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更新日:2014年6月24日
水産試験場
コレゴヌス養殖技術開発の記録
コンラッド・ダブロスキー博士
山本 聡
ポーランド農業技術科学院のダブロスキー博士(Dr.Konrad Dabrowski)は、東京水産大学の養殖学講座に留学されていて、昭和59年(1984年)に佐久支場を訪れた。それまでに博士はCoregonusの初期飼育などについていくつかの仕事をしていたが、まさか、日本で実験材料としてCoregonusが手に入るとは思わなかったという。それどころか、事業規模での完全養殖が成功していたことについて「おそらく、世界で始めてのこと。なぜ、国際学会で発表しないのだ?」と言っていた。
博士は、産卵期に脂肪が筋肉から生殖巣にどの程度移行するかを、佐久支場の親魚を用いて調べることにした。親魚を研究室に持ってきて解剖しようとする時、その個体が雄か雌かでちょっとした論争になった。当時の支場長山崎隆義氏が「Female」と言うと、ダブロスキー博士は「Male」と主張しポケットからサイフを出して机の上にボンと投げた。山崎氏も受けて立つぞとサイフを出す。解剖の結果は、前半が卵巣で後半が精巣の雌雄同体。めでたくサイフは各々のポケットに戻ることとなった。
博士はCoregonusについて、たくさんの情報を持ってきてくれた。文献もさることながら、支場の会議室で行われた講義が有り難かった。私は、この時始めて野生のCoregonusの産卵行動を知ったように思う。maraenaの原産地がポーランドだと知ったのもこの時である。
博士の日本での成果の一部は、日水試の52(1),1986に発表されている。
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