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更新日:2014年6月24日
水産試験場
コレゴヌス養殖技術開発の記録
稚魚生産に溜池利用
溜池の定置網
深津 鎮夫
溜池では、冬でもワムシ・ケンミジンコが発生していることを知った。場長は溜池にふ化仔魚を入れてみよと言う。職員は反対した。理由は、大きな池では稚魚を取り揚げることができない。それでも入れてみよと言う。稚魚は育ち、取揚げの段になって、引き網及び水引の落とし取りで回収したが、多くの稚魚がスレで死んだ。
昭和58年(1983年)4月、諏訪支場から帰ってきた私は、溜池を見に行った。岸にたたずんでいると、目の前を稚魚が列を成して一定方向に泳いで行く。そこでひらめいた。琵琶湖の「えり」だ。早速、場に帰り、定置網を作りはじめた。難しいものを作っていたのでは間に合わない。直径3mの八角形の網に底を付けて、垣網を伸ばした。
これを連休明けにセットしたら、稚魚が面白いように入って、隙間5cmの入口からは出て行く魚はいない。八角形の網の中をぐるぐる回転しているだけだ。これを場内の流水池に収容し、配合飼料を与えると、そのうちに食べるようになり、場内の止水池でふ化仔魚から育てたものと変わりがなくなった。
数日もすれば、回遊する稚魚を全部取りつくし、4haの溜池で44万尾の稚魚が得られた。
浅科大池(溜池)での稚魚の採捕
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