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更新日:2014年6月24日
水産試験場
コレゴヌス養殖技術開発の記録
シナノユキマスという魚
伴野 信夫
池で魚が大きくなってきた。池の中で群れを成して常にぐるぐる回転している。北欧の大きな湖に生息しているのだから、さもありなんと思う。
初めての魚の池移しの時、網に集めた魚が次々に横転し始めた。誰もが鼻上げだと思う。殺してはならないと網から放つ。すると何事もなかったようにスーッと泳ぎたした。再び網に集める。また、同じである。一部を目的の池に移すと、その池で正常に泳いでいる。もう、だまされないぞ。この魚は、狭い所が嫌いである。活魚輸送の時、100kgも入れれば、酸素を十分にふかしていても鼻上げ状態を起こす。
冬になった。池に薄氷が張っている。それでも給餌器の所に集まってきて食べている。魚の見本をホテルに届けるために氷詰めしようとした。氷水に漬けても、いつまでも口をパクパクさせている。数尾を箱にきれいに並べてもメチャクチャになっている。終いには氷冷で静かにすることをあきらめた。
サケ科の魚にしては、鱗が大きい。また、この鱗が取れやすい。網に集めた時、タモですくい上げた時、雪が降るようにキラキラと散っていった。ところが冬になって産卵期を迎えた魚は、一変して強くなった。体表がザラザラするほど、鱗が堅くなってきたのである。採卵の時、ニジマスと同じように搾っても鱗が取れることはなかった。
給餌の時、はじめの頃は人影が見えると逃げていったが、数代もすると野性味が随分となくなった。今や、魚の扱いにも慣れ、飼いやすい魚になった。
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