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更新日:2014年6月24日
水産試験場
コレゴヌス養殖技術開発の記録
ペリヤジ養殖指針の作成
飼育中のへい死魚
塩瀬 淳也
魚が成長し、ある程度の量を飼育するようになると、魚のへい死が問題になってきた。稚仔魚時代の体表への寄生虫や腹腔内のカビ病等、原因が明確なものはそれなりに対応を考えればよいのであるが、原因が不明確で、へい死数に波はあるものの比較的ダラダラと死ぬのが問題であった。毎日、池ごとに拾ってきてくれる死魚を測定して、検査しての日々が2~3年は続いた。死魚は鰭基部、顎・鰓蓋、側線上に出血し、体表に水生菌が着生するが、無症状魚もあった。発症魚の内臓からはエロモナス・サルモニシーダ、ビブリオ菌等が検出される魚もあったが、その検出率は小さかった。また、この様なへい死は魚をいじった後や水が濁った後に多くなる傾向があった。
結局は、佐久の池中飼育方法がシナノユキマスにとっては適さない面が多く、魚が弱っているのであろうと考えた。餌にビタミン剤やフィードオイルを添加し、原料の品質を考えた特注飼料を使ったが、目に見える効果は感じられなかった。環境の改善は手の打ち様がなかった。
群れで回遊する海産魚の様に驚くと一斉に底へ潜っていく行動から、池の水深が深ければ、また、もともと湖沼生息魚ということから、急な水温変化がなく濁らない水で飼育すれば、この様なへい死は少なくなるかもしれないとも考えたがどうしようもなかった。この様なへい死も代を重ねるに従って少なくなっているのではないだろうか。もし、そうであれば佐久の環境に耐え得る要素を持つ系統ができてきていると見るべきであろう。
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