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更新日:2019年1月22日
長野県知事 阿部守一
それでは9月2日の知事会見を始めさせていただきたいと思います。私も一年目の仕事というか、一年目が8月31日で365日過ぎて2年目に突入したということで、初心に立ち返って当初の志を忘れることなく県民の皆様の確かな暮らしを守り県民主権の長野県を実現するために全力投球していきたいと決意を新たにしておりますので、ぜひメディアの皆様方をはじめとする県民の皆様方の引き続きのご協力、ご支援をお願いしたいと思います。
今日、私の方からは2点お話をさせていただきたいと思います。まず、リニア中央新幹線に関連してでございます。リニア中央新幹線の建設促進の飯伊地区の期成同盟会の皆様からJR東海に対して意見書を提出して意見交換をしたいというお話がありました。県において調整してほしいということでございましたので、9月7日(水曜日)午後3時から東京都内で意見交換を行うという形になりました。8月5日にJR東海が計画段階環境配慮書を公表しているわけでありますが、飯田、下伊那地域の中でもいろいろご意見があるわけであります。私としては長野県全体の協議会で考え方を取りまとめていきたいと思っておりますし、飯田、下伊那地域を含めた県内の各地域がまとまって進んでいくということが大変重要だと考えておりますので、そのことを前提としてJR東海と飯伊地区の皆さんとの間で意見交換をしていただくと、そういう形で設定をさせていただきました。詳細につきましては後刻、飯伊地区の期成同盟会の方からプレスリリースが行われると聞いておりますので、またそちらをご覧いただければと思います。
それから2点目でございます。今週末、3日から5日の3日間にかけまして信州型の事業仕分けを行いたいと思っております。3日の土曜日は伊那市の県伊那合同庁舎、そして伊那市の生涯学習センターを会場と致します。また4日、日曜日と5日の月曜日につきましては長野市の県庁を会場と致しまして、いずれも9時半から16時45分の間の時間帯で50事業を対象に行っていきたいと思っています。いずれの会場にも傍聴席を設けておりますので、ぜひ多くの県民の皆様方にご来場いただいてですね、県の事業どんな事業があるのか、そしてどんな目的・効果があるのか、そしてそうしたものに対して判定人なり仕分け人の皆さんがどういう判定、議論をされるのかご覧頂いて、お一人おひとりの県民が、ぜひ県の事業を身近なものとして考えていただく機会にしていただきたいなと思っています。メイン会場の様子につきましては、地元のケーブル会社のご協力によりまして県内各地のケーブルテレビで生中継をしていただくということにしております。また全ての会場の様子につきましてはインターネット中継を致しますので、会場にお越しいただく時間が無いというような方につきましては、ケーブルテレビあるいはインターネット中継、そちらをご覧いただければと思います。事業仕分けについては判定人方式を取るのは都道府県レベルでは最初だと思っておりますので、私自身もどういう結論が出てくるのかまったく予測ができないわけでありますけれども、判定された結果については尊重しつつも県としての方針をしっかりと説明責任を果たすべく取り組んでいきたいと思っております。冒頭私の方から以上2点を申し上げて、皆さんからのご質問を受けたいと思います。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
冒頭ありましたリニアの関係でありますけれども、8月5日の段階の公表の際にですね、知事の方では飯田側の考え方については必ずしも真意というかその部分については直接話したことが無いのでというようなことだったのですけれども、その後とりわけ飯田市長さんとその辺についての溝の埋め合わせというか、話というかができたのか、それとも今後話していく機会を設けていくということなのか、いかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
溝ということはないと思っていますけれども、これは飯伊地区でいろいろとこれまでのご主張もある中で、どういうふうに進めていくかということはご検討されていると認識しております。その中でJR東海との意見交換をしていきたいということでありますので、それを県として阻害することもないわけでありますので、まずは直接意見交換をしていっていただくということで、最終的には県全体として考え方とかを取りまとめた上で、地域全体まとまって行動していくということで飯田市、飯伊地区の皆さんにもお話しをさせてきていただいておりますし、そういう方向で進んでいきたいと思っております。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
直接話す機会も経過の中ではあるかもしれないし・・・。
長野県知事 阿部守一
それは別に私としては、どなたからのご相談にも応じる考えはありますし、冒頭から申し上げているようにこれは地域一体となって取り組んでいくということが大変重要ですから、そうした中で直接お会いしてお話しする機会も必要があればしっかりと時間を取るように致したいと思いますし、柔軟に対応はしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
分かりました。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
あと先程の事業仕分けの件なのですけれども、結果については尊重するというお話だったのですが、今回の本格実施を受けて、結果は出ていないのですけれども、今後の予算編成に絡めてどういう方針で臨んでいくのかお考えがあったらお伺いしたいのですが。
