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更新日:2014年6月24日

水産試験場

発眼率向上について

シナノユキマス物語コレゴヌス養殖技術開発の記録

発眼率向上について

薄井 孝彦

 シナノユキマスの種苗生産でもったいないなあと感じたことの一つに、発眼率が著しく低いことがある。マレーナで40%、ペレッドで20%程度の発眼率であり、これをニジマスなみの90%台に改善できれば、親魚数はマレーナで1/2、ペレッドで1/5程度でも良いことになる。そんなことで、発眼率向上を目指して、採卵・受精・ふ化の一連の作業で改善できることがあるのか否かを検討した。
 通常の採卵では、目でみて、黄色みを帯び手でさわると柔らかく、体腔液のあるものを「良卵」とし、白みを帯び手でさわると固く、体腔液の少ないものを「不良卵」としていたが、実際に調査してみると両者の発眼率には差がないことがわかった。やはり、東京水産大学の酒井先生の研究どおり、顕微鏡で卵を見て小型の油球が、全体に均一に分散している卵の発眼率が良いことがわかった。その他、希釈精液、卵の洗浄、ふ化時の卵の動きなど検討したが、いずれも発眼率の向上には役立たないことがわかった。
 シナノユキマスの雌親魚1尾の卵数は1万5,000粒程度もある。自然の摂理では卵以降の生残率の低い生物は卵数を多くして種を維持していると言われている。このことを考えるとシナノユキマスの発眼率向上は至難の技と言えるのかもしれない。


 

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