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更新日:2014年6月24日
水産試験場
コレゴヌス養殖技術開発の記録
冷凍保存はできないか
羽毛田 則生
シナノユキマスは鮮度保持が極めて難しく、たとえ氷冷しても数時間後にはあのシナノユキマス特有の舌触りは消失し、パサパサした味に低下してしまう。それ故、流通は専ら活魚であり、それが消費拡大が進まない一因となっている。
そんな折、松本市で開催された県園芸特産振興展において、スキンレスにして真空・冷凍したニジマス三倍体の評判がすこぶる良かった。私も試食してみたが、大変美味でマグロの刺身など足下にも及ばないほどであった。味も良し、そして何と言っても流通が容易である。
佐久支場へ転勤した後、早速シナノユキマスについて検討してみた。しかし、佐久には民間業者も含め冷凍設備が皆無に近い状態であったため、本場の三城主任研究員に頼んで長野県養殖漁業協同組合加工場でニジマスと同じ方法で試作し、食味試験もお願いした。また、同時に当時マスコミ等で話題となっていたマグロの温水処理による解凍についても試験してもらった。当時、本場では「おいしい魚づくり」の委託事業を実施しており、この手の仕事は最も得意としていた。
しかし、後日送られてきた結果報告書は、生鮮の刺身と比べ評価は低く、期待を見事に裏切るものであった。1回のみの試験なので、これをもって断念するのは早計かもしれないが、冷凍による保存は難しいとみられる。
今でも、シナノユキマスの大規模生産者である佐久養殖漁協では、大口は活魚輸送車で、小口は発泡スチロールで水温を保ちながら酸素詰めによる宅配活魚輸送に頼っている。
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