長野県知事 阿部守一
方針というか、事業仕分けの判定結果を私としてはしっかり受け止めてですね、これはある意味で県民の皆さんの中から無作為抽出で選ばせていただいた判定人の皆様が判定するわけですから、ある意味では県民の皆さんの考えなり、見方なりというものが出てくると思います。そうしたものに対して、これは責任ある立場として県政をお預かりしているわけですから、関係方面の意見とか考え方ももちろんあると思いますし、これまでの事業の効果とかあるいは将来的に県としてどうしていくのか、そうしたことも含めて総合的に検討した上で対応方針を決めていくということになると思います。もとより仕分け結果と同じでない県としての判断をする可能性もあります。ありますが、そのこと自体の意味というのは私としてはより具体的な説明責任を県として果たしていかなければいけないということになるわけでありますので、そこら辺については、事業仕分けを行う意味というのは単に結果の議論だけではなくて議論のプロセスであったり、あるいはその結果として出てきたものに対する県としての十分な説明責任だったり、そうしたことも含めてですね、仕分けの効果であると思っていますので、そうした点を十分念頭に置いてこれからの作業を行っていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
ありがとうございました。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
続いてリニアのことで追加でお尋ねなのですが、これは知事おっしゃったように、プレイヤーというか東京で今度されるというのは、飯伊地区とJRの意見交換会であって、県の立場というのはそこでどのような位置付けなのですか。
長野県知事 阿部守一
県は場を設定するということで、これは繰り返しになりますけれども、最終的に県としてJRとしっかり向き合っていくということは大前提としてですね、これは飯伊地区の中にはいろいろなご意見があるわけでありますから、JRと直接話をして確認を行いたいということでありますから、そうしたことをしっかり行っていただいたうえで考え方を取りまとめていただくと私としては考えています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
お盆過ぎの飯田の説明会からかなり時間も経ってきていますけども、この間いろいろその地元の方でも意見を調整したり考え方を表明されたりしているようですけど、改めて知事、飯田下伊那の動きをどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は県全体を取りまとめていく立場でありますから、飯田下伊那の地域については、これは飯伊地区なり、あるいは全体を束ねている飯田市長なりで考え方を整理されていかれると思っております。そういう意味で今の段階で私が個別の地域、それは例えば他の地域の中にもいろいろな声とか考え方があるわけでありますから、個々具体的に論評するという必要はないだろうと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
それはあの、飯田市長なりからですね直接説明を聞くまではなかなかその論評には至らないと、そういうことですか。
長野県知事 阿部守一
例えばメディアの方からもいろいろお話聞かせてもらうこともありますし、意見を聞かれることもありますけれども、何というかきちんとした行政同士の話とかあるいは協議会なり同盟会としての考えということをお伺いする前に、私がああでもないこうでもないとコメントするということは適切ではないと思っています。
信濃毎日新聞 古志野拓史 氏
分かりました、ありがとうございます。
中日新聞 小松田健一 氏
先程、野田新内閣の閣僚の顔ぶれが発表されました。野田内閣に望むこと、あと、閣僚の顔ぶれ知事すべてまだご存じないと思いますが、地方に関係しそうなところですと、総務大臣が川端達夫さん、財務大臣が安住淳さん、あと農水大臣は留任なのですが、あと復興大臣も留任です。ご感想ご期待などを伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
ちょっとまだ私、新しい内閣の顔ぶれを拝見してないので、全体のイメージ感がつかめないところがありますけれども、これはやはり新しい内閣は、ぜひ政治に対する信頼、これいろいろな意味での信頼感あると思いますが、きちんと取り戻していただけるように着実に仕事を進めてってもらいたいなと思っています。栄村も含めた東日本大震災の復興・復旧ということは喫緊の課題でもありますし、原発事故の収束とそれに引き続いて将来のエネルギー政策をどうしていくのかということ、もう少し大きな時間軸で考えれば、やはり社会保障の安定的な確率と、これは地方の側からすれば、地方分権の推進です。こうした大きな課題にしっかりと向き合っていっていただきたいと思います。足もとの状況としては円高、雇用の問題があるわけでありますけれども、迅速な対応と中長期的に講ずるべき対応と両方にらみながら国民の期待に応えることができる政権運営を行っていっていただきたいなと思います。
読売新聞 香取直武 氏
またちょっとリニアに戻ってあれなのですけれども、先程知事が、最終的には県の協議会で考え方をまとめるというお話でしたけれども、これはその駅の建設地というか飯伊についてももうその時点では一本化させたいということでよろしいのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ちょっとごめんなさい、何の?
