いずれにしても同じ提供の仕方は難しくなるのではないかと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
関連でもう一つ、先ほどお願いと言いますか、いろいろな県民向けの要請とか呼び掛けをしてこられましたけれども、ここ最近詰めて取材をしてないのですけれども、国の方の特措法に基づいた要請だったり、一部県のコロナ条例に基づく要請だったりというお願い、協力の求めとかをされていたというような認識でいるのですけれども、5類移行後は、こういった法令に基づくお願いとか要請ということはなくなっていくのでしょうか。あるいは、むしろ県独自の条例に基づく何かが増えていくとかそういったことが考えられるでしょうか。
長野県知事 阿部守一
もう基本的には5類(感染症)相当になってくれば、まず、新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用から外れますし、県の条例の対象からも外れていく形になるので、今までの法律・条例に基づく要請というのは基本的には想定できなくなってくるのではないかと思っています。そういったことも含めてですけれど、かなり整理すべき論点はたくさんあると思います。
読売新聞 村上藍 氏
交通政策の関係なのですけれども、新年度から、交通政策局を設置されまして、県議会とかでも代表質問や一般質問の中で関与の仕方、いわゆる公営企業(のように強く関与する方法などがある中で)、どれくらいまで関与するのかという点について、何か知事がこれからより強めていかなければいけないというか、組織を作ることでそれも検討していかなければいけないみたいな発言があったかなと思うのですけれども、知事としては公営企業というのはなかなか難しいと思いますけれどもそこのレベルまでの強い関心・関与というものも検討し、視野に入れていらっしゃるのか、何かどのあたりまで。
長野県知事 阿部守一
私の県議会答弁が誤解を招いたらまずいですけれど、公営企業にする、しないという感覚は全くないです。民間事業者が行っていただいているのは、民間事業者の経営を基本としつつも、しかし公的にどこまで関与していくのか。関与という言い方が事業者側からすると何か踏み込まれる感じで嫌な感じですけれど、要は、例えばどこまで税金で支援するとか負担していくのかということを考えなければいけないと思っています。公営企業の話を申し上げたのは、私が昔、公営企業の仕事をしていたので、そこからの発想がどうしても強くなってしまうのですけれども、私は横浜市にもいました。横浜市は公営企業で地下鉄事業、バス事業をやっているわけです。その反面、民間の事業者もたくさんあるわけです。そうした中で公営企業として行っている一方、長野県はそもそもほとんど事業者がないような地域もある中で、今は市町村が地域のバス運行を行ったりされています。なぜそうなっているかと考えると地方公営企業の建前、原則は独立採算です。独立採算なのでどうしても地方部の交通事業は独立採算にならないので、公営企業としてはなじまない形になっています。今の制度上はそうなっていますので、そういうことを考えると、だけれど地域にとっては必要なのがやはり移動の足をどう確保するか。今、人口減少でどんどん社会が変化していく中で、これまでの発想にとらわれず、どういう形で行政も加わって地域の移動の足、交通を維持していくかということをもう1回しっかり考えなければいけないと、そういう問題意識で交通政策局を作ろうという話です。公営企業的な視点というのは私はいつも持っていますが、今の公営企業法の独立採算ということを基本に据えるとなかなか地方の交通は成り立たないと、公営企業になじみづらいという話になるので、そういうことも念頭に置きながらも地方の交通をどう維持するかという観点で考えていきたいと思っています。
読売新聞 村上藍 氏
公営企業までにはされないということですけれども、何か公設のバスなどを県だったり自治体とかが持たれて民間に運営してもらうでしたりとか、答弁の中で、赤字をただ埋めるだけでは、というお話もありましたけれども、何か関与の仕方としては、どのようなものが理想と考えられているとか、実際に今後実現できるかは別としまして。
長野県知事 阿部守一
実はかつてはしなの鉄道も上下分離を真剣に検討した時期があり、私は上下分離を検討していた側だったのですけれども、要はインフラ部分は行政が保有してやっていこうと。全国の中でも上下分離で運営している鉄道ももう現実に存在していますので、そういうやり方は方法論としてあり得ると思います。あと今、長野県は県でバス車両を購入して事業者に貸し付けして運行してもらっていますので、バス車両をインフラ部分と見るかどうかという議論はあると思いますけれども同じような考え方ですよね。私は地域の足は確保しなければいけないと思うのと同時に、財政規律の維持というのも片方で必要だと思いますので、赤字になれば何でも補填するというようなことでは全く財政規律が働きませんので、一定の公費負担のルールというのがあった上でそれで成り立つような仕組みを考えていくということが交通の部分では重要だと思っています。まさに公営企業とか、あるいは私も自治省にいた時には空港アクセス鉄道の財政スキームを検討してお蔵入りになってしまった経験があるのですけれども、そういうことをやっていたことから考えると、税金を入れるというからにはやはり一定のルールを持ちながら入れていかないと、もうエンドレスで税金で支えるということだと経営の独立性であったり、あるいはどういう運営をするかというのが非常にどんどん無秩序になりかねないと思いますので、一定のルールを持った上で交通の在り方を考えていきたいと思っています。
読売新聞 村上藍 氏
ルールを交通政策局でもまず検討していく形になる。
長野県知事 阿部守一
極めて難しい話だと思います。私は本来は国が考えるべきだと思いますし、そういうルールに基づいてしっかり制度化をしてもらいたいと思いますが、なかなかそういう状況にまではいっていないので、人がやることを待っているだけではいけないので県としてもそうした検討していきたいと思っています。
ありがとうございました。
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