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更新日:2014年6月24日

水産試験場

プラスチック業者とふ化器の共同開発

シナノユキマス物語コレゴヌス養殖技術開発の記録

プラスチック業者とふ化器の共同開発

羽毛田 則生

 当初、描いていたふ化場は、(1)一部2階建てとし、ふ化ビン等はそこへ収納する。(2)夏の遊休時は、その空間へ水槽・パネル等を展示して水族館として使用する。(3)排水等は完全に分離し、床面は常に乾き、スリッパでも歩ける。等これまでの暗室に水槽を静置しただけのふ化場とは全く異なる施設を目指していたが、だんだん話はしぼんで、最終的には「機能はする」ふ化場となってしまった。
 予算額が確定し、実際に建設が始まると意外に経費が嵩み、特にふ化ビンは後述するように、従来の一升ビンでやむなし、その経費を建物に振り向けるべきだという意見が多くなってきた。最終的には、山崎支場長の「他県水試では見られない新しい特色のあるふ化場を建設するべきであり、そのためにはプラスチック製ふ化ビンは欠かせない」との結論に収斂され、日の目をみることとなった。
 共同開発者である日本特殊プラスチック株式会社は、住宅部施設課の紹介である。当時の日特は、松本市の河川敷にあり、事務所の周りにはプラスチック製品が散在していて、失礼ではあるが産業廃棄物処理工場と間違えるほどであった。現在では、社名を株式会社ピーエヌシーと変え、見た目にも立派な会社のようである。
 開発には主として西牧社長さんと百瀬さんに対応していただいた。この紙面をお借りして厚く御礼申し上げたい。
 最初の試作品は、曲線部はプラスチック、筒の直線部はアクリル樹脂管を使い、これをネジで締め、かつ、収容した卵が自由に操作できる開閉式であった。容量も4~5リットルあった。しかし、アクリル管部分以外は不透明であることと、流れが悪いこと等の理由から、形状は一升ビンを繋ぎあわせた現在の姿に落ち着いた。しかし、アクリル管付着の試作品は出来合いの製品を加工するので安価に作れるが、一升ビン式は金型ヘプラスチックを流し込んで作るため、費用が大変高価になるとのことである。しかも、製作本数が200本程度なので、透明度は半透明状態にしか仕上げられないとのことである。確か金型が50万円、ふ化ビン1本が2万円と聞いている。悩みに悩んだ末、最終的には建物のグレードを落とし、その財源をふ化ビン製作費に充てることとした。
 ふ化ビン以外にも、ビンが自由に着脱できるよう止水弁を設けたりと創意工夫を凝らしたが、今思えば足りない部分がまだまたあるように思える。
 なお、このビン式ふ化器は埼王県水産試験場の大渡さんの了解を得て、内藤、須江、羽毛田の連名で特許申請を行った。
 その後、このふ化器は数少ないが販売され、上小漁業協同組合のウグイ、秋田県のハタハタ等で活躍しているようである。

写真:共同開発したプラスチック製ビン式ふ化器
共同開発したプラスチック製ビン式ふ化器


 

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