読売新聞 香取直武 氏
駅の建設地についてもそこでは一本化されるという・・・。
長野県知事 阿部守一
まずは当面その5キロ円と3キロ幅で駅位置とルートがJR東海から示されているわけでありますので、それに対してどう対応していくかという形になろうかと。具体的な駅位置の絞り込みというのは、まだそこから後の話になってくると思いますので。
読売新聞 香取直武 氏
要するにだから飯田市が言っている飯田駅併設ということではなくてJRが今出している座光寺のことに対応するということなのですか。
長野県知事 阿部守一
対応するというか、要は県全体として、JRとの間というのは別に駅とかルートの話だけではなくて建設費負担の問題であったりあるいは先般出させてもらいましたけれど、いろいろ環境に与える影響についての対応だったり、さまざまあるわけですよね。そうしたものも含めてこれは地域全体が足並みをそろえて進めていくということが大前提でありますし、それが大前提であることは飯伊地区の皆さんも十分ご認識いただいていると思っています。
読売新聞 香取直武 氏
そうすると必ずしもその中で駅の位置に触れない、例えばルートの時なんかも最後まで県の協議会としてはですねルートには触れないという形で終わりましたけれども、その駅の建設地についてもそういう形になり得るという。
長野県知事 阿部守一
ですから、何というかこれも私の見ている状況と皆さんの感覚のスピード感がずれているのではないかという気がしますけれども、飯伊地区の中でもJR東海の提案を受けてですよ、どうしようかということを議論されているわけですから、そうしたことを受けて県全体としてどうしていくかというのはその後の話になってくるかと思います。
読売新聞 香取直武 氏
要するに必ずしもそこで駅の建設地を一本にまとめる必要はないということ県の協議会の今回、次まとめるというところでは。
長野県知事 阿部守一
一本にまとめるという趣旨が良く分からないですけれども、県全体として足並みをそろえて取り組んでいくということが最重要でありますから、その方向で県の協議会の中でもまとめていく。これは何というか駅位置の話だけ皆さん議論されていますけれども、駅位置の問題に限らず費用負担の問題だったりいろいろあるわけで、もちろん駅位置をどうしていくかということで飯田下伊那の皆さんは、これまでは飯田現駅という主張をされてきたわけでありますけれども、JRがああいう案を示したことに対してどう対応をしていくかということは、今、飯田下伊那の中でさまざまな場で議論されていると私は認識しておりますから、そうした議論の結果どういうお考えかということを踏まえて対応していくという形になると思います。
読売新聞 香取直武 氏
分かりました。時期的にはどのくらいというのはイメージありますか。県の協議会を次、開くというのは。
長野県知事 阿部守一
そこはまだ具体的には決めていないですけれども、まず先程申し上げたように飯田下伊那の皆さん、JR東海と意見交換するということですから、それを受けて考えていくということになろうかと思います。
読売新聞 香取直武 氏
分かりました。
朝日新聞 伊東唯行 氏
知事就任1年の関連でお願いします。松本の菅谷市長が知事1年について会見でお話になっていて、例えば「気を遣われているのか、バランスを取り始めちゃうと本来の阿部カラーが出なくなってしまうとかですね、あるいは阿部さんがこうであるということを示してほしい。調整型ではないということを期待する人もいます」といったように政策に対する知事の決断力ですとかリーダーシップを求めている声だと思いますが、2年目に向けてそこらのところいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
会見の言葉を切り取ると全体の流れがどういう中でご発言されているか分からないのですが、そこの切り取った発言だけを取り上げれば、何を言っているのか分からないというのが、私の正直な感想ですね。その前後の文脈の中で一体どういう政策課題について言っているのかをまず教えていただきたい。これは政治家の発言とか私の今の発言も一部だけ切り取られて、飯田の人たちに知事はこう言っているがどうですかと聞かれた時に、それは私の本意と違う形になる可能性もありますから、菅谷市長がどういう文脈でそういうことをおっしゃっているのか、例えば気を遣うということは相手がいるはずですから、一体誰に対して気を遣っているのかということが明確であれば私がご説明させてもらいますけれども、私は少なくとも県民の思いを実現するためには誰にも気を遣う必要はないと思っています。ただ、人間の信頼関係が必要だということをここの場でも申し上げていますけれども、そういう意味で信頼関係をベースにしながらも政策においてはかんかんがくがく議論していくというスタンスでやっていますので、政策の打ち出しとか意思決定についての気を遣うというか、利害関係者に過度な配慮をするとか、そういうことはやってきていないつもりですし、これからもやるつもりはありません。菅谷さんがどういう文脈でそういうことをおっしゃっているのか教えてもらえればもう少し話をさせてもらいます。
