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更新日:2014年6月24日

水産試験場

ニジマス業者にシナノユキマスの飼育を勧める

シナノユキマス物語コレゴヌス養殖技術開発の記録

ニジマス業者にシナノユキマスの飼育を勧める

深津 鎮夫

 明科の本場の池は、上流にニジマスの高密度養魚場があり、とても良好な水質と言える状態ではなく、各種魚病の発生が多かった。ここでユキマスの飼育を試みたが、ビブリオ病、せっそう病の発生はあるものの、ニジマスの各種魚病に感染することもなく、特に稚魚からの飼育の場合、原虫類の寄生症に対しては強かった。要するにニジマス養魚場の下流池でも飼えるということである。
 時に、明科・穂高のニジマス養魚地帯は、ユキマスの飼育に関しては空白であった。ここで使われている湧水は、ユキマス飼育に最も適しており、これらの池を使えば20~30トンの生産は簡単と考えた。また、業者も新しい魚種の導入等、養魚経営の打開を模索していた。3軒のニジマス業者に1年魚を供給すると、ユキマスはニジマス並みに成長し、トン単位で生産された。
 一方、ユキマスの扱い業者を育成するため、先に本場で出荷サイズになったものを別の業者に供給したが、蓄養中の水カビ発生のため2年で消極的になり、円形水槽の設置を勧めたが、結局はやめてしまった。他の業者もスレやすい魚の印象が強く、初めから話に乗らなかった。
 トン単位で生産した養殖業者は、販売サイズになったが売り先がないと言う。ニジマス業界は、生産したニジマスは扱い業者が持っていくことに慣らされており、自分が直接消費者に届ける努力をしない。穂高の山麓保養所群、松本のホテルではユキマスを供給してくれる所を望んでいるのだが。
 平成6年(1994年)7月の湯川濁水災害の折り、親魚用に一括販売したのを機に2業者はやめてしまい、定着したのは1業者のみであった。


 

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