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更新日:2014年6月24日

水産試験場

ふ化仔魚にアルテミアの利用

シナノユキマス物語コレゴヌス養殖技術開発の記録

ふ化仔魚にアルテミアの利用

薄井 孝彦

 通常のシナノユキマス種苗生産では施肥により動物プランクトンを発生させた池に、ふ化仔魚を放養し、成長に応じて人工飼料に餌付けしていく。しかし、ふ化時期が3月で水温も低いこともあり、プランクトンの発生に安定を欠き、施肥に伴う水質悪化などの問題もある。もし、動物プランクトンの替わりにアルテミア幼生を使えれば、安定生産に寄与できる。そのことを確認するための水槽実験を行った。ふ化仔魚に市販アユ用人工飼料のみを投与した区、市販アユ用人工飼料とアルテミア幼生をふ化後10日間投与した区、市販アユ人工飼料とアルテミア幼生をふ化後20日間投与した区の3区を設け、35日間飼育した。
 驚いたことに、ふ化仔魚は自分の口より大きいアルテミア幼生を元気よく食べ、人工飼料よりも好んで食べた。飼育成績もアルテミアの投与20日間区が成長・生残率で優れた成績を示し、アルテミアの有効性が確認された。この結果は種苗生産の現場に利用され、種苗生産の安定化に役立っている。しかし、最近のアユ種苗生産では人工飼料の進歩にともないアルテミア幼生の投与は必要なくなったともいわれている。シナノユキマスでも同様なことになるのかは今後の課題かもしれない。


 

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