朝日新聞 伊東唯行 氏
分かりました。
朝日新聞 伊東唯行 氏
もう一つ。新首相についてですけれども、個人的にこれまで仕事でお付き合いがあったとか、これまで仕事の中で何か接点があったとか、あるいはこういう印象を持っているというのはありますか。
長野県知事 阿部守一
野田新総理とは、ごあいさつをさせていただいたことがある程度で、踏み込んだお話をさせていただいたことはありません。そういう意味ではメディア等で報道されている範囲内での印象ということでありますけれども、非常に堅実に仕事を進めていかれる方ではないかという印象を受けていますし、また、非常に国難ともいうべき緊急事態でありますからそういう観点では、政府全体、霞が関も含めてしっかりと取りまとめていっていただけることを期待したいと思っています。
植松敬 氏
信濃毎日新聞でインターンシップをしております早稲田大学政治経済学部3年の植松敬と申します。若者の定住ということに関して一点お聞きしたいのですが、僕自身が地方出身で現在、東京の大学に通っていて、今大学3年でこれから就職活動するにあたって地元に帰るかそれとも東京に残ってそこで就職するかということを考えた時に、地元のことは好きだけれども、そこに残って働きたいと思うほどの魅力を正直感じないという部分がありまして、長野県においては例えば、高校卒業後に東京などの県外に出て行った若い人たちに対して戻ってくるための政策などありましたらお聞かせ願います。
長野県知事 阿部守一
若者定住ということで、私の問題意識は働く場をしっかり作るということと、長野県全体としては社会減が増えてきているわけですけれども、この人口構成からみて自然減のところはある程度やむを得ない部分があるにしても社会減がどんどん増えていくという状況には歯止めをかけていかなければいけないと思っています。そういう意味では、まずは長野県の若者たちがしっかり残ってもらう、あるいは戻ってもらうことを考えた時には県全体としての魅力あるいは安心感を高めていくことが大事だと思っています。それは、医療だったり福祉の問題もありますし、それと同時に働く場、雇用の創出ということで、長野県として新しい中期計画を作る中で雇用創出、経済活性化ということについてもしっかり力を入れていきたいと思っています。今度、長野県は移住・交流(推進)本部というのをつくりましたので、どちらかというとIターン、Uターンという方たちに対するPR、今まで県内の市町村は一生懸命やっているところもありましたけれども、長野県は実は、移住したい、移り住みたい県としては他の県から比べれば非常に期待度が高いわけですが、必ずしも組織的、体系的な支援策が十分取れてきていなかったという問題意識もありますので、そうした政策をしっかりと打ち出して定住人口を増やしていきたいと思っています。それから例えば、長野県の場合でしたら農業をこれから将来に向けて立て直していく必要があると思いますが、若者からみて特に都会の人たちからみると農業はそもそも就職する選択肢に最初から入っていないと思っていますので、今、農業大学校を中心に外からの人材の受け入れをやってきていますが、私も横浜にいたので、横浜市とも連携して、都会側に対するPRもして長野県への呼び込みというか、就農希望者をもっと引っ張ってきたいなと思っています。若者の定住はいろいろなアプローチがあると思いますけれども、若者が定住して元気でいてもらえるということができれば他の政策はほっといてもかなりの部分効果が出る話になるので、引き続きそういう政策に力点を置くような展開をしていきたいなと思っています。特に今東京に暮らされているということなので、あえて申し上げれば私もずっと東京に住んでいましたけれども、おそらく東京の暮らしとか都会の暮らしというのがある意味で時代をリードしていたというのはもうだんだん私は過去のものになりつつあるのではないかなと。むしろ先般の東日本大震災のときにも多くの人たちが帰宅難民になったように、いったん事があった時に大都会の脆弱性(ぜいじゃくせい)とかあるいは不安定さということが潜在的に実は多くの方が気づいてきていると思います。ただかつて言われた一極集中の是正みたいな政策を必ずしも国全体がとっていない中で、もう少し国土政策全体を考え直していかなければいけないという時代にきていると思います。都道府県レベルでも県としてもしっかり長野県のよさをアピールできるように取り組んでいきたいと思いますけれども、ひとつ知事会でもグランドデザインをつくっていこうとしていますけれど、国全体の人口の集中のあり方とか、国全体のグランドデザインとかもう一度そうしたことを検討する中で今言った人口の過度な集中を防ぐあるいは過度な過疎化を防ぐ、国土全体をしっかりと使っていくという議論が必要だなと思っています。
植松敬 氏
ありがとうございます。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
2点ございまして、まず1点目がたびたびリニアの話なのですけれども、先程県全体として意見をまとめるために飯伊下伊那地域の皆様に一度JRとの協議の場を持つことが必要だということですが、これまでの経緯をみますとJRの協議の場でもですね、飯伊下伊那地域の皆さんは水源域の回避のほか駅の位置についてもおそらく強く主張されていくのだろうなと思うのですけれども、協議の場の後また県として取りまとめたいということ何ですが、そういったその駅位置、飯伊下伊那の皆さんの意見、今後も強く主張されていくとは思うのですがそうした中で県としてその協議の場が終わった後、その後についてどうやって調整をしていく必要があるなと今のところお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
協議の場というか、協議の場とか検討の場とかいろいろありますけどこれは意見交換をするということだけで、恒常的な場があるようなイメージではないのでちょっとそこは協議の場というと違うイメージになってしまうので申し上げておきますけれども。飯田下伊那の中でも、いろいろなご意見があると思っていますので、何度も繰り返しになって申し訳ないのですけれども、飯伊地区を代表される方のお考えをしっかりと私自身把握した上でコメントをしないと、ちょっとミスリードすることにもなりかねないので、そういう意味でJR東海と飯伊地区の皆さんとで意見交換された後で、どう対応するかという考え方がまとまってくるのだろうと思いますので、そうしたことを受けて県全体の対応を考えていきたいと思います。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
具体的な意見の調整については、その後になってくるという考えでいいのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
県全体の考え方っていうことはその後ですよね。だって飯田下伊那の皆さんがどうするかということも伺いながら考えていくということが必要だと思っていますので。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
分かりました。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
2点目なのですけれども今週末から行われる信州型事業仕分けなのですけれども、またちょっと気の早い話ですが3日間今回の本格実施を行った後、今後の仕分けの実施のあり方というかですね、今後も継続していくのかについて、お聞かせください。
長野県知事 阿部守一
これはまだこれから仕分けをやるので今後の話は非常に早すぎるなと思いますが、事業仕分けの結果というか、やるときには前回もそうですけれど参加した人の意見も聞かせていただいたわけで、今回もそうするのかな。事業仕分けというのは、私自身は事業仕分けをやること自体が目的ではなくて、これはあくまで手段だと思っています。その目的とするところはやはり県民の目線、外部の目線でやはり県の事業というのは見直していかなければいけないと思っていますし、どうしても県の施策は県民の皆さんからみた時に何となく県行政は縁遠いというところがありますので、身近なものとしてとらえてもらうというような効果もあると思っていますので、そうした観点をしっかりと維持しつつこれから3日間行っていく事業仕分けの成果というか効果というかそういうものを見極めたうえで今後考えていくということになろうかと思います。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
つまり外部の視点を入れるということが目的であるということは、仕分けという形には今後こだわらず別の形も考えられるということなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
事業仕分け自体もあえて信州型と称していますけれども、民主党政権に政権交代直後に行った事業仕分けのイメージが非常に強いですね。先行実施ということで今年1月にやって、今回本格実施でありますけども、例えば仕分け対象事業になるとなんかもう切られてしまうのか、あるいは知事としていらない事業だと思っているから仕分け対象になっているのではないかという声も聞くことがありますので、まだそういう意味では国の事業仕分けのイメージとか印象が過度にあるのかなと思っています。そういう意味で事業仕分けということが目的ではないわけでありまして公開、外部の視点、明確な結論そうしたものが事業仕分けの基本的な要素だと思っていますので、そうしたものは私は堅持しなければいけないと思っていますが、唯一絶対このやり方ということではないのでそこはいろいろな結果も踏まえながらいろいろな視点で考えていく余地はあると思っています。ただ今の時点で、変えると変えないとかというのはやや時期尚早な話で、まずはこの3日間の事業仕分けを確実に実施していくということで考えております。
須賀恭平 氏
信濃毎日新聞でインターンをしております早稲田大学政治学研究科の須賀と申します。観光事業について二つお聞かせください。3月11日の震災以降に日本全体の観光客とりわけ外国人旅行者が減っているという状況があると思うのですけれども、長野県としては県内への観光客の誘致をどのように考えているかお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
海外からのお客さんは震災後また原発事故後、急激に減ってしまったという事実があるわけで、海外的、対外的な発信というのは観光庁も含めて一緒になって取り組んでいく必要があると考えています。これやはりいろいろな旅行エージェントとか海外に対して日本の安全性をPRしていくということが重要だと思っていますので、そういう意味で、例えば中国大使館、中国大使のもとを訪れて、長野県の安全性等についてはPRさせていただいておりますし、観光部長もシンガポールに出かけてですね、対外的な観光宣伝にこれまで以上に力を入れてきているところであります。全般的に国内旅行も含めて、夏場は、かなり「涼しい夏旅さわやか信州」ということで、市町村、JRの皆さんのご協力も得ながら観光関係の皆さんと一緒になって取り組んだわけでありまして、まだ数値的なものは出ておりませんけれども、いろいろな方にお話を伺うなかでは、かなりですね、県内観光地にお客さんが戻ってきているのではないかというお話も聞いておりますし、例えば「おひさま」とかですね「岳」とかですね、テレビとか映画とかそういう舞台に長野県も取り上げていただいた効果ということも、かなり着実に出てきているのかなと思っています。引き続き16日からDCキャンペーンを昨年に引き続いて行いますし、またスキー100周年ということで切れ目ない観光施策を打っていきたいと思っています。中長期的には、今国際戦略というのを各部横断的に作っていますので、そうしたなかで海外からの誘客についても他の県に負けないように、そして海外からの誘客だと他県との連携も逆に大事になってきますので、立山黒部ルートはかなり海外のお客さんのウエートが高いルートでもあります。そういう海外向けの発信についても他県とも連携して取り組んでいきたいと思っています。
信越放送(SBC) 花岡晃子 氏
先程のプレスリリースで地球温暖化対策戦略検討会の開催についてご案内いただいたのですけれども、これまでも長野県でも温暖化対策いろいろと取り組まれてきたかと思うのですけれども、現状の取り組みに対する知事自身の評価とあと戦略検討会を設置するということで知事として現状を踏まえて、こういう面で強化していく必要があるのだみたいなそういった思いがもしおありでしたらお聞かせいただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
温暖化対策については、常にブラッシュアップしていくというか、今もエネルギーの原子力の問題、原発事故を契機としたエネルギーの問題が議論され、多くの国民が議論するようになっていますけれども、たとえば省エネ技術だとか、自然エネルギーの技術だとか、そういうものが非常に早い速度で変わっていくわけでありますから、この温暖化の取り組みというのも常に見直していくということが重要だと思っています。これは、田中県政の時から、この温暖化の取り組みに力を入れ始めてきたわけでありますけれども、本当の未来像をしっかりと描くうえでは、いろいろな政策手段を取っていくということが重要だと思っています。規制であったり税制であったりとかですね。誘導したり抑制したり、いろいろな政策手段を駆使して温暖化対策、温室効果ガスの排出削減という目標を実現していくことが必要でありますので、そういう意味では、やや今の長野県の条例の中身は、東京都はかなり踏み込んだ進んだ対応をしてきているわけですけれども、そういうところと比べるとやや弱い部分があるのではないかなと率直に思っております。そういう意味でこれは環境部だけではなくて、例えば住宅の断熱性能をどうするかということも密接に関連しますし、あるいは交通の問題をどうするかということも大変関連しますし、部局横断的にもう一回しっかりと戦略を立て直すということが大変重要だと思っていますので、そういう観点でこの検討会で、ぜひ先進的なご提案をいただきたいなと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
一点目は確認だけですけども、先程の菅谷市長のご発言に絡むご回答というのは、念のため確認ですけれども、菅谷市長に対してもう少し詳しくおっしゃっていただければという趣旨でおっしゃっているのか、それともその報道であるとか、質問された朝日さんに・・・。
長野県知事 阿部守一
菅谷市長が、だから前後の文脈でどういうものを引用して、気を遣っているとおっしゃっているのかということが分からないので、それは確かに気を遣わなければいけないこともあると思います。先程言ったように政策決定、意思決定をしていく上で、県民のためになることであれば、私は気を遣う必要はないと思っていますけれども、ただ人間関係の信頼関係とかですね、そういうプロセスにおいてはやはり信頼関係を維持するようにしなければいけないわけですから、そういうところは十分な関係方面への配慮をしながら進めなければいけないところもあるので、どういう文脈でおっしゃっておられるかによってかなり違ってくるかなと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
いずれにしろ、どういう文脈でおっしゃっているのかというのは、菅谷市長に対してではなくて、報道に対しておっしゃっているということですね。
長野県知事 阿部守一
例えば、私が今言っていることを一部だけ切り取ると、違う趣旨になりかねないので、そういう意味では、先程ご質問いただいたわけです。例えば、市町村行政に、あえて前後の文脈が分からないので、私が想像して言えば、今回の事業仕分けについては、市町村の意見も聞いているわけですよね。市町村がどう思っているかと、それが市町村に気を遣っていると言えば気を遣っているし、しかしながら、必要なプロセスだと言えば必要なプロセスなわけでありますので、そういうことを気を遣っているけれど、気を遣い過ぎじゃないのという具体的なものがあれば、確かに気を遣っているというよりは配慮していますよという話なのか、それは全く誤解ですよという、それはケース・バイ・ケースでいろいろあるのではないかと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
伺いたいのは、そういうものをもう少し具体的に示してほしいとおっしゃっているのは、それだったら説明のしようがあるよというのは、菅谷市長におっしゃっているのではなくて、朝日さんだとか、報道におっしゃっているのですか。
長野県知事 阿部守一
まず一義的には報道で、ただそれは菅谷さんがどういう文脈でおっしゃっているのか分からないというところもあるので、それはこういうことですという話があれば、それは直接的にご意見をいただければ対応しますけれども。これは、さっきのリニア話と同じで、メディアの方々を通じて、やり取りするという話になると、だんだん誤解が誤解を生むということになりかねないので、そういう意味ではよく分からないなと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
2点目はですね、明日からの信州型事業仕分けの話ですけど、一般的な期待であるとかというのは、先程冒頭でお話しされましたけども、今回先行実施に次いで二度目になるわけですけども、二度目、一度目と比較したときの位置付けであるとか、本格実施に何を期待するかであるとか、一度目と比較するとどんなところでしょうか。
長野県知事 阿部守一
一回目の時は県の担当部局、関連部局に頑張ってもらって、非常に短期間で準備作業を行ったわけでありまして、そういえば今回は現地を見てもらったりとか、丁寧なプロセスを踏んできたわけでありますので、ある意味では前回よりも進んだ形で、丁寧な形でやらせてもらっていることになっていると思います。そういう中で、とはいえ、前回と違って判定人の方に入っていただいて判定をしていただくというやり方ですので、これは県民の皆さんのストレートなご意見が出てくるということを期待していますし、それと同時に県民の皆さんのストレートな意見であるが故にその後の対応については、関わっていただく方も格段に多くなっているのですから、前回以上に私どもの説明責任をしっかりと果たしていかなければいけないなと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
最後に一点ですけれども、一昨日で就任から丸一年経たれて、昨日から2年目に入られたわけですけれども、昨年末4カ月位の時に現状の課題などを会見で問われた際に、知事は組織であるとか県庁内の壁というものを一つの課題というようにその時にはおっしゃられたかと思いますが、2年目に入るこのタイミングで知事が感じておられる課題は端的にどの辺りにおありでしょうか。
長野県知事 阿部守一
個別な課題はいろいろあるわけですけれども、やはり私としてこの2年目に、自分自身として力を入れて取り組まなければいけないなと考えているのが、中期計画の策定と、それから行政の改革と、この二つです。中期計画の方については、できるだけ大きなビジョンを県民の皆さんの思いとも共有できるビジョンを立ててですね、それに向けて着実に取り組んでいくことができる戦略を打ち立てていくと、あれもこれもじゃなくてね、内容的には絞り込んだ形で作っていきたいと思っておりますし、それは私にとっての当面の大きな課題だと思っています。それから行政の改革の方が質問の趣旨に近いのかもしれないですけれども、このあいだ木曽の合庁とそれから諏訪の合庁で、現地職員、現地機関の職員と対話をさせてもらった時に、私は全員に二つ質問をさせてもらいました。一つは、長野県は県民の期待にどの程度応えているかと、もう一つはあなたは今の仕事にどの程度満足しているかと、この二つを聞きましたが、100点満点でだいたい真ん中辺にかたまるのは仕方がないにしてもですね、私の感覚からすると、低いなと。まだ、低いってことは改善の余地があるということですので、それだけやりがいもあるわけでありますけれども、やはり例えば多くの職員が、自分の仕事に満足感がなければやっぱり県民の皆さんに接した時、あるいは県民の皆さんに対する仕事をする時も、どうしても県民から見た時にはなんとなく不十分ではないかとか、どうしてこんな姿勢なのだという感じで受け止められかねないですし、県職員自体が県民の期待に対して十分応えきれてない点があるのではないかと思っているのであれば、やはりそれはしっかりと共有してですね、現実の施策なり、行政の仕組みなりにつなげていくことが重要だと思っていますので、そういう点を一つずつ解決していきたいなと。これは、そうなっている要因というのは私もいろいろ、だいたいいくつかに収れんされてくるのですよね。これは私が実は県民主権の長野県政を実現しましょうと申し上げているのと、ほぼニアリーイコールだなと県の職員と話していて感じているのですけれども、県の職員は県民から言われて、なるほどそうだなと思ってもできないことの要因は、例えば国の縛りがあったりとか、補助金も国がこれしか使えませんと言っているので住民の言っていることとは必ずしもイコールになりませんと。何というか閉塞感もありますし、あるいは県庁としての課題としては、財政状況が厳しい中で、なかなか予算配分的には県民の期待に応えられるような配分になっていないと、これは現場レベルというより全体的な観点でしっかりと優先順位をつけてですね、これは本当に申し訳ないけれども止めさせていただかなくてはいけないというものについては、整理・縮小しながら、片方で、本当に県民のニーズや社会の要請に合致する施策については、一定程度予算の金額がかさんでも、やっていかなければならない、そういうものを現場の声として引き出せるような仕組みを作っていかなくてはならないということ等々ですね、さまざまありますけれども、そうした行政の仕組みの改革ということをぜひ行っていきたいなと思っています。
信濃毎日新聞 東条勝洋 氏
先程、温暖化対策の質問が出ていたので、その関連でさらにお聞きできればと思っているのですが、温暖化対策は取り巻く状況が変わってましてですね、原発停止に伴い、中部電力が火力発電所を再開していることなどで、実質的な排出量が増えていくという状況の中で、長野県としてはどうしていくかということをお聞きしたいのが一つと、あとは具体的な対策を進めていくには企業の協力が非常に欠かせなくなってくると思うのですが、先程、東京都のことにも言及されていたのですが、例えば東京都のように国内排出量取引のような制度をですね、長野県でも導入するとすれば、規制をかけることになりますので、昨今の非常に厳しい経済情勢の中では、そういった取り組みを今から議論していくのは非常に厳しいタイミングかと思うのですが、そういう厳しい状況の中で、長野県としてどのように進めていこうと考えているのかお願いします。
長野県知事 阿部守一
お話しいただいているように厳しいです。原発がCO2を出さないという話でやってきて、日本全体がそちらに軸足を移しかけてきた中での状況ですから、電力のCO2の排出係数も変わってくるだろう、ただ中部電力の管内はもともと比較的原発のウエートが低かったというところはあるので、そういう面では他の地域に比べれば原発依存度が低かったということもあるので、まだ今後の展開ということを考えていった時には、やや明るい面があるとは思いますけども、しかしながらこれは別に長野県だけが頑張って成果を上げれば地球環境は守られるという話でもないので、日本全体としてはそこは非常に大きな課題だと思います。規制の話もさせてもらいましたけれども、もちろんこれは規制をするだけではいけないので、規制とインセンティブとですね、いろいろな側面を含めて考えていくということが大事だと思っておりますので。これからのライフスタイルとか社会のあり方をどうするかというテーマとも密接に関連してくる話ですので、そうした大きなビジョンを持ちながらですね、検討していくことが必要かなと思っています。ご質問の趣旨が厳しいけれども、どうするかという話ですけれども、厳しいけれどもしかしながら放置していくというわけにはいかない課題でもありますし、海外の話を持ち出すまでもなく、やはり発展途上国の皆さんからすれば、先進国はCO2を排出しすぎではないかという思いもあるわけでありますので、そうした地球的な思いとか視点というのを忘れることなく取り組んでいくということが重要だと思っています。
信濃毎日新聞 東条勝洋 氏
分かりました。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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